■【iRONNA発】日韓和解は幻想だ 「強すぎる日本」を構築せよ 武貞秀士(拓殖大学大学院特任教授)
http://www.sankei.com/column/news/151114/clm1511140007-n1.html
日本が強いときは、日韓関係は良かった。
「昔の韓国経済が弱かった」のは事実ですが、今だって充分日本経済は「強い」です(なお、「日本経済の強さ」は別に安倍の手柄ではありません)。つうか「中国や韓国より強い経済になれば歴史認識問題で向こうを黙らせられる」「世の中力が全てだ、強ければ何でも通用するんだ」てのは考えとして間違っている(道徳的な意味で間違ってるのは当然として現実的でないと言う意味でも間違っています。大体コメ欄に書きましたが昔だって「文世光事件」「藤尾*1文相暴言事件」のときには韓国が激怒したので「文事件では朴チョンヒをなだめに韓国ロビーの椎名*2自民党副総裁が訪韓」し、「藤尾事件では中曽根首相が藤尾を大臣から更迭」しています)。こんなことは当たり前すぎて書くこと自体バカらしい。
昨年10月訪問した北朝鮮の羅先市の経済交流担当者は、「日本の資本進出を歓迎します」と語った。
中韓だって歓迎してると思うのですが、武貞氏の脳内では何故かそうではないようです。
最近の韓国人は「対馬奪還の時期がきた」と語り始めた。
そういう変な人もいるのでしょうがそれは政府見解でないのは勿論「韓国民多数派」とすら言えないでしょう。
日本には一度も勝ったことがない*3韓国はどうしても日本に勝たねばならない。サッカー試合では他の国に負けてもよいが日本には負けてはならない。
歴史的な問題から強い対抗意識があるのは事実でしょうが、だからといって「安倍の歴史認識に問題はないかのような主張(武貞氏)」ははっきり言ってデマです。
いまの韓国の気持ちは、「日本の力は低下してゆく。貿易、投資などの分野で中国が日本の役割を果たしてくれる。韓国の努力を軽く見ている米国との同盟関係では、韓国の自主性を高めてゆく。ロシア、中国と協力すれば北朝鮮を説得できる。北朝鮮との交流と対話は独自に進める」というものだ。
つうのは武貞氏の勝手な理解に過ぎません。韓国も武貞氏が言うほど米日との関係を軽視してはいないでしょう。「北朝鮮問題や貿易がらみ」で過去の政権よりは中露を重視することによって「結果的に日米と多少疎遠になる」程度の話でしょう。ロシアはともかく中国重視なんて英国やフランス、ドイツなんかだってそうですし。
19世紀以降、日本は朝鮮半島の経済建設を支援してきた。
(中略)
これが日本人の良さであり、お人好しなところだった。
植民地支配での韓国近代化をそう呼んでいいのなら今後産経には
・チベット解放以降、中華人民共和国はチベットの経済建設を支援してきた(例:青海チベット鉄道)。
・これが漢民族の良さであり、お人好しなところだった。
と是非主張し、ダライ一味を「漢民族がお人好しであることから、愚かにも漢民族を舐めて暴動をおこしたあげく、今も漢民族に対し無礼の極みを尽くす恩知らずのクズ」とでも罵倒して頂きたいところです(毒)。
優先順位の上位にある国家との関係改善を優先する。モンゴル、中央アジア*4、ベトナム、インド、フィリッピン、米国、豪州との関係強化はいうまでもない。
こういったら何ですが「超大国・米国」はともかくそれ以外の国なんて全部、韓国の方が優先順位高いですよねえ。
「韓国は歴史認識でぐちゃぐちゃ言うけど、中央アジア、ベトナム、モンゴル、フィリピンとか何も言わないからつきあってて気持ちいいわ」なんつうのは正気じゃない。つうかこれらの国のウチ「ベトナム、フィリピンは、太平洋戦争時に日本に自国を戦場にされている」わけで、正直「恨みがない」なんてことは全くないでしょう。単に「中韓ほど経済力も政治力もない」から日本に物が言えないだけでしょう。
「日本を裏切ったインドネシアはただじゃ済まさない」て「仁義なき戦い(ヤクザ抗争)」じゃあるまいし、日本政府としてそんな無茶苦茶な報復行為はやれるわけもないでしょう。
世界文化遺産登録事案では、日本に「強制労働」を認定させようとした。
無茶苦茶なデマも勘弁して欲しい。認定も何も事実、強制労働はあったでしょうに。だったら日本代表が「国際社会や韓国の日本批判から逃げ切れず」渋々演説したとは言え、ユネスコで演説した「force to work against their will(労働者の意思に反して働かせた)」というのはどういう意味なのか。「意思に反してるが強制労働じゃない」なんてそんな馬鹿な話はないでしょう。
こういう馬鹿な事言ってるとマジで「軍艦島(端島炭鉱)の世界遺産登録取り消し」もありうるんじゃないか。
「拉致被害者に関する完璧な調査報告を出さないのであれば日朝協議は無用。制裁強化」という主張がある。問答無用、対話打ち切り、制裁強化、国際圧力をというのが日本社会の多数派だろう。これも問題解決にはならない。そうして拉致被害者が日本に帰国する日が早まるのだろうか。
ここは正論なんですけどね。何故「北朝鮮への制裁反対論」という正論と、「韓国への悪口雑言、デマ中傷」という謬論が両立するのかわけが分かりません。
■サリン事件の遺族「黙れば教団が残るだけ」 上祐氏拠点の世田谷区で講演
http://www.sankei.com/affairs/news/151114/afr1511140031-n1.html
こういう物言いには賛成できないですね。別に小生も上祐氏をリーダーとする「ひかりの輪」が好きなわけではない。遺族の気持ちも分からないではない。
ただし「ひかりの輪が内部で、オウム犯罪を正当化している」という事実があるならともかく「麻原のした犯罪は間違ってる。しかし彼の教えが100パー間違ってるとは思わない。オウムの教えから良い部分だけ残していくことができないかと思ってる」というのは「正しいかどうかはともかく」信者の身内ならともかく、「部外者がどうこう言う事じゃない」と思いますね。
■【ビジネス解読】日本企業が中国から続々撤退し始めた! チャイナリスクに嫌気か パナソニック、サントリー、カルビー
http://www.sankei.com/premium/news/151114/prm1511140017-n1.html
反中国の産経としては大喜びなんでしょうか。
中国政府の規制変更によって、上海でのデータセンターの事業計画が頓挫の憂き目にあったのは、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)。米エクイニクスやKDDIなどの競合に先駆け、世界で初めて独自資本で中国(上海)にデータセンターを開設する予定だったが、中国政府が今年1月、突然、データセンター事業の運営には免許が必要だと方針を変更し、独自での事業展開を撤回せざるをえなくなったのだ。
これは撤退というのとは違いますよね。当初は「免許無しでもOK」と言う話が「免許が必要」となり、「免許がいつ取れるか分からないから計画をあきらめた」と言う話です。
これについて「中国の態度がいい加減」でNTTコムにとって「いい加減な行政指導で損害を被った」として国家賠償請求物の気もしますが、コメントは控えます。
一方、浙江省杭州市*5にあるスナック菓子の製造・販売合弁会社を設立わずか3年で売却することを決めたのはカルビー。合弁会社の51%の持ち株全てを、合弁相手の康師傅方便食品投資にたった1元(約19円)で譲渡する。
売却の背景には、売り上げが伸びず赤字が続いたことにある。5年で500億円を見込んでいた売上高が100分の1のわずか5億円程度にとどまった。発表資料によると、これに伴い、最終赤字は進出した2012年12月期が500万元、13年12月期が4900万元、14年12月期が7100万元と年を追うごとに拡大。
(中略)
「じゃがビー」や「かっぱえびせん」を販売している。中国での「じゃがビー」の価格が一般的なスナック菓子の約1.5倍と高価なことから苦戦が強いられた。また、「かっぱえびせん」は、中国でエビを使った競合商品が多く、差別化を打ち出せなかったことも響いたようだ。
カルビーの場合は「売り上げが伸びず赤字が酷いから撤退」というある意味当たり前の話です。チャイナリスクでも何でもない。
わずか1元で持ち株を手放すのは、「早く中国戦略を仕切り直しをして、再挑戦するため」(市場関係者)とみられている。カルビーは青島や香港にも製造や販売の拠点があり、スナック菓子の販売は今後も継続する。
つうことですので「浙江省杭州市から撤退しただけ」であって中国から撤退してはいないわけです。
サントリーホールディングスは中国ビール2位の青島ビールとの合弁を解消、合弁相手の青島に製造販売をまかせ、ライセンス料を得る形に移行する。
ライセンス料は取るのだから「完全撤退とは言えない」でしょう。
景気が後退すれば工場計画が見直されるのは当然です。ホンダの工場自体は中国に今あるのだから撤退でもないわけです。
日本企業が中国の生産拠点を撤退、縮小の方向に舵を切っているのは、経済失速のほか、人件費の高騰や政策変更などリスクがつきまとい、中国での事業が「割に合わない」状況になっているためだ。
まあこの辺りはそれぞれの価値判断でしょう。なお、「政策変更」について言えば独裁的な国家なら共通するリスクであって別に中国限定でもないでしょう。