今日の産経ニュース(9/30分)(追記・訂正あり)

■「日米関係強化に資する」 訪米の自民党稲田朋美政調会長、米政府高官と安保法で意見交換 IMF専務理事とも会談
http://www.sankei.com/world/news/150930/wor1509300050-n1.html
 「外遊によるはく付け」でさらなる出世(幹事長や財務相、外相と言った重要ポスト、そして可能なら総理・総裁?)を狙うらしい稲田とそれを応援する気らしい産経です。
 まあ、欧米諸国も「与党政務調査会長が来れば」当然会うわけですが「安倍のご威光で出世しただけ」としか思ってないでしょう。実際「安倍が退陣すれば」稲田もジエンドでしょう。


■【中国邦人拘束】菅義偉長官、中国での邦人2人の拘束を発表http://www.sankei.com/politics/news/150930/plt1509300021-n1.html
 まあ、「少し陰謀論になってしまいますが」可能性としては
1)日本政府のスパイだが、認めるわけに行かないのでノーコメント
2)情報収集したり、中国と交渉したりしてる最中でうかつなことは言えない。現時点ではノーコメント
のどっちかでしょう。ただいつまでも「詳細はノーコメント」つうわけにもいかないわけで最終的にはどんなコメントが政府から出てどう政府が動くのか*1、どういう決着*2になるのか気になるところです。身柄拘束者の安否*3も当然ながら気になります。


■「能力不足」理由に職員2人を分限免職 大阪市人事評価 橋下氏肝いりの職員基本条例を適用
http://www.sankei.com/west/news/150930/wst1509300044-n1.html
 相手があの「橋下の大阪市」では「まともな分限免職なのか」と言う疑念を感じますが、この記事だけではどうにも評価できませんので「信頼できるメディアによる詳細報道」を望みたいところです。
 なお「勤務不良による分限免職」自体は別に「橋下の大阪市でなくても可能」ですので、これが「正当な分限免職」だとしても「橋下の手柄」つう話じゃないでしょう。


■【京都正論・詳報(下)】「中国は自分が強いと思ったときに戦争を仕掛けてくる」 村井友秀氏講演
http://www.sankei.com/west/news/150930/wst1509300019-n1.html
 (上)もあるんですが「何か変な事言ってるように思うなあ」と思いながらもうまい突っ込みが思い浮かばなかった*4んですが(下)はタイトルからして酷いので突っ込んでみましょう。

集団的自衛権の神髄というのは犠牲を払って他国を助けるという利他主義なもの。

 おいおいですね。「自国の利益を犠牲にして他国を守る利他主義」つうほど「実際の集団的自衛権」はきれいごとではないでしょう。「理念が仮にそうだとしても*5」、現実と混同してはいけない。
 例えば「韓国軍のベトナム戦争参戦」のどこが利他的なんでしょうか。そこには「米軍に協力して経済支援が受けたい」などといった利己的目的が明らかにあるわけです。

 そうではない国は、誰からも感謝されないし、尊敬も受けない。1990年のイラクによるクウェート侵攻時に、日本は130億ドルを拠出した。クウェートは戦後、参戦国などに対して感謝決議を出したが、日本はその対象に入らなかった。

 仮にクウェートがそう評価したとして「何だ」って話です。クウェートなど外国に評価されることが集団的自衛権の目的なのか。そうであるなら

集団的自衛権の神髄というのは犠牲を払って他国を助けるという利他主義なもの

という最初の言明は嘘と言う事になります。集団的自衛権は「他国に恩に着せて利益を獲得する利己的なもの」以外の何物でもない。
 まあ、それはともかく本当に「軍事貢献しないと感謝されない」「非軍事貢献ではダメ」のか。おそらく、そんなこともないでしょうし、軍事貢献は「米国がテロリストのターゲットになってることで分かるように」トラブルの元になりえます。「軍事貢献万々歳」なんてことはないわけです。

 冷戦の中で、議論してきたのは米国の戦争に巻き込まれるジレンマで、米国に見捨てられるジレンマは考えてこなかった。

 米国に見捨てられることが何よりも産経文化人は怖いようですが日本は別に「米国の奴隷」じゃないわけです。必要以上に米国を敵視し、「打倒米国」という反米主義もおかしいですが、産経のように「米国に唯々諾々と従うしかない」「米国批判なんてそれ自体反米だ*6」という奴隷根性も論外でしょう。「米国にノーともイエスとも言える自主自立の日本」であるべきでしょう。
 まあ、実際問題、米国に「日本を見捨てるなんてこと」はできやしないでしょうが。
 「俺を怒らせたらどうなるか分かってるのか」と恫喝し、首脳会談をキャンセルするなどの報復措置するのが関の山でしょう。その恫喝に怯えてきた腰抜けが自称愛国者「産経」です。産経が中国を敵視するのは「中国なんか弱い」と思ってるからで「中国>米国」と認識したらすぐに中国に媚び出すでしょう。全く話にならない「なんちゃって愛国者」です。

 今巻き込まれることを心配しているのは実はアメリカだ。日中関係尖閣諸島の領有権をめぐって緊張している。東シナ海の小さい島のためにアメリカ人の若者の血を流すのは絶対にごめんだ、尖閣諸島にはいきたくないというのがアメリカの本音だ。

 そりゃ当たり前でしょう。まともな人間なら簡単に分かる話です。

一方で、尖閣諸島を守り、中国と戦争しないためには何が大事になるか。中国は自分が強いと思ったときに戦争を仕掛けてくる。

 「強い」の意味が「自衛隊在日米軍なんか中国軍で簡単に排除して尖閣が奪取できる」「尖閣を力で奪い取っても日本も欧米も俺を批判できない、経済制裁とか、国連総会での非難決議とか、外資の中国撤退とかそんなもん何もない」「メリットしかない、デメリットは何もない」と思ったら確かに「戦争するかも知れない」。
 ただそういう事態は「遠い将来はともかく」当面考えられないでしょう。ぶっちゃけ日本も欧米も中国に対してそんなに弱くない。
 一方尖閣も「石油がでるかも知れない」とは言われてますが、まだどれだけの石油があるのかとかはっきりしたことはわからないし、領土問題がある場所で「試掘」ならまだしも、勝手に商業的な石油掘削なんかできるわけないでしょう。
 要するにこの村井説、「中国の政治力、経済力、軍事力を過大評価」し、「欧米、日本の政治力、経済力、軍事力を過小評価」した上でしか成り立たないトンデモ説です。

アメリカが尖閣諸島に出てくることを保証する」というのが尖閣諸島をめぐって戦争がおこらない一番大事な条件。

 ばかばかしい。アメリカはそんな事を望んでないんだから出てくるわけがない。アメリカが何かやるとしたらその前段階の話でしょう。つまり日本でアレ中国でアレ、先に尖閣問題で軍事力行使したらアメリカはそう言う国は非難してそれなりの措置を執るぞと牽制かけると言う事です。
 軍事衝突が起きなければ米国が出て行く必要もない。そして仮に「在日米軍がなくても」中国は尖閣に手なんか出さないでしょう。自衛隊だって世界有数の軍隊*7だし、欧米だって「日本が実効支配してる島を軍事力で奪いとる」なんて無法を容認はしないでしょう。
 「ウクライナ問題でのロシア制裁」「天安門事件後の中国制裁」のような事態が中国に起きかねない。外資、特に日系資本が中国から逃げかねない。そういう危険を冒すほどの利益が尖閣にあるかといったらないでしょう。
 本当は村井氏もそんなことはわかってるでしょう。わかりながら「米国に尖閣を守ってもらうには米国が希望する集団的自衛権を認める必要がある」と強弁するための故意のデマ垂れ流しに過ぎないわけです。
 しかし「米国に尖閣を守ってもらうには米国が希望する集団的自衛権を認める必要がある」て

集団的自衛権の神髄というのは犠牲を払って他国を助けるという利他主義なもの

という最初の言明と明らかに矛盾しますね。「尖閣を守るためには」云々て明らかに利己主義じゃないですか。

「なぜ今、安全保障問題なのか」「今日本は平和だろう」という声もあるが、これほど国際情勢を無視した話はない。

 「はあ?」ですね。今の周辺諸国(ロシア、中国、北朝鮮)が旧ソ連より脅威かといったらそんなことないわけです。「日本の国防」を考える限りは「冷戦時代のソ連健在時」と比べたら今は全く安全です。
 「アメリカ的な世界の警察官路線」とか何らかの形で「自衛隊を日本の外に出す場合」に限って「安保法制が問題になる」わけです。ただ「日本の安全は問題ないが自衛隊を外に出すには安保法制が必要だ」ではウケが悪いと思ってやれ尖閣だ、竹島だ、北方領土だ、拉致だ、と「日本の周辺諸国が総て日本を狙ってる凶悪国家」みたいな与太飛ばすわけです。はっきりいって詐欺でしかない。

朝貢国だった朝鮮半島と沖縄までは影響圏におさめたいと思っていると思う。

 「影響圏」て何なのかて話です。「自国の国益のために国外にも何らかの影響を及ぼしたい」つうのならそれは当然あるでしょう。中国に限らず、どの国だって「自国の国益のために国外にも何らかの影響を及ぼしたい」でしょう。
 さすがに「中国は沖縄や韓国侵略を狙ってる」と言えず「影響圏」なんて曖昧な言葉を使うんでしょうが、全くふざけています。

 中国というのは国名ではなく、真ん中の国という意味。彼らには国の概念がなく、中華文明の光が及ぶところまでが、中国だ。

 中国の伝統的価値観はそうかもしれませんが今時「国の概念がなく、中華文明の光が及ぶところまでが、中国」なんてわけがないでしょう。中国とは今は
1)「中華民国(1949年以前の大陸中国の正統政権、及び蒋介石の台湾亡命(?)後の台湾政権)」または「中華人民共和国(1949年以降の大陸中国の政権)」の略称
2)中華民国(1949年以前)や中華人民共和国の領域に当たる部分の地名
のわけです。
 故意にデマって恥ずかしくないんでしょうか?

 尖閣諸島問題は中国に言わせると、以前は、中国の影響圏でなく、日本が支配するのは当たり前だが、今は中国の影響圏が大きくなり、中国が支配するべきだということになる。

 そんな事は中国は言ってません*8が。「日清戦争まで中国領だったが日清戦争で台湾と一緒に『台湾の附属島しょ』として日本に奪われた」と言っているのですが。いくら講演会の客がそう言うことに無知な連中だからといって良くもデマが飛ばせるもんです。
 またいつものように「台湾の尖閣領有権主張の存在」を無視するのもふざけています。


■9割超の世帯が納付 神奈川県の朝鮮学校補助金問題
http://www.sankei.com/life/news/150929/lif1509290029-n1.html
 こんな調査をして発表する県*9もおかしければ記事にする産経もおかしい。つうか本当にしつこい「朝鮮学校」ストーカーですね、産経は(ただしストーカー目的は「歪んだ愛」ではなく嫌がらせ)。
 学校に対する補助金なんだから寄付は当たり前でしょう。他の学校は直に学校に補助金が行ってるわけです。
 保護者に浪費されても困るし、保護者の方も「学校に出して欲しい」と言われたら断る理由ないでしょう。むしろ「必要な分だけ学校が預かって適宜使用してくれるなら」その方が保護者も便利でしょう。


■山本賞にアトキンソンさんの「新・観光立国論*10
http://www.sankei.com/life/news/150930/lif1509300018-n1.html
 学者の書いた本でなければ無意味とは言いませんが「学術賞を自称してる賞」の受賞者が

小西美術工芸社社長のデービッド・アトキンソン*11さん

とは奇妙な話です。
 前回受賞が石平*12『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』*13(2013年、PHP新書)て時点でお話にならない賞だしこんな賞はまともな人間は誰も相手にしてないでしょうが。


■【北朝鮮マツタケ偽装】「拉致被害者家族訴えの最中、国内業者が制裁破り」 西岡力救う会会長寄稿
http://www.sankei.com/world/news/150930/wor1509300026-n1.html

 告発者は私に「拉致被害者家族が必死の訴えをしているのに、国内の業者が制裁破りをしていては申し訳ない」と連絡してきた。
 私は不正輸入をしている業者の名前を聞いている。

 そこまで自信満々なら是非、捜査当局に証拠付で刑事告発してほしいもんです。「マツタケ問題」での在日企業や総連への捜査をきっかけにした、「巣くう会&産経」のいつものガセネタじゃないのか。大体本当に「在日企業でない一般日本人の制裁破り業者がいる」のなら「正式な告発前」にこんな事言うのは「証拠隠滅の機会」を与えてるようなもんです。


■【正論】(注:日本の)猜疑心かき立てる米中首脳会談 杏林大学名誉教授・田久保忠衛*14
http://www.sankei.com/column/news/150930/clm1509300001-n1.html

 言論、報道の自由を厳重に制限し、反体制派を徹底的に弾圧する一党独裁政権がハッカーの正体を知らないはずはなかろう。オバマ*15大統領は習*16主席を追い詰めていない。

 おいおいです。「中国政府が怪しい」レベルで追い詰めること(つまり中国政府関与の犯行だと認めろという追及)ができるのか。まずできることは「中国国内の犯行だから中国政府に取り締まって欲しい、そして犯人捜査について米国にも情報提供してほしい、米国でも独自捜査してるので」ということでしょう。

 習主席はシアトルとワシントンの公開の場で「新型大国関係」を口にし、オバマ大統領はこれを事実上、黙認した。

「黙認=反対ではない」のは当然ですが「黙認=支持」でもないでしょう。支持不支持を明確にすると「中国の反発」「米国政界の対中国タカ派の反発」などいろいろと問題があると言う理解から「しばらくあいまいにごまかそう」と言う判断でしょう。中国側も「反対を明言しなきゃ当面それでいい」とオバマの態度を黙認したわけです。

 オバマ大統領が尖閣諸島日米安保条約の対象になると明言したから「心配無用」とのんきに構えていいか。

 暢気も何もオバマは「尖閣なんかのために日米安保を発動する気は全くない」でしょう。安倍政権が「尖閣が対象か」としつこいから「日本の支配する地域には安保は及びますよ」と言ったに過ぎません。
 内心は「日本は尖閣で中国相手にドンパチをやる気なのか?」と首をひねってるでしょうし、「日中武力紛争が起きないように」あらゆる手段で日中両国を牽制する気でしょう。


■【主張】日露首脳会談 プーチン*17氏頼みは危うい
http://www.sankei.com/column/news/150930/clm1509300003-n1.html
 「プーチンにあっても北方領土問題はたぶん進展しない、だから会うべきでない」という産経です。素人の俺は「会うべきか会わないべきか」はわかりませんが、一方で「会わないにしても何らかの手は打たないといけないだろう」と思います。
 「プーチンが退陣するまで何もしない」つうわけにはいかないでしょう。
 その辺り産経はどう考えてるのかが分からない点がこの社説の問題点でしょう。


■【主張】五輪追加競技 失点続きの反省はあるか
http://www.sankei.com/column/news/150930/clm1509300002-n1.html

 新国立計画やエンブレムの問題で「密室協議」への批判が高まったことから、候補8競技*18を採点評価して透明性を確保するはずだったが、種目追加検討会議の御手洗冨士夫*19座長は「数字が独り歩きすると困る」と公表を拒んだ。スカッシュなど落選3競技*20には理由の説明さえなかったという。

 「落選競技の団体に落選理由のまともな説明がないなんてエンブレム問題の反省があるのか」と批判する産経です。全く正論だと思います。

*1:拘束は「5月」だそうなのでそれ以降、今日まで政府が何をやってきたのかも気になるところです。

*2:たぶん早急に解放されるんだと願望込みで思いますが。

*3:たぶん無事でしょうが

*4:単に俺が馬鹿なのでうまく突っ込めないだけであり、実際(上)も酷いと思います。「うまい突っ込みが思いついたら」後で(上)も突っ込むかも知れません。

*5:実際には当初からNATOワルシャワ条約機構といった軍事同盟を正当化するためのものが「集団的自衛権に過ぎない」ようですが。

*6:ただし沖縄基地問題などでは産経は「米国に従おう」ですが、「ハルノートではめられて太平洋戦争になった」「自虐史観のルーツの一つはGHQ」ですからその親米主義には明らかに歪み、ねじれがあります。

*7:ハト派の俺はそういう事態は問題だと思い軍縮すべきと思いますが

*8:そもそもそんな理由が国際法的に通用するわけもないでしょうし。中国だって物をいうときは「国際法」に注意してるでしょう。

*9:何が目的なんだと聞きたくなります。

*10:2015年、東洋経済新報社

*11:著書『イギリス人アナリスト・日本の国宝を守る:雇用400万人、GDP8パーセント成長への提言』(2014年、講談社プラスアルファ新書)、『イギリス人アナリストだからわかった日本の「強み」「弱み」』(2015年、講談社プラスアルファ新書)

*12:著書『なぜ中国人はこんなに残酷になれるのか:中国大虐殺史』(2012年、ビジネス社)、『世界征服を夢見る嫌われ者国家 中国の狂気』(2014年、ビジネス社)など反中国著書多数

*13:「中国を市場にしてるはず」のパナソニックの系列であるPHPがこんな非常識な反中国本を出した上、「山本七平賞(主催はPHP)」を与えるとは「はあ?」と絶句します。

*14:日本会議会長、国家基本問題研究所副理事長というプロ右翼活動家。著書『戦略家ニクソン』 (1996年、中公新書)、『新しい日米同盟:親米ナショナリズムへの戦略』(2014年、PHP新書)、『憲法改正、最後のチャンスを逃すな!』(2014年、並木書房)など

*15:イリノイ州議会上院議員、米国議会上院議員イリノイ州選出)を経て大統領

*16:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て現在、国家主席、党総書記、国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席

*17:エリツィン政権大統領府第一副長官、連邦保安庁長官、第一副首相、首相を経て大統領

*18:「野球・ソフトボール」、空手、ローラースポーツ、スポーツクライミング、サーフィンの5競技の推薦を決定

*19:元キャノン会長。元経済財政諮問会議議員。現在、日本経団連名誉会長、ラグビーワールドカップ2019組織委員会会長、2020年東京オリンピックパラリンピック組織委員会名誉会長。

*20:スカッシュの他はボウリングと武術。