今日の産経ニュース(11/3分)

■【メディア裏通信簿】TBSは蓮舫*1二重国籍疑惑を「バーシズム」と擁護するが…サヨクの「安倍首相=A級戦犯の孫」批判はどうなんだ?
http://www.sankei.com/premium/news/161102/prm1611020001-n1.html
 産経記事でも特に低レベルな■【メディア裏通信簿】に今日は突っ込んでみます。
 そもそも安倍が批判されてるのは単に「A級戦犯容疑者・岸*2の孫だから」ではなく「岸の右翼的政治路線を踏襲しようとする極右だから」「戦前日本について反省の態度を示さなかった岸同様、反省の態度を示さないから(例:河野談話否定論への荷担)」なので、まるきり産経の主張は反論になっていません。岸の女婿とはいえ「安倍の実父・安倍晋太郎*3」が岸や「息子・晋三」ほどには批判されないのも「彼が政治家として岸や晋三ほど極右路線全開ではなかったから」でしょう(もちろん安倍晋太郎への批判が義父・岸や息子・晋三ほどでない理由には、安倍晋太郎がライバル竹下登*4宮沢喜一*5と違いついに首相になれなかったと言う事もあるでしょうが)。
 ちなみに板垣正*6平沼赳夫*7が批判されるのも、もちろん単に彼らが「A級戦犯板垣征四郎*8の子だから」「A級戦犯平沼騏一郎*9の親族だから」ではありません。安倍同様彼らが「板垣征四郎平沼騏一郎を是とする極右だから」です。A級戦犯の親族が政治家になっても「あの戦争は侵略戦争中韓に深くわびたい」と言う態度なら誰も非難しません。小生の知る限り残念ながらそう言う「政治家になったA級戦犯の親族」はいないんですが。

教授 
 AERA9月12日号が、天皇、皇后両陛下の私的懇談に呼ばれた人に、加藤陽子*10半藤一利*11保阪正康*12などという朝日新聞的な史観の歴史家の名前を挙げて、うれしそうに並べていましたね。

 加藤、半藤、保坂氏が朝日的な歴史観だとは思いません*13し、産経の邪推するような自慢や宣伝ではなく朝日は「単に事実報道しただけ」でしょうが、産経がプッシュしたいウヨ歴史家(伊藤隆*14とか秦郁彦*15とか?)が「天皇、皇后に呼ばれないこと」に「皇室は何考えてるんだ!」と不満感じてるらしいことが分かります。

先生
 9月9日午前に北朝鮮が5回目の核実験をしたが、午後の民放ワイドショーは取り上げず、高畑淳子の長男が不起訴になった話で盛り上がっていた。

 まあそういうことですね。誰も北朝鮮の核実験に脅威なんか感じないわけです。むしろだからこそ躊躇なく日本社会は「経済制裁」だの、果ては「朝鮮学校無償化除外」だの敵対行為ができるのではないか。これがまあ旧ソ連(現・ロシア)や中国相手だったらそう簡単にこういう敵対行為はできないでしょう。つうか過去にやってないと思う。

先生
 (ボーガス注:被害者が告訴を取り下げた高畑の件を見て思うに)日本は性犯罪に甘いんじゃないか。強姦罪親告罪にしているのだって、カネで犯罪をなかったことにできるわけだろ。

 強姦罪親告罪にしてるのは「結果的にそう言うコト(加害者がカネで黙らせる)があり得たとしても」もちろん、法の目的、意図はそう言う話ではありませんが。もちろん性犯罪に限らず「親告罪というのはそう言う話ではない」。
 つうか産経が「我らのプリンス安倍様の決めたことだから逆らうな」「これで慰安婦問題は解決したんだ」と「一応」プッシュしてる「日韓合意」こそが「カネで犯罪(日本軍性奴隷制度=慰安婦)をなかったこと」にしようとしてるんじゃないですかね。なにせ産経は「慰安婦のために10億出すんだから慰安婦銅像どかせ(そんな事に韓国は同意していません)」とかほざいてますから。自分のゲスさを棚に上げてやれ「親ばかな高畑の母親がカネで被害者を懐柔して、告訴を取り下げさせたのはゲスい」とはよくも言えたもんです。高畑淳子も産経だけには「カネで被害者黙らせてゲスい」とは言われたくないでしょう。
 ああ、それとしばらく前に法制審議会で「強姦罪非親告罪にしなさい(性犯罪者が被害者恫喝して告訴を辞めさせ、強姦なかったことにしたあげく再犯に及び、さらなる被害者が出る恐れがあるから?)」と言う答申がでて、安倍政権も「彼らの主張を信じるならば」今国会中に法案出す気マンマンで、野党も多分反対しないでしょうから「安倍政権が法案提出を今国会でするならば」近々、「全会一致で」非親告罪になると思いますよ。


■【産経抄】「明治の日」復活を急げ 11月3日
http://www.sankei.com/column/news/161103/clm1611030002-n1.html
 何のためにそんなコトするのかって話です。「明治時代の日本はすごかった、日露戦争でロシアに勝った」とかそんなノスタルジーなのか。それとも他に理由があるのか。いずれにせよ何か意味あるのかって話です。


■【阿比留瑠比の極言御免】もはや意味不明の護憲派主張 押し付け憲法論をめぐる論理の混濁
http://www.sankei.com/premium/news/161103/prm1611030019-n1.html
 本気で意味不明なら単に阿比留が馬鹿なだけです。「GHQが統治していた以上、米国の影響ゼロのわけもないが、当時の国会で審議もやってるから単純な押しつけじゃない」「そもそも嫌がる日本に無理矢理押しつけたのならとっくの昔に改憲されてたはずだ」と言う朝日の主張に難しいところは何もないでしょう。
 むしろ「意味不明」なのは
・「日本はGHQ(米国)統治で弱体化された(例:憲法九条の押しつけやWGIP)。反日アメリカは許せない」が「日米安保は堅持しなければならず、日米の価値観は共通」
・「太平洋戦争はコミンテルンの陰謀でおこされた」が「自衛戦争であり」、「東南アジアを解放する聖戦」だった
だの言う産経の方です。要するに整合性も何も考えずに主張するからこうなるわけですが。
 また九条改憲論を「日本の海外軍事行動を希望する米国」が後押ししてることは明白でそれこそ「押しつけ改憲論」的な面がありますが、これについては「同盟国米国の希望に応えるのは当然」と産経は言うのだから全くデタラメです。その一方で「首相靖国参拝反対」などの「都合の悪い米国の要望」には悪口する産経です。論理整合性は全く皆無です。


■【主張】憲法公布70年 日本のかたち示す改正を 「9条」先送りの暇などない
http://www.sankei.com/column/news/161103/clm1611030001-n1.html

 日本国憲法の公布から70年がたった。中国や北朝鮮の動向は、自分の国を守れるかという課題を日本人に突き付け、憲法と現実との乖離(かいり)を顕在化させている。

 ばかばかしい。中国や北朝鮮に日本攻撃する意思が本気であると思ってるんでしょうか。まず北朝鮮。そんな事をしたら軍事強国ではないあの国は滅びてしまいます。次に中国。日中間で経済交流がある(例えば日本企業の中国進出)があるのにそんなことをしても中国にメリットはありません。
 むしろ冷戦時代の旧ソ連の方がよほど脅威でした。

 参院選の結果、憲法改正の発議に必要な3分の2の勢力が衆参両院で初めて確保された。にもかかわらず、憲法審査会は始動せず、改正の歩みは遅々としている。

「国民が改憲など積極的に望んでないこと」の反映に過ぎません。そもそも参院選において改憲の是非が政権与党によって積極的に問われたわけでもない。

 改正には「憲法を国民の手に取り戻す」大切な意義があることを強調したい。

 いつもの押しつけ憲法論です。本当に産経が言うように「嫌がる日本に米国が無理矢理多しつけて日本人大迷惑」ならとっくの昔に改憲は実現していたでしょう。もちろん「米国統治下において米国の影響がないわけもない」ですが憲法制定は産経のいう「押しつけ憲法論」なんて単純な話じゃない。

というのも、制定当時の日本は連合国の占領下にあり、主権も言論の自由もなかったからである。

 と言いながらレッドパージは容認するご都合主義の産経です。

 GHQは憲法公布直後の昭和21年11月末の検閲指針で「GHQが日本国憲法を起草したことに対する批判」を削除や掲載禁止の対象に指定していた。押し付けを自覚していた証しにほかならない。

 米国が「批判を禁止対象にしていた」のは「憲法起草限定」ではなく「米国による統治全般」だと思いますが。この産経の理屈だと「GHQ統治それ自体が不当」という結論がむしろ適切で「話を憲法起草に限定するのは変」です。実際には産経は「GHQ統治それ自体が不快」でしょうが。

 海外での武力行使を禁じている9条の制約があるため、北朝鮮にいる拉致被害者の居場所が分かっても自衛隊は救い出せない。

 いい加減にして欲しいですね。何度も書いてますけどそう言う話ではない。「分かっても」て現に分かってないし、今後分かる保証もないじゃないですか。まあ分かったって向こうも居場所に軍の護衛をつけてるでしょうからリスキー過ぎて救出なんかできませんが。
 何度も書いてますけど

http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20161010/5064718022
産経だって、以前、id:Bill_McCreary氏が記事を書いたように
■『祝! 産経新聞も、ついに自衛隊によって拉致被害者を救出するという話の非現実性を認める』
http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/358ad15299c9be9f5c1aef9f744f896e
だった

はずなんですけどね(苦笑)。

 平時の行動中に、近くで米軍艦船や航空機が外国軍から攻撃されても、自衛隊は助けられない。

 そもそも「日本周辺で米軍相手に軍事攻撃をする外国軍」なんてどこにあるのか。妄想でしかない。
 

*1:菅、野田内閣行政刷新担当相、民主党代表代行(岡田代表時代)を経て民進党代表

*2:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相。戦後、自民党幹事長、石橋内閣外相を経て首相

*3:三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政調会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党総務会長(中曽根総裁時代)、幹事長(竹下総裁時代)などを歴任

*4:佐藤、田中内閣官房長官、三木内閣建設相、大平、中曽根内閣蔵相、自民党幹事長(中曽根総裁時代)などを経て首相

*5:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、鈴木内閣官房長官自民党総務会長(中曽根総裁時代)、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相。

*6:自民党参院議員。元日本遺族会事務局長

*7:村山内閣運輸相、森内閣通産相小泉内閣経産相たちあがれ日本代表、日本維新の会代表代行・国会議員団長、次世代の党党首など歴任

*8:関東軍参謀として石原莞爾らと満州事変を実行。その後も近衛、平沼内閣陸軍大臣朝鮮軍司令官、第7方面軍(シンガポール)司令官など歴任。戦後、東京裁判で死刑判決。

*9:検事総長大審院長、山本内閣司法相、枢密院議長などを経て首相。戦後、東京裁判終身刑

*10:著書『戦争の日本近現代史』(2002年、講談社現代新書)、『満州事変から日中戦争へ』(2007年、岩波新書)、『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(2016年、新潮文庫)など

*11:著書『聖断:天皇鈴木貫太郎』(1988年、文春文庫)、『レイテ沖海戦』(2001年、PHP文庫)、『ノモンハンの夏』(2001年、文春文庫)、『ソ連満洲に侵攻した夏』(2002年、文春文庫)、『真珠湾の日』(2003年、文春文庫)、『15歳の東京大空襲』(2010年、ちくまプリマー新書)、『山本五十六』(2013年、平凡社ライブラリー)、『「昭和天皇実録」にみる開戦と終戦』(2015年、岩波ブックレット)など

*12:著書『60年安保闘争』(1986年、講談社現代新書)、『陸軍省軍務局と日米開戦』(1989年、中公文庫)、『瀬島龍三』(1991年、文春文庫)、『後藤田正晴』(1998年、文春文庫)、『蒋介石』(1999年、文春新書)、『秩父宮』(2000年、中公文庫)、『死なう団事件』(2009年、角川文庫)、『五・一五事件』(2010年、中公文庫)、『農村青年社事件』(2011年、筑摩選書)など

*13:つうか「週刊文春編集長、月刊文春編集長、文春専務を歴任した半藤氏」のどこが朝日的なんでしょうか。まあ、彼ら三人が産経のような極右でないことだけは確かですが。

*14:つくる会理事の右翼活動家。著書『大政翼賛会への道:近衛新体制』(2015年、講談社学術文庫)など

*15:河野談話否定論の宣伝を理由に類友西岡力正論大賞をダブル受賞した右翼活動家。著書『慰安婦と戦場の性』(1998年、新潮選書)、『歪められる日本現代史』(2006年、PHP研究所)、『現代史の虚実:沖縄大江裁判・靖国慰安婦・南京・フェミニズム』(2008年、文藝春秋)など