今日の産経ニュース(9/22分)

■【女子テニス】クルム伊達、来年復帰意向 左膝手術からリハビリ中
http://www.sankei.com/sports/news/160922/spo1609220016-n1.html
 まあ正直一寸厳しいんじゃないかと思いますけどね。
 今日テレビ見てたら「大坂なおみ」が取り上げられていて「今後注目の選手だ」「当人や周囲の努力によってはそれなりの実力選手、人気選手になるんじゃないか」といってましたしねえ。そろそろ伊達も引退を考えてもいいんじゃないか。伊達本人はともかく少なくとも、もはやテニス協会にとって「とにかく伊達に続けて欲しい」てこともないんじゃないか。


■【論壇時評10月号】敗者の口から飛び出すリベラル衰退と陰謀論 都知事選が終わって… 文化部・磨井慎吾
http://www.sankei.com/column/news/160922/clm1609220006-n1.html

 鳥越*1擁立で立候補断念に追い込まれた*2当事者が語る「宇都宮健児*3『鳥越さん、あれじゃあダメですよ』」(正論)は、出馬辞退の経緯を振り返り「私のもとには立候補を取りやめるべきだと様々(さまざま)な罵詈(ばり)雑言や批判が殺到しましたが、こうしたやり方が続く限り日本のリベラルに明日はないように思います*4」と、野党共闘に際し左派陣営*5内で生じた陰湿で非民主的な意思決定に苦言を呈する。
 宇都宮は都知事選について「安倍政権に一矢を報いるという考え方が前面に出た選挙戦でした。しかし、都民から見ると、それじゃあたまらないわけです。やっぱり毎日の生活や暮らしをどうしてくれるのだという気持ちになってしまう」と、具体的政策課題を軽視して護憲や安保などに偏重した野党の方針を批判*6している。

 やれやれですね。
 事情はどうあれ、宇都宮氏は「分裂選挙は避けたい」といっておりたわけです。そのおりた当事者が選挙後に「掌返しで」鳥越陣営に「具体的政策課題を軽視」だの何だのと悪口雑言というのはこれは
1)選挙前はおりることで鳥越に恩を売ることがプラスになると考えた、鳥越が勝てば勿論負けても接戦なら「俺のおかげですよ」と鳥越に言えて美味しい
2)選挙後は鳥越大敗を見て「鳥越に恩など売らず」出れば良かったという悔しい思いがこみ上げてきて悪口雑言。また鳥越に悪口雑言し「俺が出た方が良かったのに鳥越におろされた」と被害者ぶることで同情を得られメリットになると考えた
というだけの話でしょう。そう考えなければこの異常な掌返しは説明がつきません。
 「どうしてもおりたくない、鳥越候補に納得がいかない、その為に筋を通したい、勝ち負けは度外視する」とか「俺の方が鳥越より当選可能性が高いと思った、分裂選挙でも増田*7や小池*8に勝てると思った」とか、なら「おりないで分裂選挙でも戦う」でしょう。
 一方「色々考えたけど、野党側の当選可能性を低めてまでも俺が出るのは得策でないと思った、鳥越陣営に不満はあるけどそれは抑えようと思った」のなら「鳥越大敗後」も「色々問題はあっても鳥越一本化がベターだ、俺が出て分裂選挙になるよりいいと最終決断したのは俺だ」ということで「鳥越陣営を悪口する事」は普通しないでしょう。
 つまり宇都宮という男とその取り巻きには誠実さのかけらもない。「その場その場でどう動けば美味しいか」という短絡的な考えしかない。そしてそうした「その場その場の短期的な考え」が長期的に「まともな人間」の信頼を失い、「宇都宮とその取り巻きはどうしようもないバカだ」と思われ「短期はともかく、長期的には大きなマイナスになる事」すら計算できないバカのわけです(しかも非難の場所が産経正論というから最悪です)。まあ、今宇都宮氏に「野党批判良くやった」と拍手してる人間など「ただの野党嫌い(自民支持者?)」か「野次馬」がほとんどでしょうから、こうした宇都宮氏の愚行は確実に「彼の政治力を奪っている」でしょうし、それどころか「こんな信用に値しない人間とは仕事できない」と「仕事に支障を来す恐れすらある」でしょう。
 正直、俺は「宇都宮をそれなりに評価していた過去の自分」を「人を見る目がなかった、愚かだった」と心から恥じています。
 そして
宇都宮健児君、立候補はおやめなさい:その33
http://article9.jp/wordpress/?p=1970
などの澤藤統一郎氏(もともとは宇都宮陣営の一員だったが、澤藤氏に寄れば宇都宮陣営の独裁的組織運営に失望して離反、今は敵対関係にある)の宇都宮批判について「宇都宮とその取り巻きに対する私怨による歪んだ見方の疑いはある」が「澤藤氏が宇都宮を恨むようになったのは宇都宮に非があったからではないか」「澤藤氏の宇都宮の人間性に対する厳しい評価はかなり正しいのではないか」と思い始めています。
 つうか宇都宮氏も偉そうなこというなら「澤藤君に謝罪したい」とか「澤藤君の誤解を解きたい」とか言って澤藤氏との和解に動いたらどうなんですかね。
 元支持者・澤藤氏に「宇都宮のような輩は出馬するな」とまで恨まれて、しかしそれに宇都宮氏がまともに応対しないというのはやはり「政治家を目指すべき人間にふさわしくない」異常な行為だろうと思います。

 日本のリベラルが負け続けるのは、現状認識と処方箋がともに狂っているからではないか。

 小生は「日本のリベラルが負け続けている」とは思っていません。まあ「勝ったり負けたりで少し今は負けが込んでる(プロ野球にたとえれば借金生活)、何とか勝ちを増やしたい」といった理解ですし、したがって「現状認識や処方箋に適切なものもあれば不適切な物もある」と思っています。
 例えば「リベラルだけの力ではない(近隣諸国の批判なども大きい)」でしょうが俺の理解では「安倍が未だに明文改憲できない」のもそうしたささやかな「リベラルの勝利」の一つのわけですが、それはさておき。
 この産経の理屈だと

 産経が「反対しても」米国に慰安婦銅像が建設されたり、南京事件資料がユネスコ登録されたりするのは、つまり「産経が歴史戦で負け続ける」のは現状認識と処方箋がともに狂っているから

ということになりますがもちろん産経は自陣営の敗北について「現状認識と処方箋がともに狂っているから」と認めたりはしません。「狂ってる」呼ばわりされるのはいつも「産経の敵」のわけです。
 もちろん常識人の目から見れば、「歴史戦の敗北」など産経の「現状認識(例:マイク・ホンダ米国下院議員、ユネスコのボコバ*9事務局長など俺達の敵は全て共産主義者反日か、中韓の手先だ)と処方箋(例:マイクやボコバらは叩き潰す)がともに狂っているから」以外の何物でもないのですが。

 高橋篤史「改憲推進『日本会議』本当の実力」(文芸春秋)だ。
 「日本最大の右派組織」と呼ばれる同組織については、出版界の一部で現在“日本会議本”ブームが起きており、「日本会議こそが安倍政権を背後で操る巨大な黒幕組織であるとのイメージが世の中で流布しつつある。とりわけそれを受け入れているのがリベラル派の人々だ」と高橋は説く。だが実際の日本会議を調べると金も集票力もなければ政治家への影響力も乏しく、政権を動かすにはほど遠い実態ばかりが浮かび上がる。

 日本会議本ブームですが

青木理*10日本会議の正体』(2016年、平凡社新書
・上杉聰*11日本会議とは何か」(2016年、合同出版)
・菅野完「日本会議の研究」(2016年、扶桑社新書
・俵義文*12日本会議の全貌」(2016年、花伝社)
・成澤宗男編「日本会議神社本庁」(2016年、金曜日)
・山崎雅弘『日本会議:戦前回帰への情念』(2016年、集英社新書)

といった本が出版されています。
 「安倍内閣日本会議議連メンバーの集まりなのに日本会議に政治力がないわけないだろ」「日本会議に右翼宗教団体など各種組織が多数参加してるのに集票力や集金力がないわけないだろ」と思いますがウヨ連中は「裏でこっそり動きたい」のであって「表舞台には出たくない」「一般人にまでその存在を知られたくない」のでしょう。
 児玉誉士夫のような右翼フィクサーが「表に出たくない」「一般人にまでその存在を知られたくない」のと事情は同じです。それでは裏で裏工作することが難しくなってしまう(実は児玉にせよ日本会議にせよかなり早い段階で赤旗など左派メディアを中心に取り上げるメディアはあった*13のですが、児玉が一般に知られるようになったのはロッキード後、日本会議は割と最近でしょう。日本会議も「赤旗が取り上げる程度」なら第一次安倍内閣当時から指摘があっても脅威を感じなくても最近のように「日本会議本ブームが起こる」と脅威を感じだしたのでしょう。特に入手しやすく読みやすい新書本は彼らにとって脅威でしょう)。
 そんな彼らにとって日本会議本ブームが起こり、あげく「生長の家」が公式声明で「日本会議の幹部は元生長の家信者が多いらしいが今の我々とは関係ない」と指摘したりするのは目立ってしまって困ってしまう。
 日本会議議連なんて組織を作っておいてそんなん通る話ではありませんが。
 そもそも日本会議に集金力や集票力がなければ「安倍自民は党利党略ではなく本気でキチガイ右翼だ」ということになって非常に問題ですがまあそう言う理解はこの種のウヨにはないのでしょう。
 「日本会議は力なんかない」といって注目されないようにし、裏で動ければそれでいい訳です。
 極めて詐欺的、陰謀的行動方法です。ただしそんな詐欺的方法にだまされる人間もまずいないでしょうが。
 そして「日本会議の政治力を過大評価するのは陰謀論的だ」と強弁する産経がやれ「シールズのバックには日本共産党がいる」「国連のクマラスワミ報告のバックには中国共産党がいる」などと根拠レスで「反共陰謀論を流す」のだから全く呆れます。
 

■【政界徒然草】科学技術で日本は中国に追い抜かれたのか?
http://www.sankei.com/premium/news/160922/prm1609220023-n1.html

 中国は、経済の急成長と並行する形で、国を挙げて科学技術のレベルを引き上げてきた。研究開発への投資額では既に日本をはるかに追い越し、2013年の時点では日本の18・1兆円に対して、中国は2倍近くの35兆円だ。(ボーガス注:日本が大幅増額しない限り)その差は今後も広がっていくだろう。
 研究者らの数でも、日本の84万2千人に対して中国は148万4千人にのぼる。研究者が多ければ必然的に、一国の科学技術力を測る目安である全体の論文数や、論文が他人に引用される件数でも、日本は大差をつけられてしまう。
 今から15年ほど前であれば、科学技術で日本が中国をリードしていることは明白だった。しかしその後、中国は米露に続いて3番目に有人宇宙飛行を成功させ、月面探査車も走らせている。今年8月には、解読や盗聴が不可能とされる量子暗号通信の実験衛星を世界で初めて打ち上げた。
 また、海洋開発では、日本の「しんかい6500」を超える水深7千メートル級の有人潜水調査船が登場。民進党の新代表に選ばれた蓮舫*14がかつて「2位じゃダメなんでしょうか?」と発言して注目されたスーパーコンピューターでも、計算速度の世界ランキングで中国産チップを用いた新型機が日本の「京」(神戸市)を抑えて世界一だ。
 まもなく今年のノーベル賞受賞者が発表される。ノーベル賞の中でも特に重みのある物理学、化学、医学・生理学の自然科学3賞では近年日本人の受賞*15が相次ぎ、その数はアジアの中でも群を抜いて多い。「日本の科学技術は世界最先端」であることを再確認できる名誉といえるが、忘れてはならないのが、受賞理由となった研究成果の多くが何年も前に得られたものだということだ。
 このことを言いかえれば、今後10年、20年経てば中国人が相次いでノーベル賞を受賞する時代が来るかもしれない。昨年初めて医学・生理学賞に女性薬学者の屠ユウユウ氏が選ばれたことは、今後の中国の受賞ラッシュを暗示しているようでもある。

 産経の中国に対する恐怖感(?)がひしひしと伝わってくる文章です。


■【河崎真澄のチャイナウオッチ】「阿Q」の呪縛は続いている 魯迅没後80年、生誕135年にして中国社会の病巣はなお変わらず
http://www.sankei.com/premium/news/160922/prm1609220014-n1.html

 愛知大学現代中国学部の樋泉克夫*16教授によれば、新中国成立後の50年代、「いま魯迅が生きていたら」と尋ねられた毛沢東が、「あんなうるさい奴が生きていたら、いまごろは牢獄(ろうごく)か死刑だ」と答えたという。

 まあ産経らしいですね。「5W1H」のうち「WHO(誰が=毛沢東が)」以外ほとんど「WHEN(いつ=50年代では曖昧過ぎ)」「WHERE(どこで=全く不明)」「HOW(どういうシチュエーションでそういう応答がされたのか=全く不明)」と全く明確でない上、根拠が「樋泉先生が僕にそう言いました」。
 「政府*17を生前厳しく批判した魯迅について、文革で反対派を打倒した毛沢東ならそう言うに違いないという妄想、決めつけで樋泉が適当な事言ってるだけと違うのか」「産経はアホと違うか」ですね。
 まあ今の共産党を語るのに「既に過去の人となった毛沢東を持ち出す」のもどうかと思いますが。
 なお、もちろん中国においては共産党にとっても魯迅は「民族の誇り」のわけです。


安倍晋三首相、国連演説で「喝!」 
http://www.sankei.com/politics/news/160922/plt1609220010-n1.html
 単に演説しただけなのに「喝!」と表現しちゃう辺りが産経らしい。

*1:サンデー毎日編集長、元『ザ・スクープ』キャスター

*2:やれやれですね。選挙期間において「追い込まれた」などと彼は言ってなかったんですがね。

*3:日弁連会長

*4:むしろ「選挙期間中と180度違う悪口雑言」を鳥越陣営相手に言い出す宇都宮の方に未来はないでしょう。まあ彼と彼の取り巻きがどんな未来を希望しているかにも寄りますが。非自民無党派都知事選で出たいなんてのはまず無理でしょう。一方「自民党から国会議員に出馬したい」とか「野党共闘に悪口言って産経辺りで小金を稼ぎたい」とかなら「未来はある」のかもしれない(毒)。

*5:民進党や生活の党は左派とは到底言えませんので「野党陣営」ですね。

*6:だったら出馬を取り止めないで選挙に出ろと言う話です。どれほど宇都宮はデタラメなのか。

*7:岩手県知事、第一次安倍、福田内閣総務相を歴任

*8:小泉内閣環境相、第一次安倍内閣防衛相、自民党総務会長(谷垣総裁時代)を歴任。現都知事

*9:ブルガリア外相、駐フランス大使を経てユネスコ事務局長

*10:著書『日本の公安警察』(1999年、講談社現代新書)、『北朝鮮に潜入せよ』(2006年、講談社現代新書)、『ルポ拉致と人々:救う会公安警察朝鮮総連』(2011年、岩波書店)、『絞首刑』(2012年、講談社文庫)、『トラオ:徳田虎雄・不随の病院王』(2013年、小学館文庫)、『増補版・国策捜査:暴走する特捜検察と餌食にされた人たち』(2013年、角川文庫)、『抵抗の拠点から:朝日新聞慰安婦報道」の核心』(2014年、講談社)、『青木理の抵抗の視線』(2014年、トランスビュー)、『ルポ国家権力』(2015年、トランスビュー)、『誘蛾灯:二つの連続不審死事件』(2016年、講談社プラスアルファ文庫)など

*11:著書『天皇制と部落差別』(2008年、解放出版社)、『これでなっとく!部落の歴史』(2010年、解放出版社)など

*12:著書『ドキュメント「慰安婦」問題と教科書攻撃』(1997年、高文研)、『「つくる会」分裂と歴史偽造の深層:正念場の歴史教科書問題』(2008年、花伝社)など

*13:日本会議について言えば例えば俺の知る限り「遅くても」第一次安倍内閣の時から赤旗自民党日本会議のつながりを指摘しています。

*14:菅、野田内閣で行政刷新担当相

*15:近年の受賞は「2000年:白川英樹(化学賞)」、「2001年:野依良治(化学賞)」、「2002年:小柴昌俊(物理学賞)、田中耕一(化学賞) 」、「2008年:小林誠益川敏英(物理学賞)、下村脩(化学賞)」、「2010年:根岸英一鈴木章(化学賞)」、「2012年:山中伸弥(生理学・医学賞)」、「2014年:赤崎勇、天野浩(物理学賞)」、「2015年:梶田隆章(物理学賞)、大村智(生理学・医学賞)」

*16:著書『華僑コネクション』(1993年、新潮選書)、『京劇と中国人』(1995年、新潮選書)、『「死体」が語る中国文化』(2008年、新潮選書)など

*17:といっても蒋介石政権ですが