今日の産経ニュース(6/26分)(追記・訂正あり)

■【安保法制】足を引っ張る安倍応援団 身内からも抗議の声 肩落とす木原氏ら
http://www.sankei.com/politics/news/150626/plt1506260045-n1.html
 「沖縄の地元紙2紙をたたきつぶしたい」「沖縄の島が中国に奪われれば沖縄県民も目覚めるんじゃないか」など、「安倍応援団が吐いた暴言」は酷いもんですが、こんな発言は過去にも彼らはいてますし、産経も似たり寄ったりの記事を毎度載せてるんですけどね。応援団メンバーも「加藤勝信官房副長官内閣人事局局長兼務)や萩生田光一自民党総裁特別補佐」て完全に安倍の身内ですし。別に勝手連的な存在でも何でもない。
 てっきり「産経は擁護するんだろう」と思いきや、「足を引っ張る」だそうです。
 「安保法制が通らないかも、改憲は無理かも」「維新が距離を置くかも」「安倍支持率が落ちるかも(まだ40%後半から50%前半と高止まりしてるとは言え、既に70%あった一時期に比べればかなり落ちてます)」「沖縄の反発が怖い」ということで彼ら応援団を叩くことに決めたようです(これは安倍政権もそのようですが)。
 ただし、本心から批判してる訳ではないので安倍自民も産経も「彼らの発言は問題だが沖縄にも問題がある」と言い出すなどして、いずれ本音が出るんじゃないですかね。

【追記】
産経新聞『自民、木原青年局長更迭へ 百田氏招いた「勉強会」代表』
http://www.sankei.com/west/news/150627/wst1506270036-n1.html
 青年局長などたいしたポストでないでしょうし、明らかなトカゲのしっぽ切りですが、さすがに自民党も百田の発言は沖縄侮辱発言で弁解の余地はないと思っているようです。


沖縄タイムス『百田氏発言:「歴史認識ゼロ」沖縄関係国会議員』
https://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=121672
 興味深いのは「赤嶺政賢氏(共産*1)」「照屋寛徳氏(社民*2)」ら野党議員が百田らを批判するのは当然として自民の沖縄選出議員すら「事情がよく分からないので現時点ではノーコメント」などと逃げることはあってもさすがに百田らを擁護なんかしないと言う事です。


■米人権報告書、加藤前支局長問題に言及「韓国、報道の自由を制限」
http://www.sankei.com/world/news/150626/wor1506260006-n1.html

 (注:米国国務省作成の人権報告書の)「反ユダヤ主義」の項目では、産経新聞が昨年11月26日付の東海・北陸版に掲載した(注:反ユダヤ主義書籍の)全面広告をめぐり、ユダヤ系団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」(本部・米ロサンゼルス)の抗議を受けて読者とユダヤコミュニティーに謝罪したことが取り上げられた。

 記事タイトルは韓国への悪口で、記事本文のメインも韓国への悪口ですが、さすがの産経もあれだけの不祥事について記事本文でスルーするわけにはいかなかったようです。
 なお、
朝日新聞『日本は「セクハラ横行」 米国務省、人権報告書で指摘』
http://www.asahi.com/articles/ASH6V2BZ7H6VUHBI007.html
日本経済新聞『日本の「マタハラ」に言及 米国務省が人権報告書』
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM26H0V_W5A620C1EAF000/
ということで他紙は、米国国務省報告書の日本批判も紹介していますが産経はもちろんそう言う事は見事にスルーします。
 これが「中国や韓国の報告書」なら「ふざけんな」と悪口雑言でしょうが、「スネ夫体質」産経は「国際社会のジャイアンアメリカ相手には何もいい返せないようです。ただし「その通りですね、改めます」とも言えないのでスルーすると。


■中国が勢力拡大の南シナ海への関与、「あまり手を貸す地域でない」と慎重な考え示す 福田元首相講演詳報
http://www.sankei.com/politics/news/150625/plt1506250048-n1.html
 「南シナ海問題で当事者以外で口出すべき国、口出せる国があるとしたら米国だけじゃないの?」「下手に日本が口出して話がまとまるどころか、ぐちゃぐちゃになると中国はもちろんフィリピンやベトナムにも恨まれる」「それなりの覚悟と計画がないなら手を出すべきじゃない」という福田氏(元首相、群馬県日中友好協会最高顧問)らしい現実主義発言です。

 日本の場合、(中略)(注:中国、韓国と言った)日本から一番近い国々とどうもうまくいっていない。こういう状況になってしまっていることについて、政治家はもちろん、外交にたずさわる方々*3も大いに責任を感じてほしい。
 同時に、国民もそういう国々とよい関係をつくることを考えなければいけない。そういう世論が形成されていかないといけない。民主主義では政治家は世論に引っ張られてしまう。国民同士の理解を深めることが必要だろう。
(中略)
 日本が(他国に)脅威を与えた時期もある。そういう経験をよく伝えなくてはいけない。今でも歴史問題とか、考え方にギャップがある。ギャップを埋める努力をしなければいけない。
(中略)
 ギャップを埋めるには交流しかないのではないか。中国から人がたくさん来ている。これは大変いいことだ。経済にも恩恵をもたらしてくれる。今、中国から日本に来ているのは、比較的裕福な人。田舎の人たちは来ていない。いろんな地域の人たちがまんべんなく来てくれるようにならないと、本当の国民理解は進まないだろうと思う。

 「元自民党総裁」「元清和会所属」福田氏の立場では「がんがん安倍批判するわけにもいかない」でしょうし、まあこれが限界でしょうか。このレベルですら今の自民党じゃ言えないようですから、まあ、「良識ある、勇気ある発言」ではあるでしょう。

 中国は非常に経済成長が早くて、今や日本のGDPの2・2倍以上といわれている。経済が台頭するにつれて軍事費が増えている。だからけしからんとはいえない。GDPが増えれば、自動的に増えちゃう。そのことだけで中国を非難することは当たらない。
 問題は、中国が他の国に脅威を与えることをしてはいけないということだ。特に南シナ海南シナ海は私どもとしては、あまり手を貸すような地域ではない。遠くのほうで見ている。安倍晋三首相のように国際社会で「そういうことはよくない」と言うぐらいだ。本格的な交渉ができるのは米国だけだろう。
 これだけ国際社会を騒がせてしまった現状について中国自身もおそらく、びっくりしているかどうかは知らないが、例えば習近平国家主席は「これはちょっと様子が違うな」と思っているのではないか。
 中国がもう少し大人のやり方をしてくれれば、脅威に感じない。

 福田氏らしいそれなりに考えた発言だと思います。
 先ず
1)「GDPが増えてるんだから軍事費増大はある程度仕方ないと思いますよ、欧米だって日本だって確かそうだし」として中国の軍事費増大それ自体をどうこう言う気はないと中国にアピール
2)「でも南シナ海の問題はフィリピンやベトナムの反発招いてるしやはり中国のやり方は問題だと思うんです」として中国べったりではないのだと言う事を中国やフィリピン、ベトナムにアピール
3)「ただ南シナ海の件では『仲良く話し合ったらどうですか。今のままじゃまずいですよ』というのが日本の限界、米国と違ってそれ以上どうこうする気ない」として自衛隊が安保法制を根拠に南シナ海に来るんじゃないかという中国の危惧に反論(まあ、安倍はともかく福田氏は実際に南シナ海自衛隊を送る気はないでしょうが。彼が想定してるのはISとか、中東でしょう)
ということで「中国と必要以上にもめないが、中国べったりだと思われる危険性も排除する」ようにつとめてるわけです。

9・11(米中枢同時テロ)の後も、日本は何をしてくれるかとずいぶん言われた。インド洋で油を補給することは大変評価された。年間に20億〜30億しかかからない。安い貢献だったが、米国には評価してもらった。

 この後、「だから、安保法制が必要なんだ」という福田氏です。
 俺はその考えに賛同しませんがある意味福田氏は正直です。別に安保法制は「日本の国防と関係ない」。
 「アメリカに評価してもらうことが大事なんだ」という話の訳です。
 これに対して批判派は「アメリカとの友好関係のためと言えば何でも許されるのか、それはおかしい」「(憲法学者が問題にする)立憲主義とか、(安保法制に反対する)中国との友好関係とか他のことはどうでもいいのか」と批判するわけです。

*1:衆院議員、党沖縄県委員長

*2:衆院議員、社民党国会対策委員長

*3:外務官僚のことか?。