「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2/21分:高世仁の巻)(追記・訂正あり)

■「森友学園」についていろいろ
籠池泰典森友学園理事長・塚本幼稚園園長が、TBSラジオの電話インタビューに応じた
http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/2936496258ef4c005b78b56fb333e47e
■正直なところ、教育勅語の斉唱など塚本幼稚園の問題では大したことではない
http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/77451cb7707a5bd16a14351b30e2b6cd
 id:Bill_McCrearyさん記事を紹介しておきます。

赤旗

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-21/2017022101_06_0.html
■きょうの潮流
 名誉校長には首相の昭恵夫人が就き、当初「安倍晋三記念小学院」の名で寄付金を募っていたことも明らかになっています。
(中略)
 首相は自身の名前が使われていたことを「初めて知った」と答弁していますが、籠池泰典・学園理事長は本紙の取材に夫人を通して内諾を得たと証言しています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-22/2017022201_01_1.html
森友学園への国有地売却 8億円値引き 口実崩壊、埋設ゴミ処理 未確認、宮本岳志議員 理事長の参考人招致要求
 財務省近畿財務局が大阪市内の学校法人「森友学園」(籠池泰典(かごいけやすのり)理事長)に私立小学校用地として豊中市内の国有地8770平方メートルを8億1900万円も値引きし1億3400万円で売却した問題で、国が値引きの理由としていた埋設ゴミの処理工事を確認しておらず、法的に義務づけられた工事でもないことが、21日の衆院財務金融委員会で明らかになりました。日本共産党宮本岳志議員が追及しました。
(中略)
 8億1900万円の費用がかかるゴミ処理工事が実際に行われたかただした宮本氏にたいし、財務省の佐川宣寿理財局長は「確認していない」と答えました。
 さらに小学校用地とするため、このゴミ処理工事を必要とする法的根拠があるのかについて、文部科学省の山下修文教施設企画部長は「義務付けられていない」と答えました。
(中略)
 森友学園籠池泰典理事長と代理人の酒井康生弁護士は本紙の取材に、学校用地に埋まるゴミは、一部しか処理していないことを明らかにしました。
 籠池氏らによると、4月開校に間に合わせるため、ボーリング工事で出たゴミなど一部だけ処理する方法を選択。敷地全体のゴミは撤去していませんでした。処理費用については「工事途中であり、正確な金額はわからない」としています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-24/2017022401_03_1.html
■政治家の関与含め徹底的な事実究明を、「森友学園」への国有地格安払い下げ 志位委員長が表明
 日本共産党志位和夫委員長は23日、国会内で記者会見し、大阪市内の学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)が新設する私立小学校用地として大阪府豊中市内の国有地が格安で払い下げられた問題について、「なぜこういう事態が起こったのか。関係者の(国会への)招致も含めて、徹底的な事実関係の究明が必要です」と表明しました。
 志位氏は、「森友学園」の取得した国有地が8770平方メートルと広大で、評価額は9億5600万円に達すると述べ、国がゴミ処理費用を差し引き、除染費用を支払った結果、国は国有地を200万円で手放したことになると指摘。「国有地というのは国民の財産です。9億5600万円もの国民の財産が200万円という二束三文の額で売り渡されたという経緯について、事実関係の徹底的な究明が必要です」と強調しました。
 その上で、志位氏は「これは異常で奇怪な取引です。政治家の関与なしには、こういうことは起こりえないと思います」と指摘し、「どういう力が働いたのか、きちんと究明する必要があります」と述べました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-24/2017022415_01_1.html
■「教育勅語」教育は不適切、森友学園の幼稚園教育内容、宮本議員追及に文科相 衆院予算委分科会
 不透明な国有地売却が問題になっている大阪市内の学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)が、幼稚園児に教育勅語を暗唱させるなどしている教育内容の問題点が23日、衆院予算委員会分科会で追及されました。日本共産党宮本岳志議員は、文部科学省に指導を求めました。
(中略)
 宮本氏は、文部科学省が以前から「教育勅語そのものを教材として使うということは考えられない」という立場をとってきたことをあげて「いまもその立場に変わりはないか」とただしました。
 文科省の藤原誠初等中等教育局長は「変わっていない」と答えました。
 宮本氏は、教育勅語の暗唱は文科省が一貫して否定してきたものであり「これを小学校で教えるのは不適切だ」とただしました。
 松野博一文科相は「この教育方針が認可も受けていない小学校でどう扱われるかは仮定の問題だ」としながら「教育勅語を教育の源泉として扱うことは適切でない」と答えました。
 宮本氏は、塚本幼稚園では「しつけ」と称して「子どもがおもらししたら、そのままカバンに入れて持ち帰らせる」など児童虐待につながりかねない問題もあることをあげ、「不適切なものがあればただちにただすべきだ」と求めました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-25/2017022501_01_1.html
■売却国有地の土壌改良費用 国と森友学園が交渉、宮本岳議員が暴露・追及、衆院予算委 財務省「記録廃棄した」
 宮本氏が、森友学園側との交渉の一切の記録を提出するよう求めたのにたいし、財務省の佐川宣寿理財局長*1は「記録は残っていない。財務省の行政文書管理規則にもとづき廃棄した」と答弁。委員会室からは「隠ぺいだ」という怒りの声があがりました。
 宮本氏の求めに会計検査院の河戸光彦院長は「この国有地売却について検査を実施したい」とのべました。
 麻生太郎財務相は「適正な価格で処分を行っている」と答弁。宮本氏は「不可解な大安売りで『適正』でもなんでもない」と反論しました。
 宮本氏は、森友学園との交渉の経過を明らかにするため当時の近畿財務局、大阪航空局の職員3人を証人として委員会に喚問するよう要求しました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-01/2017030101_05_1.html
■主張『「森友学園」疑惑:ごまかし続けるのは許されぬ』
 大阪府豊中市にあった国有地が、学校法人「森友学園」に小学校用地として「格安」で売却された疑惑が国会で大問題になっています。当初の鑑定額を9億5600万円とされた土地が、「ゴミ撤去費」として8億1900万円も値引きされるなど異常なことが、なぜ起きたのか。野党に追及されても安倍晋三首相らは、まともに説明しようともせず、事実解明に後ろ向きです。安倍首相夫妻と森友学園の関係にも疑念が深まっています。不明瞭な一連の疑惑を徹底的に究明することは、参院に舞台を移した2017年度政府予算案の審議でも大きな焦点です。
 鑑定価格から8割以上も値引きされた国有地が、首相の妻・昭恵氏が「名誉校長」(のち辞任)を引き受けた私立小学校(今年4月に開校予定)用地として払い下げられる―。このこと自体が国民の疑問を抱かせるものですが、国会審議では、土地売却の手続きをめぐり財務省国土交通省との異例なやりとりが繰り返されていた実態が浮かんでいます。
 ゴミ撤去費用を8億円余りと算出したのは国交省大阪航空局でした。しかし、売り主である国の方がそんな見積もりをした国有地の売却は、過去例がありません。国は算出の根拠を説明しないため、「見積もり過剰」の疑いも濃厚です。森友学園側は「赤旗」の取材に、8億円もかかっていないことを認めています。ゴミをきちんと処理してない疑惑もあります。売買価格が最初は非公表だったことや売買代金を分割払いにしたなど不透明な問題は山積しています。
 森友学園が土地取得に名乗り出た13年9月以降、何があったのか。異例づくしの売却の背景には、政治家の関与があるのではないのか。衆院予算委員会日本共産党宮本岳志議員は、15年9月に近畿財務局会議室で、学園側と財務局や大阪航空局の担当者が土壌改良費用について交渉していた事実を指摘し、交渉記録の公表を迫りました(2月24日)。しかし財務省は「記録は破棄した」と拒否し続けています。麻生太郎財務相は「適正な価格で処分された」「国がゴミを撤去したか確認する必要はない」と開き直っています。安倍首相も、会計検査院が調査すると述べるばかりです。国民の共有財産である国有地を適正に扱うことへの責任や自覚を疑わせます。
 疑惑の土地に開設予定の小学校「瑞穂の國記念小学院」の名誉校長が首相夫人だったことをはじめ、首相側と森友学園との関係も問題です。同学園が運営する幼稚園の運動会で、園児に「安倍首相頑張れ」と唱和させていたことは国民を驚かせました。首相は、批判の広がりを前に、同学園と距離を置く姿勢を強めています。しかし、戦前の「教育勅語」を暗唱させるなど教育基本法さえ逸脱した教育方針の学園を、以前は高く評価していたのは首相夫妻でした。少なくとも道義的な責任が問われます。
 テレビ朝日世論調査(27日放送)では、森友学園疑惑を「はっきりさせる必要があると思う」の回答は83%にのぼっています。首相は、自らの関与を躍起になって否定しますが、国民が納得できる経過の説明はしておらず、疑念は払しょくされていません。ごまかし続けることは、許されません。

http://b.hatena.ne.jp/entry/zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170221-01290960-sspa-soci
id:Gl17
 小児版の戸塚ヨットスクールだよね

 なかなかうまい表現なので今後使おうかと思います。


■毒積もる豊洲 この伝ならばタダ
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20170223
 前半は森友学園疑惑です。小生も高世の
「何故野党の森友学園理事長国会参考人招致要求に与党は反対するのか」
「何故麻生*2財務相はこの疑惑について『払い下げは適切に行われたと思う』として調査する考えを見せないのか」
安倍総理ら政治家の関与疑惑が事実だからではないのか」
などという批判には全く同感です。
 後半の北朝鮮叩きには異論あり。
 高世が
■正男くんより「森友学園」事件の追及を
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20170222
と書いたのは何だったんですかね。「俺とマスコミは違う」「マスコミが金正男を騒ぐのはおかしいが、俺は騒いでもいい」「大体マスコミは朝日新聞テレビ東京、TBSラジオなど一部を除いて森友を取り上げないが俺は取り上げてる」とでもいうのか。そう言う話じゃないでしょう。

言葉の真の意味*3で「ならず者国家」である。

なんて言って北朝鮮を罵倒しても何がどうなるモンでもない。まあ今回の金正男暗殺が北朝鮮の犯行だと仮にしても「どう対応するか」はなかなか難しい。「逮捕された実行犯以外」処罰なんて現実上無理だ。
 北朝鮮で言えば「大韓機爆破」なんて金賢姫以外処罰できなかったし「トロツキー暗殺(旧ソ連)」「金大中事件(韓国)」など他の「外国の権力犯罪」だってまあ黒幕なんか裁かれないわけです。
 ならば処罰は無理として経済制裁すべきなのか。しかし制裁しても反発を強めるだけじゃないか(大体、既に核、ミサイル問題による安保理制裁をしています)。とはいえああいう暗殺を事実上、容認するのも一寸躊躇する。つうのが今の俺の複雑な思いです。


■正男くんより「森友学園」事件の追及を
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20170222
 あのアンチ北朝鮮・高世ですらこういうほど、今のマスゴミは「朝日新聞テレビ東京TBSラジオなどそれなりの追及をしてるメディアは除いて」酷いわけです。
 ただ正確には『正男くんより「森友学園」事件の追及を』ではなく『日本人が関係ない外国の問題より、関係ある国内の重大問題を』ですね。
 高世が紹介する東京新聞斎藤美奈子*4コラム*5が言うようにこれは
1)国有地が不正に安く払い下げられた
2)しかもそれに首相が関与してる疑いがある
という大スキャンダルの訳です(それプラス『異常な極右教育』『児童虐待とその背景にあるエセ科学』なども斎藤氏が言うようにスキャンダルではあるでしょう。安倍が関係なくてもスキャンダルですが、安倍が関係あるのだから『あの幼稚園のような教育が自民の目指す教育』と言うことが危惧されるわけです)。
 正男に限らず「シリア内戦」「トランプ問題」などであっても「外国の問題」などある意味どうでも良くなる一大スキャンダルです。それを追及しないとはどういうことなのか。

 きょう*6は私の誕生日*7
 今年も、母親に電話で「産んで育ててくれてありがとう」と礼を言った。

 言った方がいいのかも知れませんがそういうことは両親には言いませんね。気恥ずかしい。
 それに産んだのはともかく育ててくれたのは「一番大きいのは両親」でしょうが、他にも兄弟姉妹、親戚、友人・知人の影響もありますしね。

 収賄疑惑大臣や下着泥棒大臣を居座らせたのを反省して、メディアは奮起しないと。

 収賄は甘利*8前経済財政担当相、下着泥棒は高木*9前復興相でしょう(すぐには辞めなかったとは言え辞めているし、甘利についてはそれなりに報じたので、高世の批判は言いすぎだと思いますが)。
 これに稲田*10防衛相、高市*11総務相、菅*12官房長官の白紙領収証疑惑もあるわけです。
 まあ、高木の件は「大昔のことだしたとえ事実でも被害者との間に示談が成立してる」で大目に見てもいいかもしれませんが他はそういうわけにはまったくいかないでしょう。

そのコラムのすぐ下の記事にも目が行った。
 《ノンフィクション作家・奥野さん霊体験集》の見出し。
 奥野さんとは奥野修司さん*13で、大宅壮一賞も受賞した実力派ライター。
 その彼が「東日本大震災の被災地で亡き人の魂と再会した遺族の霊体験の聞き取りを2012年から進めてきた」という。その取材が月末に『魂でもいいから、そばにいて:3.11後の霊体験を聞く』という本になる。

 まあ高世の文を信じれば筆者はオカルト(霊魂の存在)を認めてるのではなく「霊魂の存在を信じたいという遺族の気持ちにより添いたい」ということのようです。出版されたら読んでみてもいいかなと言う気はします。「めぐみ生存説」など放言して、それに否定的な人間を異常に敵視する横田母よりは「変なオカルトにはまったり、他人にオカルトを強要したりしない限り」、遺族の霊体験の方がマシだと思います。


■9条の力についての疑問
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20170221
【最初に追記】
 「九条に対する」高世みたいな物言いなら「ダライ一味の惨状」をネタに「ノーベル平和賞の力*14についての疑問」「チベット仏教の力についての疑問」を、あるいは「拉致問題の惨状」をネタに「救う会の主張についての疑問」を語ってもいいでしょうが誰かがそう言ったら怒り出すんでしょうねえ。
 いや俺は「ノーベル平和賞はともかく」ダライ一味と救う会についてははっきりいって「あいつら無能でダメだろ、どーしようもないバカだろ、話にならないだろ」と思ってますけど。
 チベット仏教だって一部のチベット盲従分子が称えてるだけで社会的影響力は皆無ですしねえ(苦笑)。
 キリスト教イスラム教と比べたらダライ一味(チベット仏教一味)の社会的影響力は「実にしょっぱいもん」でお話になりません。

【追記終わり】
 まあ、高世と「高世が紹介する伊勢崎賢治*15」も酷い詭弁をはくもんです。
 こいつら本当に護憲派なのか。改憲派にしか見えないんですが。
 「かなり前の記事ですが」スーパーゲームズワークショップエンタテイメント『伊勢崎賢治が最近スゲー事になっていた』(http://roodevil.blog.shinobi.jp/Date/20140414/)の伊勢崎批判は全く正しかったと言うべきでしょう。ここに来て伊勢崎の化けの皮が完全にはがれたわけです。
 高世や「高世が紹介する伊勢崎」曰く「日本国憲法がない国も侵略は憲法上、違法だ。だから九条なんて大したモンじゃない」。前半(日本以外でも侵略を正当化してる国はない)はそりゃそうでしょう。国際法上、自衛戦争以外は違法な侵略ですから。米国だってソ連だって、中国だって、北朝鮮だってほとんどの国はおそらく憲法上はそうでしょう。
 憲法上、定めがないとは言え、「戦争が事実上オッケーだった第一次大戦前はともかく」、戦争が違法化された第一次大戦後は日本ですら「我々の戦争は全て自衛戦争」云々などと強弁していた。
 だからといってそれがどうして「憲法九条は大したもんじゃない(後半)」ことになるのか。
 憲法九条の戦争禁止(専守防衛限定*16)は一般に「ほとんど形骸化してる」と言われる米国などの違法戦争禁止よりがちがちに「厳格に解釈、運用」されており、その結果、米国などと違い、日本は戦後ずっと海外で戦争することがありませんでした。そして「戦前は日中戦争、太平洋戦争など、戦争の連続だった日本」も戦争を全然しなくなる快挙を達成したわけです(米軍基地での米軍支援やPKOでの自衛隊海外派兵はひとまずおきます。これらを前提にしても「自衛隊が海外派兵してるから九条は無意味」てこともないでしょう)。
 これはまさに「九条の力」でしょう。朝鮮戦争ベトナム戦争に米国の同盟国(西欧諸国や韓国など)が集団的自衛権を理由に参戦してることを考えれば九条がなければ日本も参戦していたんじゃないかと考えることは決して非現実的想定ではありません。
 高世や「高世が紹介する伊勢崎」ら曰く「九条があっても日本の軍事費は世界の上位だ。だから九条なんて大したモンじゃない」。
 しかし九条がなかったらもっと金をつぎ込んでるでしょう。問題は九条のせいではなく「九条があってもそれを有効活用してこなかった日本人」の方にあります。どんなに立派なモンをつくってもそれを活用しなければ意味がない。安倍の無法を問題にしないで「河野談話なんて無価値だ」と放言するのと全く同じ事を高世や伊勢崎はやっています。
 そもそも「現実と実態が乖離してる」のは「九条」だけではありません。
 たとえば日本ではこの間の文科省問題で分かるように「全く無意味」とは言いませんが天下り規制がかなり無効化しています。なら実態に合わせるべきで天下り規制なんかいらないのか。
 もちろんそう言う話ではないでしょう。天下り規制があるからあの程度で済んでるのだし、なくせばもっと酷くなるでしょう。
 あるいは日本でも残業代不払いは違法行為ですがサービス残業が横行しています。
 あるいは日本では「賭博は一応違法」ですが例外措置で公営ギャンブル(競馬、競輪、競艇オートレース、宝くじなど)やパチンコは合法化されついに先日はカジノ法まで制定されました。
 あるいは日本では「売春は一応違法」ですが実際には性風俗産業(ソープランドファッションヘルス、イメージクラブなど)という形で事実上売春が行われています。
 あるいは中国には「少数民族自治区チベットウイグル)」がありますがダライやラビアなど一部の中国批判派は「形骸化している」と非難しています。
 もちろんこれらだって「だからこれらの制度は無意味だった」ということにはならない。たとえば「自治区なんて無意味だった、なくしても問題ない」なんていったら当事者であるダライやラビアが怒り出すでしょう。高世や伊勢崎の主張はそのレベルの暴論です。
 かなり無力化してるのなら「今こそ有効活用すればいい」。なんで「無力化してるからいらない」という話になるのか訳がわかりません。

 侵略とかいわゆる「権利としての戦争」は9条ができるずっと前から国際法で違法化されています。

 「ずっと前」つうのはいつのことなんですかね。俺の理解では戦争違法化は「第一次大戦後の不戦条約」がその始まりです。それ以前も「戦争違法化という考え」はあったがそれが不戦条約で初めて国際法になった。
 不戦条約の成立が1928年(昭和3年)。日本国憲法の制定が1947年(昭和22年)です。約20年前のことを「ずっと前」というのは普通の用語法じゃないでしょう。
 たとえば今から20年前の1997年といえば「ペルー日本大使公邸占拠事件」「ブレアの英国首相就任」「香港の中国への返還」「金大中の韓国大統領就任」「温暖化防止に関する京都議定書の採択」などがありますがこれらは「ずっと前の出来事」とはあまり言わないんじゃないか。
 それとも高世や伊勢崎にとって「不戦条約がスタートじゃない」のか。ならばいつがスタートなのか。たぶん「スタート時点を曖昧にごまかしてる」のは高世や伊勢崎が詐欺師だからでしょう。

侵略者を倒した五つの王様達が君臨する国連ができてそれは更に厳しくなり

 それ裏返せば「5つの王様(米英仏露中の五大国)」または「王様のダチ公」がやる戦争は王様たちによって事実上黙認されるつう事なんですが。
 米国のベトナム戦争、ロシアのシリア内戦介入など実例はいくらでも挙げられるでしょう。
 「王様のダチ以外の戦争は否定されるが、王様本人やダチの行う戦争はほとんど野放し」つうのは戦争野放しよりはマシですが、少なくとも高世や伊勢崎が言うほど素晴らしいことではありません。

 敵国条項さえ未だ残されていますので、日本はフツーの国以上に「そういう戦争」をやりにくい国です。

 「日本同様」敵国条項対象国であるドイツはNATO加盟国としてユーゴ空爆に参加し戦争しています。つまりは「米国の認める戦争」への参戦なら敵国条項なんか発動されないという事です(まあドイツが日本と違いポーランドなど侵略した隣国と一応和解してることも大きいのですが)。そして自民党政権の予定している戦争は「米国の認める戦争」でしょう(典型的にはドイツのユーゴ空爆参加のような米国との共同作戦)。
 この程度の事は伊勢崎も高世もわかっているでしょう。全く酷いデマ屋です。
 なお、ここで俺が指摘したこと(敵国条項対象国・ドイツは戦争してる)は「伊勢崎や高世のデマ」に対する「事実の指摘」に過ぎずそうしたドイツの戦争参加を否定しているわけではありません。いやハト派の俺はドイツの戦争参加には否定的ですがここではそう言う話をしているわけではない。

国連憲章がやっと戦争を個別的/集団的自衛権に封じ込めた

 個別的自衛権はともかく「集団的自衛権」は浅井基文氏*17などが批判するように「集団的自衛権は米ソ両国が自分たちの軍事同盟(NATOワルシャワ条約機構など)を自衛として正当化するために作ったものにすぎない」「韓国のベトナム戦争参戦、ソ連のブレジネフドクトリンによるチェコ侵攻など集団的自衛権行使の実例も自衛とは言い難い」のであって「封じ込めた」なんて事実誤認もいいところです(まあ高世と伊勢崎の場合、故意の虚言だと思いますが)。
 実際は「個別的自衛権に封じ込めようとしたのに米ソが軍事同盟を正当化するため集団的自衛権という抜け穴を作った」のです。
 ただ米国の場合「先制自衛(武力攻撃の恐れしかない段階で、つまり相手の攻撃がない段階で自衛権の発動として武力行使すること。国際法の通説では違法行為です)」なんてとんでもない事抜かしてますので個別的自衛権限定でも問題は残っていますが。

 テレビでは、連日、金正男暗殺についてスタジオに識者を招いて評論している。

 そんなことより例の小学校の国有地払い下げ疑惑とか、南スーダンPKO問題とか共謀罪法案とか文科省天下り問題とか東芝経営危機問題とか「日本の政治経済を巡る重要問題」を論じたらどうなのか。
 「僕たち日本の政治や経済の批判は日本政財官界が怖くてできないからしません。だから叩いても問題ない北朝鮮を叩きます」つうのが見え透いてて実に不愉快です。在日差別を助長しかねない、そんなくだらない事「北朝鮮叩き」するくらいならまだ無害な「グルメレポート」「観光地レポート」などの方がマシです(まあ夕方ニュースでのグルメや観光地レポート*18も政財官界批判を恐れる日本メディアの腰抜けぶりの表れではあるのですが)。
 誤解を恐れず言えば正男を「誰が何故殺したのか*19」なんて日本人大多数にとってどうでもいい話です。正男が生きようが死のうが日本に影響などほとんどないでしょう。いや韓国や北朝鮮すらどれだけ影響があるかどうか。
 北朝鮮が正男を暗殺したにせよ、それは「正男による権力強奪の危険」ではなく、「面子の問題」でしょう。金一族からああいう裏切り者が出るのは黙認できないという。その意味では殺さなくても実は北朝鮮にとって大して問題もないと思います。
 大体「暗殺」でもたとえば「ロシアのネムツォフ元副首相暗殺」で「これでロシア政治はどうなっていくのでしょうか」「反体制派への影響はどうでしょう」「これはやはりプーチン派の犯行なんでしょうか」「ウクライナ問題でロシアを制裁している欧米の態度もより厳しくなるんでしょうか」なんて連日日本のテレビ局はやってない(やってなかった)わけで北朝鮮だけ大騒ぎとか異常すぎます。

ある著名な北朝鮮*20が、「我々から見ると、いっそう孤立を招き、北朝鮮にとって不利なことばかりに思えるのですが、北朝鮮当局には、我々の分からない深い利害の計算があるのでしょう」と論じていた。的外れだと思う。普通の独裁でない全体主義においては、指導者は「合目的的な考慮や単純な権力慾にわずらわされ」ず、「一切の政治的行動」が「まったく予測不可能なもの」とうつる。これはアーレントの言葉だが、北朝鮮にぴったりである。

 いやいや北朝鮮も計算はしてるでしょうね(その計算が正しいかはひとまずおきます)。
 たとえば戦前日本なんて「大国米国に勝ち目のない戦争を挑んだあげく惨敗する」と言う愚行をしていますがあれだって「ドイツがいれば米国なんて怖くない」という「それなりの計算」があったわけです。
 なお、トランプという「まったく予測不可能な非常識政治家」の存在を見れば高世の指摘と違い、「独裁か民主主義か」と「合理的かどうか」は全く関係ない事だとわかります。
 まあトランプだって彼なりの計算はあるんでしょうけどね。それは一寸常人には理解しがたいモンがある。
 なお「非インテリ」の小生は「アーレントなんて読んだことはない」し興味もないので「今後も読まない」と思いますが、高世のアーレント理解が正しいならばあまりにも問題のありすぎる人間でしょう。何度も言いますが「独裁か民主主義か」と「合理的かどうか」は全く関係ない事です。
 そもそも独裁者だって「無茶苦茶なコトをやって自分の身が危険にさらされる」のは嫌ですし、よほどの独裁国家でない限り、独裁者だからって好き勝手できるわけではない。反対派や批判派がいればそれを全て無視することは難しい。
 文革だのスターリン粛清だのは例外的ケースでしょう。独裁者でもあれだけ好き放題できるケースは普通ない。つうか、ある意味「スターリン粛清や文革」を発動してトロツキー*21劉少奇*22などを粛清しなければ「毛沢東*23スターリン*24も好き放題できなかった」とも言えるし、スターリンはともかく毛はそれでも周恩来トウ小平*25は「彼らの才能を無駄にすることを恐れたのか」「打倒した場合の毛批判を恐れたのか」とにかく打倒できなかったわけです。
 また前も書きましたが「強盗殺人や、身代金目的誘拐殺人」などの犯罪ですらそこにはある種の合理的計算があるわけです。まあ、多くの場合「間違った計算」で「無期懲役や死刑など身の破滅を招く」わけですが。
 それに「金正恩政権は合理的計算ができない」なんて高世のような立場に立ったら「交渉で何かしよう」という話はできなくなります。交渉できないのだから、あの政権のしていることを全て黙認するか、力で打倒するかしかなくなる。「全否定か全肯定か」どっちかしかなくなる。
 それでいいのか。高世はいいのかも知れませんが俺はいいとは思いません。力で打倒なんて事実上無理だし、だからといって「全て黙認します」つうわけにもいかんでしょう。
 たとえば文革という問題行為をやる人間・毛沢東相手でも日本(田中*26首相、大平*27外相)は日中正常化交渉に踏み出しました。
 そして日中正常化を実現できる程度には毛も合理主義者だったわけです。まあ直接の実務担当は周恩来首相でしょうけど。北朝鮮も話は同じだと思いますね。
 たとえば「やっていいとは言いません」が金正男暗殺なんて「正男だけが被害者」のわけです。
 あるいは「やっていいとは言いません」が「ヨンビョン島砲撃(攻撃対象は一応ヨンビョン島の軍事基地で死者も基地の軍人軍属)」も「天安撃沈*28」も「一応攻撃対象は軍人軍属」のわけです。民間人を無差別に襲ってるわけではない。
 もはや北朝鮮は大韓機爆破のような「民間人を含む無差別テロはしない」。そこには「もはや民間人を含む無差別テロなんてやるメリットない」というそれなりの合理性があるわけです。

*1:正直このままだと先日、天下り問題で引責辞任に追い込まれた文科省の前川事務次官(当時)などと同じ運命になるでしょう。ご本人も覚悟してるかも知れませんが。

*2:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを経て首相。現在、第二次、第三次安倍内閣財務相

*3:要するに高世的には、ブッシュ子が北朝鮮と共に「ならず者」呼ばわりしてたイランは「ならず者」ではないのでしょう。まあ、高世もさすがにイラン政権転覆なんて言いませんしね。なお、高世の類友・常岡は『シリア内戦問題(常岡は反アサドでイランは親アサド)』でイランに対し政権転覆論に近いこと(制裁で締め上げろ)を言ったことが確かあります。

*4:著書『紅一点論:アニメ・特撮・伝記のヒロイン像』(2001年、ちくま文庫)、『モダンガール論』(2003年、文春文庫)、『文壇アイドル論』(2006年、文春文庫)、『冠婚葬祭のひみつ』(2006年、岩波新書)、『文章読本さん江』(2007年、ちくま文庫)、『戦下のレシピ:太平洋戦争下の食を知る』(2015年、岩波現代文庫)、『学校が教えないほんとうの政治の話』(2016年、ちくまプリマー新書)、『名作うしろ読み』(2016年、中公文庫)、『文庫解説ワンダーランド』(2017年、岩波新書)など

*5:高世が画像を貼り付けていますので全文読めます。

*6:2/22のこと

*7:ちなみに2月23日は現皇太子の誕生日であり「全くの偶然でしかありませんが」俺のオヤジの誕生日です。

*8:小渕内閣労働相、第1次安倍、福田内閣経産相麻生内閣規制改革担当相、自民党政調会長(第二次安倍総裁時代)、第二次、第三次安倍内閣経済財政担当相を歴任

*9:小泉内閣防衛長官政務官、第二次安倍内閣国交副大臣を経て第三安倍内閣復興担当相

*10:第二次安倍内閣行革担当相、自民党政調会長(第二次安倍総裁時代)を経て第三次安倍内閣防衛相

*11:第一次安倍内閣沖縄・北方等担当相、自民党政調会長(第二次安倍総裁時代)を経て第三次安倍内閣総務相

*12:第一次安倍内閣総務相

*13:『ナツコ:沖縄密貿易の女王』(2006年、文藝春秋、後に2009年、文春文庫)で2006年の回講談社ノンフィクション賞大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。著書『ねじれた絆:赤ちゃん取り違え事件の十七年』(2002年、文春文庫)、『皇太子誕生』(2006年、講談社文庫)、『満足死:寝たきりゼロの思想』(2007年、講談社現代新書)、『花粉症は環境問題である』(2008年、文春新書)、『放射能に抗う:福島の農業再生に懸ける男たち』(2013年、講談社文庫)、『がん治療革命:「副作用のない抗がん剤」の誕生』(2016年、文藝春秋)など

*14:たとえばアウンサンスーチーが外相兼国家顧問になったことについては「その力を評価してもいい」かもしれませんが。

*15:東京外国語大学教授。『自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会』(http://kenpou-jieitai.jp/)呼びかけ人。著書『武装解除』(2004年、講談社現代新書)、『国際貢献のウソ』(2010年、ちくまプリマー新書)、『紛争屋の外交論』(2011年、NHK出版新書)、『日本人は人を殺しに行くのか:戦場からの集団的自衛権入門』(2014年、朝日新書)など

*16:自衛戦争も禁止されてるという学説もありますがそれはひとまずおきます

*17:元外務省中国課長。退官後、日本大学教授、明治学院大学教授、広島市立大学広島平和研究所所長等歴任。著書『集団的自衛権日本国憲法』(2002年、集英社新書)、『戦争する国しない国』(2004年、青木書店)、『13歳からの平和教室』(2010年、かもがわ出版)、『ヒロシマと広島』、『広島に聞く 広島を聞く』(2011年、かもがわ出版)、『すっきりわかる!集団的自衛権』(2014年、大月書店)など。個人サイト(http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/)。

*18:ほとんどの局が大なり小なりやっています。

*19:俺も「多分北朝鮮なんだろうな」とは思っていますが。

*20:誰のことだか名前くらい挙げたらどうなんでしょうか?

*21:防相、外相を歴任。亡命先のメキシコで暗殺される。

*22:全人代委員長、国家主席など歴任。文革中に失意のウチに病死。文革後名誉回復。

*23:中国共産党主席

*24:ソ連共産党書記長

*25:ずっと首相であり続けた周と違い、下放(地方への左遷)されたトウはその立場は微妙ですが彼は文革時代に副首相として一時復権しています。劉少奇ほどには毛に敵視されなかったわけです。

*26:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相などを経て首相

*27:池田内閣官房長官、佐藤内閣通産相、田中内閣外相、三木内閣蔵相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを経て首相

*28:北朝鮮の犯行否定はひとまず無視します