今日の産経ニュース(12/21分)(追記・訂正あり)

■【戦後70年〜東京裁判とGHQ(2)】石原慎太郎*1の忘れ得ぬ屈辱 東條英機*2は「日本のヒトラー*3」だったのか? 残された遺族たちは
http://www.sankei.com/premium/news/151221/prm1512210015-n1.html
 まあ、何を持ってヒトラーと呼ぶかですね。ヒトラーのようなカリスマ性が東条にあったかと言えばなかったでしょうからそう言う意味ではヒトラーではない。また「その上には誰もいない絶対的存在」ヒトラーと違って東条の上には「昭和天皇という上司」がいたわけです。色々な意味で東条とヒトラーには違いがある。
 ただし「首相、陸軍大臣参謀総長を一時は兼務し絶大な権力を握っていたこと」を考えれば「日本のヒトラー」と呼ぶことも別におかしくないでしょう。まあ「ヒトラー=最高指導者」と言う点に着目すれば「日本のヒトラー昭和天皇」ですが。

戦勝国が「支配者」として一方的に敗戦国を裁こうとしていることだけは伝わった。あの屈辱感は今も忘れない。

 実に産経&石原らしいですね。ならば産経&石原は「裁判はすべきではなかった」というのか。産経&石原はどうやってあの戦争の後始末をつける気でいるのか。その理屈だとニュルンベルク裁判やユーゴ戦犯裁判、イラクフセイン大統領が死刑になった裁判なども産経は否定するのか。それとも東京裁判だけ否定するのか。

近衛のリスト掲載が遅れたのは、中国が南京の軍事法廷への引き渡しを要求したこともあるが、GHQが大戦の経緯を理解していなかったことが大きい。

 産経が何を根拠にそう言うんだかさっぱり分かりません。

戦争への関与が極めて薄い元首相、広田弘毅

 戦争が「1941年以降の太平洋戦争のみ」を意味するならそうかも知れませんが「1931年の満州事変」や「1937年の盧溝橋事件」も含めて考えれば「斎藤*4、岡田*5内閣外相、首相、近衛*6内閣外相(1933〜1938年)」として政権中枢にいた広田はとても「関与が薄い」とはいえません。

「日本=侵略国、米国=正義」というGHQの世論操作もあり、東條の遺族に対する戦後日本社会の風当たりは凄まじかった。

 やれやれですね。日本は侵略国ではないと産経は強弁する気でしょうか。そして別に「世論操作」などなくても「自国を焼け野原にした人間の一人・東条」に世間が厳しいのはある意味当然でしょう。
 もちろん「オウム麻原の娘だろうと何だろうと」子どもと親は別人格であり、親の行為を理由に子どもを非難することはid:Bill_McCrearyさんのエントリ『世の中理不尽な災難にあうこともある』(http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/d6d2f3474ecb3965c1e7b49b8a3dc226)が指摘するように不当ですが、もちろん「子どもへの非難が問題」なだけであって「だから東条英機は正しい」なんてことにはまったくなりません。


■国歌「君が代」不起立で減給処分は適法 58歳教諭の訴えを棄却
http://www.sankei.com/west/news/151221/wst1512210054-n1.html
 この程度の事で減給処分する大阪府も異常ならそれを容認する裁判所も異常です。日本人であることが恥ずかしくなります。


■【主張】政府機関の移転 役所まかせでは進まない
http://www.sankei.com/column/news/151221/clm1512210003-n1.html
 「政府機関移転」の現実性や是非はひとまずおいて、まあ、ある意味「進まない」のは当然でしょう。
 トップの安倍が「極右的なこと」には興味はあっても政府機関移転など興味ないからです。
 そもそも政府機関移転は石破*7地方創生相がすすめる「地方創生」の一環として出てきたものです。安倍政権として「一億総活躍」「希望出生率1.8実現」「介護離職ゼロ実現」のような形で安倍がぶち上げたもんじゃない。「一億総活躍その他」安倍がぶち上げた物だって安倍がどこまで本気か疑問ですが、政府機関移転など安倍は「石破が勝手に言ったこと」としか思ってないでしょう。
ここで
1)政府機関移転について国民世論が盛り上がり、その推進が支持率向上に役立つことが期待できたり
2)例の「大阪・副首都」云々と、「安倍が露骨に肩入れする」橋下一味がこの話を絡めて「大阪への大規模な政府機関移転要求(本気かただのパフォーマンスかはともかく)」をぶちあげ、在阪マスコミもその件を大宣伝する
とか、政府機関移転話が安倍にとって*8メリットと安倍が思わない限り、安倍はこの件で何もしないでしょう。むしろ「政府機関移転なんて石破が勝手に言い出した事じゃないか」「石破の手柄なんぞ何で俺が作ってやらないといかん」「大体、既に過去の行革である程度そう言うことやってるし」「移転するのは金がかかる、そんなんおいそれとはできない」位に思ってるかも知れません。
したがって

安倍晋三首相自らが、どの役所をどの地域に移転させるのか、そのねらいや効果はどういうものかを具体的に語るべきだ。

なんて産経が言ったところで安倍はたぶん「それは担当大臣の石破さんに任せてる」と言って、何もしないでしょう。それを「安倍信者」産経も何とも思わない。

国土交通省の外局である観光庁も対象*9となっている。だが、石井啓一*10国交相は「国会や官邸との対面業務が必須」と移転反対の姿勢を鮮明にしている。

と言う石井発言は「石破への嫌がらせ」ではなく、もちろん本心でしょう。しかし、その背景には「政府機関移転なんて石破大臣が勝手に言ってること、安倍首相の方針でも何でもない」という石破への侮りがおそらくあるわけです。

*1:福田内閣環境庁長官、竹下内閣運輸相、都知事など歴任

*2:関東軍参謀長、陸軍次官、近衛内閣陸軍大臣などを経て首相

*3:ドイツ首相、ナチスドイツ国社会主義労働者党)党首、国防軍最高司令官

*4:桂、西園寺、山本内閣海軍大臣朝鮮総督、首相など歴任。内大臣在任中に226事件で暗殺される

*5:田中、斎藤内閣海軍大臣、首相を歴任

*6:貴族院議長、首相、枢密院議長など歴任。戦後、自殺

*7:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)など歴任。

*8:「国にとって」ではない。

*9:京都、奈良とか観光地に移してくれ、てことでしょうか。

*10:小泉内閣財務副大臣公明党政調会長など歴任。