今日の産経ニュース(9/20分)

■【正論】ヒラリー・クリントン候補よ TPPの戦略的意味を忘れたか 杏林大学名誉教授・田久保忠衛
http://www.sankei.com/column/news/160920/clm1609200006-n1.html
 「TPPとは中国封じ込めが目的だったはずだ」と叫ぶ田久保です。「え、そうか?」ですし「安い農産物や工業製品が大量に米国に来たら国内雇用が破壊される」というTPP反対派、懐疑派に対する説得力ある反論とはとても言えません。


■【米大統領選・争点の現場】「誰に投票すればいいの」 頭悩ます豚農家 クリントンもトランプもTPP反対 
http://www.sankei.com/world/news/160907/wor1609070008-n1.html

・TPP賛成派の農家
「豚肉を海外に輸出できるからTPP賛成や」
「でもどっちも反対やったら選びようがないヤン(まあでもあえて選ぶのやったら、トランプのような失言王でなく、また、オバマ政権国務長官時代はTPP推進しとったクリントンやろうか)」
・TPP反対派の農家
「TPPで安い豚肉が中国辺りから来たらワシらとんでもない事になるわ、TPP反対するわ」
「でもどっちも反対やったら選びようがないヤン」
「まあ、オバマ政権国務長官時代はTPP推進しとったクリントンは今ひとつ信用できんけど、だからって失言王・トランプはなあ(絶句)。トランプやなかったらワシ共和党に投票しとるのになあ」

つう話です。


■【築地移転延期】基準超えるシアン検出 都議会公明党の調査
http://www.sankei.com/affairs/news/160920/afr1609200038-n1.html
 「石原都政時代から移転計画を批判していた」共産党ではなく「石原都政時代には一緒に豊洲移転計画をプッシュしていた公明党」がこれですから「完全に流れが変わった」と見ていいのでしょう。「過去の総括、反省もせずに」行われる公明党の卑劣な掌返しにはいつもながら「黒い殺意を覚えます」がまあ、流れの変化それ自体は悪い事ではない。


■【共産党6中総詳報(7)完】志位和夫委員長「学園に支部を作り、若い党員獲得を」と呼びかけ
http://www.sankei.com/politics/news/160920/plt1609200030-n1.html
 支持者とは言え、党員でも後援会員でも何でもなく「党の現状」について大して知識もないので志位報告についてのコメントはしません。
 ここでは産経が「わざわざ」詳報してることを指摘しておきます。産経も最近の共産党の躍進*1が気になって仕方がないわけです。


■東大、不正疑惑を本格調査 教授6人、論文22本
http://www.sankei.com/affairs/news/160920/afr1609200035-n1.html
 6人もの教授に不正疑惑が発覚し、ウチ1人は「前東大病院長」というのでは東大関係者も頭が痛いでしょう。「結局全員白でした」となれば「疑われたことは不徳の致すところ」とはいえ、いくらか、「頭痛も軽くなります」がたぶんそううまくいかないんだろうな。


■【神武・海道東征 第12部】偉業を支えた脇役たち(1)槁根津日子(さをねつひこ) 大和への海路 水先案内の大役
http://www.sankei.com/west/news/160920/wst1609200003-n1.html
 「偉業」といっても勿論フィクションですからねえ(苦笑)。新聞がでかでかと記事にするようなことじゃないと思いますね。まあ産経だと「神武は実在だ」とマジで言い出しかねないところがありますが。

(ボーガス注:槁根津日子と)イハレビコ*2との出会いを記紀はこう書く。古事記での場所は、淡路島と神戸市垂水区にはさまれた明石海峡。書紀の場所は大分・佐賀関と愛媛・佐田岬が向かい合う豊予(ほうよ)海峡。ともに潮の速い難所だが、古事記に従えば、槁根津日子は大阪湾からの臣下、書紀によれば、瀬戸内海全体を案内した功臣になる。
 果たして、どちらが正しいか。

 「どっちが正しいか」てそもそも「神武なんて実在」じゃないんだから、どっちもフィクションですからねえ(苦笑)。まあ産経が「神武は実在ではない」が「これらの記述は実在の史実を元にしており」云々とまともに説明できれば話は別ですが、もちろん産経はそんなことはしません。

 『古事記伝』を書いた江戸時代の国学者本居宣長は、豊後国に早吸日女(はやすひめ)神社が古くから鎮座する一方、明石海峡の周辺に「速吸」の地名がないとして、こう推断した。
 〈書紀の傳(つたへ)ぞ正しかるべき〉
 〈椎根津彦の根拠地は西宮付近であり、淡路島以東の大阪湾を支配する海部の首長にほかならない〉
 昭和31年の論文でこう書き、宣長説と対立したのは皇学館大の田中卓(たかし)名誉教授である。根拠は、祭祀氏族の祖を椎根津彦とする大倭(おおやまと)神社(現・大和(おおやまと)神社=奈良県天理市)の「大倭神社註進状」裏書きで、こう書かれていることだ。
 〈伝聞、我祖椎根津彦命、遊行在難波、以釣魚為楽〉
 槁根津日子の子孫たちは、家祖が難波の海(大阪湾)を遊行し、釣りを楽しんでいたと伝承しているのである。

 まあ何というか産経の引用を読む限り、どうにも説得力が感じられませんね。そもそも本居宣長だの「皇学館大の田中卓」だの歴史学者とは言い難いような人間しか持ち出せない辺りどうしようもないと思います。

参考

田中卓(ウィキペ参照)
・『右翼事典』(堀幸雄*3編、1991年、三嶺書店)によると、戦後の体制をヤルタ会談ポツダム宣言に基づく占領支配体制と位置づけ、「YP体制」と名付けたのは田中である。
・戦前の「紀元節」であった2月11日を「建国記念日」とすることに賛成の立場から、田中は、1958年(昭和33年)4月に、住吉大社宮司高松忠清の協力を得て、平泉澄ら25名の執筆による『神武天皇紀元論』を刊行。当時、「2月11日」について反対の意を表明していた三笠宮崇仁親王に進呈した。
皇室典範改正問題では、女性天皇容認の立場を取り、自論を『諸君!』等で展開した。
・田中(元皇學館大学学長)の女系天皇容認論に対して新田均*4皇學館大学教授)が『諸君!』誌上にて反対論文を掲載し、これに対して田中が更に反論を加える事態に発展した。皇學館大学内でさえ女性天皇問題で意見対立が存在することが示された。
■著書
・『日本古典の研究』(1973年、皇學館大學出版部)
・『日本国家成立の研究』(1974年、皇學館大學出版部)
・『皇国史観の対決』(1984年、皇學館大學出版部)
・『伊勢神宮式年遷宮』(1987年、皇學館大學出版部)
・『愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか』(2013年、幻冬舎新書)など

*1:志位氏の報告は「赤旗の購読部数や党員数が減少傾向にある」と強い危機意識を表明してるそうなので過大評価は禁物ですし、志位氏ら党執行部も過大評価はしてないでしょうが。ただ「党員数が増えてない」のに「一定の躍進をしている」ということは「潜在的党員がいる」ということで「党員が増えなくていい」なんて馬鹿な事は言いませんが、それはそれで一概に悲観することでもない気はします。

*2:神武天皇のこと

*3:著書『増補版・戦後の右翼勢力』(1993年、勁草書房)、『戦後政治史:1945〜60』(2001年、南窓社)など

*4:著書『近代政教関係の基礎的研究』(1997年、大明堂)、『「現人神」「国家神道」という幻想』(2003年、PHP研究所)、『首相が靖国参拝してどこが悪い!!』(2005年、PHP研究所)など