今日の産経ニュース(10/14、15分)

■【ワールド・インタビュー】母国語を奪われた詩人の「大統領」に聞く中国の侵略と核の脅威
http://www.sankei.com/premium/news/161015/prm1610150024-n1.html

 海外で活動するウイグル人の組織の一つで、「東トルキスタン」(中国・新疆ウイグル自治区)の独立を目指す「東トルキスタン亡命政府」の大統領、アフメットジャン・オスマン氏(52)

普通に感じる疑問は
1)「産経が長年宣伝してきた」世界ウイグル会議総裁のラビア・カーディルとの関係(友好関係なのか対立関係なのか)
 まあ、対立してるかどうかはともかくその主張からは友好的には思えませんが
2)大統領を名乗ってると言う事は「自治権拡充」のカーディルと違い独立論なのか
 記事読む限りではガチで独立論のようです
3)都合上、「大統領を名乗ってるだけ」で「独立が現実化したとき」は大統領を辞めるのか、それともマジで独立ウイグルの大統領になる気なのか
4)いずれにせよこの御仁をどれほどのウイグルが支持してるのか
つうところですね。1),2)はともかく3)、4)はよくわかりません。 

 (ボーガス注:東トルキスタン亡命政府)憲法において、東トルキスタン亡命政府は、1933年に成立した東トルキスタンイスラム共和国と44年に成立した東トルキスタン共和国(※1)の独立の遺志を継ぐ*1政府であるとはっきり記されています。この憲法での独立は、奪われた独立を取り戻すという概念で、新たに中国から独立するということではありません。侵略されて、奪われた主権を取り戻すために、私たちは今、戦っています。中国の政権は私たちを分離主義者というが、まったくのでたらめです。

 「奪われた独立を取り戻すだけだから、新たな独立でも、分離主義でもない」つうのは詭弁ですよねえ(苦笑)。
 現に中国の領土となっているものを独立させれば、それは「新たな独立=分離主義以外の何物でもない」でしょう。勿論これは単なる事実の指摘であり、「分離主義だからだめだ」つう話ではありません。

 亡命政府は中国の、東トルキスタンで行われているいかなる政策も無視します。東トルキスタンは中国によって不法に侵略された土地。中国の政権はそこでいろんな政策を実施する資格がない。私たちはそれを認めません。

 そう言う事言ってたら対話が成立しないでしょうに。いや後の文章を読む限り対話する気なさそうですが現実的じゃないですよね。

 中国政府は東トルキスタン独立運動イスラム原理主義のテロだとレッテルを貼っているが、自分の土地から侵略者を追い出す運動は、正義の運動であり、イスラムの運動とは無関係だということも訴えていきたい。

 「自分の土地(東トルキスタン=新疆ウイグル)から侵略者(漢民族)を追い出す運動」てのはどう見てもテロでしょうね。
 つまりこの御仁は「漢民族(さすがに官憲限定で無差別ではない?)に対するテロはあるし、テロをやってるウイグル人イスラム教徒だが、イスラム原理主義とは関係ない」「侵略者を攻撃するテロはイスラム原理主義と関係ない正義のテロだから問題ない」と言ってるのでしょう。
 是非はともかくこんなん「中国は勿論」国際社会だって「そうですね、あなたの言うとおりですね」なんて言うわけがない。だからこそラビア・カーディル世界ウイグル会議はテロは批判してる訳です。

 中国政府が唱ったバイリンガル教育は、2つの言語を母国語のように話せるウイグル人を育成する方針でしたが、ふたをあけてみると、大学でウイグルの先生がウイグルの学生に中国語で授業をする。ウイグル語で授業をしてはいけないということになった。授業だけではく、クラス会議も中国語で開く。現在、ウイグル語と中国語の両方を使っていいのは、幼稚園、保育園、小学校の低学年までで、これもそのうちなくなります。
 もう一つ非常に憤りを感じるのは、ウイグル文学だけはウイグル語で教えていいということだったのですが、ウイグルの伝説や物語が全部取り除かれて、中国の文学から訳されたものをウイグル語で教えているのです。ウイグル人は言葉だけでなく、自分たちの文学や伝説、物語というものもわからなくなってきている。

 真偽の程は不明ですが事実なら民族統治という意味でもちろんまずすぎるでしょう。中国の政策変更を強く望みます。こう書いておかないと「あいつは中国シンパ」とか言い出すやつがいますので(苦笑)。

16日に開く「中国・核の脅威シンポジウム」(※2)の趣旨は
「1964年10月16日、中国政府は、東トルキスタンで最初の核実験を行いました。この日を私たちは東トルキスタンが喪に服した記念日としています。その後も核実験は繰り返されました。その被害の実態を明らかにして、ユネスコの記憶遺産に申請するための署名活動をしたい。

 このシンポには当然のように「日本ウヨ」が荷担していますし、日本ウヨは「中国と北朝鮮の核実験しか非難しない」ご都合主義野郎です。全く無価値なシンポといっていいでしょう。記憶遺産云々というならまず登録されるべきは「世界初の核実験(米国)」でしょう。まあ米国がそれに同意するとも思えませんが。
 それにしても日本ウヨと手を組んで恥じないとは全くこの「自称ウイグルの亡命政府大統領」もどうしようもないバカです。
 こういうバカに送るヤジとして日本には「ヨッ、大統領!(嘲)」というものがあります。


オバマ政権が日本を「監視対象」に 米財務省、為替報告書を発表 円高阻止の介入を牽制 
http://www.sankei.com/world/news/161015/wor1610150014-n1.html
 日本の円安ドル高誘導は度を超していて、米国に被害を与えてる恐れや、そもそも違法行為の疑いすらあるという米国からの牽制球です。今後米国が何をどうするかや、日本政府がどう動くかが注目されます。


■【小塩史人のワールド独談】韓国と同じ広さの牧場がついに中国企業の手に!? 豪州で女性大富豪を隠れみのに3度目の買収挑戦
http://www.sankei.com/premium/news/161015/prm1610150027-n1.html

中国企業が、オーストラリアの国土の1%超を占め、韓国の国土に匹敵する広大な牧場を手に入れようと躍起になっている。豪州政府は、安全保障上の懸念や国益を理由に昨年と今年の2度、中国企業による買収を認めなかった。3度目の挑戦となる今回は、豪州長者番付トップの女性大富豪を“隠れみの”に使う奇策を繰り出した。

 要するに食肉産業で金を儲けたいってだけですよね。まあ「国土の1%という広大な土地」とはいえ「牧場の買収」を「安保上の懸念」で阻止していいのか疑問ですが、過去、阻止されたと。
 そこで

 合意内容によると、牧場を買収するのは、ハンコックと上海CREDが共同で設立した特別目的会社。出資比率は、ハンコックが67%、上海CREDが33%で、地元のラインハート氏側が主導権を持つ形となっている。
 また、牧場のうち2万3000平方キロメートルと単独で世界最大規模を誇るアンナ・クリーク牧場については、買収後に別の豪州企業に売却し手放すことも盛り込んだ。これは、同牧場が、軍の戦略的兵器試験場と重なっており、豪州政府が1度目に買収を拒否した際の理由に挙げられていたためだ。2度目の買収提案でも、同様に同牧場を除外することが盛り込まれていた。
(中略)
 ラインハート氏は、(中略)豪州ではよく知られたセレブだ。
 地元メディアによると、中国など外国資本による買収に反発している保守系議員に太いパイプがあるという。反対派の懐柔には最適な存在で、上海CREDにとっては、強力な味方を得たといえる。ハンコックにとって、中国は重要な鉄鉱石の輸出先で、そうした関係からパートナーになったとみられる。

ということで豪州側の反対理由(1回目、2回目は合弁企業の出資の大部分が中国であることがネックとされた)をできるだけ潰す形で三度目の買収提案をしてきたと言うだけの話です。産経がワーワー騒ぐほどの話でもないでしょう。


■寂聴*2さん、死刑巡る発言を謝罪 「お心を傷つけた方々には、心底お詫びします」
http://www.sankei.com/west/news/161014/wst1610140029-n1.html
 率直に言ってわびる必要なんかどこにもないと思いますね。


■【竹島を考える】ソウル大で学んだドイツ人青年が日本の大学で教える「正しい歴史認識」とは 下條正男拓殖大教授
http://www.sankei.com/west/news/161014/wst1610140001-n1.html

 韓国の『朝鮮日報』は2016年9月8日、「歴史を正しく知れば謝罪・赦(ゆる)しも可能」と報じた。それは、ソウル大学で博士学位を得たドイツ人青年のユーリアン氏が、来年度から千葉大学国際教養学部の教壇に立ち、韓国史と日本史、日韓関係史の授業を担当するという内容であった。同紙によると、ユーリアン氏は「日本の学生たちに正しい東アジアの歴史認識について教え、韓日両国が歴史葛藤を解決して、和解に向かうところを共に模索する計画」と、その抱負を語っている。

 無論「歴史修正主義極右」でもない限り「正しい東アジアの歴史認識」とは「日本が中韓を侵略して酷い目にあわせた。それを否定する産経の居直りは論外」つう話です。日本の政府公式見解(日中共同声明河野談話村山談話など)だってその立場のわけです。

*1:直接の人的、経済的つながりがないので「遺志を継ぐ」云々となるわけです。

*2:著書『源氏に愛された女たち』(1993年、講談社プラスアルファ文庫)、『つれなかりせばなかなかに:文豪谷崎の「妻譲渡事件」の真相』(1999年、中公文庫)、『炎凍る:樋口一葉の恋』(2004年、小学館文庫)など