今日の産経ニュース(5/17分)その2

【追記】
http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20160517/5640158919のコメ欄でねこ一世さんからお教えいただいたTBSラジオ荻上氏コメントをhttp://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20160517/5640158919にもう分量的に書き込めないので、ここで別途「オレ流に」紹介しておきます(一字一句正確に文字起こししてるのではなく、かなりアバウトに文字起こししてるので、正確性には欠ける面があることをお断りしておきます)。

http://www.tbsradio.jp/36194
 実は今日、ごきげんな*1話がありまして、産経新聞百地章日本大学教授という方がTBS報道特集と僕の報道特集を紹介したラジオコメントを批判しているんですね。
 報道特集は「岩手・宮城・福島の被災3県にある全36の消防本部に取材したところ、燃料不足によって救急搬送できなかったという回答は1件もなかった」という調査結果をもとに緊急事態条項が必要なんだろうかという批判報道をしたんですね。
 その批判が百地さんに対する批判なので百地さんがTBS報道特集と僕に反論したと。
 まずは事実関係が大事だと思うので僕についてはコメント当時の音声を改めて聞いてください。

 緊急事態条項の必要性について述べたときに今の憲法の問題性が浮き彫りになったと百地さんは書いているんです。
(以下、百地のガソリン云々の話)
 この百地さんの文章は「震災関連死が1000人以上」という話と「ガソリン不足」という話を直結させて「ガソリン不足で1000人死んだように読める」けれど、そんな証明を百地さんはできてない。「ガソリン不足による震災関連死」が1000人以上でなくて、震災関連死があくまで1000人以上なんです(ボーガス注:つまり百地が故意に誤読を狙ってるのでしょう)。またこの件については報道特集が「岩手・宮城・福島の被災3県にある全36の消防本部に取材したところ、燃料不足によって救急搬送できなかったという回答は1件もなかった」という調査結果をもとに緊急事態条項が必要なんだろうかという批判報道をしたんですね。この本の内容はデマなんですね。

 僕は震災関連死が1000人以上なのにそれが全てガソリン不足が原因であるように読める文を書くのはミスリーディングであると言いました。でも百地さんは

TBSラジオでは荻上チキ氏が「震災関連死とガソリン不足は無関係」であり、そのような主張は「デマ」であると喧伝(けんでん)している。

と書いている。僕は無関係といったのではなくて「1000人以上がガソリン不足で死んだと証明されたわけではないし、報道特集の報道によれば多数の震災関連死がガソリン不足が原因といえるか疑問」といっただけで「震災関連死」にガソリン不足が原因のものは一つもないなんて言ってないわけです。
 引用するなら正確に引用して欲しいと思います。

 復興庁の「東日本大震災における震災関連死に関する報告」(平成24年8月)を見ると、震災関連死は1632人、その中には原因の一つとして「救急車を呼んだが、ガソリンがなく自力で運ぶよう要請があった」(24頁(ページ))ことがはっきりと明記されている

と百地さんは書いています。でもここで注意しないといけないのは、この報告書の備考欄には「この報告は個別の事例について因果関係を認定したものではない」と書かれています。つまりそう言う報告があったのでまとめたけれども、それが事実か、因果関係を政府(復興庁)は認定していない。
 しかも百地さんの主張が事実でも報告書の推計でガソリン不足は震災関連死の1%なので「1000人以上が亡くなったかのような百地さんの書き方」はミスリーディングで不適切だと思います。

同報告には、以下のような記述もある。「一般病院(や施設)の機能停止が大きな死亡要因となった。長期間のライフラインの停止、物資や人の支援が遅れたため。背景にガソリン不足がある」(3〜4頁)

とも百地さんが書いています。確かにそう書かれているんですが一方で百地さんが引用しなかった部分があるんです。「石油生産設備の合理化が背景にある」「大災害時の地域別石油供給の事前シミュレーションが必要」と書かれてるんです。百地さんが(ボーガス注:緊急事態条項の必要性としてあげる)いうガソリン買いだめ(ボーガス注:による不足)と言う事は書かれてないんです。
 何故か百地さんはそこを引用しない。この件で気になるのは僕の発言もそうですが百地さんの資料の引用の仕方ですね。「この報告は個別の事例について因果関係を認定したものではない」と書かれてるのに引用しない。「石油生産設備の合理化が背景にある」と書かれてるのに引用しない。
 不思議な文が百地さんの文にはありまして

 その際、大切なことは、震災後5年が経過した今頃になって取材し、その結果得られた消防本部からの回答だけで結論を下すのではなく、当時の新聞報道やさまざまな震災報告書なども踏まえて、客観的な検討を加えることである。

とある。「今頃になって」と言いますが今取材することは大事だと思うんです。報告書の記述が正しいか消防本部に確認すると言う事は大事なことだと思うんです。
 この報告書には今後どうするべきかという対策のことが色々書かれているんです。被災者の心のケアとかライフラインの迅速な復旧とか、原発事故被災者の避難とか。その中で緊急物資の対応というところで被災地で災害対策に従事する車両に対し支援物資輸送のための民間トラックも含め(ボーガス注:ガソリンの)優先給与を行う事をあらかじめ定めておくべきであると書かれているんです。(ボーガス注:震災復興死の問題はともかく)復興庁の議論でもガソリン供給の面で課題があった(ボーガス注:とされている)。だから優先給与を行おうという話が出ている。しかし百地さんはそう言う個別具体的な議論をするのではなくていきなり緊急事態条項の制定、つまり改憲という話をしている。どうして震災対応に個別の法令ではいけないのか、緊急事態条項、改憲でなければいけないのかという具体的な説明が必要になってくると思いますね。
(以下略)

*1:まあ小生はこういう時に「ごきげん」という表現はしないので「面白い」感がありますね。