今日の産経ニュース(6/10分)(追記・訂正あり)

■橋下市長「大阪会議はまったく機能しない」
http://www.sankei.com/west/news/150610/wst1506100085-n1.html
 橋下らしい無責任発言です。

 大阪会議が成立したのは、もともと反対だった最大会派の大阪維新の会が賛成に転じたためだ。

と言う事実があるのにどうして「大阪会議なんか機能しない」と悪口雑言なのか。橋下だと「俺は反対なのに松井が無理矢理押し切った」などと責任転嫁しそうですが。以前から思いつきのデタラメ発言が酷い御仁でしたがそれがどんどんエスカレートしてるようです。


■台湾の野党主席、訪米を終了 「独立」強調せず米政府の懸念一掃
http://www.sankei.com/world/news/150610/wor1506100041-n1.html
 「台湾即時独立論」なんて今時少数派だって話です。主流は「当面現状維持」のわけです。民主進歩党が政権取ったって「産経が期待するほどの反中国路線」なんかありえずせいぜい「多少シフトダウンする程度」でしょう。


■中国が記憶遺産の証拠として父撮影写真を無断申請、福岡の医師抗議 
http://www.sankei.com/politics/news/150610/plt1506100041-n1.html
 まあ、「著作権上の問題」があれば是正すればいいわけですが、こういうのはもちろん「そう言う話じゃ本音は全然ない」わけですよね。「因縁つけて慰安婦問題をうやむやにしたい」という黒いゲスな野望は丸見えの訳です。百人斬り訴訟と構造は同じです。あれだって建前は「百人斬り限定」のはずですがウヨは露骨に「南京事件否定」にこじつけようとするわけです。まあ、百人斬りといいこの件といい、こんなんに荷担する遺族(?)にもまったく困ったもんです。
1)著作権上の問題などないと反論*1しようが
2)著作権上の問題を処理しようが
3)著作権上の問題があると指摘された写真については申請から外そうが
何しようがこの種の人間は因縁つけるわけです。
 1)なら「問題があるのにないと強弁してる→慰安婦問題全否定」、2),3)なら「私の指摘通りに問題があった→慰安婦問題全否定*2」という暴論が炸裂するわけです。


■【経済裏読み】中国がブラジルの「鉄の女」に猛アタック、南米横断鉄道の野望、あのスキャンダル企業まで救済
http://www.sankei.com/west/news/150610/wst1506100001-n1.html

 5月19日。ブラジル大統領府は、ルセフ*3大統領と李*4首相が会談し、インフラ整備やエネルギー投資など35項目もに及ぶ経済協力で合意したと発表した。
(中略)
 なかでも目を引いたのが、南米大陸を突っ切る鉄道建設での協力だ。ブラジル・リオデジャネイロの大西洋岸から、内陸部を通ってアンデス山脈を抜け、ペルーの太平洋岸まで敷設される鉄路の総延長は約5300キロに及ぶとされる。
(中略)
 李首相はブラジル訪問に続いて、ペルーにも足を伸ばし、ウマラ大統領と会談。やはり南米横断鉄道の実現に向け連携することで合意し、今後、ブラジルとともに3カ国で本格的な調査研究に乗り出す。
(中略)
 李首相はさらにコロンビアとチリも訪問。コロンビアとはインフラ整備で協力することや、チリとは南米初の人民元の決済銀行の設立に向けて連携することなどで一致した。
(中略)
 鉄道建設をはじめ巨額の支援表明でルセフ大統領を喜ばせた李首相だが、さらにあっと驚く“手土産”も用意していた。
(中略)
 (注:深刻な経営危機で)ルセフ政権を窮地に追い込んだ、ブラジルの国営石油会社ペトロブラスに、なんと李首相が資金提供を表明したのだ。中国の国家開発銀行などが計50億ドルを融資する。
(中略)
 ルセフ氏は「ブラジルからアジアへの道を開く」と、上機嫌で李氏にリップサービスした。
 中国は昨年も、習近平*5国家主席中南米を歴訪。事実上のデフォルト(債務不履行)に陥ったアルゼンチンに対して、鉄道整備などの巨額融資を表明した。やはり経済不安に陥っているベネズエラに対しても、今年1月に北京を訪れたマドゥロ*6大統領に対し、中国が200億ドル規模の投資を表明したと伝えられた。

 まあ、「米国の裏庭」と言われる南米に影響力を及ぼせれば、「米国への牽制ができる」し、「支援の結果、経済交流が進めば」、最終的には中国の金儲けにもつながるわけです。今金を出しても、後で充分元が取れると中国は判断してるのでしょう。


スー・チー氏、中国へ出発
http://www.sankei.com/world/news/150610/wor1506100019-n1.html
ミャンマースー・チー氏が一転訪中、総選挙にらみ決断
http://www.sankei.com/world/news/150610/wor1506100045-n1.html

 スー・チー氏は2010年、軍事政権による自宅軟禁から解放されて以降、欧米や日本などの民主主義国家を中心に訪問し、ミャンマー民主化の完全実現を訴え続けた。訪問先では軍事政権を支援してきた中国を厳しく批判することが多く、中国企業ミャンマーで進めるダム建設事業などに反対したこともあった。また、中国側から何度も訪中要請を受けたが、これまで先送りにしていた。
 しかし、今秋に予定される総選挙でNLDの優勢が伝えられると、スー・チー氏は中国批判を控えるようになっている。ミャンマーに対し最も大きな影響力を持つ中国と対立すれば、経済界の支持が得られないと判断したとみられる。今回の訪中では、中国との関係改善を内外にアピールする狙いがありそうだ。

 いい悪いは別としてアウン・サン・スー・チーが「現実主義者」であることを示すエピソードでしょう。
 政権奪取に備えて中国とのパイプづくりにいそしむわけです。
 一方の中国も「スーチーの政権奪取」に備えて「スーチーの訪中」を受け入れるわけです。
 中国もスーチーに必要以上に肩入れして「ミャンマー現政権」とガチバトルする気もないでしょうが「今まで冷たい態度だったスーチーが自分から訪問したいと言ってる」上に「政権奪取の可能性が高い」んじゃ「ウエルカム」つうことになるんでしょう。

 中国当局に弾圧されている国内の民主化・人権活動家も、スー・チー氏の訪中は大きな意義があるとして注目しているようだ。
(中略)
 中国側の指導者と会談する際に、(注:ノーベル平和賞受賞者の)劉氏の釈放を求めるなど中国の人権問題への言及を期待する声が北京の活動家の間で高まっている。

 いやー普通に考えてそういうことには触れないでしょうね。つうか彼女にそう言うことを期待するの酷でしょ。彼女以上の権力握ってる面子(各国政府の首脳)だってその辺り曖昧なわけですから。

【追記】

http://j.people.com.cn/n/2015/0612/c94474-8905996.html
■人民日報『習近平総書記がアウン・サン・スー・チー氏と会談』
 習近平中共中央総書記(国家主席)は11日、アウン・サン・スー・チー氏率いるミャンマー国民民主連盟代表団と人民大会堂で会談した。
(中略)
 アウン・サン・スー・チー氏は「ミャンマー国民民主連盟は中国との友好を重視している。中国共産党の指導により中国が多大な発展の成果を挙げたことに敬服している。今回の訪問を通じて両党関係を深化し、両国民間の友好関係の前向きな発展を促したい」と述べた。

 まあ予想の範囲内ですがスーチーは中国を悪し様に非難するようなことはしなかったようです。


■港で待ちます…クルーズ船へ“出張販売”中国客の「爆買い」狙う
http://www.sankei.com/west/news/150610/wst1506100010-n1.html

 京阪電気鉄道が今月から大阪港に寄港する中国発着のクルーズ客船への“出張販売”に乗り出すことが9日、分かった。
(中略)
 「爆買い」と表現される中国人客の旺盛な買い物需要の取り込みを狙う。

 産経がどんなに中国を罵倒してもこうなるわけです。残念でしたね(苦笑)。


■【産経抄】外交小国イギリス 6月10日
http://www.sankei.com/column/news/150610/clm1506100004-n1.html

 英国はなぜ、中国の呼びかけに応じて、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加を決めたのか。国際政治学者の細谷雄一*7慶応大教授は、先日の読売新聞紙上で説明するなか、チェンバレンに触れていた。

 産経が今日もいつものAIIB罵倒、中国罵倒ですが、いつもながら本当に常軌を逸しています。
 要するに産経が紹介する細谷某は「英国のAIIB参加」を「チェンバレンの対独宥和外交」呼ばわりしてるんでしょう(産経もそのような内容だと紹介してますし)。でなきゃAIIB問題でチェンバレンなんか持ち出す理由はない。関係ないですから。
 そんな細谷と言い、細谷コラムを載せる読売と言い、細谷コラムを好意的に紹介する産経といい正気じゃないですね。
 じゃあ、AIIBとは「ナチの対外侵略」と似たようなもんなのか。英国以外の参加表明国(ドイツ、フランス、イタリアなど)も「ナチに荷担してるのも同然」なのか。中国はナチも同然なのか。
 ここまでAIIBと中国を罵倒する細谷、読売、産経は「参加反対」なんでしょうが、もし米国や日本が参加を決断したらどう言い訳するのか。
 しかし「当初ヒトラー相手に宥和外交」「AIIB参加」と言う国は英国の他に「フランス」があるし、「ヒトラーの元同盟国でAIIB参加国というイタリア」「ヒトラーの主たる活動場所でAIIB参加国というドイツ」と言う国もあるのですがここまで英国「だけ」に悪口雑言て、よほど「最初のAIIB参加言い出しっぺが英国」て事にむかついてるんでしょうね(苦笑)。

1937年に英国の財務相から首相となったチェンバレン*8は、イーデン*9外相の反対を押し切って、ナチス・ドイツに対する宥和(ゆうわ)政策を進めた。軍備増強にともなう財政負担を恐れたからだ。

というのが細谷の主張だそうですがぶっちゃけ間違ってると思いますね。最大の問題は「ドイツとガチンコで勝てるかどうか」「勝てたとしてそれで発生する物的、人的被害に英国人が経済的、精神的に耐えられるかどうか」「ドイツの行為を阻止することにメリットがあるかどうか」ですよねえ。他にも「ドイツをソ連へのかませ犬として使いたい」というのもあったか。いずれにせよ「軍費負担オンリー」の話じゃないでしょう。まあ、「軍費負担を恐れて」という「カネの話」に細谷がしたがるのは「AIIB」という「カネの問題」にスムーズにつなげるためでしょうけど。
 「金にこだわってヒトラーに酷い目にあわされた過ちを英国はまたAIIB問題で犯すのか」とでも言いたいんでしょう。要するに参加すんなと言いたい。

英国では今、スコットランド独立やEUからの離脱を求める声が高まるなど、政治的な混乱が続いている。もはや「健全な外交を行うことは難しい」と、細谷さんは指摘していた。

 やれやれですね。細谷がAIIBに反対なのはもちろん彼の自由です。
 英国が「スコットランド独立論」「EU離脱*10」で揺れてるのも事実でしょう。
 でもそこから「英国政治が混乱してるからAIIB参加という不健全外交がされた」と言える神経は常軌を逸しています。じゃあフランスやドイツ、イタリアなど他の参加国も常軌を逸してるのか。国内混乱などによる「不健全外交」なのか。
 この細谷の専門が「イギリス近現代外交史」つうんだから「口あんぐり」ですね。

安倍晋三首相が存在感を示したのも、世界の秩序を維持するために、日本の役割がこれまで以上に大きくなっている表れであろう。

産経のいつもの安倍礼賛です。「どこが存在感を示してるんだ」と心底呆れます。

【追記】
細谷雄一ブログ『なぜイギリスはAIIBに参加するのか』
http://blog.livedoor.jp/hosoyayuichi/archives/1898406.html
 産経の記事とはちょっと微妙に違ってて「キャメロン首相がEU脱退論者だから→EU脱退による経済への悪影響という危惧を払拭するためAIIB参加論」だそうです。
 もう何というか「膏薬と理屈はどこにでもつく」の典型じゃないですかね。
 じゃあ「EU脱退論のキャメロンじゃなくて、残留論の労働党が当時、政権与党ならAIIBには加入しなかった」のか。そんなことないでしょう。この間、幸か不幸か総選挙で労働党は敗北したわけですが、じゃあ「労働党が勝利してれば」AIIB加入論は白紙になったのか。これまたそんなことないでしょう。
 基本的には「AIIBは経済的に美味しそうだから参加したい」て話であって。世界中の国がAIIBに参加してるのに細谷が「中国嫌い」なのか、「キャメロン嫌い」なのか、何故か「英国キャメロン政権のAIIB参加は不正常だ」と強弁するからこういう屁理屈が始まるわけです。
 大体、「EU脱退の衝撃」が「AIIBなど対中国貿易、対アジア貿易」で全てチャラになると主張するほどキャメロンも能天気じゃないでしょう。そこは「EU脱退してもEU加盟国との友好関係は続く、経済的ダメージは小さい」「大体英国って昔はEUに入ってなかったし」とか何とか言うんじゃないですかね。
 もう細谷には「英国研究者名乗るな」て言いたいですね。まあ、細谷は「現在進行形のことを言うときだけ政治的利害まみれで変な事を言う」のであって「過去の研究は意外とまとも」なのかもしれませんが。
 しかしこんな変なブログでも賛同ブクマつける人がいるんだから心底呆れます。例のid:Mukkeさんもどうも賛同してるらしい(毒)

*1:あくまでも「福岡の医師」とやらの一方的主張ですので「問題などそもそもない」と言うことも充分あり得ます

*2:著作権の問題と慰安婦の違法性と勿論関係などかけらもないのですが。

*3:鉱山・エネルギー大臣、大統領首席補佐官などを経て大統領

*4:河南省長・党委員会書記、遼寧省党委員会書記、副首相などを経て首相

*5:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て現在、国家主席、党総書記、国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席

*6:国会議長、外相、副大統領などを経て大統領

*7:著書『戦後国際秩序とイギリス外交:戦後ヨーロッパの形成・1945〜51年』(2001年、創文社)、『外交による平和:アンソニー・イーデンと20世紀の国際政治』(2005年、有斐閣)、『大英帝国の外交官』(2005年、筑摩書房)、『倫理的な戦争:トニー・ブレアの栄光と挫折』(2009年、慶應義塾大学出版会)など。個人サイト(http://club.pep.ne.jp/~y.hosoya/hosoya.htm、ただし2006年で更新がストップしている)、個人ブログ(http://blog.livedoor.jp/hosoyayuichi/、現在も更新中)

*8:保健相、財務相などを経て首相

*9:外相、陸軍相などを経て首相

*10:ただこういう離脱論は英国以外でもありますけど