今日の産経ニュース(6/30分)(追記・訂正あり)

■IHI、中国で農機事業の合弁設立
http://www.sankei.com/economy/news/150701/ecn1507010037-n1.html
■京セラが中国江西省に機械工具の新工場
http://www.sankei.com/economy/news/150630/ecn1506300030-n1.html
 「いつもの話ではありますが」、産経のようなウヨがどんなに中国を敵視しようがそんなことは日本の企業には全く関係ないわけです。


■【経済インサイド】追加緩和に踏み切れない日銀…「真相」は政策委メンバーの“反旗”*1!?
http://www.sankei.com/premium/news/150630/prm1506300001-n1.html
 そりゃ安易には追加緩和には踏み切れないでしょう。もういい加減かなり緩和してるわけでこれ以上緩和したら歯止めがきかなくなる恐れがある。そもそもアベノミクスにおいて「第一の矢・金融緩和」は一時的なカンフル剤に過ぎないという建前だったわけです。後で本格的経済対策(いわゆる第三の矢)を打つと。
 ところがそのカンフル剤以外にろくな手がないという皮肉な状態に今なってるわけです。

 日銀は追加緩和で国債の買い入れ額を年50兆円から80兆円に増やしたが、政策委員9人(総裁、副総裁2人、審議委員6人)のうち賛成5人、反対4人の1票差でかろうじて可決された。

 「安倍が選んだはずの面子」でこれですからね。おそらく「総裁、副総裁2人は賛成」でしょうから「審議委員6人のうち2人しか賛成しなかった(4人が反対)」というとんでもない状況にあるわけです。産経は「審議委員連中はふざけんな!」と言う主旨でこの記事を書いたのでしょうが、いずれにせよ「安倍の苦境」を暴くことになっています。この記事に限りませんが産経にはこういう「むしろ逆効果じゃねえの?」て記事は時々あります。
 と言って安倍も「俺のやることに反対するような奴は首を飛ばす」というわけにもいかないでしょうね。経済問題は「憲法問題で御用学者の百地章西修を呼んでくる」ようなわけにもいかないでしょう。つうか日銀審議委員の首を4人も飛ばしたらそれだけで大問題でしょう。

 追加緩和に反対した木内登英*2審議委員は3月の記者会見で、「効果と副作用を比較すれば、副作用の方が効果を上回る」と昨年10月の追加緩和を厳しく批判した。
(中略)
 木内氏は4月の金融政策決定会合以降、緩和縮小を提案している。国債買い入れ額を現在の80兆円から45兆円に減らす内容で、追加緩和前の購入額(50兆円)をさらに5兆円下回る。反対多数で否決されたが、25年4月に大規模金融緩和がスタートしてから、「出口戦略」が議論の俎上にのるのは初めて。

 木内氏の主張の是非*3はともかく、いい加減「出口戦略」を考えた方がいいんじゃないですかね。経済素人の俺ですが、野放図に国債を購入し続けていいとはとても思えません。
 なお、木内氏の主張の是非は素人の俺には分かりませんが「自分らが参考人に呼んできたはずの長谷部早大教授に悪口雑言する」ような無茶苦茶きわまりない「あの安倍政権相手」に「ここまで言う」ということはある種の「硬骨派」ではあるのでしょう。
 「木内氏の主張が仮に通った」として今後、何か問題が起こったら安倍政権は「木内が追加緩和に反対するからだ」と責任転嫁しかねない事は目に見えてるわけでそれでも「苦言を呈する」わけですから。最悪「首が飛ぶこと」も覚悟してるんじゃないか。これって「長谷部教授(保守派だがあの法案までは支持しない)」と同じで「木内氏は広い意味での金融緩和派だったが黒田総裁の言う事なら何でもOKのイエスマンじゃなかった」という誤算なんでしょうか。


■【正論】安保法制論議に揺らぎ見せるな 東洋学園大学教授・櫻田淳
http://www.sankei.com/column/news/150630/clm1506300001-n1.html

実際、筆者が政治学徒ではなく憲法学者であれば、多分、彼らと同様に憲法学上の多数学説としての「違憲」見解を披露するのであろうと想像する。

 「でも俺は政治学徒だから安倍政権を支持する」んだそうです。全く無茶苦茶な話です。
 「違憲でも必要だからやって何が悪い、そう言う現実主義が政治学徒だ」てそれ法治国家とは言えないでしょうよ。まあ、「安倍政権はこんな馬鹿な事は言えないから」、合憲だと強弁するわけです。
 合憲だという安倍政権の強弁も酷いですが「違憲だと認めながら」必要だからやると居直る櫻田も酷いですね。


■維新・松井氏「初鹿氏*4は処分すべきだ」
http://www.sankei.com/politics/news/150629/plt1506290054-n1.html
 どういう理由で処分するんだかさっぱりわかりません。維新は一応建前では今も「あの法案に反対」のはずですが(もちろん安倍に橋下が露骨にすり寄ってることを見るにどう見ても反対ではないでしょうが)。
 であるなら集会に参加することに何ら問題ないでしょう。だからこそ初鹿議員も集会に参加したわけです。
 「都構想で対立していた共産の志位氏が参加していた」なんてことが理由なら「今後維新は都構想問題で対立した政党(民主、社民、大阪の自公など)とはどんな理由、どんな形でアレ一切つきあえない」ということになる。で、そんなことはできるわけもないし実際してないでしょう。
 それとも「共産とはいかなる形でもつきあうな」という反共主義なのか。だとしたら馬鹿げた話ですが「そもそも維新の党是が反共」ならまだしも、そうでないのに処分理由に何故できるのか、て話です。
 部外者には何が何だか分かりませんが結局
1)安倍に媚びる橋下が「安倍さんに嫌われる!」と逆ギレ
2)安倍から橋下に圧力があって橋下が屈服
3)橋下は反共主義なのでどんな形でアレ共産とつきあうなど許せないと逆ギレ
4)実は単に初鹿議員と橋下の折り合いが悪く、今回の件は単なる口実。とにかく初鹿議員を処分したかった(それにしたってあまりにも無理筋ですが)
のどれかといったくだらない話ではないのか。
 まあ、こんなふざけた話、まともな人間なら呆れるしかないでしょうが維新支持者はまた違うんでしょうか。
 初鹿議員がどう動くか分かりませんが「可能ならば民主党辺りに逃げ込みたい」と思ってるでしょうね(安保法案反対集会に参加する議員を自公が受け入れるわけないし、維新に入るような議員は社民、共産に入る気はないでしょう。選挙のことを考えれば民主でしょう。)。こんなふざけた話はありませんから。維新の議員も多くは内心では「何でこんなことで処分論が出る?」「もうウチの党は橋下、松井のお気に入りしか安心して党にいられんがな。いつ因縁つけられるか分かったもんじゃない」と戦々恐々でしょう。


■【九州から原発が消えてよいのか】第10部(1)「原子力、恐ろしいけれど文明を進歩」/永井隆博士 病床から平和利用訴え
http://www.sankei.com/politics/news/150630/plt1506300005-n1.html
 「今さら永井隆(1951年死去)なんか持ち出して何か意味があると思ってるの?」ですよねえ。
 永井の時代には「スリーマイル事故(1979年)」「チェルノブイリ事故(1986年)」といった原発の負の側面はまだ「素人にはよく分かっていなかった」時代です。「原子力の素人」永井が「原爆と原発は違うんです」「原発は優れた発電方法」と言う主張を鵜呑みにしたとして「だからなんだ?」と言う話です。まあ、仮に永井が今も生きていて「原発支持」でも「だからなんだ?」て話ですが。
 別に「神様、仏様、永井様」じゃないわけです。


■民主議員「書いた記者を外せ!」 政権担当時にも“報道圧力”
http://www.sankei.com/politics/news/150630/plt1506300004-n1.html
 「だからなんだ?」て話ですよね。そんなのはせいぜい「民主党には自民批判する資格がない」程度の話でしかない。
 百田の「潰す」発言が正しい事には全くならないし、「被害者」である沖縄2紙や民主党以外の政府批判者(例:ジャーナリストや民主党以外の野党)には関係ない話です。大体「民主党だって」と言い出してる時点で「正攻法では百田発言は正当化出来ない」と産経は自白してるのも同然です。

 当時、私は政治部の「与党キャップ」という立場で永田町にいた。民主党が政権の座に就き、1年ちょっとたった時期だ。
 ある日、民主党の某議員から議員会館の自室に来るよう言われた。こうした場合は大抵、記事への抗議だ。重い足取りで部屋に向かったことを覚えている。
 以下、密室での話なのでA議員と記す*5。案の定、A議員には、その日の政治面の記事が「事実と異なる」と訴えられた。詳しく話を聞くと、確かに取材が甘かったことは否めない。私は素直に謝罪した。「訂正文の掲載かな」と覚悟していたところ、A議員は意外なことを言い出した。
 「書いた記者を外せ」

 まあ「外せ」というのは越権行為かと思いますが「取材が甘かった*6」、つまり誤報だったことは産経も認めてるわけです。
 その誤報のレベルがどんなものなのか分かりませんが「その場で謝罪した」「A議員からの謝罪記事の要求を覚悟した」というんだから「相当酷かった」んじゃないか。
 でそれに怒ったA議員は「あんな奴は外せ!」と言ったと。
 今回の百田発言とは大分内容が違います。
 別に沖縄の新聞は百田に対して誤報記事を書いた訳じゃない。単に「百田が沖縄の新聞の政治的傾向をネトウヨとして嫌ってる」だけの話です。
 そして「産経の取材を否定する気はないがあんなダメ記者は話にならん、別の奴にしろ!」ろいうのと「沖縄の新聞を潰す」というのではそのレベルが大分違いますよね。
 A議員は百田のように「産経を潰す」と言ったわけではない。
 つうか、産経曰く「その要求には応じられません」で済んだそうですし、「それで済んだ」こともあって当時は産経は「言論弾圧だ!」なんて騒がなかったわけです。
 その「外せ」発言の場には「与党キャップ氏とA議員」しかいなかったわけですから、与党キャップ氏が騒がない限り、誰もそんな事実は分かりません。

民主党はその後も、前原誠司*7政調会長(当時)のことを「言うだけ番長」と書いたら、記者会見から本紙記者を排除した。
松本龍復興担当相(同)が被災地でテレビカメラが回っているにもかかわらず、「今の最後の言葉はオフレコです。いいですか? 皆さん。書いたらもうその社は終わりだから」と報道陣を恫喝(どうかつ)したこともあった。

 でそう言う前原氏や松本氏の態度は当時批判されたと思うんですけどね。前原氏の場合は民主党内からも「アレはやり過ぎだ」と言う批判が出て結局産経は記者会見に出れたわけです。
 つうか「言うだけ番長」なんて表現がまともだと思ってるんですかね、産経は。別に「そう言う表現だから排除していい」とは言いませんが、「沖縄の新聞の安倍政権批判」とは大分レベルが違う。

別の記者は、菅直人首相(同)の記者会見で挙手しても挙手しても無視され、ついに質問の機会を与えられなかった。

 阿比留のことでしょう。でその程度の事が「言論弾圧」なんですかね。そして安倍政権は「嫌な質問をする記者」でもどんどん指名してるのか?。おそらくそんなこともないでしょう。

民主党には最近、記事以外の私的な発信*8についても、記者を「名誉毀損(きそん)だ」と刑事告訴した議員がいる。

 産経にはやれやれですね。名誉毀損かどうかは判断を保留しますが「本当に名誉毀損」なら訴えられても仕方ないでしょう。そして現時点では「判決が出てない」ので議員の主張が正しいか間違ってるかどちらなのかは分かりません(産経はまるで間違ってるかのような決めつけですが)。もし仮に「記者が有罪になったら」産経はこの文章についてどう評価するんでしょうか。
 まあ、「辻元氏に名誉毀損で訴えられた阿比留が敗訴しても出世させるようなトンデモ新聞=産経」ですので聞くだけ野暮ですが。
 いずれにせよその告訴と百田発言と何の関係があるのか。

私は、4年半前の民主党の「おごりっぷり」は、今の政権の比ではなかったと思っているのだが

 いやいや今の自民政権の方がずっとおごっていると思いますが。そう思わないのは産経が「自民党御用新聞だから」に過ぎません。
 そして「民主党政権の方が酷かったかどうか」なんか何度も言いますが、「百田発言の是非」と全然関係ありません。

*1:「反旗」も何も「審議委員は政府の部下ではない」ので賛成する義務はどこにもないですが。大体「安倍政権誕生時に金融緩和に賛成するか」と「今も金融緩和に賛成するか」はまた意味が違うでしょう。いい加減出口戦略を考えるべきでしょう。

*2:野村證券金融経済研究所経済調査部長・チーフエコノミスト

*3:ただ「彼は一応エコノミスト」ではあるので普通に考えれば「それなりの根拠はある」のでしょう。

*4:民主党みどりの風未来の党を経て現在、維新所属。

*5:意味不明ですね。何で「密室での話」だとA議員て表記になるのか?。いつもの産経ならA議員の言い分が完全な言いがかりだと思うなら実名出して糞味噌でしょうに。ぶっちゃけ、「あまりにも酷い誤報」で「それなら怒ったA議員が『あんなろくでもない記者は外せ!』というのもある意味仕方ねえんじゃねえの?」と思われるのが嫌でごまかしてるだけじゃないのか?。あるいは「A議員が産経に近いウヨ議員で実はあまり攻撃したくない」とか。

*6:甘いというレベルではなく産経では飛ばしの疑いすらありますが

*7:鳩山内閣国交相菅内閣外相、野田内閣国家戦略担当相などを歴任

*8:ブログやツイッターか?