新刊紹介:「前衛」8月号

「前衛」8月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。興味のある内容だけ簡単に触れます。
http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/

特集「被爆70年 核兵器廃絶への転換を」
■『「核兵器のない世界」へ実効性求める世界の流れ:「核抑止力」論固執勢力を追いつめる世論と運動』(川田忠明*1
■「一刻も早い廃絶を 私たちはあきらめない:日本被団協・田中煕巳事務局長に聞く」
■リポート『山梨:地域ぐるみ、団体ぐるみで「アピール署名」』(池田誠)
■リポート『東京:核も戦争もだめ! 平和の新婦人*2、いま出番!』(佐久間千絵)
(内容要約)
 4〜5月に行われたNPT会合の報告と「会合の結果」を受けての「8月の原水協集会」への意気込みの表明です。


参考
赤旗
■主張『「NPT会議」閉幕、流れは押しとどめられない』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-05-24/2015052402_01_1.html
■主張『被爆70年・世界大会、反核平和の世論を総結集して』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-07-06/2015070601_05_1.html
■『全面解決へ各党に要請、ノーモア・ヒバクシャ訴訟 日本被団協など集会』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-06-19/2015061905_01_1.html
■『8月の原水爆禁止世界大会、俳優 宝田明さんあいさつ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-06-25/2015062501_02_1.html
■法学館憲法研究所『被爆者はすみやかな核兵器廃絶を望む』(田中煕巳さん)
http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20100802.html
東京新聞・埼玉版『語り継ぐ(下)長崎原爆 目の前の惨状 感情湧かず(田中煕巳さん)』
http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/20150703/CK2015070302000164.html

特集「憲法違反の戦争法案は廃案しかない」
■『「戦争法案は違憲」の声を広く大きく』(小沢隆*3
■『国会論戦がうきぼりにした違憲性とその危険』(白髭寿一)
(内容要約)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
■『存立危機「概念に無理」、戦争法案で参考人衆院安保特 柳沢*4元副長官補が批判』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-07-02/2015070201_01_1.html
■『戦闘機給油 武力行使と一体、本村議員追及に外相、答弁不能
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-07-02/2015070201_02_1.html
■『宮本氏質問 戦闘現場での捜索救助活動、武力行使そのもの』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-07-09/2015070902_03_1.html
■『「純然たる軍事作戦」、穀田氏追及 イラク「行動史」全容判明、衆院安保特』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-07-11/2015071101_02_1.html
■『陸自資料は語る、イラク派兵「戦場」の実態:危険性の記述 すべて「黒塗り」開示』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-07-11/2015071103_01_0.html


■『戦後70年と安倍政権(中):強権的強圧的な政治手法と独善・我執の政治姿勢の同居』(小松公生*5
(内容要約)
 メディアへの恫喝や強行採決など安倍の独裁的手法への批判。なお時期的な関係で「百田暴言問題」は取り上げられていないがアレも「安倍自民の恫喝体質」を物語るエピソードではある。

参考
赤旗
■『首相がメディアに圧力』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-02/2014120202_05_1.html
■『2015 焦点・論点:安倍政権の圧力―問われるメディア』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-04-08/2015040805_01_0.html
■『自民、「停波」の脅し、川崎氏 テレビ局聴取後に』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-04-19/2015041902_01_1.html
■『自民会合で言論弾圧大合唱:議員“広告減らせ” 百田氏「沖縄2紙つぶせ」』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-06-27/2015062701_01_1.html
■主張『報道への逆恨み、この暴言は見過ごしにできぬ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-06-27/2015062701_05_1.html
■『表現の自由ないがしろ、沖縄・翁長知事 百田暴言を批判』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-07-02/2015070204_02_1.html
■『言論弾圧に社長「緊急声明」で抗議した山形新聞の見識』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-07-02/2015070204_03_1.html


■『日本経済を長期停滞にみちびくアベノミクス』(山家悠紀夫*6
(内容要約)
 既に何度か、前衛その他でアベノミクス批判を行っているエコノミスト・山家氏によるアベノミクス批判最新版。
 Q&A方式で書いてみる(あくまでも俺の理解による。「私」は文脈上、もちろん山家氏のことだがあくまでも「俺の理解する山家主張」である)。
Q1)安倍政権の量的緩和をどう見ますか?。
A1)
・日銀はアベノミクスを開始した2013年4月時点では国内総生産成長率を2.9%と見ていました。しかし実際の2013年度成長率は2.1%でした。2014年4月は消費税8%増税もあって1.4%と成長率見込みを引き下げましたが、実際の2014年度成長率はマイナス0.9%でした。予測は全く大外れの訳です。
 物価上昇率も2%予測だったのに実際には0.8%です。予測を立ててそれに向かって努力し成果を上げるという意味では全く失敗しているわけです(私個人は成長率はともかく物価上昇は景気に関係ないと思っていますが)。
・私のアベノミクス理解では
1)金利を下げる
2)金利が低くなったので資本投資のための貸し出しが増える
3)好景気
という話を安倍政権はしているのだと思います。しかし実際には貸し出しは増えていません。そもそも貸し出しが増えないのは「金利が高いから借り手が借りたがらない」のではなく「設備投資した場合、過剰設備になる危険性があるから借り手が借りたがらない」、つまり消費需要がないから投資がないのであって、その場合金利を下げても貸し出しは増えません。
 では金利引き下げと量的緩和をやめればいいのか。私個人は「いつまでも景気回復の効果がない政策はやめるべき」と思います。しかし、実は「景気回復」と言う点では効果がないのですが「株価高と円安」と言う意味では効果があります(株価高と円安それ自体は景気回復を意味しないことを指摘しておきます)。株価が一気に下がったり、円が一気に上がったりした場合、経済に与えるダメージははかりしれません。
 したがってたとえるならば「今のママ闘っても勝てないので撤退戦をすべき」だが、「下手な撤退戦をするとダメージはでかくなる」わけで、「うまい撤退戦を考えないと行けない」。ですがその用意は今のところ安倍政権にはないようで困ります。
Q2)国内総生産GDP)の動向についてどう考えますか?
A2)実は意外に思う方もいるでしょうがGDP成長率は民主党政権の頃の方が安倍政権よりも良くて、安倍政権も時が経つにつれて成長率は下がっているんですね。
 民主党政権時の2012年成長率は1.8%で、安倍政権になってからの2013年は1.6%、2014年度は0.0%です。これでどうして「アベノミクスで景気が良くなっている」と言えるのか、話は全く逆の訳です。労働者の収入も増えるどころか減っていることが統計で分かります。
 ただ一方で企業は空前の大もうけをしている。
 これは
1)円安差益による輸出代金の増
 たとえば1ドル100円が、1ドル200円になれば海外のドルを日本に持ってくるだけで利益は2倍になるわけです
2)株価高
によるもので国内消費が増えたわけでも何でもないわけです。「企業の儲け=景気」と見れば景気回復でしょう。でも「国内消費」「GDP」「労働者収入」で見れば景気は回復していない。私は「企業が大もうけしているから消費や労働者収入が減っても景気回復だ」というのは間違っていると思います。
Q3)景気回復には何が必要だと思いますか?
A3)これは既に何度も指摘していることですが「国内需要の増加」が必要だと思います。その為には消費税増税や労働法制規制緩和などのような「国民負担増」「生活不安増」で国民の消費意欲をそぐようではいけません。やるべきことは「国民負担を減らし、生活不安をなくす」日本型社民主義、日本型福祉主義でしょう。その意味では英米ではなく仏独や北欧などから学ぶべき事が多いと思います。


■『ファシズムの敗北と戦後平和秩序の形成・戦後70年の東アジアから:チェコモラビア共産党2015年国際会議での発言』(森原公敏*7
(内容要約)
チェコモラビア共産党2015年国際会議での日本共産党代表としての森脇氏の報告紹介、及びモラビア共産党大会報告。なお、この大会には日本共産党と、主催者のモラビア共産党以外では
【ヨーロッパ(旧ソ連・東欧を除く)】
フランス共産党、ドイツ左翼党、ドイツ共産党、イタリア共産主義者党、ギリシャ共産党ポルトガル共産党キプロス勤労人民進歩党、ベルギー労働者党
旧ソ連・東欧】
スロバキア共産党ハンガリー労働者党、ローザ・ルクセンブルグ*8財団(ポーランド)、ロシア共産党ウクライナ共産党ベラルーシ共産党
【アジア】
ベトナム共産党、中国大使館、北朝鮮大使館、シリア共産党ウィサール・ファルハ・バクダーシュ*9派、シリア大使館、パレスチナ大使館
中南米
・ブラジル共産党キューバ共産党ベネズエラ大使館
が参加した。
モラビア共産党は森原氏曰く
「2013年下院総選挙で33議席(総議席200議席)を獲得し第三政党(なお第一党はチェコ社会民主党(50議席)、第二党は保守系のANO2011(47議席))。ヴォイチェフ委員長は下院副議長を務める。国内13州中9州の州政府で社民党との連立政権を樹立。北部の2州では州議会第一党」というそれなりの政治力を保有する党だとのこと。
 森原氏の報告では「ファシズムの敗北(第二次大戦の枢軸国敗北)後も日本ではファシズム的潮流が残存し続けついに安倍政権が誕生するまでに至ったが、一方で国内には批判勢力も存在するし、もちろん国外では安倍極右路線は通用する路線ではない。中韓など隣国との友好関係構築が必要でありそのため日本共産党も微力ながら奮闘している」旨報告されたとのこと。
モラビア党大会では「ウクライナ問題」が取り上げられたがその取り上げ方は、日本や欧米の主流とは少し異なっていたとのこと。
 「ウクライナではネオナチ的極右勢力が台頭し、彼らは反ロシアなら何でもOKという米国、西欧勢力の支援を受けヤヌコビッチ政権をクーデター的手法で打倒した」「そうした無法集団を今も米国、西欧勢力は支持し、ウクライナ・ロシア間の緊張を高めている」とし、ロシアに比較的好意的で、米国、EUには批判的だったとのこと。
 森原氏は
1)「そうしたウクライナ政府の極右性」を「米欧が黙認している事への批判」には賛同の意を示し
2)またそうした見方には「会議の主催者であるモラビア共産党や参加者である旧ソ連・東欧諸国共産党の米欧への不信を示しており」、またそうした不信はおそらく「共産党限定ではなく、旧ソ連・東欧の国民にも一定程度共有されている見方ではないか」とし共感しながらも
3)「ロシアへの態度があまりにも甘すぎないか」と苦言を呈している。

参考
■AFP『ウクライナ、極右指導者を軍の顧問に 民兵組織の統率を強化』
http://www.afpbb.com/articles/-/3044722
ロシアの声
■『オバマ氏と「ウクライナでのクーデター」』
http://jp.rbth.com/politics/2015/02/04/51911.html
■『オバマ大統領 ウクライナでの国家クーデターへの米当局の関与ついに認める』
http://jp.sputniknews.com/japanese.ruvr.ru/2015_02_03/282671141/


特集「侵略・植民地支配と戦後70年」
■『戦後70年に何を教訓とするのか』(吉田裕*10
(内容要約)
 まず吉田氏は「日本の戦争責任問題」において画期となったのは「1990年代」であるとする。
 もちろんそれ以前から「日中共同声明での一定の反省の表明(1972年)」「宮沢官房長官談話と近隣諸国条項(1982年)」「中曽根首相の靖国参拝取り止め(1985年)」「中曽根首相による藤尾*11文相更迭(1985年)」などがあったことに注意が必要だが。
 「天皇訪中と遺憾の意の表明」(1992年)、河野官房長官談話(1993年)、村山首相談話(1995年)、戦後五十年不戦決議(1995年)、小渕首相と金大中大統領による日韓共同宣言(1998年)と日本による「植民地支配や侵略への一定の反省の意思の表明」は1990年代に集中している。
 これは
1)「冷戦崩壊とそれに伴うアジアの民主化(例:韓国、台湾)により戦争被害者の声を抑え込むことが困難になってきた」
2)「1990年代にはアジア、特に中国、韓国がかなりの政治力、経済力をつけ日本としても無視できなくなってきた」
3)「1990年代に入ると日本企業もグローバル化し、海外に積極的に進出するようになったがそれにあたって『戦争責任問題を処理しておきたい』という財界の声が出てきた」
ことの反映と見られる。
 「ビジネスに支障が出る」という極めて実利的な理由とは言え、そしてさまざまな限界があったとは言え1990年代には政財官界において「一定の反省を示さなければならない」という意思が形成されたことに注目したい。それに対する反動が現在の安倍政権であり、こうした反動が何故生まれたのか、どう克服していくべきかを考えていく必要があろう。
・当面の課題としては「安倍談話」など安倍政権が打出して行くであろう歴史修正主義をどう批判していくかと言うことが問題である。なお、「安倍政権の極右性」は「どう見ても安倍当人に克服の意思が認められない」ため、安倍政権の一日も早い崩壊が急務であろう。第一次安倍政権後に「安倍のような極右ではない」福田が登場したように「安倍が退陣すること」によって事態の一定の改善が期待できる。
 長期的には「日本における加害認識の普及」が課題であろう(もちろん被害認識も大事だが)。そのために政治家、歴史学者、一般市民などそれぞれに何が出来るかが問われている。
 なお、吉田氏は吉田論文「せめぎあう歴史認識」(岩波講座『アジア・太平洋戦争』補巻(近刊予定))も参照して欲しいとしている。


■「植民地支配への反省がなぜ欠落してきたのか」(内海愛子*12
(内容要約)
 内海氏の専門は「朝鮮史」であり、議論はもっぱら「朝鮮植民地支配」を中心にされていることをお断りしておく(日本の植民地としては他に台湾、南樺太パラオなどがある)。
 何故日本において「朝鮮植民地支配の反省が欠落したのか」といえば先ず第一に「東京裁判サンフランシスコ平和条約」といった「多国間の場」で植民地支配問題が問われなかったからです。何故問われなかったのか。欧米は「米国のフィリピン」「英国のインド」「フランスのベトナム」「オランダのインドネシア」など、植民地支配という意味では日本と共犯関係だからです。米国の場合にはそれプラスいわゆる「日本を反共の砦にするための逆コース」があった。蒋介石中国を反共の砦にする計画が挫折して「いわゆる逆コース」になったわけです。
 そして問題は「二国間の場に移った」わけです。「朝鮮植民地支配」について冷戦の中で日朝関係はなおざりにされた。中国への賠償も「蒋介石が正統政府だ」として当初放置プレイだし、同様の理由でホーチミン北ベトナムも放置プレイです。南ベトナムに対してのみ日本は戦後賠償した。
 一方韓国との間では国交正常化がされますがそこでの「植民地問題の解決」は極めて曖昧だった。
 「韓国併合」については「もはや無効」と、いつから無効かは曖昧にされ、韓国への金銭支払いも「独立祝い金」と言う名目で「賠償金」ではなかった。朴チョンヒが「近代化のため、とにかくカネが欲しい」ということで妥協したわけです。その妥協への批判を朴は力で抑え込んできたが「1990年代以降の韓国民主化」によって抑え込めなくなり、批判が噴出したと言う事である。そうしたことを理解しなければ「韓国が因縁をつけてきた」という間違った理解になるのも「ある意味自然」ではあるでしょう。韓国との国交正常化は「植民地支配問題については曖昧に決着させた」ということをまずは理解することが必要である。
 なお、以上書いたこと「経済大国(日本)には経済小国(1990年代以前の韓国)は物がいいにくい」なんてのは何も「日韓関係限定」じゃありません。
 何故東南アジアは中韓ほどには「歴史問題」で日本批判しないのか。いろいろ理由はあるでしょうが理由の一つは「中韓に比べて貧乏だから」です。貧乏だから「中韓と違って」金持ち国家日本を批判しにくい。むしろ「日本資本に経済進出でもしてほしい」わけです。
 何故ベトナムベトナム戦争問題でアメリカをそれほど批判しないのか。いろいろ理由はあるでしょうが理由の一つは「ベトナムは貧乏だから」です。貧乏だから金持ち国家米国を批判しにくい。むしろ「米国資本に経済進出でもしてほしい」わけです。
 何故「ノルウェー首相はノルウェーを訪問した中国首脳にはあっても、ノルウェーを訪問したダライラマには会わないのか」。まあ言うまでもないでしょう。首相もはっきりと「ノルウェーサーモンが中国に売れなくなるから」と言ってる。
 何故「id:Mukkeチベット問題で『ノルウェーに霞を食えとは言えない』とか抜かしてノルウェー首相は批判しないのに、ボーガス(つまり俺)や社民党は『チベットに冷たい』と非難するのか」。まあ「あまり関係ない話」「明らかなMukkeへの嫌み」になってますがこれも「言うまでもないでしょう」。
 「ノルウェーに比べたらちっぽけな存在である弱い(?)ボーガスや社民党には悪口雑言できるが強いノルウェーには物がいいにくい」わけです(毒)。


■『「慰安婦」問題、戦争法案が問う日本の政治』(岡野八代*13
(内容要約)
 慰安婦問題、戦争法案について市民運動に取り組む岡野氏へのインタビュー。内容要約はうまくできないので省略する。


シリーズ「格差と貧困はどうすすんだか」
■「若者と貧困:格差社会の中で絶望的な孤立の中で生きる若者たち」(青砥恭)
(内容要約)
 さいたまユースサポートネット(http://www.saitamayouthnet.org/)代表で『ドキュメント高校中退:いま、貧困がうまれる場所』(2009年、ちくま新書) 、『若者の貧困・居場所・セカンドチャンス』(2015年、太郎次郎社エディタス)と言う著書がある青砥氏による「若者の貧困」及びそれに対する「自らの活動報告」。


■論点
【公的責任放棄、法人に押し付け:社会福祉法改定】(澤田透)
(内容要約)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
■『制度改革で福祉衰退、事業あり方考える 国の狙い批判、国会内集会』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-13/2015021314_02_1.html
■『市場化促進で福祉低下、障全協など国会内で集会』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-05-12/2015051215_01_1.html
■『社会福祉法改悪阻止へ共に、保育など関係者 党国会議員団と懇談』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-06-05/2015060504_03_1.html
■『行政の肩代わり招く、社会福祉法改定案 堀内議員が批判』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-07-10/2015071002_01_1.html
■ようこそ 日本共産党杉戸町議員団へ! 議員団発行の「新杉戸」と 「しんぶん赤旗」の記事を掲載しています『社会福祉法人制度改革の問題点は 貧困対策押し付け 営利企業参入狙う 萩原康一*14さん 「赤旗」2015年2月1日』    
http://blog.goo.ne.jp/sugito-jcp/e/91b6a4dd9b30f5db415ac741d4e12310


■暮らしの焦点
【地域経済が活性化 商店リニューアル助成事業】(山路満)
(内容要約)
 筆者は「全国商工団体連合会(全商連)」事務局員で全商連が全国各地で応援している「行政(地方自治体)の商店リニューアル助成事業」を紹介しています。
 参考にいくつかググって見つけた記事を紹介しておきます。

全商連
■「商売応援 まちなか商店リニューアル助成事業=群馬・高崎」
http://www.zenshoren.or.jp/chiiki/machi/130610-01/130610.html
■「大好評!「商店版リフォーム助成」申請 730件 4億円=群馬・高崎」
http://www.zenshoren.or.jp/chiiki/machi/131028-01/131028.html
■「各地で商店リニューアル助成」
http://www.zenshoren.or.jp/gyoshu/doboku/140317-06/140317.html
 「群馬県高崎市の取組」「富山県入善町と北海道・訓子府町の取組」がそれぞれ好意的に紹介されています。なお「言わなくても分かる気はしますが」一応断っておけば別にこの3つの自治体は「共産首長」というわけでもありません。政治的にはおそらく全部保守系でしょう。
 その辺りは全商連の方も「是々非々の評価」ということですね。


時事通信「インタビュー 富岡賢治*15群馬県高崎市長」
http://www.jiji.com/jc/v2?id=20130620top_interview28_15
 「商店リニューアル助成」限定インタビューではありませんが、助成についても簡単に触れられています。


■市古てるみ日本共産党川崎市会議員(中原区)『「高崎市まちなか商店リニューアル助成事業補助金」について伺ってきました』
http://www.ichiko-terumi.jp/archives/4939
■ハフィントンポスト『【地域発】100万円助成で商店は活性化するか』(一井暁子)
http://www.huffingtonpost.jp/tsunaken/post_5650_b_3939159.html
 高崎市の「商店リニューアル助成事業」の簡単な紹介です。まあ、「いろいろと課題はあるが、基本的には評価できる」とする好意的記事でしょう。「市古市議はともかく」、一井氏についてはその政治的立場が分からない点が「記事評価の上で」少し困る点ではあります。
 市古市議が「保守派である」富岡・高崎市長の取組を「それなりに」評価してることで分かるように「共産党はその辺りそれなりに柔軟なわけ」です。
 ちなみにこの「商店リニューアル助成」では「高崎市」が何故か一番有名らしくググる高崎市ばかりが上位にヒットします。小生の紹介記事が高崎市ばかりなのもそう言うことです。「比較的最初に始めたのか」「助成の額が非常に大きいのか」よくわかりませんがまあ理由があるのでしょう。


■文化の話題
【映画:ダルデンヌ兄弟「サンドラの週末」】(児玉由紀恵)
(内容要約)
 ダルデンヌ兄弟「サンドラの週末」(公式サイト:http://www.bitters.co.jp/sandra/index.html)の紹介。

参考
産経新聞『映画「サンドラの週末」ダルデンヌ兄弟 連帯すれば人は変われる』
http://www.sankei.com/entertainments/news/150522/ent1505220007-n1.html
 産経のこの映画紹介はなかなか「わかりやすく書けてる」と思います。しかし「こういうまともな記事を書く人間が出世できず」阿比留や安藤慶太のようないかれた連中が出世するいかれたトンデモ新聞社が産経です。その結果「こんなふざけた新聞社にいられるか」と福島香織のように出て行ってしまう人間もいるわけです。
 まあ、それはともかく。映画の内容は「労使紛争」であり「産経記事タイトルの『連帯』」とはつまりはそう言う話です。

http://www.sankei.com/entertainments/news/150522/ent1505220007-n1.html
 常に社会的弱者の目線で秀作を生み出しているベルギーのジャン=ピエール・ダルデンヌ(64)とリュック・ダルデンヌ(61)の兄弟監督。23日に公開される最新作「サンドラの週末」では、オスカー女優のマリオン・コティヤールを主演に迎え、労働者の連帯をテーマに希望の物語をつづっている。来日した2人は「人は周りの人々のおかげで変わることができる」と指摘する。(藤井克郎)
 コティヤール演じる主人公のサンドラは、病気休職からの復帰を目前に解雇を言い渡される。彼女の復職か、自分たちのボーナスかの二者択一を迫られた同僚による投票の結果だと知った彼女は、週明けの月曜日に再投票してもらうよう約束を取りつける。週末を費やして、自分に投票するよう同僚たちを一人一人、説得して回ることにするが…。
 物語の出発点は、1990年代末にフランスで起きた事件を基にしている。実際は、1人の解雇に合意したことで同僚がボーナスを手にしたというものだが、「経済危機後の社会で起きている何か新しい出来事を証言していると思った。実際の事件が示していたのは連帯が欠如していたということだが、私たちは逆に、主人公たちがどのように行動すれば連帯が今も可能だということを見せることができるかと考えて、ストーリーを作っていった」と弟のリュックは語る。

「そう言う映画をあの産経が取り上げる」ということが「少しびっくり」です。「たまにですが」産経にもこういうまともな記事が載ります。
なお、小生は「映画に興味も知識もない(特に洋画は)」と言う人間なので

オスカー女優のマリオン・コティヤール

と言われてもこの前衛記事を読むまで知りませんでしたが、

 2007年公開のフランス映画『エディット・ピアフ愛の讃歌』でエディット・ピアフ役を演じ、第33回セザール賞*16主演女優賞や第65回ゴールデングローブ賞主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞。第80回アカデミー賞主演女優賞も受賞し、アカデミー賞の演技部門ではシモーヌ・シニョレ*17に続いて史上2人目、49年振りのフランス人女優の主演賞受賞者、そして、ソフィア・ローレン*18らに続いて史上5人目の外国語映画(英語以外の言語の映画)での受賞俳優となった(ウィキペ「マリオン・コティヤール」参照)。

だそうです。
 さて産経記事の紹介を続けます。

http://www.sankei.com/entertainments/news/150522/ent1505220007-n2.html
 主役は脚本の段階でコティヤールに決めていたが、その他の同僚はその後、1カ月半かけてキャスティング。さらに、2人でロケハンを行い、撮影場所が決まったら実際の俳優を使って2カ月かけてリハーサルを重ね、俳優の動き、カメラの位置などを決める。そこでようやくスタッフが入って撮影を行うため、コティヤールは3カ月半も拘束していたと打ち明ける。
 「彼女の表情のかすかな変化は、リハーサルのおかげというよりも彼女の才能が大きいと思う。ただ、リハーサルをすればするほど、俳優たちはカメラの前で裸になれる」と兄のジャン=ピエールが言えば、リュックも「リハーサルをやると自然な部分が失われるというのは嘘だと思う。リハーサルが必要ないという人が信じられない」と話す。
 カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを2度も受賞*19するなど世界的に評価の高い2人だが、外国で初めて自作を買いつけてくれた日本への感謝は今も忘れない。既に来日は7度目で、いつか日本で撮影したいという希望は持ち続けている。次回作はまたベルギーでの撮影となるが、医者が登場するため、黒澤明監督の「赤ひげ」や「酔いどれ天使」を何度も見直したという。「黒澤監督のレベルに近づくような作品にしたい」と笑顔を見せた。

「リハーサルについての意見」も「黒沢明評価」も嘘は言ってはいないでしょうのが

「リハーサルをすればするほど、俳優たちはカメラの前で裸になれる」
「リハーサルをやると自然な部分が失われるというのは嘘だと思う。リハーサルが必要ないという人が信じられない」

と言う人物が「黒沢云々」というのはやはり「読み手へのサービス」なのでしょう。小生も思わず苦笑しました。
 何故「苦笑」かというと黒沢は

・完璧主義と呼ばれる黒澤は、妥協を許さない厳しい演出で知られる。
 俳優の演技はごく自然に見えるまでリハーサルを何度も何度も行い、徹底的に役になりきらせている(当時の映画界ではリハーサルは重視されなかったが、黒澤はデビュー作からリハーサルを入念に行った)。(ウィキペ「黒澤明」参照)

http://kajipon.sakura.ne.jp/kt/kurosawa.html
・延々と繰り返される演技リハーサル。それだけで数ヶ月に及ぶのもザラ。『乱』で寺尾聰天守閣から夕日を眺める約30秒のシーンで黒澤から「OK」をもらうまで約8ヶ月かかった。また、輶大介は「哀れ、老いたり」のセリフを50回も言わされてようやくOKが出た。

http://www.excite.co.jp/News/society_g/20140508/asahi_20140508_0001.html
林:
 黒澤監督の現場って、やっぱり違ってました?
原田*20
 なにがおもしろかったっていうと、準備にものすごく時間をかけるんです。本番が始まるまで4カ月ぐらいリハーサルをするんですけど、その分、本番では早いんです。午前中に終わったりして。

と言うほど「リハーサルに時間をかける人物」だからです。


【演劇:好評、別役実フェスティバル:宮沢賢治に関わる二つの作品から】(鈴木太郎)
(内容要約)
 別役実フェスティバル(公式サイト:http://www.betsuyaku.com/)の紹介。
 コラム副題に「宮沢賢治に関わる二つの作品から」とあるように宮沢作品を元に別役が書いた戯曲
・「山猫からの手紙:イーハトーボ伝説」*21青年座:原作は「グスコーブドリの伝記」「注文の多い料理店」)
・「ジョバンニの父への旅」(Pカンパニー:原作は「銀河鉄道の夜」)が紹介されている。

参考

別役実(ウィキペ参照)
・劇作家、童話作家、評論家、随筆家。サミュエル・ベケットの影響を受け、日本の不条理演劇を確立した第一人者。
・幻想的で独創的な作風が特徴で、登場人物が「男1」「男2」など、固有の名前を持たないことが多い。舞台には必ずと言っていいほど一本の電信柱、あるいはそれに相当するような柱のようなものが立っている。電信柱は、別役が宮沢賢治の小説「月夜のでんしんばしら」のファンであることに由来すると言われる(これがきっかけで1985年のアニメ『銀河鉄道の夜』の脚本を担当)。
・近年は、劇作家協会の会長として著作権の問題に積極的に意見を述べている。特に注目されるのは、著作権の保護期間を延長しようという風潮が強まっている中、自ら作家でありながらその風潮にあえて反対の立場を取っていることである。その背景には、かつて宮沢賢治の作品をモチーフにしようとした際、宮沢の著作権を承継した者のガードが大変固く、作品の発表が大幅に遅れたという経験が大きい。


■スポーツ最前線「FIFAの根深い利権構造」(和泉民郎)
(内容要約)
 まあ、今後もFIFAの闇はどんどん明らかになるのでしょうが赤旗の記事を紹介しておきます。

赤旗『FIFA幹部ら14人起訴、巨大な利権 改革は急務』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-05-29/2015052901_03_1.html 


■メディア時評
【新聞:戦争法案「廃案しかない」】(阿部裕)
(内容要約)
 朝日、毎日、「地方紙の多く」は、戦争法案批判派で、一方、日経、産経、読売は賛成派であり、特に「産経、読売は極度に右翼的である」という「いつもの話」ではあります。
 なお、地方紙の取組としては神奈川新聞の長期連載企画「時代の正体:安全保障法制考」を筆者は紹介し高く評価しています。

参考
神奈川新聞「時代の正体・安全保障法制考」
■『第114回:重なる戦争指導者の姿』
http://www.kanaloco.jp/article/102128


【テレビ:「戦争法案」審議のもとで】(沢木啓三)
(内容要約)
報道ステーションの「憲法学者アンケート」を優れた取組と評価した上で、引き続きこうした政権批判を行う事を要望している。
・また「NHK番組」は籾井体制下において、政権批判が最近目立って減っていると批判した上で、最近の好番組としてNHKスペシャル沖縄戦全記録」を紹介している。
・TBSが6月24日に「ナイナイのお見合い大作戦!自衛隊の花嫁in沖縄」を放送したことを「安保法制が議論されている最中にあまりにも無神経ではないか、製作放送することを是とするとしても、この時期に製作放送することは最低限すべきではなかった」とTBSを批判している(ただし一方で「戦後70年 千の証言スペシャル 私の街も戦場だった」(http://www.tbs.co.jp/sengo70/)などの好番組があることも指摘はしている)。

参考
■弁護士ドットコム『安保法制「合憲」わずか3人、非難の嵐:「報ステ」が憲法学者151人にアンケート』
http://www.bengo4.com/other/1146/1287/n_3252/
ライプツィヒの夏『沖縄戦の番組を見て、「ペリリュー・沖縄戦記」を再読しようと思った(6月24日発表)』
http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/2b05fa31e3275e5b29bb6a7a29528d3b
■アリの一言『Nスペ「沖縄戦全記録」のもうひとつの視点』
http://blog.goo.ne.jp/satoru-kihara/e/ff3a0a01bc920d87a3d7c93f7b50800e

*1:著書『それぞれの「戦争論」:そこにいた人たち、1937・南京〜2004・イラク』(2004年、唯学書房)、『名作の戦争論』(2008年、新日本出版社

*2:親日本婦人の会」の略称

*3:著書『憲法を学び、活かし、守る:強まる危機に立ち向かう』(2013年、学習の友ブックレット)、『安倍改憲自治体』(2014年、自治体研究社)など

*4:元防衛官僚。著書『亡国の安保政策:安倍政権と「積極的平和主義」の罠』(2014年、岩波書店)、『自分で考える集団的自衛権』(2014年、青灯社)、『亡国の集団的自衛権』(2015年、集英社新書)など

*5:著書『原発にしがみつく人びとの群れ:原発利益共同体の秘密に迫る』(2012年、新日本出版社)、『カジノ狂騒曲:日本に賭博場はいらない』(2014年、共著、新日本出版社)、『政党助成金に群がる政治家たち』(2015年、新日本出版社

*6:著書『「構造改革」という幻想』(2001年、岩波書店)、『「痛み」はもうたくさんだ!―脱「構造改革」宣言』(2007年、かもがわ書店)、『暮らしに思いを馳せる経済学』(2008年、新日本出版社)、『暮らし視点の経済学』(2011年、新日本出版社)、『消費税増税の大ウソ:「財政破綻」論の真実』(共著、2012年、大月書店)、『アベノミクスと暮らしのゆくえ』(2014年、岩波ブックレット) など

*7:著書『NATOはどこへゆくか』(2000年、新日本新書)

*8:ポーランド生まれのドイツの共産主義者。ドイツ革命で活躍するがカール・リプクネヒトら盟友と共に軍部によって虐殺される。著書『経済学入門』(邦訳は1991年、岩波文庫など)、『資本蓄積論(第三編)』(邦訳は2011年、同時代社、2013年、御茶の水書房など)、 『獄中からの手紙』(邦訳は2011年、みすず書房など)など

*9:ググったが残念ながら「ウィサール・ファルハ・バクダーシュ」氏の経歴や他の「シリア共産党なんとか派」については不明

*10:著書『昭和天皇終戦史』(1992年、岩波新書)、『日本の軍隊:兵士たちの近代史』(2002年、岩波新書)、『日本人の戦争観』(2005年、岩波現代文庫)、『兵士たちの戦後史』(2011年、岩波書店)など

*11:月刊文春で「韓国併合正当化発言」を藤尾が行ったことに韓国・全斗煥政権が抗議、中曽根が藤尾を更迭した

*12:著書『朝鮮人BC級戦犯の記録』(1982年、 勁草書房)、『朝鮮人皇軍」兵士たちの戦争』(1991年、岩波ブックレット)、『戦後補償から考える日本とアジア』(2002年、山川出版社)、『スガモプリズン:戦犯たちの平和運動』(2005年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)、『日本軍の捕虜政策』(2005年、青木書店)、『キムはなぜ裁かれたのか:朝鮮人BC級戦犯の軌跡』(2008年、朝日選書)など

*13:著書『法の政治学:法と正義とフェミニズム』(2002年、青土社)、『シティズンシップの政治学:国民・国家主義批判』(2003年、現代書館/増補版、2009年、白澤社)、『フェミニズム政治学』(2012年、みすず書房

*14:著書『検証「社会保障改革」:住民の暮らしと地域の実態から』(共著、2014年、自治体研究社)

*15:元文部官僚。群馬県立女子大学学長を経て高崎市

*16:フランスで最も権威があるとされる映画賞

*17:1958年に「年上の女」でアカデミー主演女優賞を受賞

*18:イタリアの女優。1961年に「ふたりの女」でアカデミー主演女優賞を受賞

*19:1999年の『ロゼッタ』と、2002年の『息子のまなざし

*20:黒沢作品「乱」(1985年)、「夢」(1990年)に出演

*21:著書『山猫からの手紙:別役実戯曲集』(1991年、三一書房)に収録。