今日の産経ニュース(12/1分)(追記・訂正あり)

■英の中国傾斜ここまで、「影の財務相」が議会で毛沢東語録*1掲げ、「ここから学ぶべき」と痛烈皮肉
http://www.sankei.com/world/news/151201/wor1512010048-n1.html

 英議会で11月25日、政府予算への質問に立った英最大野党、労働党の「影の財務相」、マクドネル議員が「毛沢東語録」を引用し、英資産の中国売却に動く政府を批判するという前代未聞の国会質疑が行われた。

 単に今の労働党執行部が「非常識な反中国*2」なだけじゃないですか。
 ペマ・ギャルポや楊海英、I濱女史なんかは「良くやった」「今後も中国を罵倒しろ」とマクドネル議員を褒めるかも知れませんが彼らのような異常な反中国分子以外はそう言う馬鹿な事しない。
 今時「毛沢東主義」で中国が運営されてるわけもないのにマクドネル議員も何考えてるんでしょうか*3。もちろんマクドネル議員がやるべきことはこんな糞パフォーマンスではなく「チベット問題や劉暁波投獄問題など人権面で問題がある国とずぶずぶでいいのか。カネのためなら人権後回しでいいのか」「中国との経済交流は本当にメリットなのか、安い中国製品で英国の農業や工業が壊滅的打撃をかえって受けないか」「中国に重大な企業秘密が流出するようなことはないのか」とかいった「具体的な質問*4」であるべきでしょう。「そういう地味な質問じゃ受けないから、ウケ狙いで毛語録読んだ」と言うんじゃ話になりません。政治とはそう言うウケ狙いではいけない。そんなんでは橋下とどこが違うのか。仮にそんなウケ狙いで労働党が結果的に支持されたとしても意味があるのか。
 そんなんだったら最初から中国関係の質問などしなければいい。
 記事を読む限り政府は何ら質問(?)に困っていないで「何が言いたいんだか?」的に軽く流している。
 今時、次世代の党だって議場で毛語録読んだり、読んだあげく「文革を発動した毛沢東を国父と仰ぐ危険な国家が中国なんです!」と叫んだりしないんじゃないか。
 しかし「左派のはずの労働党」が「中国共産党を罵倒」し、「右派のはずの保守党」が中国との経済協力を深め、英国財界もそれを歓迎する。何というか「昔では考えられなかった」ねじれ現象でしょう。極右の産経にとっては「反中国らしいが左派の労働党」と「右派だが親中国の保守党」、どちらに好意的態度をとるべきか悩ましいといったところでしょうか。まあ、産経だからこそ「見よ、英国では労働党が中国批判してる」「それに引き替え我が日本では次世代の党以外、全然中国批判してない、安倍には期待してたのに!」つう意味合いで書いた記事かも知れません(苦笑)。
 まあ、産経が望むような「打倒中国」ではなければ、「劉暁波投獄問題」とかで、それなりに自公や民主、社民、共産も中国批判してるんですけどね。

共産主義を信奉する強硬左派のコービン党首ら労働党指導部

 実に産経らしいですね。コービン氏は「労働党内最左派」のようですがさすがに「共産主義者」じゃないでしょう。共産主義者が「英国労働党党首」になったらビッグニュースです。
 極右・産経にとっては「社民主義共産主義の区別はできない」のかもしれませんが。
 あるいは英国では「あいつは赤だ」と言う攻撃が未だに有効なんでしょうか?(さすがに保守党が公然とそう言う攻撃をやりはしないでしょうが)

マクドネル氏はこの“事件”について、「注目を集めるためのパフォーマンスで冗談だった」と弁解。

 さすがに労働党内や労組からも「そんな中国敵視で政権が取れると思ってるのか?」「そんなんがまともな中国批判だと思ってるのか?」「ウチの党が非常識だと物笑いになっただけだ!」「政府批判として全く無意味だった!」などと批判が続出したんでしょう。で弁解する羽目になったわけですが、とはいえ「パフォーマンスで冗談」では済まないと思いますけどね。最大野党の幹部議員(影の財務相)がこんなことをすれば「何だ、労働党のあの態度は。議場で毛語録なんか読みやがって。ウチだって文革なんか今時支持してねえっての。四人組裁判も知らんのか?。つうか今我が国がやってる改革開放は文革時代に打倒の対象になった事だろうがよ。あれが英国の最大野党って、我が国をバカにするのも大概にしろよ(中国)」などと英中関係がやばくなりかねません。俺が英国の選挙民だったらとても労働党を支持する気になりません。
 俺が英国の選挙民で労働党支持者なら「マクドネルを処分しろよ」「処分できないというならせめて影の財務相から更迭しろ」「こんな糞くだらないパフォーマンスで恥をさらしやがって、お前ら政権とる気があるのか!。労働党執行部はいい加減にしろよ」「こんなふざけたことばかりしてたら『保守党は支持しないが』他の党(第三政党の英国自民党とか、地域政党とか)を支持するからな」と思うでしょうね。
 そして保守党も「英中友好関係を破壊してしまう、外交音痴、経済音痴の危険な労働党に票を投じていいのか!」「景気を考えるならやっぱり保守党」などと宣伝するんじゃないか。

「洗脳教育のための本を民主主義の議場に持ち込むとは見識を疑う」「恐怖の象徴だった独裁者礼賛本を引用する姿を見て、背筋に悪寒が走った」との批判が噴出している。

 マクドネル氏は中国に対し無礼であり、非常識だとは思います。とはいえ産経の紹介する「噴出する批判」とやらも「為にする言いがかり」としか思えませんよねえ。マクドネル氏は「毛語録は素晴らしい本だ」として好意的に紹介したわけではなく「文革という惨事を引き起こした毛沢東のような独裁者が国父の国とずぶずぶでいいのか。経済交流を深めていいのか。キャメロン政権に反省を促す」的な皮肉で毛語録を引用したことは産経記事を読む限り、どう見ても疑いないわけですから。
 ただ産経並みの極右なら「マクドネル氏の朗読理由」などガン無視で「労働党って旧ソ連の手先だろ」「ポルポトとか文革とか賛美してたんだろ」「だから毛語録を議場で読んだんだよ。最低だな、公安警察労働党を叩き潰せばいいのに」「学ぶべきって言ってるんだからマオイストなんだろ。『学べ』てのは皮肉だ?。言い訳は寄せよ、このマオイスト」とかとんちんかんな理解をするのかも知れません。いや「労働党が政権を取ったことがある英国(例:ブレア政権)」でそんなトンデモ極右がいるのか知りませんが。


民主党安保対案 後方支援対象は「ACSA締結国に限定」で一致
http://www.sankei.com/politics/news/151201/plt1512010028-n1.html
 「やれやれ(呆)」ですね。何故「ACSA締結国に限定」すれば対案として提示できると思えるのか意味不明です。集団的自衛権を認めてることでは安倍と変わらないし「ACSA締結国を増やしていけば」こんなものは何の制約にもなりません。
 共産党としても民主党には「何だこいつら?」と心底呆れてるでしょう。「安倍の集団的自衛権は汚いが民主の集団的自衛権はきれい、だってACSA締結国に限定してるから」なんて詭弁では「安倍批判派」からも「安倍支持派」からも「お前ら、何のために安倍安保法に反対したの?。単に世論が批判的だからそれに乗っただけかよ?」「本心はあの法案に賛成だったんだろ?」と批判されるでしょう。結局「共産党との選挙協力を難しくし」、かつ安倍支持派は勿論、安倍批判派からも呆れられて「民主党のさらなる惨敗」が危惧されますが、まあ、民主党ってのはまともな政治的信念も常識もないんでしょうね。それでも「自民党のように長年かけて作り上げた利権構造」があれば「多少の無理を押し通せる」でしょうが民主党にはそんなものないですからね。
 まあ、俺的には「共産を支持し続ける」以外に道はないですね。民主党が酷すぎるので。


■【人民元SDR入り】悪貨が世界を脅かす(田村秀男*5
http://www.sankei.com/economy/news/151201/ecn1512010043-n1.html
 反中国の田村らしいですが、悪貨だ何だといったところで何がどうなるもんでもないでしょうに。
 そもそもIMFは「悪貨だと思わない」からこそのSDR入りでしょうに。


■【人民元SDR入り】中国に前のめりの「高揚感」 「ドル支配体制」挑戦へ
http://www.sankei.com/world/news/151201/wor1512010041-n1.html
 実に産経らしい反中国記事です。既にドルの他に「英国ポンド、日本円、EUユーロ」がSDR入りしてるわけですが「それらの通貨」も「ドル支配体制」に挑戦してるんでしょうか。つうか産経は「ドル支配への挑戦だ、大変だ」と言いたいようですが、SDR入りを認めたIMFは米国の政治的影響力が強い組織なんですけどね。中国も「ドル支配への挑戦」なんて言ってませんし、実に産経らしい煽りです。


■【正論】海道東征が覚醒させた建国の魂
http://www.sankei.com/column/news/151201/clm1512010001-n1.html
 海道東征でも何でも好きなら「他人に押しつけない限り」演奏するのも聞くのも産経の勝手ですが、何で「建国の魂」とか時代錯誤なことをいうのか。

この「抑制をきかせ」た音楽の復活を「戦前」の復活などと「がなり立て*6」る人々は、「品性」がないのである。

 そもそも「海道東征の演奏それ自体」を「戦前の復活」と批判してる人はいるんでしょうか?。産経の被害妄想じゃないのか?。ただし産経のこうした「海道東征」の扱い方それ自体は「極めて右翼的で戦前復活」で「品性がない」と思います。当然産経のような態度は「批判されて当然」と思います。


■【主張】拉致と日朝合意 いつまで待てというのか
http://www.sankei.com/column/news/151201/clm1512010003-n1.html
 こういうタイトルですが、オチは

交渉を後押ししたい。

のだそうです。「安倍応援団」産経としては安倍政権相手に「交渉を打ち切れ」とは言えないようです。
 なお「交渉を後押ししたい」という産経ですが「どう後押しするのか」まともな具体論は何も書いてありません。

拉致問題に何の進展もない以上、解除した一部制裁を復活させ、新たな制裁も検討すべきである。

などという「それ交渉の妨害でしかないだろ?」という、いつもながらあほなことを言っていますが、「小泉訪朝後、10年制裁して効果がなかったこと」も「中露が公然と北朝鮮を支援してる事」も「韓国が開城工業団地をやってること」も産経の脳みそにはないようです。
 そもそもこの文の内容の大部分は

 拉致被害者横田めぐみさんの母、早紀江さんは「なれるなら、1年でも身代わりになってあげたい」と、38年前にさらわれた娘を思いやっている。そして政府には「本気で命を助けなければならないという思いだけで、動いていただくことをお願いします」と求めた。政府には、79歳の母の思いに応える義務がある。
 早紀江さんは、大韓航空機爆破事件の実行犯、金賢姫北朝鮮工作員から、めぐみさんが北朝鮮で「君が代」を歌っていたと聞いたという。それは日本人だという意思表示であり、望郷の念が歌わせたものでもあったのだろう。
 また早紀江さんには、大切にしているカセットテープがある。
 めぐみさんが小学校の卒業式の謝恩会で歌ったシューマンの『流浪の民』が録音されたものだ。

なんて「拉致解決を論じる上では何の意味もないお涙頂戴」ですからいつもながら産経はお話になりません。


■【産経抄】妖怪が助けてくれた 12月1日
http://www.sankei.com/column/news/151201/clm1512010004-n1.html
 この水木氏追悼コラムで面白いのは「ゲゲゲの鬼太郎」には触れても、NHKドラマにもなった「総員玉砕せよ!」などの戦争マンガには一言も触れないことですね。何故そうなるのかは分かります。水木戦争マンガに小生も詳しいわけではありません。「総員玉砕せよ!」しか知らない。しかし「総員玉砕せよ!」を読むだけで、あるいはNHKのドラマを見るだけで水木氏の「あの戦争についての認識」は産経とは違い、批判的なものであることがわかります。
 当然、産経としては触れたくない。触れて「水木氏の批判するとおりあの戦争は酷かった」とも、また逆に「あの戦争を批判する水木は反日左翼だ、売国奴だ」とも産経は言いたくないからです。
 一方、赤旗

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-12-02/2015120201_06_0.html
 戦争中、南方の最前線に送られ、所属部隊は水木さんを残して全滅。自身もマラリアに苦しみ、空襲で左腕を失い、死線をさまよいました。不条理、人間の死、生への執念。その体験は「総員玉砕せよ!」などの戦記漫画に描写され、むごさを告発してきました▼みずから作詞した鬼太郎の歌にこんな一節があります。「たのしいな たのしいな おばけは死なない 病気もなんにもない」。そこには、あらゆる尊厳を奪われ死んでいった戦友たちへの鎮魂と、反戦への強い思いが込められていたはずです。

とし水木氏の「戦争批判精神」について触れています。

*1:「毛主席語録」と呼ばれることもある。

*2:「中国の安い商品が大量に英国に来たら会社を首になるかも」という労働者に迎合してるんでしょうか?。それなら「ある意味左派的」かもしれません。理由は何でアレこんな反中国は非常識だとは思いますけどね。

*3:中国批判するなとは言いませんが「沖縄に米軍がないと中国が攻めてくる(I濱女史の珍発言)」とか「議場でいきなり毛語録読む(マクドネル議員)」とか非常識なことをしても何ら意味のある中国批判ではありません。

*4:なお、質問は「俺が思いついた仮想質問」に過ぎないのでこれ以外でも構いませんし、こうした仮想質問について「俺が『企業秘密漏洩の恐れ』などについて具体的な根拠を有しているわけではない」ので念のため断っておきます。

*5:著書『人民元、ドル、円』(2004年、岩波新書)、『アベノミクスを殺す消費増税』(2013年、飛鳥新社)、『消費増税の黒いシナリオ:デフレ脱却はなぜ挫折するのか』(2014年、幻冬舎ルネッサンス新書)、『人民元の正体:中国主導「アジアインフラ投資銀行の行末」』(2015年、マガジンランド)など

*6:「批判する」と書かず「がなりたてる」と悪意もろだしの表現という辺りはさすが産経らしいゲスさです。