今日の産経ニュース(9/23分)

■【生前退位菅義偉官房長官有識者会議設置を発表
http://www.sankei.com/life/news/160923/lif1609230015-n1.html

 会議のメンバーは経団連の今井敬*1名誉会長、東京大の御厨貴*2名誉教授と山内昌之*3名誉教授、千葉商科大の宮崎緑*4教授、慶応大の清家篤*5塾長、上智法科大学院の小幡純子*6教授の計6人で構成する。

 俺の認識では御厨氏が政治学(日本現代政治史)、山内氏がイスラム史、清家氏が労働経済学、小幡氏が行政法学ですね。宮崎緑はよく分かりません。「小泉内閣における皇室典範に関する有識者会議」では日本史家として「笹山晴生*7」がいたのに、今回、日本史家が一人もいないのは何なんでしょうか(広くとらえれば御厨氏が日本史家ですが)。
 ポイントは「産経文化人などの極右は一人もいない」という辺りでしょう。これは産経からすれば「裏切られた」感が強いでしょう。「生前退位したいのなら別にええんと違うか」という世論に配慮した結論、つまり「現天皇限定の特別立法だとしても」生前退位を認める答申が出る可能性が高い。
 まあそれでも一部を除いて「安倍命」のウヨ連中は審議会委員は罵倒しても、安倍には何も言えないでしょうが。
 なお、

・2004年(平成16年)12月、小泉内閣における皇室典範に関する有識者会議座長代理に就任、翌年11月に皇室典範の女帝容認の改正を提言。
・2012年(平成24年)1月、民主党・野田政権下で「『女性宮家』検討担当内閣官房参与」に就任
・著書『皇室法概論』(2006年、第一法規出版)、『皇室制度を考える』(2007年、中央公論新社

という過去の経緯を考えれば選ばれてもおかしくない園部逸夫・元最高裁判事を外したのは『園部氏を酷く嫌う』ウヨへの配慮でしょう。


菅義偉官房長官「そのような事実全くないと断言」 北方領土交渉で4島帰属前提にしないとの報道否定
http://www.sankei.com/politics/news/160923/plt1609230014-n1.html
 本当に事実無根ならこんな程度では済まず読売に猛抗議してるでしょうし、「安倍政権応援団」読売も公然と「安倍政権の意に反する」デマ記事を書くとも思えないのでまあ俗に言う「観測気球」という奴でしょう。「安倍政権の手先として動く読売」といい「観測気球記事を書かせながら『事実無根』と否定する菅」といい全くふざけた話です。
 大体ロシアは未だかつて公式には「2島なら返してもいい」以上のことは言ってないのだからこういう記事が出るのは実に自然です。
 公式には「2島なら返してもいい」としか言ってない相手(プーチン)の訪日を受入れ、ロシアとの経済協力もすすめるというなら「2島先行返還」か「2島で決着」かはともかく「4島が前提」とは普通誰も思わないでしょう。


■【慰安婦問題】クマラスワミ報告書検証のため特別報告者派遣を要求 「慰安婦の真実国民運動」が国連人権理事会で訴え
http://www.sankei.com/world/news/160923/wor1609230034-n1.html
 まあ非常識としか言い様がないですね。何をどう検証すると言うんでしょうか。
 なお、「慰安婦問題で米国でいじめ」云々というのはウヨ連中が勝手に言ってることで「警察に被害届が出てる」などまともな根拠がある話では全くありません。


■【産経抄】神様の里帰り 9月23日
http://www.sankei.com/column/news/160923/clm1609230003-n1.html

 台湾では南部を中心にあちこちで、日本人が神として祭られているらしい。日本の統治下に入ってまもなく、嘉義県(かぎ)の村に赴任した森川清治郎巡査もその一人である。森川巡査は学校を造り、飢饉(ききん)の際は村人に食べ物を配った。役所が増税を決めると、軽減を訴えた。
▼そのため懲戒処分となった森川巡査は、自ら命を絶った。

 これが事実なら(まあ事実でしょうが)、「日本の台湾統治には少なからず問題があった」つうことですが単に「森川氏の台湾愛万歳」で終わらせるいつもの産経です。

参考

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140225/dms1402250719000-n2.htm
夕刊フジ『【世界を感動させた日本】台湾で神になった日本人 漁民に寄り添い自決した巡査』
 ある日、台湾総督府は漁業税という新税を制定した。これに対し、森川巡査は「貧しい漁民たちは、とてもこの新税は納めきれない」と、税の減免を願い出た。徴税も当時の警察官の職務の1つであり、漁民たちの厳しい暮らしぶりを知っていたからである。
 森川巡査の願い出は拒否されただけでなく、懲戒処分を受けてしまう。巡査は抗議の自決を遂げる。明治35(1902)年のことだ。村民たちは、彼らを守らんとして一命を犠牲にした森川巡査のことを慕い、ずっと語り継いでいた。

*1:新日鉄相談役名誉会長、日本原子力産業協会会長など歴任

*2:著書『ニヒリズムの宰相・小泉純一郎論』(2006年、PHP新書)、『近現代日本を史料で読む:「大久保利通日記」から「富田メモ」まで』(編著、2011年、中公新書)、『馬場恒吾の面目:危機の時代のリベラリスト』(2013年、中公文庫)、『安倍政権は本当に強いのか』(2015年、PHP新書)、『後藤田正晴と矢口洪一:戦後を作った警察・司法官僚』(2016年、ちくま文庫)、『宮澤喜一竹下登:戦後保守の栄光と挫折』(2016年、ちくま文庫)など

*3:著書『現代のイスラム:宗教と権力』(1983年、朝日選書)、『民族と国家:イスラム史の視角から』(1993年、岩波新書)、『瀕死のリヴァイアサン:ロシアのイスラムと民族問題』(1995年、講談社学術文庫)、『イスラームと国際政治』(1998年、岩波新書)、『イスラームと世界史』(1999年、ちくま新書)、『文明論としてのイスラーム』(2002年、角川選書)、『スルタンガリエフの夢:イスラム世界とロシア革命』(2009年、岩波現代文庫)、『中東新秩序の形成:「アラブの春」を超えて』(2012年、NHKブックス)、『中東複合危機から第三次世界大戦へ』(2016年、PHP新書)、『新版・イスラームアメリカ』(2016年、中公文庫)など

*4:1982年(昭和57年)から6年間、NHK「ニュースセンター9時」のキャスター

*5:著書『生涯現役社会の条件』(1998年、中公新書)、『雇用再生』(2013年、NHKブックス)など

*6:著書『国家賠償責任の再構成:営造物責任を中心として』(2015年、弘文堂)

*7:著書『平安の朝廷:その光と影』(1993年、吉川弘文館)、『古代国家と軍隊:皇軍と私兵の系譜』(2004年、講談社学術文庫)、『平安初期の王権と文化』(2016年、吉川弘文館)など