今日の産経ニュース(12/7分)(追記・訂正あり)

■韓国、日本に被害補償求め新党か 元徴用工団体など 4月の総選挙への候補者擁立目指す
http://www.sankei.com/world/news/151207/wor1512070039-n1.html
 これは裏返せば「与党も最大野党も俺達のことなんかまともに考えてないんだ」という不満が戦争被害者にあると言う事でしょう。産経の普段の主張「韓国は反日」がいかに事実に反するか分かります。安倍のような常軌を逸した極右相手にはさすがに韓国政府も批判しますがそうでもなければそんなに日本批判には積極的じゃないと言う事です。


■【産経抄】米で銃規制できぬ理由は200年以上前の憲法条文にある 12月7日
http://www.sankei.com/column/news/151207/clm1512070004-n1.html
 米国での銃規制が進まない事を「銃器犯罪を助長してる」と非難しながら「日本の軍事行動を規制する憲法九条を罵倒する」産経の神経は全く理解できません(ちなみに護憲派の一人である故・宇都宮徳馬代議士(自民)は俺の記憶では生前、憲法九条のことを「昭和の刀狩り、廃刀令」と呼んでいたかと思います)。
 憲法九条の制約をなくすことは「日本の無法な軍事行動を助長するのではないか」と何故産経は思わないのか。
 そして「安全のためには銃保持が必要だ、むしろ規制は銃で犯罪者から身を守る権利を侵害する」という銃規制反対派はむしろ九条を敵視し「軍隊で平和を守るのは当然だ、侵略されたらどうする」と主張する産経に価値観が近く、一方「銃はむしろ犯罪を助長してる、銃保有者が犯罪をしない保証はない」という銃規制賛成派は「平和のためには外交が大事だ、武力は可能な限り小さければ小さいほどいい」「巨大な武力はむしろ紛争を助長する」とする九条擁護派に価値観が近いと思うのですが。


■蠢く第3極…京都市長選「非共産」対「共産」から一転、混戦模様へ
http://www.sankei.com/west/news/151207/wst1512070083-n2.html
 京都と大阪では政治事情が全然違うので「第三極」など出ないでしょうし、でたところで「相乗り対共産」の対決に埋没するであろう事は目に見えています。「相乗り対共産の激戦」ならともかく、混戦になど全くならないでしょうね。少なくとも維新が健闘するという混戦など起きそうにない。
 まあ、維新への好意を隠さない産経的には「維新が健闘する形での混戦希望*1」なのでしょうが。


■【安保法廃止集会詳報(1)】石田純一氏、勘違いか?「重要“環境”事態法って何ですか?」
http://www.sankei.com/politics/news/151207/plt1512070001-n1.html
■【安保法廃止集会詳報(2)】総がかり委員会・高田健氏*2「韓国の市民とも連帯して戦争法廃止する」
http://www.sankei.com/premium/news/151207/prm1512070010-n1.html
■【安保法廃止集会詳報(3)】シールズ女性・くるみ氏「日本帝国100年の総括をしよう」
http://www.sankei.com/premium/news/151207/prm1512070007-n1.html
■【安保法廃止集会詳報(4)】学者の会・三島憲一*3大阪大名誉教授「誰も住んでいない小さな島を尖閣尖閣と騒ぐのは非現実的」
http://www.sankei.com/premium/news/151207/prm1512070008-n1.html
■【安保法廃止集会詳報(5)】シールズ・諏訪原健氏「安倍政権は公の利益*4のためなら民主主義や個人の自由も無視する」
http://www.sankei.com/premium/news/151207/prm1512070011-n1.html
■【安保法廃止集会詳報(6)】佐高信*5岸井成格の降板は2カ月前から行われ、次の星浩*6は骨なしクラゲ」「菅義偉ゲッペルスだ」「公明党に仏罰を」
http://www.sankei.com/premium/news/151207/prm1512070006-n1.html
■【安保法廃止集会詳報(7)】民主党福山哲郎*7「安保法廃止へ市民・政党は結集を!」「来夏まで皆さんと一緒に戦う」
http://www.sankei.com/premium/news/151207/prm1512070015-n1.html
■【安保法廃止集会詳報(8完)】共産・志位委員長「沖縄の工事は戦争法と根が一つ。絶対許せない」
http://www.sankei.com/premium/news/151207/prm1512070009-n1.html
 特にコメントはしません。「アホか」と言う「産経文化人のアホ主張に対する突っ込み」コメントは割と気楽に書けるのですが、このケースのように「基本的には共感するところが多いが異論もある」なんて場合はうまくコメントができない無能が俺です。
 しかしここからは産経がなんだかんだ言いながらも「安保法批判派」の動きを警戒していることが伺えます。
 また産経の思惑はともかく、こうした記事は「産経が発言を歪曲していない限り」非常に勉強になりますよね。
 「志位氏や福山氏、シールズの若者はそう言う考えなのか」とか「そう言う考えは今までしたことがなかったが確かにその通りだと思う」とか。
 まあ、産経を愛読するような人間の多くはこういう記事を読まないのでしょうし、読んでも反発するだけなのでしょうが。


■【正論】真の国際人であるための条件とは何か 入江隆則*8(明治大名誉教授)
http://www.sankei.com/column/news/151207/clm1512070001-n1.html
 「南京事件否定論河野談話否定論を公言する」「国際社会から非難されている捕鯨の続行を強く主張する」などおよそ国際性に欠ける産経が良くもふざけたタイトルがつけられるモンですが、内容も国際性のかけらもない酷さです。

 実は私も自分の娘を国際人にしようとして努力したことがないわけではなかった。本人の希望や、私の日本の大学への失望感もあり、大学から大学院にかけてはイギリスで教育を受けさせることにした。一応、その甲斐もあって、娘は英語を使い、アメリカの国際企業に勤務し、シンガポールを拠点に活動している。しかし、どうも最近はそのマイナス面が目について仕方がない。
 娘はロンドンかパリに家を建てるといっている。つまり娘に会いに行くときには国際線に乗らなければならない。
 また、最近は本を書くなどと言っているが、それも日本語ではなく英語にしようと考えているらしい。

やれやれですね。何が「マイナス面」なのか。
単に
1)昔は外国かぶれだったからか「留学」など娘さんの希望を許したが今は何故か「産経文化人になるほど右傾化」、今は娘さんのやることなすこと気にくわない
2)昔から娘さんのやることは「右翼的考え」から気にくわなかったが、娘さんが「私のやりたいようにやって何が悪い」というので我慢してきた。しかしやっぱり我慢がならない
てだけじゃないですか。
 娘さんが海外で生活したいというならそれは仕方がない話です。「父親の俺は日本に住みたい、だからお前も日本に住め、会いたいときは、俺に海外まで来いとか、お前が海外から日本に来るなんてのは金もかかるし面倒じゃないか」てそんな変な話はない。
 本にしたっておそらく「海外で出版し、読者も海外対象」なんでしょう。だったら日本語で書くわけがない。

 重光葵*9は隻脚の外交官として知られているが、彼が片足を失った理由は、昭和7年4月29日の上海における天長節祝賀会で、朝鮮の独立運動家・尹奉吉*10が投げた爆弾を身に受けたからだ。そのときは君が代の斉唱中だったので、爆弾が投ぜられたのを知っていながら重光が体を動かさなかったためだとされている。
 つまり国歌斉唱というのは戦前の日本人にとっては、それぐらいの、場合によっては「捨て身」であることが必要な重要行為だったわけで、今の日本人なら爆弾を見た途端に歌うのをやめて、さっさと逃げ出すに違いない。だから本来の意味での真の国際人であるためには、単に英語が話せるというようなことだけではなくて、その根底に強い愛国心があって然るべきなのだが、それが忘れられているのが今日の姿であるような気がしてならないのである。

 ばかばかしいですね。本当に重光が逃げなかったのが「国歌斉唱のため」なのかはわかりません。実際には「突然の出来事」にパニックになって対応が遅れただけかも知れない。
 いずれにせよ「国歌斉唱のために逃げなかった」というならそれはただ単にバカバカしいだけです。逃げればいい。別に逃げたからと言ってそれは「国歌を侮辱した」ことにはならないでしょう。国歌斉唱なんて命を犠牲にしてまでやる事じゃない。そんなことを強要し「そうしない人間は愛国心がない」と強弁することの方がよほど国際性に欠ける話です。

*1:もちろん維新が相乗り候補から票を奪って共産が健闘し、相乗りから票を奪っても結局大して票を奪えず、維新は埋没する形での混戦は産経は望んでないでしょう。

*2:著書『改憲・護憲、何が問題か:徹底検証・憲法調査会』(2002年、技術と人間)、『護憲は改憲に勝つ:憲法改悪国民投票にいかに立ち向かうか』(2004年、技術と人間)、『自衛隊ではなく、9条を世界へ』(2008年、梨の木舎)など

*3:著書『ニーチェ』(1987年、岩波新書)、『戦後ドイツ:その知的歴史』(1991年、岩波新書)、『戦争責任・戦後責任:日本とドイツはどう違うか』(共著、1994年、朝日選書)、『ニーチェとその影』(1997年、講談社学術文庫)、『現代ドイツ:統一後の知的軌跡』(2006年、岩波新書)、『ベンヤミン:破壊・収集・記憶』(2010年、講談社学術文庫)など

*4:正確には「安倍が『公の利益』と主張するもの」ですね。なお、安倍の民主主義に蹂躙に対する「民主主義擁護」も勿論「公の利益」の一つです。

*5:著書『銀行倒産:ドキュメント金融恐慌』(1992年、講談社文庫)、『戦後企業事件史』(1994年、講談社現代新書)、『社長のモラル:日本企業の罪と罰』(2000年、講談社文庫)、『湛山除名:小日本主義の運命』(2004年、岩波現代文庫)、『電力と国家』(2011年、集英社新書)、『自民党首相の大罪』(2013年、七つ森書館)、『不敵のジャーナリスト・筑紫哲也の流儀と思想』(2014年、集英社新書)、『安倍政権を笑い倒す』(共著、2015年、角川新書)、『安倍「壊憲」を撃つ』(共著、2015年、平凡社新書)など

*6:安倍と癒着関係にあると噂される元・朝日新聞政治記者。著書『自民党と戦後:政権党の50年』(2005年、講談社現代新書)、『安倍政権の日本』(2006年、朝日新書)、『官房長官:側近の政治学』(2014年、朝日選書)など

*7:鳩山内閣外務副大臣菅内閣官房副長官民主党政調会長(海江田代表時代)などを経て現在民主党幹事長代理。

*8:著書『明治天皇日露戦争:世界を感動せしめた日本武士道』(共著、2005年、明成社)、『主権回復:本当の終戦記念日は、四月二十八日である』(共著、2008年、近代出版社)など

*9:戦前、東条、小磯内閣外相。戦後、改進党総裁、日本民主党副総裁(総裁は鳩山一郎)、鳩山内閣外相を歴任。

*10:この事件では重光が負傷した以外にも「上海派遣軍司令官・陸軍大将白川義則が死亡」し「第3艦隊司令長官・海軍中将野村吉三郎、第9師団長・陸軍中将植田謙吉、上海駐在総領事・村井倉松が負傷」し、実行犯の尹には死刑判決が下りました(ウィキペディア尹奉吉」参照)。