今日の産経ニュース(4/17分)(追記・訂正あり)

夕刊フジ『【米中新冷戦】中国「反日プロパガンダ溶解危機 ケリー米長官の広島献花の衝撃』 (有本香*1
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160417/frn1604170830001-n1.htm
 フジ産経らしいトンデモ記事です。産経の主張(ケリー献花は安倍や産経の戦前認識の妥当性を示してる)が事実なら「戦前日本に否定的・批判的な人間(小生もその一人ですし日本の戦後は建前では戦前否定で始まったわけですが)」は「ケリー献花に反対しないといけない」わけですが、まあそんな馬鹿な話はない。
 「原爆を投下したことはすまんかった」というのは当然ながら「日本の戦争目的は正しかった、真珠湾攻撃は正しかった」という話ではない。
 被爆者や反核平和活動家も、あるいは米国政府も「産経は何言ってるんだ?」と呆れてるでしょう。


■【世界裏舞台】「日本人は諜報活動が苦手だ」というがそれは間違いだ…官邸直属の「諜報機関」を 作家・佐藤優*2
http://www.sankei.com/world/news/160417/wor1604170020-n1.html
 「諜報活動が苦手」かどうかはともかく戦前日本が「ドイツの対ソ連戦争計画に気付かず松岡外相が日独伊ソ四国同盟論を主張」「ソ連の対日参戦密約を気付かず米英との停戦交渉仲介役をソ連に要請→ソ連の対日参戦に慌てふためく」「ゾルゲがソ連スパイであることに気付かず情報収集活動を許す」など、情報戦の失敗で痛い目を見たのは事実です。
 まあそれだけドイツやソ連が「情報戦の達人」なのかもしれませんが。


■【iRONNA発】“贅沢三昧”な都市外交、“優先”する韓国人学校の設立…綻びを見せ始めた舛添知事の「暴走」 音喜多駿氏
http://www.sankei.com/premium/news/160417/prm1604170013-n1.html
 「舛添氏の海外出張費が高額だ」という批判はともかく「韓国学校への土地貸与」は何ら非難される話ではありません。むしろ「良くやった、舛添」「つうか何故今までの知事はそう言うことをしなかったんだ(民団の要請がなかったのか、はたまた過去の知事が嫌韓国差別者なのか)」つう話でしょう。
 つうかここまで産経が韓国学校を敵視する理由が全く分かりません。


■【鑑賞眼】三K辰文舎落語&ライブ 噺家たちの“二刀流” 昭和のにおいがするラインアップ
http://www.sankei.com/entertainments/news/160417/ent1604170006-n1.html
 「三K辰文舎」とはもちろん「さんけいしんぶんしゃ」と読みます。あまりセンスのいいネーミングとも思いません(苦笑)がそれはさておき。
 読んでるこっちは「あれか、こういう名前って事は産経読者相手の落語会で産経主催なのか?」と思いますが

ユニット名は、3人の本名のイニシャルのK*3と、扇辰の「辰」、文左衛門の「文」、結成当時の小せんの高座名、鈴々舎わか馬の「舎」から。

としか産経が書かないから「だーかーら、産経の主催で、客は産経読者限定なのか位書けよ(多分そうなんだろうとは思うけど)」「まさか詳しい事が知りたければ落語会や落語家の名前でググればいいとか言い出さないだろうな。使えねえ新聞だな」と思わずにはいられません。


■【今週の注目記事】竹島を考える−「日本には哲学がない*4」「低級な侍文化」…韓国“侮日”教授が唱える山法師の論理 振り回される歴史は今も 下條正男*5拓殖大教授
http://www.sankei.com/west/news/160417/wst1604170005-n1.html
 黙然日記氏(id:pr3氏)もhttp://d.hatena.ne.jp/pr3/20160412/1460465250で批判していますが
1)竹島問題についてまともに淡々と「日本の主張の正当性」を訴えればいいのに
2)竹島(独島)韓国領土説の論者(韓国人)の中から「日本に下品な悪口雑言をする*6」相当にレベルの低い御仁(国立安東大学のシン・サンヒョン教授)を見つけ出してきて「見ろ、こんなにレベルが低いんだぞ」と罵倒してみせる
というくだらない記事です。そんなんで「韓国の主張が否定できる」のなら同様の手口で竹島について「日本側の主張も否定できる」んですよね。言うまでもなくレベルの低い御仁は「id:pr3氏が名前を挙げてる筑波大の古田博司教授*7」など日本ウヨ界隈にはごろごろいるからです。この下條教授もそうした「レベルの低い人間」の一人です。
 なお、この「レベルが低い御仁(シン教授)」も何から何まで言ってることが間違ってるわけではなく産経曰く

シン教授は日本とドイツを比較し、日本には反省が足りないとした。

とのことです(ただし「日本ウヨは植民地支配や侵略戦争について無反省」つう話は「右翼系の竹島・日本領土説論者(例:下條教授)が無意味&無駄に韓国に敵対的、挑発的で、しかも河野談話否定論などのデマまで公言してる」「したがって右翼系の論者ははっきり言って有害無益」という話には繋がっても「日本の竹島についての主張は間違ってる」つう話には繋がらないと思いますが)。
 まあ、「日本はともかく」少なくとも「河野談話南京事件実在論を否定したがってる」安倍政権や産経には「ドイツと比べて反省が足りない」のは明白ですが

だが、韓国が比較の対象としなければならないのはドイツではなく、フランスである。

と産経は居直るから最低です。
 産経の理解では「日本の反省が足りない」のではなく「日本は反省してるのに韓国が執念深い(フランスに比べて)」というとんでもない話になるわけです。その主張自体が見事に「反省が足りない証拠」になっています。つうかフランスが仮に「寛大だったのだとしても」ドイツが産経や安倍並みの無反省だったらさすがにフランスもドイツを許さなかったでしょう。


■【今週の注目記事】中国の野望「南シナ海制圧」防げ、自衛隊のフィリピン展開求める声も…日比は準軍事同盟関係に
http://www.sankei.com/west/news/160417/wst1604170003-n1.html
 フィリピンと中国の領土争いで「中国への憎悪」から「フィリピンを支援しろ」と無茶苦茶言う産経です。
 勘弁してほしいですね。


■【伊勢志摩サミット】各国首脳にも「日本の精神性」を…サミットでの伊勢神宮訪問を準備 講演で外務省幹部
http://www.sankei.com/west/news/160417/wst1604170029-n1.html

政教分離原則の観点から、宗教色の強い参拝とはせず、訪問の形式を取る見通し。

 要するに「二礼二拍手一礼しない」「賽銭は出さない」などということでしょうがだったら「最初から行くな」つう話です。ウヨの安倍が「何が何でも行きたい」のでしょうが。

 広島市で今月開かれた先進7カ国外相会合でも、外務省は各国外相が「厳島神社を訪問した」と発表している。

 安倍のやることですから厳島神社訪問だって「右翼的思惑(各国首脳も訪問してるのだから首相の神社参拝は政教分離に反しないと強弁するための画策)」でしょう。うんざりします。

溝渕氏は同時に、首脳は中部空港(愛知県常滑市)に到着後、自衛隊ヘリで三重県に移動すると明らか

 護衛付き公用車ではなく、わざわざ自衛隊ヘリなんか使わなきゃ行けないほどのテロの危険なんかないでしょうに。
 安倍らしい自衛隊宣伝なのでしょう。


■【セブン&アイ内紛劇】中興の祖・鈴木敏文会長兼CEOはなぜ晩節を汚す結果を招いたのか? 背景には創業家一族との確執も
http://www.sankei.com/premium/news/160417/prm1604170021-n1.html

 村田氏*8は、「指名・報酬委の中で創業家で大株主の伊藤家の判断も重要」と指摘されたと明かす。そのため、「人事案について説明し、ハンコをもらいにいった」(村田氏)。だが、伊藤氏は人事案を承諾せず、ハンコを押さなかったという。村田氏は「今まで鈴木会長に経営を任していた名誉会長が、なぜ承諾いただけないのか分からなかった」と困惑を隠さない。

 むしろ「100点満点かどうかはともかく」売り上げを伸ばしてる、そしてそもそも鈴木氏らが社長に推挙した井阪氏について「物足りなさがある」などという曖昧な話で更迭を主張し、大株主でもある創業者一族(伊藤名誉会長ほか)に賛同してもらえると思ってる鈴木氏とその側近連にこちらが困惑します。

 鈴木氏の意向を受けて、井阪氏と伊藤氏の間を行き来したのが、同席した後藤氏*9と佐藤氏*10だ。ただ、後藤氏は「井阪社長のお父さまとは昵懇(じっこん)の仲で、説明にいったらお父さまに感謝され、マンションの4階から1階まで送ってもらった」などと説明。社長人事をめぐる公式の会見で、その父親に会ったことを公表すること自体、異例の発言だ。世間とのズレが垣間見え、会見場にしらけた雰囲気も漂った。

 産経には珍しく正論です。井阪社長が辞任要求を拒否したからと言って父親*11に「お子さんを説得して欲しい」と会いに行くというのはどう見ても変でしょう。

 鈴木氏が練った人事案を止めたのは皮肉にも、3月に経営の透明性を高める目的で(ボーガス注:鈴木氏が)導入した指名・報酬委員会だった。
 質疑応答で、指名・報酬委で5時間かけて結論が出なかった人事案をなぜ取締役会に諮ったのか問われた鈴木氏は「(指名・報酬委が反対したのは)最高益を続けた社長を辞めさせるのは世間の常識が許さないの1点でした」と答えた。

 まあ普通に考えてそんな人事はおかしいでしょう。それを正当化するなら「最高益でも更迭しなければいけない」というそれなりの理論武装が必要でしょう。「理論武装がなくても俺(鈴木氏)は実力者だから勝てる」と思って挫折したわけです。


■【編集日誌】セブン&アイ・ホールディングス 名経営者は晩節を汚したのか?
http://www.sankei.com/column/news/160417/clm1604170005-n1.html
 「のか?」ではなく明らかに晩節を汚しています。名誉顧問というのも「実力者過ぎて完全に追放できないから」であっておそらく閑職以外何者でもないでしょう。
 なにせ自らが社長に擁立したはずの、そして「経営成績もそれなりにいい」井阪セブンイレブン社長(当時。次のセブン&アイ・ホールディングス社長就任が内定)に今になって鈴木氏(当時、セブン&アイ・ホールディングス会長)が辞任を求める理由が「物足りなさがあった」などというあやふやなものでは話にならないでしょう。あげく「本当か井阪氏ら反鈴木派のネガキャンか」はともかく「鈴木氏は息子(セブンイレブン取締役)のセブンイレブン社長就任を狙ってる、経営を私物化しようとしている」などという噂が飛び交えば社外取締役や大株主などから反対意見が出るのも当然です。

*1:著書『中国茶・香りの万華鏡』(2003年、小学館文庫)、『シンガポール美的亜細亜食堂(ダイニング)』(2005年、小学館)、『こころとカラダにおいしい茶葉料理76』(2007年、インフォレスト)、『中国はチベットからパンダを盗んだ』(2008年、講談社プラスアルファ新書)、『なぜ、中国は「毒食」を作り続けるのか』(2009年、祥伝社新書)、『中国の「日本買収」計画』(2011年、ワック文庫)。「中国料理ライター」だった有本が「どう見ても金目当て(ウヨの組織購入目当て)から」あることないこと書く反中国・極右ライターに転落していった辺りが何ともかんとも(苦笑)。

*2:著書『国家の罠:外務省のラスプーチンと呼ばれて』(2007年、新潮文庫)、『獄中記』(2009年、岩波現代文庫)、『外務省ハレンチ物語』(2011年、徳間文庫)、『甦るロシア帝国』(2012年、文春文庫)、『創価学会と平和主義』(2014年、朝日新書)、『サバイバル宗教論』(2014年、文春新書) 、『佐藤優の沖縄評論』(2014年、光文社知恵の森文庫)、『外務省に告ぐ』(2014年、新潮文庫)など

*3:ウィキペディアに寄れば「川越(扇辰)」、「込山(文左衛門)」、「河野(小せん)」

*4:日本はともかく「安倍のやることなら何でも持ち上げ野党のやることなら何でも叩く」産経に「まともな哲学がないこと」は事実でしょう。

*5:著書『竹島は日韓どちらのものか』(2004年、文春新書)

*6:とはいえ産経の引用を見る限り「産経に比べたらずっとマシジャン、産経に非難する資格あるのか?」というレベル(産経の方がずっと酷い)なのが何ともかんとも。

*7:著書『朝鮮民族を読み解く』(2005年、ちくま学芸文庫)、『東アジア「反日」トライアングル』(2005年、文春新書)、『醜いが、目をそらすな、隣国・韓国!』(2014年、ワック文庫)など

*8:記者会見当時、セブン&アイ・ホールディングス社長。次の人事でセブン&アイ・ホールディングス相談役への就任が内定。

*9:記者会見当時、セブン&アイ・ホールディングス顧問(元イトーヨーカ堂常勤監査役

*10:元イトーヨーカ堂副会長

*11:野村證券副社長、野村アセットマネジメント社長、東京証券取引所副理事長、平和不動産社長などを歴任