今日の産経ニュース(5/30分)(追記・訂正あり)

内閣支持率55%に上昇 米大統領広島訪問98%評価 共同通信世論調査
http://www.sankei.com/politics/news/160530/plt1605300002-n1.html
 アンチ安倍として日本人の馬鹿さにげんなりしますね。

政権の経済政策「アベノミクス」で景気が「よくなるとは思わない」が64・1%に上った。

なのに何で支持率が上がるのかさっぱりわかりません。オバマの広島訪問やサミットで上がったのか。しかし広島訪問を「よかった」と評価*1するにせよ、別に安倍の手柄じゃないでしょうに。「広島訪問を渋るオバマを安倍が説得した」なんて話じゃない。サミットだって別に大した成果なんかない。
 中国、インドなど「G7以外の国」も力をつけてて無視できないし、G7各国の価値観の違いもあるし、今時「数日、G7首脳があっただけ」でたいした成果なんかでない。
 そしてその程度の事でアベノミクス失敗がチャラにできるのか?。とはいえそんないい加減な上昇ならいずれ「40%台後半(いつもの支持率)」におちるでしょう。アンチ安倍の俺は個人的にはとっとと30%台後半に落ちて欲しいんですが。

 オバマ氏が広島訪問で「謝罪するべきだった」は18・3%。「謝罪する必要はなかった」が74・7%を占めた。

てのにもげんなりです。「現実的に謝罪させることは難しい」ことは俺も分かります。「何が何でも訪日したオバマに謝罪させろ」とも言わない。とはいえ理念的には「オバマは米国を代表して謝罪すべき(日本は謝罪を求めるべき)」じゃないのか。何で「謝罪の必要がない」のか。なんで「今回オバマが謝罪しなくてもいずれ米国政府に謝罪させなくてはいけない」とか「謝罪しなくてもいいがせめて米国政府は核を廃絶しろ、核廃絶に米国政府が動かない限りこの問題では米国政府など評価できない」とか思わないのか、さっぱり理解できません。
 たかが世論調査回答で「反米回答したら日米関係がまずい(別に謝罪要求は反米回答でもないでしょうが)」と「日本国首相気取り」なのか。
 どれほど日本人は米国に甘いのか。


■【野口裕之の軍事情勢】トランプ大統領ならば中国軍に尖閣諸島は奪われ、日米同盟は形骸化する…「米国を戦争に巻き込む」戦略を 
http://www.sankei.com/premium/news/160530/prm1605300004-n1.html
 なんでこういう与太記事を書きますかね。「トランプの大統領就任*2」「中国の尖閣攻撃」いずれも可能性は低いでしょう。

 尖閣諸島沖縄県石垣市)をめぐる日中紛争で《日本は5日間で負ける》とする、米国防総省に近い権威あるシンクタンクの米ランド研究所が関わった衝撃的シミュレーションを小欄は2月中旬、分析が《甘く、首をかしげる戦局も多々認める》と強く批判した。ふと、気になってシミュレーションを読み返して、比較にならぬレベルの衝撃を受けた。
(中略)
 シミュレーションによると、中国側が自衛隊に向けた軍事攻撃と並行して、米本土へのサイバー攻撃や経済市場攻撃を実行、金融パニックを引き起こす。結果、米軍は日米防衛体制に距離を置く。
【1日目】
 日本の活動家らが尖閣諸島魚釣島に上陸し、日本国旗を掲揚、YouTubeに流す。日本政府が対応に追われる間、中国は海警(海上警察力)を急派し、全活動家を逮捕・拘束する。
(中略)
【3日目前半】
 中国海警の巡視船が尖閣諸島周辺で日本漁船に体当たりし、沈没させ事態はエスカレート。海上保安庁は放水などで対抗する。が、中国海軍のフリゲートは30ミリ対空機関砲で射程内に入った空自機に発砲し、自衛隊側も応戦に至る。中国軍は機を逃さず航空機と対艦ミサイルで反撃し、海自艦艇2隻が沈められ500人が犠牲になる。
(中略)
【5日目】
中国軍は尖閣諸島海域の海自艦艇に、弾道ミサイル巡航ミサイルを主力に攻撃を継続。24時間で海自は戦力の5分の1を失う。同時に中国は、脆弱な送電システムを不能に追い込み、ジェット燃料の精製施設を爆破するなど、日本の経済中枢攻撃にも着手する。

 まあ「非現実的与太話」と言う意味では衝撃ですね。中国が「尖閣ごときで」金融パニック狙いのサイバー攻撃なんかして米国と全面対決するとも思えない。
 【1日目】から【5日目】の間に「逮捕した活動家を釈放してくれ」などの交渉も何もなく、いきなり「海自艦艇2隻が沈められ500人が犠牲になる(3日目)」なんて物騒なエスカレートが起こったうえ、「海自戦力の1/5を破壊した上、日本国内のジェット燃料の精製施設を爆破(5日目)」と日本が一方的にボコボコにされる展開というのも非現実的です。
 さすがの産経も「日本はそんなに弱くない」と反論しています。
 「中国脅威論を煽りたい」のか、逆に「米軍が尖閣を守る保証はないから下手に尖閣問題でもめるなよ」という日本への牽制かはともかく、本気の想定とはとても思えません。

日本政府は米政府に▽中国本土の対艦ミサイル基地など策源地(敵基地)への攻撃▽西太平洋に退避中の米空母打撃群の参戦▽中国海軍艦艇への攻撃強化…をまたも嘆願するが、米国側はいずれも拒絶した。

 正直、日中間にこの種の大規模戦争が起こる可能性は皆無です。しかし、仮に日中戦争が起こったとしてよほどの事情がない限り(日本が中国に一方的にボコボコにされる*3、戦争を仕掛けたのは中国側)、日中戦争に米国が軍事介入する事はないでしょう。「日本と中国が互角の戦争(あるいは日本が押している)」で「現場の小競り合いを日中両国政府がまずい対応でエスカレートさせた、両方に非がある」のだったら「外交介入する」のが関の山でしょう。

(1)尖閣諸島無人で、米国には無価値→(2)中国の尖閣奪取を阻止せんと、日米安保条約を適用し戦力投射すれば、米中紛争にエスカレート→(3)米中核戦争に発展する可能性も→(4)深入りは米国の国益にならない。

  実際その通りでしょう。もちろんそれは「中国が尖閣を奪っても構わない」つう話ではない。
 日中関係や世界の中国評価に悪影響が出るため「中国にはそんな無謀なことをやる動機はない(能力もないんじゃないかと個人的には思いますが)」と判断した上で「もし中国がやりそうなら外交で挫折させる」つう話です。むしろ米国が危惧してるのは「中国の尖閣奪取」よりそう言うネタで日本ウヨが中国攻撃し日中友好に支障を産んでることでしょう。

*1:小生個人は浅井基文氏エントリ『オバマ大統領の広島訪問とマス・メディアの報道姿勢』(http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2016/806.html)、『オバマ訪広に関する評価』(http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2016/807.html)に共感するのでオバマ広島訪問をあまり評価しませんが。

*2:仮に彼が大統領になってもさすが尖閣奪取なんか認めないでしょうが。

*3:まずありえないでしょうが