今日の産経ニュース(10/25分)(追記・訂正あり)

■【主張】英国の対中接近 価値共有に目つむるのか
http://www.sankei.com/column/news/151025/clm1510250003-n1.html
 そのうち「英国は反日」「英国は中国の奴隷」などと産経が叫ぶ日も近いのでしょうか。


■【習主席訪英】世界最強サッカーチーム目指す主席 中国人コーチ5000人育成へ マンチェスター・シティーの本拠地訪問
http://www.sankei.com/world/news/151025/wor1510250025-n1.html

 英紙によると、親中路線を邁進するオズボーン英財務相は先月、300万ポンド(約5億6千万円)の予算をつけ、プレミアリーグ*1水準の中国人コーチ5千人を育成すると発表した。
 関係筋は「サッカー・ビジネスは放映権だけで年間数千億円の収入が見込める巨大産業で、その規模は毎年大きくなっている。英国にとって、中国という巨大市場を獲得し、さらに拡大させることは重要だ」と指摘した。中国人コーチ育成も、英中関係を強化し、ビジネス発展のための先行投資というわけだ。

 産経の思惑に反し、中英友好、中英交流が着実に進行しているようです。


■【大阪ダブル選】大阪市長選 柳本、吉村両氏が競り合う 知事選 松井氏を栗原氏が追う展開
http://www.sankei.com/west/news/151025/wst1510250049-n1.html
 残念ながら「大接戦」ということで最後の最後まで分からない展開が続くようです。未だに維新を支持すると言う連中は何を考えてるのかさっぱりわからず「バカか?」と心底呆れますがナントカ「どちらの選挙でも維新を倒して欲しい」ところではあります。


■【国連70年】不慮の事故死、硬骨漢、歴代事務総長を振り返る…潘基文氏は韓国に肩入れしすぎ
http://www.sankei.com/world/news/151025/wor1510250020-n1.html

 ハマーショルド*2は内乱が続くコンゴを自ら訪れるなど、身を賭して活動。ところが、停戦調停のため同国に向かう途中の61年、自ら搭乗する飛行機が墜落して死亡した。
(中略)
 「彼が歴代最高の事務総長だと考える人々は多い」。米国人の国連担当記者はこう強調する。

 職務中に不慮の死を遂げると美化される「義理と人情の世界」は日本だけではないようです。

4代クルト・ワルトハイム氏(任期72〜81年、オーストリア出身)はキプロス紛争打開に向けた努力で知られた。

 ワルトハイム*3に「ナチ党員であることを故意に隠蔽した疑惑」があることに触れない辺りはさすがの産経です。ワルトハイムの疑惑は産経がわめき立てる「パン総長の韓国びいき疑惑」などかすむほどの一大疑惑なのですが。
 ウィキペ「ヴァルトハイム」によれば

 ヴァルトハイムがドイツが併合したオーストリア国家社会主義学生同盟とナチス突撃隊に所属していたという事実が判明したため、旧連合国のアメリカ、イギリス、フランスなどはヴァルトハイムの大統領出馬に反対を表明した。しかし、オーストリア国民はこれを内政干渉と反発、結果としてヴァルトハイムは1986年に大統領に当選した。
 その後の調査によって、ヴァルトハイムは大戦中の1943年にユーゴスラビアで残虐行為を働いたドイツ国防軍の部隊において通訳を務めていたことが判明した一方、戦争犯罪には直接の関係はなかったとされたが、1992年の大統領選には立候補せず、再選を断念した。
 大統領職にあるにもかかわらず、その経歴からヴァルトハイムは旧連合国を中心とした多くの国で「ペルソナ・ノン・グラータ」とされ、6年間ほとんど外国への公式訪問を行わなかった

とのことです。
 なお、パン総長への悪口雑言についてはばかばかしいので突っ込む気にもなりません。単に産経が韓国を敵視してることによって韓国出身のパン総長まで非難されてるだけの話です。


■【iRONNA発】村上春樹はなぜノーベル賞を取れないのか 黒古一夫*4
http://www.sankei.com/premium/news/151025/prm1510250017-n1.html
 黒古氏の主張の是非はともかく、意外にも「産経的ではない文章」のように思いますね。
 というのも黒古氏はノーベル文学賞を受賞する重要要素として「社会性*5」をあげ、受賞候補と騒がれながら未だ受賞に至ってない*6村上氏には社会性が希薄だとした上で

次の日本人ノーベル文学賞作家にふさわしいのは誰かということになると、私は文句なしにナガサキ被爆者であり、「被爆者」として生きざるを得なかった戦後の意味を問い続ける林京子*7を、その第1候補として挙げたいと思っている。

としているからです。率直に言って林氏に限らず、「原爆文学者」が受賞しても産経は嬉しくないんじゃないですかね。

*1:英国プロサッカーの1部リーグ

*2:死後、1961年にノーベル平和賞を受賞。

*3:国連事務総長オーストリア大統領を歴任

*4:著書『原爆文学論』(1993年、彩流社)、『原爆は文学にどう描かれてきたか』(2005年、八朔社)、『村上春樹 「喪失」の物語から「転換」の物語へ』(2007年、勉誠出版)、『林京子論』(2007年、日本図書センター)、『文学者の「核・フクシマ論」:吉本隆明大江健三郎村上春樹』(2013年、彩流社)、『村上春樹批判』(2015年、アーツアンドクラフツ)など

*5:チェルノブイリ原発事故」など社会問題をテーマにしてきたという、今回の受賞者アレクシエービッチ氏などは、その典型でしょう。また大江健三郎氏の受賞理由の一つももしかしたら「沖縄ノート」(岩波新書)などに示された「社会性」なのかもしれません。

*6:個人的にはノーベル文学賞は「賞のワンオブゼム」としか俺は思ってません。「ノーベル文学賞受賞者だから川端や大江を評価する」というのはいいとしても、別にそれは「川端や大江と、その他の日本人作家」に明白な差がある、つうことでもないでしょう。

*7:1975年に短編小説『祭りの場』で第18回群像新人文学賞、および第73回芥川賞を受賞。著書『祭りの場・ギヤマン ビードロ』(1988年、講談社文芸文庫)、『長い時間をかけた人間の経験』(2005年、講談社文芸文庫)、『希望』(2012年、講談社文芸文庫)など