■中日新聞『昭和天皇が蒋介石を支持 71年、国連代表権で台湾を後押し』
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2015073102000076.html
面白い記事なので「産経記事ではないですが」ここで紹介しておきます。小生も以前『「天皇による天皇の政治的利用」の紹介』（http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20091225/1260000031）で裕仁の政治的発言をいくつか取り上げましたけど「沖縄メッセージ」「増原防衛庁長官問題」の他にも「裕仁の憲法違反行為（天皇の政治的言動）」があることが新たに発覚しました。しかし裕仁は政治センスないですよね。1971年に「佐藤栄作*1首相に台湾の国連からの追放を阻止するように頼んだ」ってどれほど時代錯誤なんでしょうか？
まあ、「天皇からこう頼まれたんですよ」と米国高官に語って恥じない佐藤も時代錯誤ですが。
蒋介石総統率いる中華民国（台湾）政府が国連の代表権を失う直前の一九七一年六月、佐藤栄作首相が米国のマイヤー駐日大使（共に当時）と会談した際、昭和天皇から「日本政府がしっかりと蒋介石を支持する」よう促されたと伝えていたことが分かった。秘密指定解除された米国務省の外交文書*2で判明した。
（中略）
国連の中国代表権問題を詳しく検証した井上正也*3・成蹊大法学部准教授（日本外交史）（中略）は「蒋介石の行く末を案じた天皇の意向は、台湾擁護にこだわった佐藤の姿勢に少なからず影響を与えたのではないか」と解説する。
いや、あんま影響しなかったんじゃないですかね。天皇って戦後は政治権限ないし。「天皇の意思が政治に影響した」主権者だった戦前（例：田中義一*4内閣崩壊）ならともかく佐藤にガン無視されたら裕仁に打つ手は何もないわけです。まあ、佐藤が重要視したのは米国の意向と「党内の台湾ロビーの意向」でしょうね。まあ佐藤と「佐藤の実兄・岸信介*5」自体が「台湾ロビーのウヨ」ですけど。
「やはり強制にならないことが望ましい」と現天皇がいっても米長が無視してた様にウヨ連中にマジな話、皇室への敬意って多分ないでしょう。
【追記】
■ライプツィヒの夏『昭和天皇というのも、時代錯誤な人だ』
http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/de78e71009695eb9f42ca0ed66f14575
で拙記事をご紹介いただきました。どうもいつもありがとうございます。
■産経新聞『拉致問題「北に具体的な提案」 モンゴル大統領、親書送る』
http://www.sankei.com/world/news/150730/wor1507300020-n1.html
モンゴルのエルベグドルジ*6大統領は２９日、首都ウランバートルで共同通信などと会見し、７月初旬に北朝鮮の金正恩第１書記へ送った親書で、日本人拉致問題の解決に向けた具体的な提案を行ったと明らかにした。
普通に考えれば「安倍政権の了解無しにモンゴル側がこんな事言うわけもない」わけです。
「モンゴルは、日本に相談もなく、勝手に拉致問題で北朝鮮に親書送った上、それを記者発表するな！（安倍政権）」て話になりますからね。
またこの記者会見の後には
■日経『自民・武部氏*7、モンゴル大統領と会談 拉致解決へ協力要請』
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS30H8V_Q5A730C1PP8000/
ということで武部氏がモンゴル訪問しているのも気になるところです。やはり安倍は日朝交渉にシフトし「支持率向上の隠し球」として小泉訪朝のように拉致問題で何か仕掛ける気でいるのか（まあ事情がどうであれ拉致で成果が出れば『その限りにおいて』俺は安倍を評価しますが）。
今後の日朝交渉に注目したいところです。
■産経新聞『拉致問題、安倍首相「糸口放さない」 北朝鮮制裁強化に慎重』
http://www.sankei.com/world/news/150730/wor1507300021-n1.html
安倍晋三首相は３０日の参院特別委員会で、北朝鮮による拉致問題に関し、制裁強化に慎重な姿勢を示した。「やっとつかんだ糸口は放してはならないとの観点から誠実な対応を促す」と述べた。自民党内などでは、北朝鮮から拉致被害者の再調査報告がない現状を受け、制裁強化を求める意見が強まっている。
首相は「調査開始から１年がたった今も、被害者の帰国が実現していないのは誠に遺憾だ」と表明。同時に「北朝鮮から前向きな行動を引き出す上で、何が最も効果的かを検討しつつ、解決に向けて全力で取り組む」と述べた。自民党の塚田一郎氏への答弁。
下でも書きましたが安倍が「少なくとも現時点では」日朝交渉にシフトしてることは明白でしょう。
できれば「日朝交渉促進」と言う意味でも「朝鮮学校差別」などという馬鹿な政策は即刻やめて欲しいもんです。
■朝日新聞『安倍首相、北朝鮮との外相交渉を指示 拉致問題で』
http://www.asahi.com/articles/ASH703FPMH70UTFK005.html
面白い記事なので「産経記事ではないですが」ここで紹介しておきます。
安倍晋三首相は３１日午前に首相官邸であった政府・与野党拉致連絡会であいさつし、「一日も早くすべての拉致被害者の帰国を求めるため、近いうちに岸田（文雄）外相から北朝鮮の（李洙ヨン）外相に直接働きかけを行わせたい」と語った。
（中略）
同席した岸田氏も「首相の新たな指示を受け、国際会議の機会をとらえてできるだけ速やかに直接働きかけを行いたい」と述べた。８月上旬にマレーシアで開かれる東南アジア諸国連合（ASEAN）外相会議には岸田氏が参加する方向で調整しているほか、李氏も出席の意向を議長国に伝えたとの報道が流れた。同会議での接触が念頭にある。
一体どこでどのような形で「李・岸田外相会談」をやるつもりなのか知りませんが随分踏み込んだもんです。
事務方ではなく「外相を担ぎ出した段階で」日朝両国ともに「うかつに撤退できなくなる」んですが、北朝鮮はともかく、安倍政権にその覚悟はあるんでしょうか？
■社福法改正案が衆院通過、今国会成立へ
http://www.sankei.com/life/news/150731/lif1507310033-n1.html
これについては赤旗などは確か「社会福祉法人の経営にかえって支障を作り出す危険性がある」と批判しているので危惧を感じざるを得ませんね。何も「安保法制だけが問題」の訳では全くないわけです。まあ成立したとしても「それで全てが終わり」ではないので「危惧される問題が起きないような今後の対応（小では個々の社会福祉法人の対応、大では再度の法改正など）」が重要でしょう。
■逮捕の２０歳男性自殺、学生が台湾国会に一時侵入 学習指導要領改定に抗議
http://www.sankei.com/world/news/150731/wor1507310011-n1.html
「抗議の意志で死んだ」のか「逮捕されて前科者になったのを苦にして死んだ」のか、それとも「教科書問題とは関係ない理由で死んだ」のか、知りませんが「自殺しないでもいいだろうに」と思いますね。正直「教科書問題で抗議するのはもちろん自由」ですがこういう自殺者を「英雄扱い」して美化するのはやめて欲しいですね。
チベット人焼身自殺の時も言ってる事ですが、「自殺、ダメ、絶対」ですよ。
■民主・岡田氏*8が８月２日から韓国訪問 朴大統領と会談を調整
http://www.sankei.com/politics/news/150731/plt1507310032-n1.html
まあどういう結末になるのか注意深く見たいと思います。「首相の安倍」と会えない、会わない中で「野党第一党党首と会うこと」は「安倍ら自民の反発を買ったり」「民主党政権を待望してるのかと因縁つけられたり」する危険はあるわけですが、「安倍と会えないからこそ、安倍以外の日本政治家（別に岡田氏に限らない）とはできる限りあった方が得策」と言う判断なのでしょう。
■韓国の団体が三菱グループに不買運動「韓国には知らないふり」と批判
http://www.sankei.com/world/news/150731/wor1507310005-n1.html
まあそう批判されても仕方ないでしょうね。三菱グループ企業としては記事の中ではキリンビールとニコンの名前が出ています。
■金大中氏夫人は格安航空会社で訪朝へ 宿泊は首脳級でお迎え
http://www.sankei.com/world/news/150731/wor1507310008-n1.html
これが少しでも南北友好と緊張緩和に結びつけばいいなとは思います。
■【主張】自民「慰安婦」提言 河野氏に質すのが先決だ
http://www.sankei.com/column/news/150731/clm1507310003-n1.html
本当にいつもながら産経はアホです。河野氏を呼んでどうするのか。「河野談話は間違ってると認めよ」とでもいうのか。
先ず第一にそんなことをしたら安倍の建前「河野談話踏襲」と矛盾します。安倍が自民党総裁である以上「参考人招致は自民党のやったことで首相の私は関係ない」なんてわけにいくわけがない。国内外の批判もさらにヒートアップするでしょう（今だって批判されていますが）。
第二に河野氏がそんなことを認めるとも思えない。彼は自民党チンピラウヨ議員の恫喝に屈する程の腰抜けではないでしょう。頭も人並み以上にいいでしょうから、言い負かされることがあるとも思えない。
つうか国会ではないですが
http://www.jcp.or.jp/akahata/web_daily/2015/01/post-40.html
安倍晋三首相が台頭する舞台となったもう一つの議員連盟が、1997年に結成された「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」（略称「教科書議連」）です。日本の侵略戦争と植民地支配を肯定する歴史認識によって、子どもたちの教育を支配しようとつくられました。
自民党の当選５回以下の議員を中心に衆参87人の議員が参加して結成。会長は中川昭一*9議員（2009年死亡）、幹事長は衛藤晟一議員（現首相補佐官）でした。安倍氏はその事務局長に就きます。
「教科書議連」は97年3月〜6月、19人の講師を招き９回の「勉強会」を開き、それをまとめて『歴史教科書への疑問』（展転社）を出版しました。
教科書ネット２１*10（注：事務局長）の俵義文氏*11は「講師の多くは教科書議連メンバーと考えを同じくする人物です。一方、同議連メンバーと意見を異にする講師には激しい詰問・追及をおこないました」とのべます。「慰安婦」問題で旧日本軍の関与と強制性を認めた談話を発表した河野洋平元官房長官も「会」に呼びつけて、「確たる証拠もなく強制性を先方（＝韓国）に求められるままに認めた」などと非難し撤回を迫ったのです。
ということで「自民党ウヨ議員の勉強会」と言う場ですが既に自民ウヨ議員連中は河野氏を呼びつけて「談話を撤回しろ」と恫喝してる訳です。しかし河野氏はそんな恫喝には勿論応じなかった。国会に彼を呼んでも「1997年の恫喝時の河野氏の反論」が繰り返されるだけでしょう（もちろん当時と今とでは「安倍がチンピラウヨ議員から首相に出世」していますし「自民ウヨ議員の勉強会と国会では場所が違います」が、その程度で河野氏が恫喝に屈する程の腰抜けとも思えない）。最近もメディア相手に「河野談話の正当性」をアピールしているわけですし（例えば、■中日新聞『慰安婦問題「なかったのか」河野洋平氏、談話批判に反論』（http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2015073002000072.html））。
「宮沢*12内閣官房長官、村山、小渕、森内閣外相、自民党総裁、衆院議長」を歴任した自民党元幹部をなめてはいけない。
第三に「まああり得ない話」ですが河野氏が「自分は間違ってた」と言おうと何がどうなるわけでもない。河野談話は「彼の私的見解」ではなく宮沢内閣の公式見解である。「宮沢以降」の「細川、羽田*13、村山、橋本*14、小渕*15、森*16、小泉*17、第一次安倍*18、福田*19、麻生*20、鳩山、菅*21、野田*22、第二次・第三次安倍」の歴代内閣が踏襲していますし、「河野談話の立場（慰安婦は違法な犯罪行為）」は学界通説でもある。
「慰安婦は合法で無問題」なんて寝言は世間に通用しない。極端な話、「文部科学省や厚生労働省がエセ科学（例：水伝）、エセ医療（例：ホメオパシー）をトンデモ政治家の圧力に屈して支持しようとも」そんなことは世間に通用しないのと同じ話です（まあ文科省や厚労省にそんな事をされては迷惑ですが）。
「半分冗談」ですが河野氏を国会に呼ぶというなら「別の河野氏」、つまり「JSC理事長の河野一郎氏」でも呼んで例の新国立競技場問題でも問いただしたらどうなのか。
もちろん「全てJSCが悪い」というトカゲのしっぽ切りでは話になりませんので
・下村文科相ら文科政務三役、先日退任した前事務次官やスポーツ局長といった文科省関係者
・文科省の上にある「安倍首相、菅官房長官」といった政府関係者
・安藤忠雄らJSC委員会関係者
・猪瀬前都知事、舛添*23現都知事ら都関係者
・森五輪組織委員会会長ら「五輪組織委員会関係者」「スポーツ界関係者」
など関係者をできる限り呼んで国会の場で追及したらどうなんですかね。自民党から進んでそれをやれば「安倍内閣支持率も多少はアップする」かもしれません。
まあ、逆に「安倍内閣のせいでごたごたになったと改めて分かった」ということで下がるかも知れませんし、「下がることを恐れる自民党」に正直それができるとは思ってませんが。
提言では、慰安婦について「女性の人権と尊厳を著しく傷つけたという点に議論の余地はない」としている。安倍首相も国会などの場で、「筆舌に尽くしがたいつらい思いをされてきた方のことを思い、非常に心が痛む」と繰り返し述べてきた。
だったら河野氏に何で言いがかりつけるのかと言う事です。
結局「日韓関係破壊行為（河野談話撤回）を認めるわけがない」米国が怖いのでしょうが、だったら最初から黙ってればいい。
米国が怖いから、「イヤー、我々も慰安婦の方々が人権侵害されたことは認めますよ」といいながら、ウヨ支持層に媚びたいが為に「河野のせいで日本の名誉が傷ついた」と悪口雑言。ここまで無茶苦茶な話もそうないでしょう。論理性が全くない。
国民世論が怖いから「イヤー、我々もあの金額は高いと思うから新競技場の計画は白紙撤回します」といいながら責任問題を問われるのが嫌で「でも、あの金額になったのは誰も悪くないんですよ、ザハ案にしたことも悪くなかったし、ザハ案を元にしたゼネコンの見積もり*24も悪くなかった」と強弁するくらい無茶苦茶です。
先に行われた国連の女子差別撤廃委員会の準備会合に、「慰安婦は性奴隷ではない」と訴える団体が出席して意見を述べた。「このような異なった意見があることを初めて知った」という委員もいたという。
「始めて知った*25」からといってその委員が「始めて知った主張（ウヨの河野談話否定論）を支持する」とはとても思えないですけどね。
「日本はまともな国だと思ってたがああいうバカもいたのか。まるでホロコーストを否定するドイツのネオナチだ」「慰安婦問題は河野談話で片がついたと思っていたが認識不足だった。あの種のウヨを撲滅するために慰安婦問題で、『日本は今後も河野談話を堅持せよ』とか委員会の意見を何か出した方がいい」という結論にしか、その委員もならないでしょう。
正直「今まで知らなかった」のなら「ずっと知らないでいて欲しかった」「ウヨ団体は余計なコトしやがって」と言う気がしないでもありません。だってウヨ団体のやらかしたことって客観的には国益毀損行為、国辱行為ですからね。
小生も一応「愛国者のつもりの日本人」ですから。
アホの産経は「真実が国連に伝えられて良かった」と喜んでるから始末に負えませんが。
「イスラエルがパレスチナ支配を正当化しよう」と「ロシアがクリミア編入を正当化しよう」と必ずしも国際社会の支持が得られてないこと*26でわかるように「国連でワシの立場を訴えてきました」で支持されれば誰も苦労しません。
「クマラスワミ報告」「マクドガル報告」「米国など各国議会での慰安婦決議」などで分かるように既に国際社会ではもはや「勝負あった」です（そもそも歴史学会において、吉見氏らの研究が支持され「勝負あった」なのですが）。今さら「慰安婦は合法で無問題」なんて寝言が通用するわけもない。
*1:吉田内閣郵政相、建設相、岸内閣蔵相、池田内閣通産相、科学技術庁長官（北海道開発庁長官兼務）などを経て首相
*2:日本政府がこういう事を必死に隠しても米国が暴露してくれるおかげでいろいろとわかるわけです。
*3:著書『日中国交正常化の政治史』（2010年、名古屋大学出版会）
*5:戦前、商工次官、東条内閣商工相など歴任。戦後、自民党幹事長、石橋内閣外相を経て首相
*6:国会副議長、首相を経て大統領
*8:民主党幹事長（鳩山代表時代）、鳩山、菅内閣外相、野田内閣副総理・行政刷新担当相、民主党代表代行（海江田代表時代）などを経て現在民主党代表
*10:公式サイト（http://www.ne.jp/asahi/kyokasho/net21/top_f.htm）
*11:個人サイト（http://www.ne.jp/asahi/tawara/goma/）。著書『ドキュメント「慰安婦」問題と教科書攻撃』（1997年、高文研）、『徹底検証あぶない教科書：「戦争ができる国」をめざす「つくる会」の実態』（2001年、学習の友社）、『「つくる会」分裂と歴史偽造の深層：正念場の歴史教科書問題』（2008年、花伝社）など
*12:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相
*13:竹下内閣農水相、宮沢内閣蔵相、細川内閣副総理・外相を経て首相
*14:大平内閣厚生相、中曽根内閣運輸相、海部内閣蔵相、村山内閣副総理・通産相などを経て首相。首相退任後も森内閣で行革担当相（沖縄開発庁長官兼務）
*16:中曽根内閣文相、宮沢内閣通産相、村山内閣建設相、自民党総務会長（橋本総裁時代）、幹事長（小渕総裁時代）などを経て首相
*17:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相を経て首相
*18:小泉内閣官房副長官、官房長官、自民党幹事長（小泉総裁時代）を経て首相
*20:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長（福田総裁時代）などを経て首相
*24:ザハ氏は「私は悪くない、ゼネコンの見積もりが悪い」と言ってるようですが
