今日の産経ニュースほか(10/26分)(追記・訂正あり)

宮城県議選で共産倍増「志位委員長」歓喜のツイート…参院選反自民結集に手応え でも政党支持率はわずか4%
http://www.sankei.com/politics/news/151026/plt1510260027-n1.html
 「タイトルで出落ち」ですね。タイトルだけで言いたいことが分かるので本文は読まなくていいという「実に親切な記事」です。
 こういう事を言わずにはいられない当たり、むしろ「宮城県議選結果」について、産経のショックは大きかったと見るべきなのでしょう。


■【宮城県議選】公明・斉藤*1選対委員長「共産が安保法制批判の受け皿になった…」
http://www.sankei.com/politics/news/151026/plt1510260022-n1.html
 「地方選挙だから国政とは関係ない」と言うかと思いきや意外な発言です。「国政とは関係ないといって公明党員(創価学会員)を油断させるより、『国政の影響だ』と危機意識を煽った方がいい」という計算でしょうか。ただ普通の政党だったらこんな事言ったら「安保法を強行した執行部批判が出かねない」と思うんですが、でないのが今の公明党なんでしょうか。だとしたら全くとんでもないですね。


■【宮城県議選】共産党、県議会最多タイ議席を獲得、第2会派に
http://www.sankei.com/politics/news/151026/plt1510260001-n1.html
拙エントリ『新刊紹介:「前衛」10月号(追記・訂正あり)』
http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20150917/5421309876
で簡単に触れた宮城県議選の結果が出ました。
(なお、前衛10月号を紹介した拙エントリに選挙結果については追記しました。)
 共産党は全員当選はできなかったものの、また現職1名を落としてしまったものの「4→8」へと倍増し、県議会第2会派*2に躍進したそうです。過大評価は禁物ですが素直に喜びたいと思います。やはり「今共産党には追い風が吹いている」のでしょう。この追い風を何とかしてさらに大きくしたいところです。
 産経の記事についてもコメントしておきます。

共産党は前回より2人多い9人を擁立。17日には小池晃副委員長が仙台市で応援演説し、安全保障関連法廃止や原発再稼働反対を訴えて支持を広げた。

 産経が「安全保障関連法廃止や原発再稼働反対を訴えて支持を広げた」と書いている点は興味深いですね。もちろん「そうした主張を支持する」とは書いていませんが産経だと「単に躍進の事実だけ書いて終わり」かと思っていましたので。


■松本*3元外相、民主党離党へ 野党再編の主導権低下の可能性も
http://www.sankei.com/politics/news/151026/plt1510260032-n1.html
 自民党入党を目指すそうですが、まあ、「道義的是非以前」に政治音痴の極みでしょうね。元外相とは言え、知名度や人気があるわけでもない松本氏が「生活の党をつくった小沢氏のように子分を引き連れることもできずに」たった一人の離党では自民党もろくに相手しないでしょう。民主党にとってもおそらく大して痛手ではない。
 「元外相、元政策調査会長の離党は痛手ではないか(産経)」というのは「そうあってほしい」という産経の願望でしかありません。


艾未未氏、レゴが「検閲であり差別」と批判 反体制派作品で販売を拒否
http://www.sankei.com/world/news/151026/wor1510260038-n1.html

 中国の人権活動家で現代芸術家の艾未未アイ・ウェイウェイ)氏は、デンマーク玩具メーカー「レゴ」が自身の芸術作品制作に使うブロックの販売を断ったとして、「検閲であり差別だ」と批判した。英BBC放送などが25日、伝えた。
 艾氏はオーストラリアのメルボルンで開かれる展覧会で、反体制派についての新しい作品を制作するためレゴにブロックを大量発注していた。レゴ側は、政治的なメッセージを出すことを目的とした個人・団体に直接、製品を販売したことはないとコメントした。
 艾氏は昨年、米アルカトラズ刑務所跡地の展覧会で、レゴを使って175人の反体制派のポートレート作品を制作、展示した。
 中国の習近平国家主席の訪英時、英テーマパーク大手が中国側と合弁で上海に「レゴランド」を建設することで合意。艾氏はこの件にもふれ、「文化・政治面で世界的な影響力をもつレゴは、私たちに何を愛し、何を嫌うべきなのか、教えようとしている*4。芸術家にその製品を販売することを(ボーガス注:レゴが)拒否することは、まさに検閲であり差別なのだ」との声明を発表した。

 まあ、レゴにとっては「商売(上海レゴランド計画)>越えられない壁>艾未未アイ・ウェイウェイ)」なんでしょうね。
 id:Mukkeさんが「レゴに霞を食えとは言えない」「レゴに上海レゴランド計画をあきらめろとは言えない」「レゴブロックを使わなくても艾未未アイ・ウェイウェイ)は芸術活動はできるはずだ」「レゴを批判する艾未未アイ・ウェイウェイ)は人間として偏狭だ、狭量だ」などと言うかどうか大変興味深いところではあります。まあ、id:Mukkeさんの場合、この件でレゴ批判もしたくないが、レゴ擁護(艾未未アイ・ウェイウェイ)批判)もしたくないので何も言わずに黙りてのが一番あり得る可能性でしょうが(苦笑)。
 ちなみに上海レゴランド計画については以下の産経の記事を紹介しておきます。

■産経『【習近平訪英】上海に「レゴランド」オープンへ 英テーマパーク大手と中国・投資会社が合意 ディズニーランドに続き』

http://www.sankei.com/world/news/151023/wor1510230027-n1.html
 英テーマパーク運営大手のマーリン・エンターテイメンツは21日、中国の投資会社、華人文化産業投資基金(CMC)と合弁で、上海に「レゴランド」を建設する合意文書に調印したことを明らかにした。
 世界第2位の来場者数を誇るマーリンは、中国では「上海マダム・タッソー蝋人形館」など5つの娯楽施設を運営しているが、今後18カ月で、さらに3つの別の施設をオープンする予定だという。
 中国の習近平国家主席が英国を公式訪問したことを受けて発表された。
 ロイター通信は21日、上海レゴランドの合弁事業には3億ドル(約363億円)の投資が見込まれていると伝えた。
 上海ではこのほか、来年春には中国本土で初となるディズニーランドも開業する予定だ。


人民元、SDR入りへ ドル・円と並ぶ国際通貨に IMFが11月にも結論  
http://www.sankei.com/economy/news/151026/ecn1510260028-n1.html

 国際通貨基金IMF)が中国の通貨・人民元を11月中にも、特別引き出し権(SDR)と呼ぶ準備通貨に採用する方針を固めたことが26日わかった。ロイター通信が報じた。IMFは現在、5年に1度のSDR構成通貨の見直しを行っているが、ロイターによると、IMF関係者は人民元のSDR採用について好意的な結論を盛り込んだ報告書原案をまとめたという。
 IMFは早ければ11月下旬にも理事会を開き、人民元をSDRに採用する可否を正式に決める方針だ。

■所詮ドルもどき…人民元は「国際通貨」に非ず 財務官僚はIMF認定阻止を
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/150215/mca1502150729002-n1.htm
■【お金は知っている】人民元の勢力拡大は日本にとって軍事的脅威そのもの
http://www.sankei.com/premium/news/150815/prm1508150025-n1.html
■北京に甘いIMF 改革なしで「SDR通貨元」認定なら中国リスク拡散
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20150918/ecn1509181140001-n1.htm
■【お金は知っている】中国GDP偽装は世界のリスク 人民元は国際通貨の資格なし
http://www.sankei.com/economy/news/151024/ecn1510240006-n1.html
など、散々「人民元にはSDR入りする資格はない」「人民元がSDR入りすれば世界経済や日本経済にとってかえって不幸だろう」と叫んでいた産経・田村秀男*5の「政治的敗北」がついに決定したようです。
 今後の田村の物言いがどうなるか気になるところです。
【追記】
■【お金は知っている】人民元の実利にひれ伏す米英 国際金融を牛耳るアングロサクソンの思惑とは(田村秀男)
http://www.sankei.com/economy/news/151031/ecn1510310005-n1.html
で田村は

日本に必要なのは正論だ。IMFの場で堂々と元の資格に異議を述べ、認めるためには、元の自由変動相場制移行と金融・資本市場の全面自由化を要求すべきだ。

と書いて未だに「元SDR化阻止」を叫んでいます。


■【環球異見】英中首脳は「黄金時代」自賛するが…欧米メディアは辛辣「後悔することになる…」
http://www.sankei.com/column/news/151026/clm1510260006-n1.html
 英国メディアのウチ、タイムズとガーディアンは英中接近に批判的で、一方、フイナンシャルタイムズ社(英国の経済紙、日本の日経に当たる)は好意的だそうです。
結局
1)人権問題をどう考えるか
2)米国と中国の微妙な関係をどう考えるか(対中接近は米国との対立を招き良くないと考えるかどうか)
3)英中接近による経済効果をどう考えるか
ということでしょう。


■【主張】日本の安保理入り 北の拉致を徹底追及せよ
http://www.sankei.com/column/news/151026/clm1510260002-n1.html
 安保理とはそう言う場なのか?。違うと思いますけどね。そしてこういう発言からは「産経には拉致で打つ手が基本的に何もない」と言うことが分かると思います。


■【正論】国は自衛隊員の「名誉」に報いよ 佐々淳行(初代内閣安全保障室長)
http://www.sankei.com/column/news/151026/clm1510260001-n1.html

自衛隊員の中には、靖国神社に祀ってほしいと痛切に願う者もいる。隊員たちの宗教的自由も尊重されなくてはなるまい。中韓やマスコミが過敏な反応を示すことを恐れて、政府は目をつぶっているけれども、この問題を避けては通れない。

 おいおいですね。ここからは、
1)佐々が今回の安保法で自衛官死亡の危険性が高いと認識してること
2)にもかかわらず、恥知らずにも「安保法成立で靖国正当化のチャンスが生まれた」と人非人なことを考えてること
3)A級戦犯を合祀し、政教分離原則にも抵触する靖国への自衛隊員の合祀を問題だとは何とも思ってないこと
が伺えます。
 なお、さすがの佐々も現時点では「無条件で一律に靖国に合祀せよ」と言えない点は興味深い。実際には「一律に靖国合祀」が佐々の願いで「隊員たちの宗教的自由」なんて口から出任せでしょうが。


■【大阪ダブル選】「橋下」以前は「府市バラバラ」松井氏 「訪日外国人客増加はアベノミクス効果」栗原氏 公開討論会で府知事候補が激突
http://www.sankei.com/west/news/151026/wst1510260015-n1.html#
 タイトルの

「訪日外国人客増加はアベノミクス効果」栗原氏

は勘の鋭い人なら意味がすぐに分かるでしょう。維新の松井が「訪日外国人増加は俺の手柄だ」とバカ抜かすので
「大阪だけじゃないでしょ、増えてるの?」「むしろアベノミクスによる円安の効果の方が大きいでしょ」と批判したという話です。そもそも「観光客増加はさまざまな要素で決まる」のですから「単に松井時代に観光客が増えただけ」ではそれは「松井の手柄だ」とは単純には言えません。大阪は「USJ」「大阪城」などさまざまな観光地がある上に、観光地「京都や奈良」に近く、関空もあるということでそもそも観光客増において有利な条件にはあるわけです。
 誰でもすぐ分かる明らかなデタラメを放言する男が現職の大阪府知事。頭痛がしてきます。松井なんぞ支持できる人間の気が知れません。


■【安倍政権考】地方議会で辺野古移設反対の声 慰安婦問題もそうだった…特定団体の常套手段にご注意を!
http://www.sankei.com/premium/news/151024/prm1510240011-n1.html
 特定団体というなら「日本会議が全国で仕掛けるつくる会教科書採択運動(あるいはそれを狙った日本会議が仕掛け人の地方議会での右翼的決議)」の方がよほど「特定団体の常套手段」でしょう。
 自分に都合の悪いことは根拠レスで「一部の特定団体がやってる」呼ばわりし、都合のいいこと(例:日本会議の右翼政治運動)は絶賛。いつもながら産経には頭痛がします。
 そもそも多くの地方議会においては「自民第一党、民主第二党」です。つまりは「自民の意見を抑え込むほどに野党が多い自治体」か「自民すらそうした意見書に賛成する自治体」か、いずれにせよ、「住民の大多数の意見がそうした意見書を支持する(別に採択しても、しなくてもどーでもいいという消極的支持を含む)」上に住民は「必ずしも左派ではない」わけです。何が特定団体なんでしょうか。

八木氏はこうした意見書が「誰の利益になっているのか」と問いかけ、「背景に中国がいるとみるのが自然ではないか」と指摘する

 名誉毀損で訴えられても文句の言えないレベルの暴言でしょう。これを紹介した「政治部・田北真樹子記者」の常識を疑います。阿比留も確か政治部だし、産経政治部にはこの種のバカしかいないのか(福島香織も一時政治部だったしまともな記者も一応いるのでしょうが)。
 何もあの法案に反対しているのは中国だけではない。そして「何でそこまで産経は中国を敵視するのか」という話です。「法への反対は中国の誤解であり、誤解を解きたい」というならともかく、「この法で中国を封じ込める、反対派は中国の手先に違いない」と公言して中国を挑発するから恐れ入ります。実際問題、中国相手に発動するほど安倍も無謀じゃないでしょう。
 産経や八木は本気でいってるのではなく「中国をネタに反対派を中国の手先扱いした方が政治的に有利」とか「アンチ中国に媚びたい」とか思ってるのかも知れませんがいずれにせよ愚かです。

米国でも辺野古移設反対に声を上げる地方議会が出てきた。カリフォルニア州バークレー市議会は9月15日、米国の議会で初めて辺野古移設計画の中止を米政府に求める「沖縄の人々を支援する決議」を可決した。

 過大評価はしませんがなかなか面白い動きです。バークレー市で何故こういう動きが出てきたのか知りたいものです。

*1:福田、麻生内閣環境相公明党政務調査会長など歴任。

*2:59議席定数で「9議席」で第2会派というのも「何だかなあ」と思いますが。

*3:民主党政策調査会長(前原、小沢代表時代)、菅内閣外相など歴任。海部内閣防衛庁長官を務めた松本十郎代議士(自民)の息子。

*4:もちろんレゴへの皮肉たっぷりの嫌みです。

*5:著書『人民元、ドル、円』(2004年、岩波新書)、『アベノミクスを殺す消費増税』(2013年、飛鳥新社)、『消費増税の黒いシナリオ:デフレ脱却はなぜ挫折するのか』(2014年、幻冬舎ルネッサンス新書)、『人民元の正体:中国主導「アジアインフラ投資銀行の行末」』(2015年、マガジンランド)など