今日の産経ニュース(1/28分)ほか

朝鮮日報『ドゥテルテ*1大統領が謝罪「最高刑を受けさせる」=韓国人実業家殺害事件』
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/01/27/2017012700489.html
 さすがの「暴言王」ドゥテルテもこういうわびるしかない問題では韓国相手にわびるわけです。
 まあドゥテルテが「最高刑を受けさせる」と言わなくても「現役警官が強盗殺人」なんかすれば最高刑(死刑が廃止されてるので終身刑)しかないと思いますが。ただこれ「ドゥテルテ発言が判決に影響すること」はたぶんないでしょうが「検察に最高刑を求刑させる」ならともかく、この発言は「司法への行政の不当な介入ではないか」つう問題があるとは思います。
 まあドゥテルテを問い詰めたら『検察に最高刑を求刑させる、つう意味であって裁判所判決に介入する気はない』とはいうでしょうが。


【ここから産経です】
尖閣竹島「我が国固有の領土」指導要領明記へ 文科省方針、小学校でも題材取り上げ
http://www.sankei.com/life/news/170128/lif1701280033-n1.html
 げんなりしますね。大事なことは「自国領だ」と教え込むことではなく「日本の主張だけでなく、中国や韓国の主張など、多様な見方があることを教えること」でしょう。領土問題とは「日本が正しい」と断言すれば解決する程簡単な話ではない。
 先ず第一に「本当に日本の言い分が正しいのか」と言う問題があるし、第二に「仮に正しいと前提しても」、相手と交渉も、妥協もしないでただただ「日本の言い分を主張すれば解決する話」でもない。「日本固有の領土」と教え込むことはそうした問題点を見えなくするとともに「中韓に対する敵意や偏見」を助長しかねません。
 過去の自民党政権がそうした明記をしなかったのは「中国や韓国とのビジネスの利益」という観点が大きかったとは言えそうした問題点をそれなりに認識していたからでしょう。


■【一筆多論】裏をかくのがプーチン*2外交 米露の関係改善は本物だろうか 佐藤貴生
http://www.sankei.com/column/news/170128/clm1701280005-n1.html

 筆者には、米露の蜜月が長期に及ぶことは考えにくい。それは、米国の国益や政策の裏をかく形で自国の存在感をアピールするのが、プーチン外交の特徴だったからだ。

 産経らしいとんちんかんな理解です。もちろんそう言う話ではない。プーチンだって米国と無意味に対立する気はないでしょう。協調できるなら協調したい。
 しかし「協調できない話」「協調したらロシアが損する話」とプーチンが理解する話では米国と喧嘩する、ただそれだけの話です(ここではそうしたプーチンの認識の是非はひとまずおきます)。
 そしてロシアや米国にとっては「不幸なことに」と言うべきでしょうか、「クリミア問題」「シリア問題」「MDやサードの配備問題」など、プーチンが絶対に米国に協調できない話が沢山あった、つうだけの話です。


■【産経抄】譲位めぐる民進党幹部らの物言いが、どうにも気になる 1月28日
http://www.sankei.com/column/news/170128/clm1701280003-n1.html
 「民進党天皇を政治利用するな」とはよくもいったもんです。
 天皇がうまくかわしたことで問題にはなりませんでしたが、米長邦雄の例の発言なんか明らかに「頑張って下さい」発言を天皇から引き出し「日の丸・君が代のおしつけ」を正当化しようとしていた癖に。あるいは「靖国天皇が参拝して欲しい(産経)」つうのは政治利用ではないのか。
 いずれにせよ天皇は周囲に「恒久法がいい」と言ってるそうなので安倍の方針「特例法」は天皇の考えには反します。はっきり「天皇の意見だろうと関係ない、我々は自分が正しいと思う考えを選ぶ」と言えばいいだけの話ですがそうは言えない「自称・天皇崇拝者」産経も哀れな新聞です。


■【月刊正論2月号】「特攻の母」演じた「金八先生」出身女優語る ビックリした「卒業式前の暴力」 日本人の好きなところ
http://www.sankei.com/premium/news/170128/prm1701280009-n1.html

伊藤つかさ*3
 金八先生が「問題が起こったっていいじゃありませんか。彼らはまだ未熟なんです。だから間違うんです。間違ったら繰り返し、それは間違いだと教えてやる。それが教育なんです」「我々はミカンや機械を作っているんじゃないんです。我々は毎日、人間を作っているんです! 人間の触れ合いの中で我々は生きているんです!」と訴えるシーンはとても有名になりました。

 「家栽の人」にも

http://blogs.yahoo.co.jp/mabokinoko/35811946.html
・家裁に来るような(ボーガス注:非行)少年達は、人生のスタートで冬を味わっているんです。まだ人生を選べることを知らないだけなんです。(家裁の人3巻より)

https://middle-edge.jp/articles/MPliF
・「どんなに長い処分を与えても、(ボーガス注:死刑や無期懲役に当たるような罪でない限り、非行を犯した)少年は社会に戻ってくるんです。誰かの隣に住むんですよ。そのときに彼が笑って暮らせる可能性を探すのが私たち裁判官の仕事じゃないでしょうか?」
・「街が少年達を育てないで誰が育てるんですか?」

などといった似たような主人公・桑田判事のセリフがあります。
 「金八」や「家栽の人」はフィクションですけど正論だと小生は思いますねえ。いやもちろんきれいごとではありますよ。
 実際それを貫くことは難しい。非行少年とか犯罪者とか切って捨てる方が楽です。正直、俺なんか「切って捨てるタイプの短気な人間」ですし(だからこそ「金八」や「家栽の人」に魅力を感じる面があります)。
 もちろん「無期懲役や死刑相当事件」だと金八や桑田判事のような態度も難しい。
 しかし、一般論として「社会的に見て」簡単に犯罪者や非行少年を切って捨てていいのか、ってことですよね。最近は犯罪者厳罰論の風潮があって「金八」や「家栽の人」のようなセリフをフィクションですら見ることが少ない*4ように思いますが俺はそう思いますね。きれい事(理念)だけでは世の中は回っていきませんが、きれい事(理念)は大事です。理念がなければ人間はどんどん現状追認で、間違った方向に行ってしまう。

伊藤つかさ
 (ボーガス注:特攻兵には)感謝ですよね。  
井上和彦*5
 まったくその通りですよね。ただただ感謝です。それ以外にはありません。ところが戦後、特攻隊で亡くなった方々を、あろうことか「犬死にだった*6」などという不届きな輩もおりますが、それは大間違いであり、断じて許せない。

 「ファンではないですが」伊藤ってこんな馬鹿だったのかと思うとがっかりしますね。コメ欄で「売れてないからじゃないか」つう指摘がありますが、売れてない人間*7が皆こんな馬鹿な事やってるわけじゃないですしね。
 右翼活動家・井上がバカなのは別にどーでもいいですが。
 小生は特攻兵には「本当にかわいそうだ」などと「同情はします」。彼らの崇高な思いに「ある種の感動もします」が感謝はしません。理由は簡単で彼らの死は犬死にで無意味だからです。
 そもそも感謝するということは「またああいうことをやってもいい」ということ、そして「特攻をやらせた*8政府・軍上層部を免罪する」ことでしょう。
 俺はあんな馬鹿な事をやらせた政府・軍上層部を絶対に許せません。許してはいけないと思っている。当時の政府・軍上層部に怒りを覚える。特攻兵に「感動、同情はしてもいい」が感謝は絶対にしてはいけない。「感動、同情」と感謝を混同してはいけない。そう思っています。
 以前読んだ「風雲児たち・幕末編(みなもと太郎)」の寺田屋事件薩摩藩の内紛事件)の回で

大久保利通『(京都所司代襲撃を企てる有馬新七らに)成功するわけがない、犬死には止せ」
有馬新七『ワシは成功しなくても犬死にとは思ってない。倒幕のさきがけになれればそれでいいと思っている』

云々と言うやりとりがありますが、まあ、これだって正直、犬死にですよね。まあ小生、みなもとが有馬をかっこよく描いていることもあって不覚(?)にも感動してしまいましたが。
 大久保の説得に応じない有馬らを抑え込むために寺田屋事件となるわけです。

参考

寺田屋事件(ウィキペ『寺田屋事件』参照)
 文久2年4月23日(1862年5月21日)に薩摩藩尊皇倒幕派薩摩藩主の父で事実上の指導者・島津久光によって粛清された事件。「寺田屋騒動」とも言う。
 藩兵千名を率い上洛した久光は日本中の尊王倒幕派の希望をその身に背負っていた。しかし久光にはこの当時は倒幕の意志はなく、公武合体がその路線であった。
 しかし薩摩藩士・有馬新七柴山愛次郎橋口壮介らは、他藩の尊王倒幕派志士ら(真木和泉、田中河内介ら)と共謀して、関白・九条尚忠京都所司代酒井忠義を襲撃、暗殺してその首を持って久光に奉じることで、無理矢理にでも倒幕蜂起を促すということに決した。この襲撃の前に、伏見の船宿寺田屋に集まることを計画していたが、当時寺田屋薩摩藩の定宿であり、このような謀議に関しての集結場所としては格好の場所だったようである。
 志士暴発の噂を聞いた久光は、側近の大久保一蔵(大久保利通*9)、海江田信義*10、奈良原喜左衛門を次々に派遣して説得を命じ、藩士を抑えようと試みたが失敗した。
 久光は驚き、出奔藩士を藩邸に呼び戻して自ら今後の方針を説明して説得しようと考えたが、一方で従わぬ場合には上意討ちもあると言い含めて、奈良原喜八郎(奈良原繁*11)、大山格之助大山綱良*12)ら、特に剣術に優れた藩士8名を鎮撫使に選び、派遣することにした。
 23日夜、奈良原ら鎮撫使は有馬らに藩邸に同行するように求めたが、拒否された。こうして上意討ち(同志討ち)の激しい斬り合いが始まった。
 この戦闘によって、志士6名*13有馬新七柴山愛次郎橋口壮介・西田直五郎・弟子丸龍助・橋口伝蔵)が死亡、倒幕派薩摩藩士の大半は投降し、美玉三平などは逃亡した。
 この事件によって朝廷の久光に対する信望は大いに高まり、久光は公武合体政策の実現(文久の改革*14)のため江戸へと向かった。

 井上
 「でも、自分が今命がけでやらなかったら、この国が、お父さん、お母さんが危ない! だから俺が行くんだ!」という、その思いの尊さ、気高さに対する敬虔な思いというのが出発点になければいけない。  

 だからなんでそう言う崇高な使命感がああいう無謀な作戦行動になるのかって事です。特攻したって軍事的には全く無意味です。あんなんで米軍に大打撃なんか与えられるわけがない。
 大体「信念は立派だった」つうなら右翼活動家・井上がぼろくそに言うであろう「安重根*15尹奉吉*16ら韓国民族活動家」、極左テロリスト(テルアビブ空港乱射事件、ダッカ日航機ハイジャック事件などを起こした日本赤軍三菱重工ビル爆破事件をおこした東アジア反日武装戦線とか)やイスラムテロリストだってそうでしょう。「信念の崇高さ」は「やってることの正しさ*17」を全く意味しない。

 

*1:ダバオ市長を経て大統領

*2:エリツィン政権大統領府第一副長官、連邦保安庁長官、第一副首相、首相などを経て大統領

*3:ドラえもんでは「少女アイドル・伊藤つばさ」として登場。なおドラえもんには他にも『ももぐち・やまえ(山口百恵)』、『やさい戦艦トマト(宇宙戦艦ヤマト)』、『大氷山の小さな家(大草原の小さな家)』、『河合伊奈子(河合奈保子)』、『建設巨神イエオン(伝説巨神イデオン)』、『丸師丸広子(薬師丸ひろ子)』、『千葉県一(千葉真一)』、『アンコロモチストーリーズ(アンドロメダストーリーズ)』、『松木伊代(松本伊代)』、『早目優(早見優)』、『真田ヒモ行(真田広之)』、『ミケちゃんマン(タケちゃんマン)』、『Drストップ アバレちゃん(Drスランプ アラレちゃん)』、『炭友銀行(住友銀行)』、『ガラスのカメ(ガラスの仮面)』、『ゼイ肉マン(キン肉マン)』、『ジャイケル・マクソン(マイケル・ジャクソン)』、『ミッチャー首相(サッチャー首相)』、『どらやきエスト(ドラゴンクエスト)』、『五島くに子(後藤久美子)』などといったパロディが登場する(http://www.hatosan.com/ensoku/2013/01/post-45.html参照)

*4:その結果が岡村勲のような暴論の垂れ流しです。

*5:著書『日本が戦ってくれて感謝しています:アジアが賞賛する日本とあの戦争』(2013年、産経新聞出版)、『パラオはなぜ「世界一の親日国」なのか』(2015年、PHP研究所)など。井上のデマに対する批判としては例えば■読む・考える・書く『シンガポールは日本軍に感謝などしていないという当たり前の事実に関する若干の補足』(http://vergil.hateblo.jp/entry/2016/05/16/214835)【追記】コメント欄で指摘がありますがこの井上とは同姓同名の別人で、日本テレビアニメ『美味しんぼ』(1988〜1992年)の主人公・山岡士郎役などで知られる声優がいますね。

*6:犬死にだったと認めることによってのみ、「政府・軍上層部」を非難出来るし、非難することこそが本当の「特攻兵に対する供養だ」と俺は思います。感謝とか抜かす伊藤や井上は「政府・軍上層部」を免罪する気でしょうか。

*7:「関係ない話ですが」以前、新聞(東京新聞だったかな?)のインタビュー記事に有森也美が出てきたのを見て「そう言えば彼女も最近はそんなに売れてないかなあ」と思った事があります。松竹映画『キネマの天地』(1986年)の主人公、フジテレビドラマ『東京ラブストーリー』(1991年)の準主役と若い頃はそこそこ大きい役もやってるんですけどね。

*8:自発的でも愚行ですが特攻は自発的行為ではなく命令による行為です。

*9:参議、大蔵卿、内務卿など歴任。西郷隆盛木戸孝允と並んで「維新の三傑」と称される。後に不平士族によって暗殺される(紀尾井坂の変)。

*10:明治維新後、奈良県知事、貴族院議員、枢密顧問官など歴任

*11:奈良原喜左衛門の弟。明治25年(1892年)に沖縄県知事に就任するが、杣山問題により謝花昇らと対立を深め、謝花の組織した沖縄倶楽部への弾圧を行うなどの強権を以て県政に臨み、また官選知事としては異例の16年にわたって在任し「琉球王」の異名をとった。

*12:明治6年1873年)に征韓論争から発展した政変で西郷らが新政府を辞職して鹿児島へ帰郷すると、私学校設立などを援助し西郷を助けた。その後、大山が県令を務める鹿児島県は新政府に租税を納めず、その一方で私学校党を県官吏に取り立てて、鹿児島県はあたかも独立国家の様相を呈した。明治10年(1877年)に鹿児島で西郷らが挙兵した西南戦争では官金を西郷軍に提供し、西郷軍の敗北後、その罪を問われて逮捕され斬首された。享年53歳。

*13:彼らには明治維新後に従四位が贈られている。

*14:一橋慶喜将軍後見職に、越前藩の前藩主・松平慶永(春嶽)を新設の政事総裁職に任命

*15:韓国では、前・韓国統監の伊藤博文を暗殺した安は「義士」と称され、国民的英雄とされる。ソウルには安の偉業を伝える「安重根義士記念館」が1970年に建設されている。韓国海軍では、2008年に完成した潜水艦の艦名に彼の功績を称えて「安重根」と命名した。在日本大韓民国民団は、2014年3月26日に東京で開催された安重根の追悼式で「安義士がテロリストではなく、東洋の平和を切に願った義人だという事実を、日本政府も知るべきだ。今後、安義士の思想が東洋平和の礎となるよう努力していく」と表明した(ウィキペ『安重根』参照)。

*16:いわゆる上海天長節爆弾事件上海派遣軍司令官・白川義則を暗殺、第3艦隊司令長官・野村吉三郎、第9師団長・植田謙吉、上海駐在総領事村井倉松、上海駐在公使重光葵らに重傷を負わせた。韓国政府は、1962年に建国勲章大韓民国章(1等級)を贈り、独立運動の義士として顕彰し、独立記念館に祀っている。このように韓国では義士とされているが、日本では知名度が低い(ウィキペ『尹奉吉』参照)。

*17:なお、俺個人は韓国民族活動家のテロについては「日本が民族運動を弾圧する以上ああいう行為も仕方がない」と思っており批判する気はありません。