今日の産経ニュースほか(10/21分)(追記・訂正あり)

■人民日報『中日友好協会、前長崎県知事に「日中友好の使者」の称号授与』
http://j.people.com.cn/n/2015/1021/c94473-8964828.html

 (注:現在、自民党の)参議院議員で前長崎県知事の金子原二郎*1は、中日関係と地方交流において同氏が果たした多大な貢献によって、「中日友好の使者」なる称号が授与され、授与式が19日夜、北京で挙行された。中日友好協会の唐家セン*2会長は、勲章を付けた正装で式に臨み、証明書を授与した。
(中略)
 授与式で挨拶に立った唐家セン会長は、「金子先生は、長崎県知事在任中、中日友好事業に積極的に力を尽くし、長崎県と中国関係省市の友好交流と協力の推進に取り組まれた。中国が大きな自然災害に見舞われた時、金子先生は自ら街頭に立って義捐金を集め、被災者に対して貴重な精神的・物質的支援を行って下さった。金子先生が今後も、中日友好事業に関心と支持を示し、中日関係が絶えず発展するために新たなより大きな貢献を行って下さるよう、心から期待している」と述べた。
 金子氏はこれに対し、「『日中友好の使者』という称号は、決して個人に属するものではなく、数年間にわたり中国と広く交流を行ってきた長崎県民全体に属すべきものだ。このような栄誉を頂戴することは、この上ない励みとなると同時に、引き続き前進するための大きな動力ともなる。これからも、実践によって、中日両国の交流拡大に努めていきたい」と語った。

 自民党政治家だってある程度まともな人間ならこうなるわけです。というか長崎県知事が異常な反中国だったらその方が問題ですが。


朝日新聞『英国、中国製原発導入へ 英中首脳が合意、欧米で初』
http://www.asahi.com/articles/ASHBQ21L1HBQUHBI004.html

 中国企業が参加する原発計画は、英東部ブラッドウェルなどの3カ所。いずれも中国広核集団(CGN)が仏電力公社(EDF)と共同で行う。ブラッドウェルの原発にはCGNが66.5%を出資し、自らが設計を手がけた原子炉の導入を目指す。来年に英当局に計画を提出する予定で、審査に合格すれば、先進国で中国製の原発が初めて採用されることになる。また、総投資額約180億ポンド(約3.3兆円)の英南西部ヒンクリーポイントの原発にはCGNが33.5%を出資し、2025年の稼働を目指す。
 首脳会談後の記者会見で、キャメロン氏は「我々は外交面で強い関係にあり、ビジネスも深い結びつきがあるが、もっと伸ばせる機会がある」と述べ、中国との連携を強める考えを示した。習氏も「中英関係の黄金時代を開き、より明るい未来をともに作る」と応じた。

■美根慶樹サイト『(短評)英国は中国からの投資受け入れに熱心だ』
http://heiwagaikou-kenkyusho.jp/others/928

 英国は、AIIB(アジアインフラ投資銀行)についても非常に積極的であったが、習近平主席の訪英に際して合意された中国製原発の輸入とそれに伴う中国資本の受け入れは、AIIB以上に驚き/不思議だ。
 両国間で投資や貿易について総額約400億ポンド(約7.3兆円)に上る合意が成立しそうだというのも大した数字だが、(ボーガス注:報道に寄れば)ブラッドウェルの原発には中国広核集団(CGN)が66.5%を出資するという。
 これだけの出資比率になると、発言力は極めて大きくなり、(ボーガス注:ブラッドウェルの原発の運営については)英側は中国の言いなりにならざるをえないのではないか。日本などでは考えられないことだ。
 英国がこれほど大胆な決断をしたのは、英国経済に強いカンフル注射が必要なためか、それとも英国人は外国人の扱いに自信があり、出資比率ははるかに少なくとも中国の資本をコントロールできると思っているのか、あるいは両方の理由のためか。
(中略)
 英国はどのように考えているのか、さらに研究してみたい。

 今回の中英経済交流、相当のインパクトがありそうです。


■人民日報『馬雲氏が英首相の特別経済顧問に 中国重視の現れ』
http://j.people.com.cn/n/2015/1021/c94476-8964950.html

 英国のキャメロン首相の報道官は19日にダウニング街10番地の首相官邸で行われた定例記者会見で、(ボーガス注:大手インターネット企業アリババの創業者)馬雲(ジャック・マー)氏を英国政府特別経済顧問に招聘したことを明らかにした。

 「マー氏」と中国政府は勿論別物ですがこれが「中国政府への好意的アピール」という正確を持つことは間違いないでしょう。


■【習近平氏訪英】「英国記者が日本侵略者の暴行暴く」「中国の4大発明*3が英国の発展開く」……習近平主席・晩餐会スピーチ全文
http://www.sankei.com/world/news/151021/wor1510210057-n1.html

 第二次世界大戦の盟友として、中英両国人民は互いに支え、苦楽をともにすることで、中英友好の歴史をつむいできました。われわれは、英国が中国に提供した貴重な経済、道議の援助を忘れません。中国名で何克(ホーク)といった英国人記者は、中国人民の抗日戦争に積極的に身を投じ、日本侵略者の暴行を暴く記事を発表したのみか、陝西省双石鋪で培黎学校の校長となり、学生を安全地帯に移して若い命を救いました。
 第二次世界大戦中、中国の浙江省舟山の漁民は生命の危険を顧みず、日本の「りすぼん丸」にいた数百人の英軍捕虜を助け出しました。中英両国人民が戦火の下で結んだ友情は、永遠に色あせることのない両国関係の貴重な財宝となりました。
 新中国の成立以来、中英関係は新たな一章を開きました。英国は西側の大国で率先して中華人民共和国を承認*4しました。1986年10月、女王陛下と(ボーガス注:女王の夫)フィリップ殿下が成功裏に中国を公式訪問されたことは、両国関係のよきエピソードとなっています。
 1997年、中英両国が創造的に香港返還問題を解決したことも両国関係に新たなページを開きました。2004年には、中英両国が全面的戦略パートナー関係を構築しています。

 歴史に無知なので演説内容についてはよく分かりませんが中英両国の友好関係をアピールできて中国、英国双方にとって大変良かったと思います。


■【習近平氏訪英】人権の前に「経済関係の発展重要だ」とキャメロン首相 ロンドンで人民元建て国債発行へ
http://www.sankei.com/world/news/151022/wor1510220007-n1.html

 英国を訪問している中国の習近平国家主席は21日、ロンドン中心の首相官邸でキャメロン首相と会談した。会談後の共同記者会見で両首脳は、金融や原子力発電などの分野で、経済関係を「新たな水準に高めていく」ことで合意したことを明らかにした。一方、記者会見で中国の人権問題について質問されたキャメロン氏は、「人権を話すには経済関係の発展が重要だ」と語り、習氏は「世界の人権問題は改善の余地がある」と述べるにとどまった。

■【習近平訪英】中国と英国、7兆円超の巨額契約締結 習主席「中国は社会主義の道を選択」と演説
http://www.sankei.com/world/news/151022/wor1510220033-n1.html

 キャメロン英首相は21日、英国を訪問中の習近平・中国国家主席と会談後、経済界との会合で、英国が進める原子力発電事業への中国による投資など、総額400億ポンド(約7兆4千億円)の契約を締結したと述べた。
(中略)
 総額400億ポンドの詳細は明らかにされなかったが、ロイター通信はこの中には、液化天然ガスLNG)供給事業(100億ドル)や新型客船の建造(26億ポンド)、英ロールスロイスへの出資(14億ポンド)なども含まれていると伝えた。

■【習近平氏訪英】キャメロン首相と会談、欧米初の中国製原発建設で合意へ 日本と競合の鉄道は?
http://www.sankei.com/world/news/151021/wor1510210065-n1.html

 英国を訪問している中国の習近平国家主席は21日、ロンドン中心部の首相官邸でキャメロン首相と会談。両首脳は、欧米初となる中国製原子力発電所の建設を含む経済協力を進展させることで合意する見通し。
 英BBC放送によると、両国首脳は21日、フランスのエネルギー企業EDFが主導する南西部ヒンクリー・ポイントの原発建設で、中国が30%を出資することに合意する文書に調印。中国は原発の英国建設を実現することで、原発の輸出に弾みをつけたい考えだ。
 2025年に完成予定のヒンクリー原発は、総投資額が240億ポンド(約4兆5千億円)と見込まれ、2万5千人の雇用を生み、約60年間にわたり、約600万世帯に電力を供給することになるという。
 日本と競合する新高速鉄道(HS2)建設でも、中国企業の参入で合意するものとみられる。英中両国は習氏の訪英期間中、「過去最大の対英投資」(BBC)である原発を含む総額300億ポンド相当の経済協力文書に調印する予定だ。

 ということでアンチ中国ウヨの思惑に反し中英両国の経済交流は進んでいくのでした。


■開く?開かない?臨時国会与野党の思惑は 新閣僚狙い撃ち危惧…与党 見送りで世論の反発を期待…野党
http://www.sankei.com/politics/news/151021/plt1510210005-n1.html

 森山裕*5農林水産相は、談合で指名停止措置を受けた業者から、自身が代表を務める政党支部への献金問題が発覚。島尻安伊子*6沖縄北方担当相は、自らの名前と顔写真の入ったカレンダーを、地元の参院沖縄選挙区内で配布した(ボーガス注:公選法違反疑惑の)問題が浮上した。
 過去に下着を盗んだと週刊誌に報じられた高木毅*7復興相は、20日の記者会見で否定したものの、野党が矛先を向ける可能性は高い。
 新閣僚の疑惑続出を受け、政府・与党内で召集見送り論はさらに強まった。

 産経ですら「内閣改造は逆効果だった」と書いてるのは興味深いところです。
 「全員が今回初入閣組」とはいえ、こんなに疑惑閣僚続出なのは「安倍に人を見る眼がない(こういう人間たちだから今まで入閣できなかったのにそんな人間をわざわざ安倍が選んだ)」のか、はたまた「今の自民党は誰を選んでもこうなるのか」、どっちなんでしょうか。
 なお、産経がこの記事で触れてない話では以下の件もありますね。

http://www.sankei.com/politics/news/151016/plt1510160036-n1.html
■自民支部補助金企業の献金返還 馳浩*8「誤解招かぬように」
 馳浩文部科学相は16日の記者会見で、自身が代表を務める自民党支部が、石川県からの補助金を受けた金沢市の企業から2012年以降の2年間で232万円の献金を受け取ったとして、15日に全額返金したことを明らかにした。
 政治資金規正法は、国の補助金を受けた企業が試験研究や調査に関連するものを除き、交付決定通知から1年間、献金することを禁じている。
 馳氏は、県の補助金で違法ではないとの認識を示した上で「大臣という立場でもあり、誤解を招かないように返金した」と説明した。献金した企業の社長は自身の後援会会長を務めているという。


■【正論】沖縄の「争い」を喜ぶのは誰か 拓殖大学特任教授*9森本敏*10
http://www.sankei.com/column/news/151021/clm1510210001-n1.html
 「いつもの産経や森本の主張を知ってれば」タイトルだけで内容がまる分かりです。
 「中国が喜ぶようなまねは辞めろ、翁長」というだけの話です。基地問題がもめるのは産経や森本にとってはあくまでも「翁長が悪い、日本政府は悪くない」のわけです。翁長氏と交渉して彼が飲めるような解決法を探ろうとしないのは勿論、「地域振興策というあめ玉で丸め込もう」という意思もないようです。
 なお、森本は
■『防衛相政策参与に森本拓殖大特任教授と西*11前防衛事務次官を起用』
http://www.sankei.com/politics/news/151016/plt1510160023-n1.html
ということで10/16付けで正式に「政府の防衛政策の公的アドバイザー」に就任しました。政策参与就任後の10/21にこの「翁長知事敵視」コラムです。森本の神経は狂ってると言うべきでしょう。森本を政策参与にした安倍政権も頭がどうかしていますが。

われわれは沖縄を差別したことはない。私にも沖縄に友人がいるが、差別観を持って接したり特別扱いをしたりしたことはない。

 やれやれですね。翁長知事の問い「何故政府は沖縄の基地負担を軽減しようとしないのか、これは差別ではないのか」に対する森本の答えがこれです。
 森本には
はてなブックマーク『「俺には黒人の友達がいるから人種差別主義じゃない」というのは米国では「言い訳にならない言い訳」として有名で、スティーブン・コルベアはそれを皮肉って「僕のXXの友達」という写真シリーズを作っています。「友達」はいつも迷惑顔』
http://b.hatena.ne.jp/entry/twitpic.com/2jcc9v
を紹介したいですね。

*1:大平内閣科学技術庁長官、中曽根内閣農水相を務めた金子岩三・代議士(長崎選出)の息子という二世政治家。

*2:元・中国外相

*3:製紙、印刷、火薬、羅針盤のことか?

*4:英国の中国(中華人民共和国)承認は西欧では最も早く、建国直後(1950年)である(当時はアトリー労働党内閣)。興味深いのは次に1964年に政府承認したのが保守派ドゴールのフランスだと言う事だろう。ドゴールは1966年にNATOから脱退するなど独自のドゴール外交を展開した。当初は台湾(中華民国)が国連に議席を有し、西欧諸国とも国交を持っていたが、「1971年の大陸中国の国連加盟」「1972年のニクソン訪中、田中角栄訪中」で中国と台湾の立場は大きく逆転する。

*5:小泉内閣財務大臣政務官、第一次安倍、福田内閣財務副大臣を歴任。今回初入閣。

*6:第二次安倍内閣復興大臣政務官。今回初入閣

*7:小泉内閣防衛庁長官政務官、第二次安倍内閣国交副大臣を歴任。今回初入閣

*8:小泉内閣文科大臣政務官、文科副大臣を歴任。今回、初入閣

*9:防衛政策参与と産経が書かないのは「利害関係のない第三者の文章」と誤読させるためでしょう。

*10:麻生内閣防衛大臣補佐官(現在の防衛大臣政策参与)、野田内閣で防衛相。著書『米軍再編と在日米軍』(2006年、文春新書)。森本のような男を防衛相にするのだから野田氏とはそう言う人間なのでしょう。

*11:防衛省経理装備局長、防衛政策局長、防衛事務次官などを歴任