今日の産経ニュースほか(2/25分)(追記・訂正あり)

■ダイヤモンドオンライン「北朝鮮ミサイルの脅威の中で原発再稼働は許されない」(豊下楢彦*1
http://diamond.jp/articles/-/86811

 安倍政権は北朝鮮のミサイル発射に備えて1月28日に破壊措置命令を発したが、その翌29日に関西電力高浜原発3号機が再稼働した。本来ならば、福井県高浜町という、日本海を挟んで北朝鮮と向かい合う町で原発が再稼働した問題を、北朝鮮のミサイル発射と関連づけて正面から問い直さねばならないはずである。
 なぜなら、政権として集団的自衛権の解釈変更に踏み出すことを宣言した2014年5月15日の記者会見において安倍首相は、「北朝鮮のミサイルは、日本の大部分を射程に入れています。東京も大阪も、皆さんの町も例外ではありません」と、その脅威を煽っていたからである。とすれば原発も「例外」であるはずはなく、それどころか、北朝鮮の指導部が真に日本に大打撃を与える“邪悪な意図”を持っているならば、間違いなく原発*2をターゲットにするであろう。
(中略)
 北朝鮮のミサイルに対して安倍政権が「いかなる事態に対しても国民の生命を守るために万全を期す」と強調するのであれば、原発へのミサイル攻撃という「最悪事態」に備えて、川内や高浜など稼働中の原発の周辺にPAC3を配備すべきであった。
 あるいは安倍政権は、1949年のジュネーブ条約第一追加議定書の56条に着目しているのであろうか。同条では、「危険な力を内蔵する工作物及び施設、すなわち、ダム、堤防及び原子力発電所は、……文民たる住民の間に重大な損失をもたらす場合には、攻撃の対象としてはならない」と規定されている。とすると安倍政権は、あくまで北朝鮮という国はこの国際条約を順守し、原発にミサイル攻撃を加えるといった非人道的な行為を犯すことなど考えられない「理性的な国家」である、とみなしているのであろうか。

 なかなか痛烈な皮肉でしょう。
北朝鮮原発攻撃しないからPAC3で守らなくていい」と安倍が言うなら「何が根拠だ」「北朝鮮はそう言う良識を持った国だというのか、それとも原発攻撃の技術力がないというのか」などと批判、反論ができます。
PAC3で守らなくてもミサイルの直撃を受けても原発は頑丈だから大丈夫だ」と安倍が言うならこれまた「何が根拠だ」と反論ができます。
 マジな話をすれば安倍ら自民党も産経らウヨも本心では「北朝鮮の日本攻撃」など考えてないでしょう。だからこそ高浜原発再稼働なんて事が平気でできるわけです。


■【敗者烈伝 番外・勝者編】源頼朝 大政治家に「恐妻」の墓穴 作家・伊東潤
http://www.sankei.com/life/news/160225/lif1602250032-n1.html

 徳川幕府や明治政府もそうだが、政権初期においては、いかに理不尽だろうが、反逆の芽を摘み取っておかないと、その政権は長続きしない。それを成し得たのが、頼朝、徳川家康・秀忠・家光の3代、そして大久保利通であり、その結果、それぞれの政権*3は長期的安定を見た。

 「なるほど、だから天安門事件で反逆の芽を摘み取った中国は今も共産党政権が続いているのですね、そして共産党の指導の下、世界に冠たる経済大国になったのですね」「やはりトウ小平同志は偉大*4だったのですね」と皮肉を言いたくなります。
 まあ、今さら頼朝、家康、大久保を非情と非難しても仕方ない気もしますが、随分と「日本の非情な政治家」にはやさしいもんです。中国の非情な政治家「トウ小平同志」には厳しいのにね(毒)。


■【ソウルから 倭人の眼】韓国もようやく北朝鮮への幻想から目覚めたか? むしり取られた18年 「恩をあだで返された…」
http://www.sankei.com/world/news/160224/wor1602240001-n1.html
 朴クネの馬鹿さにはげんなりですね。金大中政権の功績をぶちこわしにする気なのか。朴が大統領に当選したことが本当に残念でならないですね。例えば「安い労働力が使える」というメリットが韓国にはあったわけで「北朝鮮に一方的にメリットがあったわけではない」でしょうに。
 あるいはこういう強硬策をとって南北関係を悪化させることが韓国経済のメリットになるのか。外資や外国人観光客を減らすのではないのか。


■【シャープ鴻海傘下】「本気度」を評価 銀行も理解 
http://www.sankei.com/economy/news/160225/ecn1602250028-n1.html
 記事に寄れば産業革新機構が「銀行債務の削減」を銀行側に求めたことも大きかったようです。
 これで銀行側が軒並み、鴻海を支持。シャープも「銀行と対立してまで」産業革新機構の提案にのる気にはなれなかった(それほどの魅力はなかった)と言う事でしょう。結局、「産業革新機構が無能だった」ということになるんじゃないですかね。 


■【編集日誌】頭悩ませる「マイナス金利」報道 求められる多角的視点
http://www.sankei.com/economy/news/160225/ecn1602250027-n1.html

 24日付の紙面では「2つの影響」を掲載しました。ひとつは明治安田生命保険が発表した一時払い終身保険の値上げ。もうひとつは三井住友銀行労働組合がマイナス金利で収益悪化が懸念されるため、今春闘でベースアップを見送る方針を固めたという賃上げに絡む話です。

 保険値上げもベア見送りも、いずれも「景気後退の方向」に影響する話でしょう。
 つまりは安倍応援団・産経はマイナス金利を疑問視してるのでしょう。意外ではあります。


■私がマイナス金利に反対したワケ 「預金者や融資先にコスト転嫁」反対の日銀委員が明かす
http://www.sankei.com/economy/news/160225/ecn1602250029-n1.html
 産経はこういう記事は載せないか、載せる場合も「マイナス金利に反対しやがって!」と悪口雑言かと思っていたので意外な記事ではあります。反対したという木内氏の主張については素人ですので評価はできませんが「マイナス金利が安倍サイドが言うほど争いのないベストな策ではないこと」だけは明らかでしょう。


■朝鮮大の元准教授を処分保留で釈放 東京地検
http://www.sankei.com/affairs/news/160225/afr1602250002-n1.html
 やれやれですね。「ただの詐欺」をスパイ工作員だ何だと散々騒いでこれです(正直予想の範囲ではありましたが)。釈放理由が「証拠不十分か何かは知りませんが」本当にスパイ工作員の容疑が濃厚ならそう簡単に釈放しないでしょう。「任意で捜査は続ける」というのは言い訳でしょう。身柄拘束して捜査した方が「証拠隠滅や逃亡の恐れがない」と言う意味で当然有利に決まってるし、身柄解放して捜査して新証拠がでるなんて事はまずないでしょう。
 つまりはスパイ容疑はなかったし、「逮捕容疑の詐欺すら」証拠不十分ないし「起訴するほどの価値はない微罪」だったと言う事でしょう。下手したら「そもそも犯罪でないもの」を犯罪とこじつけた「単なる北朝鮮への公安によるネガキャン」だったのかも知れません。
 そして本当にスパイ容疑だったら「釈放するな!」と騒いで当然の産経がこんなベタ記事で済ませるのもふざけた話です。それとも今後「釈放は遺憾だ」という記事でも載るんですかね?。載ったらそれはそれで問題ですが、「逮捕時に散々騒いでいた癖に」載らないのもおかしな話です。載らないのならそれこそ「逮捕時に怪しい記事を載せて済みません」と元准教授や朝鮮総連などにわびたらどうなのか。
 

■【主張】組み体操 一律禁止いかがなものか
http://www.sankei.com/column/news/160225/clm1602250001-n1.html

一律の全面廃止は、さすがに過剰反応だろう。日本の教育現場は、そこまで信用が置けないのか。

 常日頃「日教組の自虐教育」などと「現場不信」を叫び、文科省教育委員会の教育介入を求めてきた癖に産経もよく言います(苦笑)。大体組み体操の件は「現場(教職員やPTA)に任せて変わらなかったから」文科省(あるいは市町村や都道府県の教委)が出張ってきたわけです。そう言うことがいいことだとは思いませんが仕方がないでしょう。けが人(場合によっては死者)の続出という現実を無視できない。
 結局産経が「組み体操が何故か大好き」だから「現場に任せろ、文科省が口出すな」と逆ギレてるだけです。
 産経には

http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/ab1b3591661244eb54ce03b824b2b6de
私も中央官庁が教育の細かい点について口を出すのを好きな人間じゃありませんが

なんていうid:Bill_McCrearyさんのような「現場主義的な考え」があるわけではない。さすがに「組み体操でけが人が何人出ても構わない」とは言えずに「現場に任せればいい」と言い訳してるだけです。

徒競走でも、転べばけがをする。泳げば溺れる可能性がある。相撲や柔道などの格闘技はもちろん、野球やサッカーなどの球技でも負傷のリスクは常にある。

こういうのを詭弁と言います。組み体操と一般のスポーツでは危険性が段違いでしょうし、組み体操は一般のスポーツを上回る利点があるわけでもないでしょう。誰も一般のスポーツの禁止を叫んでるわけでもない。なお、お断りしておけば相撲や柔道だって初心者にいきなり危険な技をかけて怪我をさせれば問題ですし、水泳だって「いわゆる金づち」を適切な指導をせずにおぼれさせれば問題です。

*1:著書『安保条約の成立:吉田外交と天皇外交』(1996年、岩波新書)、『集団的自衛権とは何か』(2007年、岩波新書)、『昭和天皇マッカーサー会見』(2008年、岩波現代文庫)、『昭和天皇の戦後日本:〈憲法・安保体制〉にいたる道』(2015年、岩波書店)など

*2:まあ原発じゃなくてダムやガス・石油タンク、発電所などをミサイルで破壊されても相当の物的、人的被害が出るでしょうが。

*3:まあ大久保について言えば、続いたのは明治新政府であって彼個人は暗殺されていますが。

*4:まあ民主主義的な面はともかくトウが偉大な政治家であることに争いはないでしょうが。