今日の産経ニュース(3/11分)

■沖縄の反基地運動に「極左暴力集団を確認」 警察庁幹部が参院で答弁 国レベルで認めたのは初めて
http://www.sankei.com/politics/news/170310/plt1703100003-n1.html
 もちろんそんなもんは「沖縄基地反対運動のメインではあり得ない」ので沖縄側を「誹謗中傷する気か」と激怒させるでしょうね。
 そもそも共産、社民、沖縄社会大衆党が支援する現知事・翁長氏(元那覇市長)が「自民出身の保守系」なのに何を寝言をほざいてるのか。


■【石平のChina Watch】「ロッテを地獄に落とそう」バッシングで露呈した中国の帝国主義的体質 いずれ日本企業も標的に
http://www.sankei.com/column/news/170309/clm1703090005-n1.html
 「やっていい」とは言いませんがロッテについては「サード問題」と言う理由があります。理由無しでは誰もこんなコトしないわけで「いずれ日本企業も」というのはそう言う意味でくだらない煽りでしかありません。


■中国がついにTPPを乗っ取る? 米国の離脱通告後、初開催の閣僚会合に参加を検討
http://www.sankei.com/world/news/170310/wor1703100087-n1.html
 乗っ取るも何もTPPは少なくとも建前では最初から中国を排除していませんが。


■【産経抄】3月11日
http://www.sankei.com/column/news/170311/clm1703110002-n1.html

「稲田大臣の資質を問う」。
 朝日新聞は10日付の社説でこう記し、教育勅語を評価した稲田朋美*1防衛相の資質に重大な疑義を表明した。手元の岩波国語辞典を引くと資質とは「生まれつき」「天性」のことである。思想や考え方で、持って生まれた性質まで否定するとは随分差別的な発想ではないか。

 完全に言いがかりの世界ですね。この場合の資質とは普通に考えて「大臣としての資格」「大臣として求められる識見や品格」を有してるかという話であって産経の言うような「生まれつき稲田はクズだった」「赤ん坊の時から稲田はクズだった」なんて話を朝日がしてるわけがない。
 小生もそう考えてますし朝日もそう考えてるでしょうし、たいていの人間はそう考えるでしょうが「生まれつきのクズ」つうのはまずいない。安倍晋三にしても稲田にしても「周囲の影響」「教育の成果」もあってクズに育ったわけです。安倍も「岸信介*2元首相の孫」「安倍晋太郎*3元外相の息子」ではなく、たとえば「江田三郎社民連代表の息子(江田五月*4・元参院議長)」などとして生まれてくれば、また違った人生だったでしょう。
 単に「岩波国語辞典」と「朝日論説委員」の「資質」と言う言葉の定義理解にずれがあるだけです。
 まあ、たぶん岩波の方が「一応正しい」んでしょうね。ただそこから言えるのは「朝日の資質定義理解は間違ってる」というある意味どうでもいいことです。
 つうかこんな「国語辞典定義」と「現実のズレ」なんか他にも山ほどある。
 たとえば「鳴かず飛ばず」と言う言葉がある。これ今は一般に「うだつがあがらない」と同じ意味で使われます。
 しかしもともとは「鳴かず飛ばず」てのは「大人物は軽挙妄動しない」つう全く逆の意味なんですね。
 あるいは「姑息」つう言葉がある。これも今は「卑怯」と言う意味で使われることが多い。ただもともとは「姑息」の正しい意味は「一時しのぎ」と言う意味です。
 で、小生が「資質」「鳴かず飛ばず」「姑息」を「誤用してるから」というのもありますが、もうある程度世間に誤用が広まった段階で「もともとの正しい意味はー」なんて言ってもあまり意味がないでしょう。
 それにしてもたかが「資質」でこんな言いがかりをつける産経が「資質を問う」を朝日と同じような意味で、自分で使っていたら大笑いですが、実は使っています。さすが産経、見事なブーメランです。
 「とにかく朝日に言いがかりをつけたい」という低い志で記事を書くからこうなる。

産経
汚職「無罪」訴え資質問う 出直し美濃加茂市長選告示、新人と前市長届け出
http://www.sankei.com/west/news/170122/wst1701220029-n1.html
■【米大統領選】トランプ氏がかかとの「軽症」でベトナム戦争徴兵免除、大統領の資質問う声も
http://www.sankei.com/world/news/160802/wor1608020022-n1.html
■【蓮舫*5二重国籍」疑惑】代表選の情勢変わらず、与党から「蓮舫代表」待望論 「資質に欠ける代表なら戦いやすい」
http://www.sankei.com/politics/news/160907/plt1609070041-n1.html
だそうです(苦笑)。もちろんこの記事だって「生まれつき市長になる資格があるかどうか」「トランプや蓮舫氏の生まれつき」なんて意味で資質という言葉が使われてるわけじゃない。当然、美濃加茂市長選候補やトランプ、蓮舫氏を差別してるわけでもない。いや蓮舫氏への二重国籍云々は明らかに「生まれ」をネタにした言いがかりで差別ですが「この場合の資質という言葉の使用法」は産経の言うような差別ではない。
 また「資質を問う」でアマゾンをググる

田中秀征*6『判断力と決断力:リーダーの資質を問う』(2006年、ダイヤモンド社
舛添要一*7孫文:その指導者の資質』(2011年、角川oneテーマ21)

なんて本がヒットしました。もちろんどちらも「生まれつき」なんて話ではないでしょう。

【追記】
 ほぼ小生と同じ記事内容の
■法華狼の日記『政治家の「資質」を問うことは、生得的な基準を適用する差別と産経新聞が主張』
http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20170313/1489634014を紹介しておきます。

参考

http://www.bunka.go.jp/pr/publish/bunkachou_geppou/2012_06/series_10/series_10.html
文化庁月報『「姑息」の意味』(文化部国語課)
 「あんな汚ない手を使うなんて,彼は本当に姑息な男だ。」
 このような場合の「姑息」は,「ひきょうな」といった意味で使われているようです。「国語に関する世論調査」でも「姑息」を「ひきょうな」という意味だと考えている人が多いことが分かりました。しかし,この用い方は本来の意味からすると,どうなのでしょうか。

問1 「姑息」とは,本来どのような意味なのですか。
答 一時の間に合わせに物事をすることを指す言葉です。
(中略)
 「姑息」は「礼記」(檀弓上)の故事にある,孔子の門人,曽子の言葉に由来します。病床にあった曽子は,自分の寝台に,身分と合わない上等なすのこを敷いていました。お付きの童子にそのことを指摘された曽子は,息子の曽元にすのこを取り替えるよう命じます。曽元は,父の病状の重いことを考慮し,明朝,具合が良くなったらにしましょうと答えます。それに対し,曽子は,お前の愛は童子に及ばないと,次のように言いました。
 「君子の人を愛するや徳を以ってす。細人の人を愛するや姑息を以ってす。」(君子たる者は大義を損なわないように人を愛するが,度量の狭い者はその場をしのぐだけのやり方で人を愛するのだ。)
 その場にいた者たちは,曽子を抱え上げてすのこを取り替えますが,彼は間もなく亡くなってしまいました。曽子は,一時しのぎの配慮に従って生き長らえるよりは,正しいことをして死ぬ方がよいと考えたのです。
問2 「姑息について尋ねた「国語に関する世論調査」の結果を教えてください。
答 本来の意味とされる「「一時しのぎ」という意味」と答えた人は2割に届かず,本来の意味ではない「「ひきょうな」という意味」と答えた人が7割を超えるという結果でした。
(中略)
 「姑息なやり方ばかりで,あいつはひきょうなやつだ。」というような言い方は,本来の意味に沿って考えても,全く不自然ではありません。重要なことについて,正面から取り組もうとせずに,「一時の間に合わせ」で済ませることに終始すれば,「ひきょう」と見られるのが当然だからです。このように,意味的につながりやすいところがあることで,「姑息」という言葉は「ひきょうな」という意味で用いられるようになってきたのだろうと考えられます。 

*1:第二次安倍内閣行革相、自民党政調会長(第二次安倍総裁時代)を経て第三次安倍内閣防衛相

*2:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相。戦後、自民党幹事長、石橋内閣外相を経て首相

*3:三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政調会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党幹事長(竹下総裁時代)など歴任

*4:社民連代表、細川内閣科学技術庁長官、参院議長、菅内閣法相などを経て現在、民進党最高顧問

*5:菅、野田内閣行政刷新担当相、民主党代表代行(岡田代表時代)を経て民進党代表

*6:新党さきがけ代表代行、橋本内閣経済企画庁長官を歴任

*7:第一次安倍、福田、麻生内閣厚生相、都知事を歴任