今日の産経ニュース(3/16分)(追記・訂正あり)

■朝日の記事「原発の不安あおる」 鹿児島県、規制委が猛反発 川内原発周辺のモニタリングポストに有識者「問題なし」
http://www.sankei.com/affairs/news/160316/afr1603160027-n1.html
 「科学音痴ですので」朝日や共同の記事の是非についてはひとまずおきます。鹿児島県も「安倍に任命された規制委員会」もどう見ても再稼働推進派であり、彼らの物言いは客観て記ではあり得ないことをまず指摘しておきます。

 共同通信も同日午前、「監視装置、半数が性能不足」の見出しで、「監視態勢が不十分なまま、再稼働したとの批判が出そうだ」との記事を配信した。

ということで朝日と同趣旨の記事を共同も配信したのに産経や原子力規制委員会の田中委員長がやたら「朝日ガー」といってる辺りは彼らの「朝日嫌い」という薄汚い精神を暴露していると言っていいんじゃないか。

 朝日の記事には「不十分だったり、未設置だったりする状態で再稼働するのは問題だ」とする規制庁職員のコメントも掲載された。
 この規制庁職員は、産経新聞の取材に「一般論として『不十分であれば問題』と言ったことを再稼働とつなげられ、不本意だ。鹿児島県の対応は問題ないと考えている」と述べた。

 産経じゃあるまいし朝日もコメントを勝手にねじ曲げて、自分に都合のいい記事を書くほど無茶苦茶じゃないでしょう。結局この職員が「俺が左遷でもされたら困る」と変節して過去の発言をなかったことにしようとしてるだけじゃないですかね?


スティグリッツ*1発言要旨 消費税引き上げ「今のタイミングは適切ではない」
http://www.sankei.com/economy/news/160316/ecn1603160074-n1.html
 まあスティグリッツ(2001年ノーベル経済学賞受賞者)に聞くまでもない話ではあるでしょう。今の経済状況で消費税増税を支持する人もあまりいないでしょう。


■【米大統領選】トランプ氏がフロリダなど3州で勝利、ルビオ氏*2は撤退発表 ケーシック氏*3オハイオ制す 5州で予備選
http://www.sankei.com/world/news/160316/wor1603160021-n1.html
 自らの選挙区であるフロリダでトランプに負けたことによって「暫定三位」ルビオが撤退を表明したそうです。これで「暫定1位トランプ」と「暫定2位クルーズ*4」の一騎打ちと言う事になるのでしょう。
 クルーズが茶会系であることを考えれば「民主党の大統領選勝利はほぼ確定した」といっていいのでしょう。


■中国の東シナ海ガス田開発、国際仲裁裁判所へ提訴を 自民党が「態度を毅然とさせよ」と政府の背中押す 
http://www.sankei.com/politics/news/160316/plt1603160002-n1.html
 そもそも仲裁裁判で日本にいい結果がでるか疑問です(少なくとも外交交渉と違い柔軟な解決は難しいでしょう)。またこんなことを中国との「仲裁裁判で解決しよう」との了解もなしにやれば日中関係が悪化しかねない。今の自民党の反中国ブリにも困ったもんです。


■【主張】国連委の対日非難 不当な干渉許さぬ発信を
http://www.sankei.com/column/news/160316/clm1603160002-n1.html
 タイトルから「ああ、慰安婦か」と思った方も多いでしょう。慰安婦については

慰安婦問題で、政府は国連人権委員会のクマラスワミ報告が「性奴隷」と決めつけた事実誤認への反論を怠った。

というとんでもない一文がありますが今回のメインは「女帝制を導入してはどうか」という話への反発です。

いったい、どういう資格で日本という国家の成り立ちにもかかわる事柄に口を差し挟むのか。

 思わず吹き出しました。一体どういう論理で「女帝を認めたら国家の成り立ちが歪む」などと思えるんでしょうか。
 この件で「国連を許さない」などとこぶし振り上げてるのは産経のようなウヨだけだと思いますが。
 過去には推古、持統など女帝がいるし、日本での女帝否定については「女帝を認めない儒教思想*5の影響ではないか」といわれてるんですが。「儒教影響説」が事実か小生は知りませんがもしそうなら「女帝否定は日本の国の成り立ちでも何でもない」わけです。ルーツが中国思想(儒教)のわけですから。

この問題は国会でも取り上げられ、安倍晋三首相は「わが国の皇位継承のあり方は、女子に対する差別が目的ではないことは明らかだ」と指摘し、国連の委員会で取り上げるのは「不適当」と批判した。至極当然である。

 問題は「目的が差別かどうか」ではなく「客観的効果が差別かどうか」なんですが。
 たとえば「夫婦別姓を認めない法制度は女性差別が目的ではない」などといったところで何の反論にもなっていません。当然国連が取り上げても全然不適当じゃない。
 つうか前も書きましたが「慰安婦問題での安倍政権批判でウヨが怒るのは分かります(支持するではない)」が女帝導入論ってこんなに怒る話なんですかね。まあ小生的には天皇制が「男性の後継者不足」で滅びようと天皇制支持者でないので知ったことではない*6。しかし「男女平等」という問題はおくとしても「後継者不足を解消する現実的政策」といったらこれは女帝しかないでしょう。側室だの元皇族復権だの現実的じゃないでしょう。「今のママでも何とかなる、悠仁君がいるし」というのは、問題解決先送りでしかない。いやまあ小生的には今のママで天皇制が消滅しようといっこうに構わないのですが。
 まともな政治家なら「外圧に屈するわけではないが」と断った上で「外国からも女性差別ではないかと言われている。今時男性限定なんて時代錯誤ではないか」としてこうした動きを、むしろ女帝導入論にもって行くと思うんですけどね。
 そういう女帝導入の呼びかけをしない、できない、やる気ない、それどころかウヨ支持層(産経や日本会議)へのこびへつらいで「女帝なんか導入しない」「国連は日本をバカにしてる」といきまく安倍自民のとんちんかんブリには本当に呆れます。もちろん「女帝なんか認めない」と叫ぶ産経や日本会議にも呆れます。

なぜ誤った情報がこうした場で取り上げられたのかを検証し、今後の対策に生かすべきだ

 そもそも女帝導入論というのは価値観の問題であって「天動説と地動説とどっちが正しいか(勿論地動説)」「源義経はモンゴルに渡ってチンギスハンになったのか(もちろんなっていません)」などという事実認識の問題ではありません。「女帝導入論は間違った事実認識だ」「日本の歴史に対する認識が不足してる」と平然と言える産経の方にこっちが呆れます。大体日本国内にだって女帝導入論はあるわけで小泉政権時の「皇室典範に関する有識者会議」は明らかに女帝導入を目指していたわけです(ウィキペ「皇室典範に関する有識者会議」参照)
 有識者会議のメンバーは

緒方貞子*7国際協力機構理事長)
奥田碩*8日本経済団体連合会会長)
佐々木毅*9(元東京大学総長)
園部逸夫*10(元最高裁判事、外務省参与(監察査察担当)、座長代理)
古川貞二郎(元厚生事務次官、元内閣官房副長官
吉川弘之産業技術総合研究所理事長、元東京大学総長、座長)

など(役職は当時)「大物官僚」「大物財界人」「保守系の学者」ですから別に左翼的なわけでもない(まあ自民党が選出する審議会委員が左翼的なわけもないし、天皇制維持が目的の女帝導入論が左翼的なわけもないですが)。
 「党内ウヨ議員の反発」&「悠仁君誕生」で「女帝が導入できればいい」程度の考えしかなかったらしい小泉氏は「女帝導入論に本格的に乗り出すこと」はあきらめてしまいますが。

*1:著書『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』(2002年、徳間書店)、『人間が幸福になる経済とは何か』(2003年、徳間書店)、『世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す』(2004年、徳間書店)、『スティグリッツ教授の経済教室』(2007年、ダイヤモンド社)、『フリーフォール:グローバル経済はどこまで落ちるのか』(2010年、徳間書店)、『世界の99%を貧困にする経済』(2012年、徳間書店)、『世界に分断と対立を撒き散らす経済の罠』(2015年、徳間書店)、『スティグリッツ教授のこれから始まる「新しい世界経済」の教科書』(2016年、徳間書店)など

*2:上院議員フロリダ州選出)

*3:オハイオ州知事

*4:上院議員テキサス州選出)

*5:漢の呂后(呂雉)、唐の武則天則天武后)は例外に過ぎない上に「政権を不法に簒奪した悪女(とは言え彼女らは王室の縁戚なので果たして不法簒奪といえるか疑問ですが)」扱いされてますし、西太后は「実権はともかく」建前では女帝ではありません。彼女らについてはウィキペディアを読めばある程度の知識が得られるでしょう。小生も無知なのでその程度の知識しかありません。なお呂后武則天西太后はセットで中国三大悪女と呼ばれるそうです(ウィキペ「中国三大悪女」参照)

*6:むしろ天皇制は廃止すべきだと思っています。ただ「廃止論を声高に唱えるほどの活動家」では小生は勿論(?)ありません

*7:著書『難民つくらぬ世界へ』(1996年、岩波ブックレット)、『満州事変』(2011年、岩波現代文庫)など

*8:現在、トヨタ自動車相談役、日本経済団体連合会名誉会長、トヨタ財団会長

*9:著書『現代政治学の名著』(1989年、中公新書)、『マキアヴェッリと「君主論」』(1993年、講談社学術文庫)、『アメリカの保守とリベラル』(1993年、講談社学術文庫)、『現代アメリカの自画像:行きづまる中産階級社会』(1995年、NHKブックス)など

*10:著書『皇室法概論』(2006年、第一法規)、『皇室制度を考える』(2007年、中央公論新社)など