今日の産経ニュース(1/12分)(追記・訂正あり)

■【阿比留瑠比の極言御免】拉致問題民主党に語る資格があるのか 自分を棚に上げ、またもレッテル貼り?
http://www.sankei.com/premium/news/160114/prm1601140004-n1.html
 緒方質問に対する阿比留の反応です。緒方質問は蓮池本を根拠にしている以上、問題とすべきは「蓮池本の真偽のはず」ですがそこからは逃げ「民主党に拉致を語る資格があるのか」と話のすり替えに走る阿比留です。

在京各紙の13日付朝刊をチェックして驚いた。安倍晋三首相が自らの進退にまで言及した答弁が、ほとんど取り上げられていなかったからだ。

 「国会質問&答弁」が全く取り上げられないわけもなく要するに「扱いが小さかった」わけです。
 これを
1)安倍を新聞各紙が恐れてる(蓮池本は事実に反すると大見得を切った安倍だが内心はこの件にふれて欲しくない)
2)蓮池氏に敵対的な家族会、救う会を恐れてる
3)拉致が風化してる
と見るべきかどうかはともかく。

拉致問題に誰よりも熱心に取り組んできた安倍首相に対し、緒方氏はよくもこんな露骨なレッテル貼りのような質問ができるものだとあきれた。

緒方氏がしたことは「阿比留の表現を用いれば」

緒方氏は、拉致被害者蓮池薫氏の兄で家族会元事務局長の蓮池透氏(後に家族会を離脱*1)の安倍首相らを批判した著書を論拠に、首相は拉致問題を政治利用してきたのかと執拗にただした。

と言う質問です。レッテル貼り云々というならそれは「蓮池透氏がしていることになる」のですが蓮池批判出来ない辺り本当に阿比留もデタラメです。まあ「安倍さんは正しい」と阿比留が叫ぶことは事実上は「蓮池は間違ってる」と言う意味になるわけですが、それでも正面から阿比留が批判するのは蓮池氏ではなく民主党になるのだから変な話です。

「(緒方氏は)何も分からないからこんな本を真実だと思い、安倍首相の攻撃材料になると質問したのだろう。事実ではないことが明白な本を事実確認もせずに出す出版社もおかしい」
 拉致被害者有本恵子さんの父、有本明弘氏はこう指摘する。

 おいおいですね。「蓮池氏に限らず」拉致被害者家族の本を「おおむね事実」と思うのは普通の反応でしょう。ならば蓮池透氏が嘘をついて安倍を誹謗しているとでも言うのか。嘘をつく動機はなんなのか。なぜ、緒方質問があるまで安倍は、安倍曰く「事実に反する」蓮池本に対し抗議などの眼に見えるアクションをしなかったのか。安倍の主張には疑念を感じざるを得ません。
 そして何故「蓮池氏の個人的体験」について「同じ拉致被害者家族」とはいえ別人の有本が「事実でない」と言えるのか。
 結局
1)有本が未だに安倍万歳だから
2)「家族会は右傾化してしまった」などの蓮池本の批判が不愉快だから
蓮池氏に悪口雑言しているに過ぎません。というか家族会サイドにしたって蓮池本についてはほとんど触れずに逃げ続けた癖によくもまあこんな事が有本は言えるもんです。

透氏の著書には「薫さん本人も当惑している」(政府高官)という。

 やれやれですね。何故薫さん本人ではなく「政府高官」なる正体不明の謎の人間の言葉しか阿比留は持って来れないのか。
 それは薫氏が兄の行為を「積極的に応援しているかどうかはともかく」、『ああいう本を書く兄貴の気持ちも分かる』と容認しているからでしょう。つまり薫氏には兄を公然と批判する気持ちなんか何もない。仮に困惑しているとしても「もう少しうまい家族会、救う会、安倍批判があるんじゃないか」程度の話に過ぎず「安倍は拉致問題に取り組む素晴らしい政治家だ」なんて阿比留のような認識でないことは確かでしょう。

 筆者は小渕恵三*2内閣の10年秋ごろ、当時の野中広務*3官房長官鈴木宗男官房副長官が「(拉致問題などで)北朝鮮を批判して跳びはねている安倍みたいなやつはけしからん」と話しているのを目の当たりに見た。

 ぶっちゃけ、小泉*4総理が引き上げてやって安倍は出世したわけで、この頃の安倍なんか大して力もありません。野中氏や鈴木氏が「安倍ごとき」についてわざわざ問題にしたかどうかは極めて疑問です。しかも証言者は「デマ記事で裁判所に断罪された阿比留」です。説得力なんか何もない。
 というか、蓮池氏が問題にしてるのは「小泉訪朝以降の振る舞い」なんだから「安倍さんは小渕内閣時代から拉致に取り組んでいたんだ」と言ったところでなんの反論にもなりません。

 小泉初訪朝の発表後でさえも拉致問題はあまり重視されず、当時の古川貞二郎*5官房副長官は9月12日の記者会見でこう述べていた。
 「(重要なのは)拉致問題で何人が帰ってくるこないということではない。そういうことがあればハッピーだが、それよりまず国交正常化に対する扉を開くことに大きな意義がある」

 拉致問題の解決という意味でも古川氏の言うとおりでしょう。「国交正常化交渉の途中」で新事実が判明し、北朝鮮が「他にも被害者がいました」となる可能性は充分あるわけです。

筆者は当時、官房副長官だった安倍首相が「小泉さんは拉致の『ら』の字も分かっていない」とうめくように漏らすのを聞いた。

 この話、阿比留しか証人はいないわけで、まあガセでしょう。つうかこんなことをいくら持ち出そうとも何ら蓮池本への反論になっていません。

 そもそも、民主党拉致問題で安倍首相を批判する資格があるだろうか。民主党議員で、拉致実行犯で北朝鮮本国では拉致被害者の監視役も務めていた辛光洙元死刑囚の助命・釈放嘆願書に署名した人の名前は何人も思いつく。

 「民主党にも金銭スキャンダルで名が上がった人間がいるから自民の金銭スキャンダルを追及するな」レベルの戯言です。大体嘆願書には「複数の政治犯の名前があった」のでありその中には「民主化運動で弾圧されたモノホンの政治犯」もいました。シンの存在に気付かず「政治犯の釈放や除名の要求はいいことだ」として署名したことは「うかつ」ではあるでしょうが阿比留が非難するほどの話でもないでしょう。また、署名した人間には公明党議員もいますがそれは無視する阿比留です。
 それに蓮池本が「間違ってる」のならこんな事持ち出す必要はないわけです。


蓮池透氏「私は嘘は書いていません」 産経ニュースの記事にツイート
http://www.sankei.com/politics/news/160112/plt1601120070-n1.html
 安倍の答弁を報じる産経記事に「私は嘘などついていない(つまり、安倍が嘘をついている)」とツィートした蓮池氏です。安倍の態度に改めて憤慨しているのでしょう。


■【衆院予算委員会】「質問自体が政治利用」−拉致問題をめぐる安倍首相と民主・緒方氏のやりとり要旨
http://www.sankei.com/politics/news/160112/plt1601120072-n1.html

 12日の衆院予算委員会で、北朝鮮による日本人拉致事件をめぐる安倍晋三首相と民主党緒方林太郎氏との主なやりとりは以下の通り。
緒方
「昨年12月、拉致被害者家族会元事務局長の蓮池透さんが著書(ボーガス注:『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(2015年、講談社))で「今まで拉致問題はこれでもかというほど政治的に利用されてきた。その典型例は実は安倍首相によるものである」と指摘した」
安倍
「読んでいないが、いちいちコメントするつもりはない。家族会にも本には強い批判がある。大切なのは北朝鮮に対し一致結束し、すべての被害者を奪還するため全力を尽くすことだ」
緒方
「首相は(ボーガス注:蓮池氏が言うように)拉致を使ってのし上がった男か」
安倍
「議論をする気すらない。そういう質問をすること自体が政治利用だ」
緒方
「平成14年、拉致被害者5人が帰国した際、世間的には当時の安倍官房副長官が強硬に反対し、北朝鮮に戻さなかったということになっている。しかし、蓮池さんの本には、首相らは一度も、拉致被害者北朝鮮に戻るのを止めようとしなかった、などとある」
安倍
「私はこの問題について、利用したことも嘘をついたこともない。当時はこの5人の被害者を北朝鮮に戻す流れだったが、私は断固として反対した。最終的には関係者が官房副長官室に集まり、私が帰さないと判断した
(中略)
 北朝鮮には常に日本の国論を二分しようという策謀*6がある。こんなもの*7にひっかかっては駄目だ。あなたがこういう質問をすること自体、私は本当に残念だ」
緒方
「蓮池さんは嘘を言っているのか」
安倍
 「私は誰かを嘘つきとは言いたくない。私の言っていることが真実だ*8とバッジをかけて申し上げる。私が言っていることが違っていたら、国会議員を辞める*9。」

 さすがに蓮池氏を糞味噌には罵倒できない物の、

北朝鮮には常に日本の国論を二分しようという策謀がある。こんなものにひっかかっては駄目だ。

と答弁することで、事実上、蓮池氏を「北朝鮮の策謀に荷担する嘘つき男」呼ばわりする安倍です。まあ、こういう質問があったことは「緒方氏の思惑が何でアレ」、蓮池透氏を誹謗して恥じない安倍のゲスぶりが改めて浮き彫りになったと言う意味で良かったんじゃないですかね。
 蓮池氏は意外にもこの質疑応答について

どっちもどっち。もっと建設的な議論をすべき!

とツィートしています。
 「緒方氏は単に安倍叩きに俺の本を使ってるだけじゃないのか。そういうのは嫌だ」「俺がただのアンチ安倍と思われるのは嫌だ*10」「むしろどう拉致を解決するのか建設的な議論を望みたい」というのでしょうが、まずはこういう質問で「安倍がろくでもない男であること」を明らかにしないと話は進まないんじゃないですかね。
 しかしこの期に及んでも安倍に金魚の糞だか下駄の雪だかのようにくっついていく家族会は全くどうしようもないバカの集団です。


■【台湾総統選】沈黙する経済界 政権交代に「不安視していない」と専門家 “中国リスク”を静かに見定め
http://www.sankei.com/world/news/160112/wor1601120069-n1.html

 上海財経大学で台商*11を研究する耿曙准教授は産経新聞の電話取材に「中台の経済交流は制度化が進んでいる。台商は、どの政党が政権に就いても政策に大きな変化はないとみており、政権交代を不安視していない」と話す。
 国民党は、中台の現当局が交流の基礎とする「1992年コンセンサス」を民進党が受け入れていないため、中台の経済交流が止まる可能性を指摘しているが、馬政権下で交流に関わった経済界の重鎮は「中国の利益に関わるものは止まらないだろう」と予測している。

 要するに民主進歩党が政権を奪還しても*12産経が期待するような反中国政策は取らないと言う事でしょう。
 「1992年コンセンサス」にしても「容認はしない」ものの、それを理由に中台経済交流を後退、停滞させることはないということでしょう。まあ、当然のことだと思いますが、そのときに散々、馬・現政権を「媚中」と罵倒していた産経が民進党を罵倒するのか、はたまた「掌返しで罵倒もできずに」適当にお茶を濁すのかは気になるところです。

*1:除名されたのですが「離脱」と書きまるで退会が蓮池氏の自由意思であるかのように表現する辺り全く阿比留はせこい男です。

*2:竹下内閣官房長官、橋本内閣外相などを経て首相

*3:村山内閣自治相・国家公安委員長小渕内閣官房長官自民党幹事長(森総裁時代)を歴任

*4:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相などを経て首相

*5:現在、厚生事務次官内閣官房副長官(村山、橋本、小渕、森、小泉内閣)、株式会社麻生麻生太郎のファミリー企業)監査役などを経て社会福祉法人恩賜財団母子愛育会理事長。

*6:北朝鮮問題で安倍を支持しない者は北朝鮮にいいように操られてる愚か者」という暴論です。戦前日本の「非国民」やスターリンソ連の「反革命」などと同レベルの下らぬレッテル張りです。

*7:前後の文脈から「こんなもの=蓮池本」としか理解できません。

*8:事実上蓮池氏を嘘つき呼ばわりしているのと同じです。

*9:もちろん「証拠がないから水掛け論になる」と思っての居直りでしょう。

*10:もちろん「安倍は人気取りに拉致を政治利用しただけじゃないか?」と安倍に疑念を抱いてる蓮池氏はアンチ安倍でしょうが、ここでの意味はそう言うことではなく「野党を利する党利党略的な動きをしてると思われたくない」ということですね。あくまでも蓮池氏のアンチ安倍は「拉致を政治利用するな、安倍!」と言うことに過ぎないわけです。

*11:中国に進出している台湾企業のこと

*12:マスコミ世論調査の支持率では民主進歩党への政権交代はほぼ確実でしょう。