今日の産経ニュース(6/13分)(追記・訂正あり)

■【2016参院選】「自衛隊をいらないという人たちに日本を任せることができるのか」菅官房長官共産党批判
http://www.sankei.com/politics/news/160615/plt1606150042-n1.html
 与党幹部ともあろう者が政権の実績や今後やりたいことではなく相手のネガキャンを語る。それも「共産党自衛隊廃止論だ」などというとんちんかんだから呆れます。
 確かにそうですがそれは共産党にとってあくまでも「将来的目標」であって現時点の政治課題ではない。
 「将来的目標」だからこそ「民進党などとの協力」に今回打って出たわけです。


■【2016参院選】「気を付けよう、甘い言葉と民進党」 安倍首相が“犯罪防止”標語で民共路線を批判
http://www.sankei.com/politics/news/160613/plt1606130046-n1.html
 もはや民進党に対する誹謗中傷といって問題ないでしょう。これをこともあろうに与党トップ、日本国首相が言ったというのだから心底恥ずかしい。こんな暴言を「批判」などと書いてしまう産経も正気ではありません。結局安倍という男には「僕はこういう成果があります」といえることが今何もないのでしょう。戦争法など右翼的な成果は国民受けしないし、一方でアベノミクスもいい加減化けの皮がはがれてきた。
 そこで野党への誹謗中傷に走る辺り全くどうしようもない。

 岡田克也*1代表は都内で記者団に「まるで(ボーガス注:民進党が)非合法政党みたいな扱いだ。極めて遺憾だ」と反論した。

というのは当たり前の話です。
 大体これ野党側が「気をつけよう、甘い言葉*2自民党」といったら怒るのが安倍や産経じゃないのか。


■【田村秀男*3の経済講座】マイナス金利政策にNOを突きつけた銀行に言いたい 特権と引き替えに課せられた社会的使命をお忘れか?
http://www.sankei.com/premium/news/160612/prm1606120035-n1.html

 銀行界最大手の三菱東京UFJ銀行国債入札に有利な条件で参加できる特別資格を政府に返上するという。日銀によるマイナス金利政策に「ノー」を突きつけたのだ。

 マイナス金利が銀行の利益にならないと判断*4すればノーを突きつけるでしょうよ。別に銀行は安倍の利益のために動いてるんじゃない。
 田村も

 国債入札特別資格を持ったままだと、(ボーガス注:有利な条件で参加できる代償として)銀行はすべての入札で発行予定額の4%以上に応札する義務があり、マイナス金利のもとで額面より高い値で国債を買わされる羽目になる。国債の相場がその後下落すれば、大きな損失を受けるリスクがあるので、特別資格が邪魔になった。銀行寄りの論調の日経新聞は、他のメガバンク*5も追随しかねないと、報じている。

と書き三菱東京UFJ銀行の判断にそれなりの合理性があることを認めています。
 返上されることに田村がこれほど反発するのは「マイナス金利政策の失敗だと宣伝される」「三菱東京UFJがそう言うことすると国債が売れなくなってまずいかもしれない」とかそういうところでしょうか。
 それはともかく、この件から出る答えは「銀行にノーを突きつけられない政策はないのか」「そんなんで経済が回復するのか」「安倍首相は野党の言うように退陣した方がいいんじゃないか」などの「安倍への問いかけ」でしょう。
 しかし田村は「安倍さんの足を三菱東京UFJ銀行は引っ張るな」「景気回復という国益のためには、銀行の利益など犠牲にしろ」「バブル崩壊時に多額の公的資金注入を受けた国への恩義を忘れるな」などと罵倒するんだからどうしようもないバカです。
 せめて「三菱東京UFJ銀行の判断は間違ってる、マイナス金利は銀行の利益になる、特別資格も返上しない方がいい」ならいいんですが田村の主張はそんなもんでもありません。
 まあ、田村だって本気で三菱東京UFJに決定を撤回して欲しいわけではないでしょう。
 「三菱東京UFJの決定はマイナス金利政策の失敗を示してる」とするマイナス金利批判派に対して「マイナス金利は間違ってない、安倍さんは悪くない、悪いのは三菱東京UFJだ」と居直ってるだけです。

【追記】
■【お金は知っている】日銀は公然と反旗を翻した三菱東京UFJの“圧力”に屈するな(田村秀男)
http://www.sankei.com/premium/news/160618/prm1606180013-n1.html
 田村って本当にバカだなとしか言いようがないですね。
 「公然と反旗」も何も三菱東京UFJは日銀の下部組織でも何でもなく当然日銀の意向に従う義務はどこにもないわけです。そういう話を「反旗」と評価するのはまともな人間のすることではない(勿論下部組織でも間違った上部組織の命令に従う義務はありませんが、それ以前の話です)。
 圧力も何も「三菱東京UFJ」は反安倍でも反日銀でもなく、自らの利益しか考えてません。
 単に「三菱東京UFJの判断ではマイナス金利はメリットがないから、マイナス金利を評価しない方向で動いてる」だけに過ぎません。
 三菱東京UFJの行為を圧力と見るかどうかは単に日銀の考えがどんなものであるかによって決まることです。
 まあこんなにぐちゃぐちゃ、田村が文句を言うってことはよほど田村にとって三菱東京UFJの判断は不愉快だったんでしょうね。
 

■【野口裕之の軍事情勢】母性本能こそが国家を守る 海自護衛艦「やまぎり」のママさん艦長かく闘えり
http://www.sankei.com/premium/news/160613/prm1606130010-n1.html
 単に「ママ艦長を取材してきました」で済む話を「母性本能こそが国家を守る」というトンデモタイトルをつけちゃうところはさすが「阿比留や安藤慶太などとともに」産経を代表するトンデモ・野口です。勿論褒めていませんが、ある意味「才能」かもしれません。

30歳で結婚し、32歳で(一人)娘を出産する。
 「どうしようかと思った。けれども、艦長への夢を諦められなかった」
 艦長を目指し、訓練・座学に明け暮れる毎日。娘を大阪府内の実家に預け、年に3〜4回、1〜2日帰省して顔を見た。

 これが自衛官以外だったら産経は「なんという冷たい母親か」「そんなに仕事が大事か」呼ばわりでしょう。

母と娘の交流は、自衛隊の最高指揮官・安倍晋三*6首相(61)をいたく感動させ、平成26年、防衛省自衛隊60周年記念航空観閲式の首相訓示の中で、実名を挙げて紹介したほどだった。

 なるほど「安倍が名前出して称えた」から産経も「控え、控えおろう、この安倍様が称えし女性自衛官が目に入らぬか!」と記事にしたのでしょう。

 ゴーストライターの手による訓示*7であっても、心が通う人とそうでない人の差はハッキリする。首相時代に、最高指揮官であったことすら知らなかった*8菅直人*9(69)や村山富市*10(92)が発した自衛隊向けスピーチは白々しく、士気を下げる、負の結果しかもたらさなかった。

 やれやれですね。安倍のスピーチは高揚をもたらし、菅氏や村山氏のスピーチは士気を下げたってのは何が根拠なんでしょうか?。ぶっちゃけ首相のスピーチなんて自衛官はどうでもいいでしょうよ。つうかそんな安倍賛美と菅、村山罵倒をする必要がこの「ママ艦長」紹介記事においてどこにあるのか。

 大谷さんは出産7年後に、防大同期のご主人と離婚した。

 これが自衛官以外だったら産経は「家庭を顧みない妻だから離婚するんだ」「そんなに仕事が大事か」呼ばわりでしょう。

*1:民主党幹事長(鳩山代表時代)、鳩山、菅内閣外相、野田内閣副総理・行政刷新担当相、民主党代表代行(海江田代表時代)など歴任

*2:「暗い夜道」でも何でもいいですが

*3:最近の著書に『消費増税の黒いシナリオ:デフレ脱却はなぜ挫折するのか』(2014年、幻冬舎ルネッサンス新書)、『人民元の正体:中国主導「アジアインフラ投資銀行の行末」』(2015年、マガジンランド)、『中国経済はどこまで死んだか:中国バブル崩壊後の真実』(共著、2016年、産経新聞出版)など

*4:その判断の是非はひとまずおきます。

*5:他のメガバンクとしてはみずほ銀行三井住友銀行りそな銀行

*6:小泉内閣官房副長官官房長官自民党幹事長(小泉総裁時代)などを経て首相

*7:さすがに産経も「安倍が書いた」と言う気はないようです。それはともかく政治家のスピーチライターて「ゴーストライター」とは言わないんじゃないですかね。政治家のスピーチを全て政治家本人が書いてるとは誰も思ってないし、政治家もそんな事言ってないわけですから。安倍『美しい国へ』(文春新書)、菅『東電福島原発事故・総理大臣として考えたこと』(幻冬舎新書)、村山『村山富市が語る「天命」の五六一日』(KKベストセラーズ)など自著については別に書き手がいれば「ゴーストライター」と言えるでしょうが。

*8:つう産経の非難は何が根拠なんですかね。仮に勘違いがあったとしても「法的には最高指揮官は防衛相で首相は防衛相の上司」レベルの勘違いでしょう。首相が自衛隊に指示できないなんて思ってるわけもない。従って仮に勘違いがあってもそれほど非難する事とも俺個人は思いません。むしろ言い間違いだとしても「首相は立法府の長」なんて何度も言っちゃう安倍の方がよほど恥ずかしいんじゃないか。

*9:社民連副代表、新党さきがけ政調会長、橋本内閣厚生相、鳩山内閣副総理・財務相などを経て首相

*10:社会党国会対策委員長、委員長などを経て首相