今日の産経ニュース(9/7分)(追記・訂正あり)

■外相、安保理改革で次期国連議長に協力要請
http://www.sankei.com/politics/news/150907/plt1509070056-n1.html
 「日本は安保理常任理事国入りを目指す」と言う言葉を日本政府関係者から聞くたびに「正気なのか」と思います。
 ならば「常任理事国の中国」といたずらにもめることは愚かな事です。別に「中国に媚びろ」とは言いませんが靖国参拝だの尖閣問題だので、不必要にもめたら「常任理事国入りが余計難しくなる」(もめなくても難しいとは思いますが)。常任理事国入りしたいならそれなりの計算が必要なのに計算無しで「なりたい、なりたい」と放言してるようにしか見えません。


■【小林陽太郎*1評伝】米中やアジアとの関係改善に尽力 ゴルフの腕前は財界屈指
http://www.sankei.com/economy/news/150907/ecn1509070041-n1.html

 日中関係が冷えこんでいた平成15年から5年間*2、新日中友好21世紀委員会の日本側座長を務め、民間からの関係改善を訴え、多面的な国際関係の確立にも努めた。

 阿比留のような極右にとって「新日中友好21世紀委員会の日本側座長」など非難の対象でしかないでしょうが産経記者でも経済記者だとある程度まともなようです。


■【安倍政権考】野田聖子*3はなぜこれほど総裁選出馬にこだわるのか?
http://www.sankei.com/politics/news/150907/plt1509070022-n1.html

 総裁選は、自分を「首相と対等な存在」と世間にアピールすることができる最大のチャンスなのだ。「これを逃す手はない」。これが野田氏の本音ではないか。

 「はあ?」ですよね。まあ、産経の指摘は間違ってはいないでしょう。しかし「総裁選に出ることによって自分の政治力をアピールしたい」なんてのは昔からそうでしょう。しかもこの産経の書き方は「野田なんて小物の癖に」という悪意が感じられます。
 まあ、中には「総裁選で4位(1位中曽根康弘*4、2位河本敏夫*5、3位安倍晋太郎*6)と惨敗したあげく、精神的プレッシャーから自殺した中川一郎*7」のような「総裁選に出たことが大失敗だった人」もいますが、まあ、野田の場合、そういうこともないんじゃないですかね。
 まあ、総裁選出馬しても、総裁(首相)になれなかった人は「石井光次郎*8」「藤山愛一郎*9」「渡辺美智雄*10」「加藤紘一*11」「山崎拓*12」などたくさんいますが「自殺した人」て中川くらいですからね(ウィキペ「自民党総裁選挙」を参照しました)。

「野田氏なんかと一緒に(注:総裁選挙の)選挙カーに乗りたくないな…」

 産経が報じる安倍の言葉です。本当かどうか知りません。ただ事実だとして「野田を嫌うのは安倍の勝手」ですが仮にも首相ともあろう者が何ともけつの穴の小さい発言です。
 そしてこんな「総理にふさわしくない情けない発言」をまるで名言であるかのように報じる産経も頭がどうかしています。

ただ、出馬することができても、それが野田氏の政治家人生にとってプラスになるかどうかは疑問が残る。

 「余計なお世話」です。「安倍の威を借る産経」が「安倍さんにたてついて、勝てると思ってるのか。後で野田はどうなるか分かってるんだろうな」と脅すというまあ、「これが全国紙か?」と呆れる文章です。


■【日本の議論】国立大の「文系廃止」の誤解はなぜ広がったのか? 原因は「舌足らず」の通知文 文科省は火消しに躍起だが
http://www.sankei.com/premium/news/150907/prm1509070006-n1.html
 政府・文科省への批判を「批判は誤解です*13」として政府・文科省を擁護する実に「産経らしい」記事です。
 本当に「誤解なのか」は、はなはだ疑問です。何せ発表当初(6月)から「文系廃止論?。それなら賛同できない」という懐疑的な意見表明が各方面からされてたのに

 (注:日本学術会議が)7月23日に発表した声明で、「人文・社会科学の軽視は、大学教育全体を底の浅いものにしかねない」「(人文社会科学系の)研究者としての道を歩もうとする者の意欲をそぎ、ひいてはバランスのとれた学術の発展を阻害することになりかねない」などと批判した。
 影響は国内だけではない。8月4日付のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙アジア版は1面などを使って、日本政府が理系人材を欲しがる産業界の意向を受け、人文・社会科学系の教養教育を犠牲にして国立大学の見直しを進めている−などと報じた。

と「7月、8月と時間がたってかなり批判が広がってから」慌てて「誤解です」と言われても、世論調査結果(法案支持の低さ)に安倍が慌てて「戦争法案というのは誤解で平和法案です」と言うような、うさんくささを感じざるを得ません。
 まあ誤解だとしても「下村文科相が大騒ぎを引き起こしたことは非常に問題」でしょうが。
 下村が文科相になってから「STAP問題」「竹島尖閣の教科書記述で中韓と対立」「世界遺産問題(軍艦島問題)で韓国と対立」「新国立競技場問題」、そして「今回の文系廃止騒動」と変な事ばかり起こる(起こす)ので本当に早く大臣をやめて欲しいですね。
 ただ「誤解であるにせよ、ないにせよ」これで「文系廃止論」などという「一部に存在する暴論」に大きなダメージがあったことは間違いないのでしょう。「文系予算の削減」はともかくしばらくは「文系廃止論」など具体的政治日程に上る事もないでしょう。


■【TBSブルーリボン*14疑惑】民主・有田芳生氏が「武藤議員や在特会*15もつけてる」とTBSを擁護
http://www.sankei.com/politics/news/150907/plt1509070040-n1.html
 有田氏の発言はまったく正論だと思いますね。「在日外国人差別・極右団体」在特会ブルーリボンバッジをつけてデモするのを放置しながら、「TBSのドラマに因縁をつける」。家族会も巣くう会も全く正気ではありません。


■【元朝日新聞・植村隆氏インタビュー詳報(10)】「『歴史戦』やるなら被害者の証言も聞いてほしい」
http://www.sankei.com/premium/news/150907/prm1509070005-n1.html
 ついに「阿比留による植村インタビュー最終回」。
 記事タイトルの

「『歴史戦』やるなら被害者の証言も聞いてほしい」

からは
1)今日も阿比留が惨敗してること
2)その惨敗を隠す気力もないこと
が予想されますが記事を見てみましょう。

阿比留
「今、訴えられているのは、西岡(力・東京基督教大教授)さんの他、櫻井(よしこ)さんと花田(紀凱・月刊『WiLL』編集長)さんですか」
植村
「いやいや花田さんは訴えてないよね。(『WiLL』発行元の)ワックとかはもちろん、訴えていますが、花田さんは訴えてない。」

 阿比留もこんなことで「自分がまともにインタビューの事前準備してないこと」をばらさなくてもいいでしょうに(苦笑)。

植村
産経新聞にぜひお願いしたいのは、さまざまな考えはあるだろうけれども、家族までこんなふうなこと(脅迫・攻撃)を許す社会、これ、右であれ左であれ、リベラルであれ、なんであれ、やっぱり許せないと思うんですよ。だからこそ、(注:米国で歴史学者の声明が出るなど)世界が、こんなに関心もっているわけなんです。
 ぜひこれを食い止めるためにお力を貸してくれないかなあ。だから、本当にそういうことをぜひやめろと。まあ、いろんな社説でもちょこっといわれたり、阿比留さんもちょこっと書かれてるけど、具体的な実態と許せない事実を書いていただいて、バンとね、阿比留さんみたいな影響力のある人が…」
阿比留
「いや、まあ、影響力はともかくとして、それは書きますけども」
植村
「ぜひ、お願いします」

まあ、阿比留がどこまでやるか疑問ですがさすがの阿比留も「何で俺がそんなことしなくちゃ行けない」とは言えないわけです。

植村
「最後にね、ぜひ、訴えたいのは元産経新聞の正論の常連メンバーで(注:安倍の安保法案を違憲だと批判したからか)今、そこから外れている方で、(注:慶應義塾大学名誉教授、弁護士の)小林節さんという方がいらっしゃって、その小林節さんは私の弁護団にも入ってくださっておるんですよ」
阿比留
「司法記者クラブの記者会見で(注:小林さんには)ひどい対応とられましたよ」
植村
「何かそんなことありました。どういうひどい態度でしたっけ?」
阿比留
「ええ、まあ」

 阿比留の「ええ、まあ」には吹き出してしまいました。おそらく「阿比留が無礼な態度を取ったから、小林氏も阿比留に無礼な態度で応対した」つう話なんでしょう。
 だから「小林さんのどこが酷かったんですか?」と聞かれるとしどろもどろで「ええ、まあ」になる。
 うかつな事言うと、産経に載った記事を見て「何デタラメ抜かしてるんだ」と怒った小林氏が「産経や阿比留に対して法的措置を執ること」すらありえますからね。まあ、阿比留が小林氏に裁判で負けようと産経は何の処分もしないでしょうが、さすがの阿比留も「裁判の被告に何度もなりたくない」んでしょう。

植村
「阿比留さんと小林さんも多分、面識はおありなんだと思うんですけど、産経の正論まで書かれていた人まで、これですよ(資料を示す)。
 名誉毀損の裁判、これ多分、(注:小林さんを含む弁護団が)司法記者クラブで配ったと思うんですけれども、(読み上げる)
『最初は挺身隊と慰安婦の混用・誤用の問題で、それは当時の彼国*16における用法と他紙*17の報道にならったもので、特別に批判に値しないものを、いつの間にか、悪意の捏造の話に変更され、それが攻撃の根拠にされた。しかし、重要な点は、その悪意が何ら実証されていないことである。だから、(注:民事賠償責任が発生する名誉毀損という)不法行為である。しかも、その(注:捏造記事を書いたという)架空の事実を根拠として、当人の就職先や未成年の子供にまで攻撃が向けられた。これは(注:「民事の名誉毀損」どころか、刑事犯罪の名誉毀損にも該当する疑いのある)犯罪である。これは、冷戦時代のイデオロギー論争と同質で、相手を敵と認定したら、嘘をついてでも罵倒する手法である』」

 まあ、植村氏が読み上げた記者会見資料で「物事の本質は明白」ですが阿比留もこんな文章は載せたくなかったでしょうねえ。と同時に「小林節って産経文化人でも、ある程度まともなんだ」てことですよね。
 彼は西岡力櫻井よしことは違い、「植村氏攻撃に荷担せず」、それどころか「植村弁護団に参加してる」わけです。

植村
「あの、阿比留さん、尹貞玉さん*18にお会いしたことあります?」
阿比留
「尹貞玉さんはないですね」
植村
「ああ、ぜひね、1回お会いされたらいい」
原川
「それは例えば、植村さん経由で直接アクセスできればいいんですけれども、植村さん経由で産経新聞が取材を希望していると、それはどうですか」
植村
「ああ、尹貞玉さん。それちょっと僕が、産経新聞との間を仲介するのもあれだろうから。それは自分でやられればいいと思うんだけど。」

 「お前ら記者なんだから自分らでアポ取れよ、何で植村氏がお前らのために動く必要があるんだよ」「向こうが『産経の取材なんか受けない』と言って、お前らが植村氏に『何とかなりませんか』と頼むのならまだしも何考えてるんだ?」ですよねえ。しかもこれって「OK」と言ったら「植村と尹貞玉は癒着してる」とかネガキャンの材料にしかねないのが産経ですからね。つうか散々植村氏を誹謗してきた分際で「OK」て言ってもらえると思う神経が狂ってる。

原川
「で、その裁判を支援する義理のお母さん、息子としての、その関係者としての一記者が、ああした記事、原告に関する記事を載せることについて、特に、そのなんでしょう、逡巡とかね」
阿比留
「葛藤とか、そういうのは」
原川
「葛藤というのはなかったんですか」
植村
「まあ、その当時はね、最初から何回も言うけれども、僕は結婚する前からずっとこの問題を取材してきたわけじゃないですか。それはもう、大阪社会部のデスクたちはみんな知っているわけです。手記にも書いてます。
 僕は梁順任さん*19と結婚したんじゃなくて、単にその娘と結婚したわけでね。母親と結婚したわけではないわけですし、それと僕は別に家族のために書いたわけじゃないんですよ。それはもうさっきから言いましたように、朝日新聞がずっとやってきたことと同じ、戦争中に侵略戦争に加担して、朝鮮半島を植民地化したその負の遺産に対してやっぱりきちっと見つめていかなきゃなんないなと思って、取材したんです。」

 「植村は身内褒めした」て汚い印象操作を何回やれば気が済むんだ、ですよねえ。植村氏も正直うんざりしてるでしょう。と同時に産経はその種の汚い印象操作しかやれないことがこれで分かります。
 つうかこの産経の物言いだと

「皇室外交をおやりになる皇太子として、元外務事務次官の娘さんと結婚することに葛藤とか逡巡とかなかったんでしょうか」

てことにもなりますよね。
 たぶんそう聞かれたら皇太子は

「僕は小和田恒さんと結婚したんじゃなくて、単にその娘と結婚したわけでね。父親と結婚したわけではないわけです」
「僕は自分が小和田一族や外務省に有利な発言をしたなんてことは1度もないですよ」

て言うんでしょうけど。
あるいは

「全国紙・産経新聞が特定の教科書会社、それも産経グループの会社「育鵬社」を礼賛することに葛藤とか逡巡とかなかったんでしょうか」

と聞かれたら産経はなんて答えるんでしょうか。産経の「つくる会教科書礼賛」のほうがよほど報道倫理に反するでしょう。

植村
産経新聞朝日新聞が、(慰安婦問題の)共同の取材班をつくったらどうですか。僕もちょっとだけまだ知り合いがいるから。阿比留さんやる気ないか?」
阿比留
「やるんだったらそれ全然構わないですけど。ああ、ただ、まあ、私一人じゃ決められないですけどね」

 まあ阿比留も植村氏もどこまで本気か疑問ですけど、産経が偉そうに「真実を追究したいだけ」と言うならそう言うことは考えてもいいでしょうねえ。やる気ないでしょうけど。
 興味深いのは阿比留が「朝日とそんな共同作業なんかやれるわけない」とは言わずに「俺は反対する理由はないが、産経の上層部が賛同するか分からない」「朝日側が賛同するか分からない」と言い訳してることですね。
 日頃の阿比留の論調なら「反日の朝日とそんなことをしても意味がない」的な物言いで切って捨ててもおかしくないんですが、植村氏相手にそう言う度胸はなかったようです。

*1:経済同友会終身幹事(元代表幹事)。富士ゼロックス元取締役会長

*2:平成15年間から5年間というと小泉内閣(平成15年〜平成18年)、第一次安倍内閣(平成18〜19年)、福田内閣(平成19〜20年)、麻生内閣(平成20年)となります。

*3:小渕内閣郵政相、福田内閣食品安全担当相、麻生内閣消費者問題等担当相、自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)など歴任

*4:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣防衛庁長官、運輸相、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官などを経て首相

*5:佐藤内閣郵政相、三木、福田内閣通産相、鈴木、中曽根内閣経済企画庁長官などを歴任。

*6:三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政務調査会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党総務会長(中曽根総裁時代)、幹事長(竹下総裁時代)を歴任

*7:福田内閣農水相、鈴木内閣科学技術庁長官を歴任

*8:池田内閣通産相、佐藤内閣法相、衆院議長など歴任

*9:岸内閣外相、池田、佐藤内閣経済企画庁長官など歴任

*10:福田内閣厚生相、大平内閣農水相、鈴木内閣蔵相、中曽根内閣通産相自民党政務調査会長(中曽根総裁時代)、宮沢内閣外相を歴任

*11:中曽根内閣防衛庁長官、宮沢内閣官房長官自民党政務調査会長(河野総裁時代)、幹事長(橋本総裁時代)を歴任

*12:宇野内閣防衛庁長官、宮沢内閣建設相、自民党政務調査会長(橋本総裁時代)、幹事長、副総裁(小泉総裁時代)を歴任

*13:ただし「アンチ安倍の言いがかり」などとは言わない点はまあ産経としてはまともでしょう。

*14:何が疑惑なのか、と心底呆れますね。

*15:ブルーリボンつけた悪人」といったら「刀剣友の会」という犯罪者集団のことも忘れたら行けません。

*16:韓国のこと

*17:この他紙には産経も含まれる事を植村氏に指摘された阿比留はしどろもどろでした。

*18:梨花女子大学名誉教授。元・韓国挺身隊問題対策協議会共同代表。著書『平和を希求して:「慰安婦」被害者の尊厳回復へのあゆみ』(2003年、白澤社)

*19:太平洋戦争犠牲者遺族会会長