今日の産経ニュース(6/15分)(追記・訂正あり)

■安倍首相、日中軍事衝突「全く想定し得ない」 香港のテレビに
http://www.sankei.com/politics/news/150615/plt1506150015-n1.html
 「当初はウヨ支持層に媚びて」、集団的自衛権が「尖閣対応や南シナ海の領土紛争対応であるかのように放言し、中国との軍事的激突も辞さないかのように吹いていた」安倍ですが、さすがに最近では「そんな事いつまでも言ってたら日中関係がやべえ」「日中関係がやばくなると景気がやべえ、そして財界の反発招くかも」「つうかむしろ安保法制が『中国とガチンコの戦争なんかしたくない(国民世論)』つうことでかえって通過しなくなるかも」と考えが変わって来たのか、「日中激突なんて考えてない」んだそうです。
 「お前ダイヤモンド構想とか中国封じ込めとか尖閣防衛とか過去にさんざん吹いてたくせに何へたれてるんだよ」と正直呆れますが香港のテレビ局相手に「もちろん今回の安保法制は中国対応です」「尖閣を、そして南シナ海の安全を守らないといけない」とかバカ言われても困ります*1ので、まあ、良かったとは思います。
 しかし正直産経やウヨ連中は「安倍の野郎、最後の最後にへたれやがった」と内心では怒り心頭でしょう。


■【野口裕之の軍事情勢】中国の代弁者に堕ちたシンガポール
http://www.sankei.com/premium/news/150615/prm1506150007-n1.html
 産経的には「世界中の国が中国を敵視してる」設定にしたいのでしょうがそうは問屋が卸さないわけです。で「産経ほどには中国を敵視しないシンガポール」を「中国の手先」認定ですから呆れます。

 大東亜戦争(1941〜45年)時に華人の抗日拠点と化したシンガポールが先祖返りし、中国と軍事連携するのなら、わが国の輸入原油の9割が通航するマラッカ海峡への影響がゼロとはいえまい。

 すさまじい妄想に言葉もないですね。日本のタンカーを通さないようにマラッカ海峡封鎖なんてことを中国がやるとか、それにシンガポールが協力するとか産経・野口は何考えてるんでしょうか(呆)。

「過去の過ちを認め、日本国民は右翼の学者・政治家の非常識な歴史歪曲をはっきりと拒否すべきだ」(リー・シェンロン*2首相)
(中略)
 シェンロン氏は靖国神社を首相として参拝した小泉純一郎氏(73)に対し「日本が占領した国に悪い記憶を思い起こさせる、戦犯をあがめる対象にすべきではない」と、既に説教を垂れていた。父のリー・クアンユー*3初代首相(李光耀/1923〜2015年)も他の多くのアジア指導者*4とは違い、大日本帝國による植民地解放の側面を評価しなかった。

 少なくともこのリー・シェンロン首相発言には何の問題もないでしょう。中国に媚びてるという話ではないし、「産経も認めてるように」こんな発言はリー・クアンユー首相(シェンロン氏の父)の時代にも出ていました。

 クアンユー氏が2008年に披露した歪んだ中国観も、経済発展には政治的安定が必要だとして、国民の政治参加を激しく制限する開発独裁国の指導者を地で行った。
「一部国家指導者は中国の人権・チベット問題を理由に、北京五輪開会式をボイコットすると圧力をかけるが全く根拠がない/西側のチベット観はロマンチックな理想郷だが、中国にとっては封建社会・後進地域。中国はチベット支配後、身分制度農奴を廃止し、病院・学校や道路・鉄道・空港を造り生活水準を向上させてきた」

「経済発展のためには人権など後回しだ」というのは「韓国・朴チョンヒ」「台湾・蒋介石」「フィリピン・マルコス」「インドネシアスハルト」など世界中にごろごろいたのですが「中国寄りだ」というただそれだけの理由で「シンガポールリー・クアンユー」だけ「独裁者だ」と悪口雑言の産経・野口です。本当にデタラメですね。
 なお「昔のチベットは貧乏だったし農奴制なんてやってる封建国家だった、理想郷じゃない(リー)」と言う指摘それ自体は「中国統治の是非」に関係なく全く事実だと思いますよ。ダライ愛好家はその事実を認めたくないようですが。

 シェンロン氏の場合、首相就任直前の04年、私的に台湾を訪れた際「重大な結果を招く」と警告した中国に恐れおののき翌月、台湾独立を支持しない旨を強調した“前科”が有る。

 台湾独立なんか支持する国が世界にどれだけあるんですかね。

・14年。70人規模ながら(注:シンガポール軍は)陸軍歩兵部隊を中国軍南京軍区に2回派遣し、山岳戦に関する実動・指揮所演習などを行ったのである。
・09・10両年、中国・広州で両軍は対テロ治安維持合同訓練を実施

 やっとようやく「軍事情勢的な事」が出てきました。
 まあ、どういう経緯、目的で「シンガポールと中国が合同軍事演習しているのか」知りませんが、産経・野口がつべこべ言う事じゃないでしょう(苦笑)。まさかとは思いますが野口は「シンガポールは中国の先兵として台湾に攻め込むつもりだ、いや尖閣に攻め込むつもりだ」とか妄想してるんでしょうか。

*1:別に日本のテレビ局や欧米のテレビ局でも事情は変わりませんが「香港のテレビ局」なんてメイン視聴者は中国人なんだから放言したらいっそう問題です。しかしフェニックステレビと言えば「何故AIIBに入らないのですか」と聞かれた麻生が記者会見で「中国の犬がやかましい」的な侮辱的態度をとって問題になったことがありましたね。

*2:リー・クアンユーの長男。貿易・工業相、副首相(財務相兼務)などを経て2004年より首相。

*3:シンガポール自治州首相(1959〜1965年)を経て独立国家シンガポール首相(1965〜1990年)。首相退任後も上級相(1990〜2004年)、内閣顧問(2004〜2011年)を歴任

*4:少なくともベトナムホーチミンベトナム労働党主席、ベトナム国家主席)は「大日本帝國による植民地解放」なんて評価はしてないでしょう。他の東南アジア首脳だって日本ともめたくないからあまり日本批判しないだけでしょう。