今日の産経ニュース(9/4分)(追記・訂正あり)

■【政治デスクノート安倍内閣の支持率は本当に底を打ったのか? 実は安倍政権を支持しているのは若者たち
http://www.sankei.com/premium/news/150904/prm1509040005-n3.html
 産経が「露骨に安倍支持の安倍御用新聞であること」や「若者による安倍批判運動(例:シールズ)を警戒し、できればその価値を過小評価したがってること」が改めてよく分かる記事ではあります。


■安倍首相、国会開会中の平日に異例の大阪市訪問 橋下氏との友好アピール
http://www.sankei.com/politics/news/150904/plt1509040051-n1.html
 もちろん国会はサボったわけです。この安倍の暴挙には野党は猛抗議、
日経新聞『首相のテレビ出演、参院委員長が不快感 安保法案の審議中』
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS04H5T_U5A900C1PP8000/
ということで自民党麻生派出身の鴻池*1参院委員長すら「首相としていかがなものか」と不快感を表明しています。
 なお、安倍が出演した「ミヤネ屋」はただただ安倍をべた褒めし持ち上げたそうですから「ミヤネ屋及び出演者連中(司会のミヤネなど)」といい 、「ミヤネ屋」を放送する読売テレビと言いまったくどうしようもない「安倍の飼い犬」状態です。


■広島「正論」友の会発足 大阪代表「産経は独裁政権不都合な真実を報道してきた」
http://www.sankei.com/west/news/150904/wst1509040085-n1.html
 もちろん産経の独裁批判とは基本的に「反共主義に基づくソ連東欧や中国、北朝鮮などへの批判」に過ぎず蒋介石台湾総統)や朴チョンヒ、全斗煥(韓国大統領)、マルコス(フィリピン大統領)やスハルトインドネシア大統領)、ピノチェト(チリ大統領)、ムバラク(エジプト大統領)などいった面子は何一つ批判してこなかったことは言うまでもありません。

 北京の天安門広場で3日に行われた軍事パレードについては「(天安門事件で)学生たちを虐殺した場所で行ったことに、怒りを持って報道した」と産経新聞の姿勢をアピール。

 何度も小生も指摘していますが「天安門広場」では死者は出ていません。
これについては
■映画評論家町山智浩アメリカ日記『天安門広場での死者はなかった』
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20040313
■『事実に迫ることの難しさ:ノーベル平和賞劉暁波氏の証言』(高井潔司
http://www.lifev.com/mag/index.php?MENU=%BA%D0%AD%C6%B9%B0%BC%AE%DD%8C%A4%8B%86%8E%BA&DATE=101101&CHCK=ON
を紹介しておきます。
 「植村氏の慰安婦報道を言いがかりをつけてデマ呼ばわりする産経」ですが自らがこのようにデマ常習なんだから話になりません。もちろん「広場以外では死者が出ていること」は「死傷者数の問題や天安門事件評価*2の問題はともかく」、中国政府ですら認めていますが、だからこそ「広場で死者が出た」などというデマを書く必要などどこにもない。
 それとも「広場で死者は出なかったこと」を知らない低能ウスラバカの集まりが産経なんでしょうか。

 北方領土の不法占拠を続けるロシア、日本人を拉致した北朝鮮竹島島根県隠岐の島町)を占拠する韓国、尖閣諸島沖縄県石垣市)を奪おうとしている中国の動きなどは「国家犯罪であり、“歴史捏造(ねつぞう)同盟”だ」と批判した。

 どこが同盟なんでしょうか。単に「ロシアも中国も南北朝鮮も全部反日国家だ」と産経が罵倒してるだけじゃないですか。もちろん罵倒したって何がどうなるわけでもないですが。
 しかしこんなに罵倒するなんてよほど「例の式典」に「安倍が参加しなかった」のに「プーチン、朴クネ両大統領が参加したこと」が気にくわなかったんでしょうか。
 そして尖閣領有権なら台湾も主張してるのですが常日頃台湾を親日国家と言っているが故にそれをないことにする辺りさすがデマ屋の産経です。


■【日本の議論】水っぽいカレー、プリンは箸、洗髪は水…世間の常識は刑務所の非常識 矯正局「そんなにまずくない!」
http://www.sankei.com/affairs/news/150904/afr1509040001-n1.html

「カレーが水っぽい」「プリンには箸」…。全国の刑務所などに収容される6万人以上の受刑者たちの不満の内容が、有識者からなる「刑事施設視察委員会」の活動報告(平成26年度分)で明らかになった。
(中略)
 帯広刑務所では、「プリンやヨーグルトを出すときはスプーンを貸与するよう要望する」という意見があった。スプーンがなければ、食事用の箸で食べるしかない。元矯正局員によると、「箸でグリグリ回した後、カップに口をつけてグッと飲んでいる」という。
(注:要望を受けて)ほとんどの刑務所ですでにスプーンを貸与するようになっている。帯広刑務所でも指摘を受け、昨年末から紙製のスプーンを支給することになった。矯正局幹部は「金属やプラスチックのスプーンは安全面から渡せない。紙製なら予算がつけば大丈夫です」と話す。
 「カレーが水っぽい。かたくり粉を入れるなどして水っぽさをなくすよう配慮されたい」と指摘されたのは、福井刑務所。刑務所側は「かたくり粉を入れて濃度の調整を行っている」と回答した。
(中略)
 入浴など生活に密着した意見が少なくない。府中刑務所では「入浴回数を週2〜3回からもっと増やして」「15分の入浴時間を30分に延長を」という要望も。日本弁護士連合会の刑事拘禁制度改革実現本部本部長代行、海渡雄一*3弁護士は「一般社会では毎日、風呂に入っている。夏などは衛生上も問題だ」と指摘する。
 これに対し、矯正局幹部は「多くの刑務所では、人数に対して風呂場が小さいため増設する必要がある。監視要員や燃料費も増えることになる。作業時間を減らすことができれば別ですが…」と苦しい事情を打ち明ける。なお、入浴については、法務省令で「週2日以上」と決められている。
 また、長野刑務所では、冬場でも理髪後の洗髪に水を使っているという。視察委員会が改善を求めたところ、刑務所側は「予算や施設の管理運営上の支障の程度を踏まえた上で、実施する方向で検討する」と回答。一方で、理容師の資格を取得する社会復帰プログラムがある刑務所ではお湯を使っており、施設により事情が違う。
(中略)
 受刑者の処遇をめぐって、世間では「なぜ犯罪者を厚遇するのか」という声もある。しかし、海渡弁護士は「受刑者は罪を犯し、刑務所で罰を受けている。自由な生活ができないことそれ自体が苦痛なのに生活環境でさらに苦痛を与え、社会を恨むようになれば、社会にプラスなことはない。受刑者が『こんなによくしてくれた』と感じることが、社会復帰や社会貢献につながると確信している」と主張し、視察委員会の活動を評価している。

 産経には珍しくまともな記事です。


■【けいざい独談】省庁の女性幹部登用「定着」は名ばかり 働く女性は「ゆう活」できない
http://www.sankei.com/premium/news/150904/prm1509040001-n1.html

 官邸による女性登用の旗振りが奏功し、中央省庁全体で審議官・部長級以上の女性幹部は2年前の2倍近い30人に達した。菅義偉官房長官は「戦略的な人事配置で(女性幹部登用が)定着を図れた」と自信を示したが、はたして「定着」したと喜べる状況なのだろうか。
(中略)
 安倍首相の言葉を借りると、省庁で女性幹部の登用に注力するのも「何か始めなければ世の中は変わらない」という理屈になる。しかし、省庁から手頃な女性幹部を一本釣りして「定着した」と自画自賛するようでは、政権が変われば元のもくあみとなりかねない線香花火でしかない。

 「女性登用」は安倍政権にとって「安保法制に比べればどうでもいい」し「安倍政権批判もやんわりとした批判」ですが、とはいえ珍しく産経が安倍政権批判です。


■【元朝日新聞・植村隆氏インタビュー詳報(7)】「大学には娘を殺すという攻撃があった」
http://www.sankei.com/premium/news/150904/prm1509040004-n1.html
 阿比留らへの植村氏の怒りが伝わってくる記事タイトルです。

植村
「(注:私、植村が非常勤講師を務める)北星学園大学には娘を殺すという脅迫状が来た。これも阿比留さん書いてくれないかな」
阿比留
「書きますよ」
植村
「つまり、僕、本当に許せないんだ。
(中略)
 まあ、とにかくそういうことで、激しい批判がでている。そこのところを産経新聞がぜひね、私の今、置かれている状況を伝えてほしいんだ」
阿比留
「それは約束しますよ。でも一方でですね、例えば、確か植村さんがロサンゼルスかどこかで講演をされたときの話で、西岡*4さんや櫻井(よしこ)さんがそうした卑劣な動きをあおっているというような趣旨のことをですね…」
(中略)
植村
「『社会の怒りをかき立て、暴力的言辞を惹起しているのは朝日や植村氏の姿勢ではないでしょうか』ということを(櫻井氏が書いている)。やっぱり、それに(注:右翼の植村氏への脅し行為は)影響されているんじゃないかと、私は(注:櫻井氏らに)怒っておるわけなんです。」

 まあ、普通に考えて櫻井や西岡に対して「俺への脅し行為を煽った」と植村氏は怒ってるでしょう。当たり前の話です。もちろん阿比留ら産経記者にも怒ってるし、インタビューで櫻井らを「寄りにも寄って植村氏相手に」擁護して恥じない阿比留の態度には植村氏も「大人だからその場で阿比留を激しく罵倒したりはしない」ものの激しく怒り、かつ呆れてるでしょう。

阿比留
「やはり外国での米国での講演でですね。まあ、歴史修正主義者という言葉を使いまして、代表格のようにして例えば安倍晋三首相のことを挙げられたりもしてましたけども、外国でですね、あまりよく事情を知らない人の前で、そういう文脈で話すといらぬ誤解を招くんじゃないかと思うんですけど」
植村
「そもそも僕が言い出したのではなくて、多分そういうふうにずっと受け止められるような行動が(注:安倍総理には)あったんじゃないですかね。僕が初めて言ったんでしたっけ、阿比留さん、そういうふうな表現を」
阿比留
「初めてかどうか知りませんけど」
植村
「違うと思います。河野*5(洋平官房長官)談話、村山(富市首相)談話についての(注:安倍総理の)ぶれと、この間の動きをみたら、そういう流れの中の人ではないかと。なぜなら、歴史教科書の問題でも中川*6(昭一)さんと一緒に(注:つくる会支持の右翼的言動を)やられてきましたよね。そういう流れを言ったわけで、それは別にどこでも言ってますんで、米国だけではないですよね」
阿比留
「ただ、しかし、あの中でですね、自民党の『日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会*7』のことを触れられてますけども、彼らがやってきたことは、むしろその、いい意味での修正というと変な言葉遣いですけども、歴史を正しているだけじゃないかと思いますね」

 誤解も何も、安倍を「歴史修正主義者と認識し批判してる」のは何も植村氏だけではありません。そしてわざわざ「日本人」植村氏の講演を聴きに来るような「米国人のほとんど」は、最初から「安倍は歴史修正主義者」と認識してるでしょうよ。 
 つうか植村記事に対するインタビューのはずが「安倍擁護」「つくる会擁護」って本当に阿比留はどういう神経してるんでしょうか。

原川
「えー、そうですねえ、いろいろ…。えっと、植村さんご自身は、慰安婦と挺身隊の言葉の混同に戻りますけども、いつ混同に気が付かれたんですか?」

 そんな事聞いてどうするのって話です。いずれにせよ植村氏に「執筆時点では慰安婦を挺身隊と表現する事は他のメディアもやっていた、産経だってやってた」と言われ反論ができず「執筆時についてああだこうだ言う事」は産経もあきらめたようです。

植村
「この産経新聞(平成3年12月7日付の大阪本社版記事)は日本軍に連行されたと言っているんですよ。で、当時、金学順さんは最終的な法廷の陳述でも、そういうふうに言っているんですよ。」

 まあ、そういうことです。植村氏の記事執筆時点では「軍の連行」と書くことは何ら問題はないでしょう。問題があるというのなら阿比留たち産経は「平成3年12月7日付の大阪本社版記事」についてどうするの、謝罪でもするの?て話です。まあ、産経だとこういうことでは本当に大阪本社を切って捨てて「謝罪するかもしれません」けどね。冗談でなくて。


スポーツ庁初代長官に鈴木大地氏 「知名度と若さ、組織運営の実績などを評価した」と関係者
http://www.sankei.com/politics/news/150904/plt1509040005-n1.html
 鈴木大地*8って「自民党参院議員・橋本聖子*9みたいに政界進出を目指してる」生臭い人間なんですかね。


■【正論】安保敵視の「反日リベラリズム」 拓殖大学特任教授・森本敏*10
http://www.sankei.com/column/news/150904/clm1509040001-n1.html
 敵視というか批判されてるのは「安倍政権の安保法案」ですがそれを「安保敵視、反日」と評価できる辺りはさすが産経、さすが森本敏です。まともなメディア、学者なら本心はともかく建前では「安倍批判派の意見に賛同はしませんが、彼らも愛国者であることでは違いはないと思います。」と言うでしょうが産経も森本ももちろんまともではありません。

明確なことは、北朝鮮核兵器と日本にいつでも発射できる数百発の弾道ミサイル保有しているということである。

 やれやれですね。でそのミサイルとやらを北朝鮮は日本に打ち込めるのか。森本や産経すら本心ではそんな事態があるとは思ってないでしょう。
 というか「日本にミサイルを撃ち込む」と言う話は「個別的自衛権の話であって」、集団的自衛権とは関係ありませんが。

*1:小泉内閣防災等担当相、麻生内閣官房副長官など歴任

*2:もちろん中国の立場では「暴徒の鎮圧」でしょう。

*3:著書『刑事司法改革・ヨーロッパと日本:国際人権の視点から』(1992年、岩波ブックレット)、『監獄と人権』(編著、1995年、明石書店)、『共謀罪とは何か』(共著、2006年、岩波ブックレット)、『刑務所改革:刑務所システム再構築への指針』(編著、2007年、日本評論社)、『原発訴訟』(2011年、岩波新書)、『動かすな、原発。:大飯原発地裁判決からの出発』(共著、2014年、岩波ブックレット)、『秘密保護法 何が問題か:検証と批判』(編著、2014年、岩波書店)、『秘密保護法対策マニュアル』(2015年、岩波ブックレット)など

*4:慰安婦問題の著書に『日韓「歴史問題」の真実:「朝鮮人強制連行」「慰安婦問題」を捏造したのは誰か』(2005年、PHP研究所)、『増補新版・よくわかる慰安婦問題』(2012年、草思社文庫)、『朝日新聞「日本人への大罪」:「慰安婦捏造報道」徹底追及』(2014年、悟空出版)

*5:中曽根内閣科学技術庁長官、宮沢内閣官房長官、村山、小渕、森内閣外相、衆院議長を歴任

*6:小泉内閣経産相農水相自民党政務調査会長(第一次安倍総裁時代)、麻生内閣財務相など歴任。

*7:安倍や中川が中心となって活動した右翼議連。

*8:ソウル五輪100メートル背泳ぎ金メダル。日本水泳連盟会長

*9:アルベールビル冬季五輪スピードスケート女子1500m銅メダル。日本スケート連盟会長

*10:麻生内閣防衛大臣補佐官、野田内閣で防衛相を歴任。著書『有事法制』 (共著、2003年、PHP新書)、『米軍再編と在日米軍』(2006年、文春新書)など。