新刊紹介:「経済」4月号

「経済」4月号について「興味のある内容」のうち「俺なりになんとか紹介できそうな内容」だけ簡単に触れます。
 http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/
■随想『憲法と安倍「働き方改革」』(鷲見賢一郎*1
(内容紹介)
 安倍の働き方改革への批判です。
 安倍の改革がいかに異常でデタラメか非常にわかりやすいのは「残業月100時間」でしょう(他にもありますけど)。
 小生は別エントリで

http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20170312/5640158921
■「月100時間(ボーガス注:残業)、ありえない」 過労死遺族ら憤り 高橋まつりさんの母「全く納得できない」
http://www.sankei.com/life/news/170313/lif1703130039-n1.html
 こんなモンを「政府の方針」として出せばこういう反発を買うのは当たり前でしょう。なにせ月80時間が過労死ラインですから。「過労死ライン以上の労働なんか認めるな」というのは当然です。
 そもそも「きれいごと」ではありますが「残業は例外」が一応建前ですし、残業100時間で「父親の子育て参加」だの「副業」*1だのできるわけないでしょう。 
 むしろこんなあほな案を出す政権を支持する人間が多数いる方が恐ろしい。
 そして連合執行部が
讀賣新聞『残業「月100時間」で労使調整、連合が容認』
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170309-OYT1T50053.html
ということでこんなふざけた案を容認する構えであることには呆れますね。むしろ「そんなふざけた案には乗れない」というのが連合のとるべき態度でしょうに。「月100時間残業ならOK」なんて風潮を助長して何をどうしたいんでしょうか?。安倍や財界に媚びればいいことがあるとでも思ってるのか?

と書きましたが電通過労自殺女性社員(高橋まつりさん)の母親も安倍の馬鹿さとそれをろくに批判しないマスコミの愚劣さ、あるいはこんな案を容認しようとする連合のクズさに黙っていられなかったのでしょう。
 しかし「ご遺族の声」でも「死刑存続」なら大々的に騒ぎ立てるマスコミも「権力者(この場合、安倍)の報復」が危惧されるこういう件では「ご遺族の立場に立て!」とは騒がないんだから本当に呆れます。

参考
赤旗
■残業 月60時間提示、働き方会議 過労死ラインまで可能に
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-15/2017021501_03_1.html
■真の「働き方改革」を 長時間労働解消・過労死根絶、日本共産党が緊急提案、笠井政策委員長が発表
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-04/2017030401_01_1.html


■世界と日本
【中国の全国民健康計画】(平井潤一)
(内容紹介)
 各種記事紹介で代替。

http://www.nna.jp/news/show/1525697
■アジア経済ニュース『2030年に16兆元産業、国民健康計画を発表』
 中国共産党と国務院(中央政府)は25日、国民の健康促進に向けた中期計画「“健康中国2030”計画綱要」を発表した。平均寿命を今後15年で約3歳引き上げる目標などを掲げた。健康産業を「国民経済の支柱産業」と位置付け、市場規模を2030年に16兆元(約246兆円)まで引き上げる。
 計画では「国民の健康長寿は、国家の富強と民族振興の重要な象徴」と指摘。工業化、都市化、高齢化、ライフスタイルの変化などが進む中で、国民の健康促進は国家戦略として長期的に取り組む必要があるとの認識を示した。
 全体としてはまず、2020年までに医療、衛生の基本制度を整え、2030年には健康に関する各種指標を高収入国のレベルに引き上げる。平均寿命を2015年の76.34歳から2030年に79歳へ高めることに加え、乳幼児の死亡率や人口当たりの医師数、スポーツ参加者数などについても具体的な数値目標を示した。空気の質が「優良」とされる日数の割合も2015年の76.7%から2020年までに80%へ引き上げ、その後も持続的に改善させるとした。
 国民の健康に対する意識や知識の向上に重点を置き、2030年には15歳以上の喫煙率を20%以下に抑制する。公共のスポーツ施設の整備を強化して、学生には毎日1時間以上の体育の時間を確保することなども盛り込んだ。
 食品と医薬品の安全に対する管理を強化し、国際水準の安全基準を実施する。残留農薬や重金属汚染への対策、輸入食品の管理、食の安全に関する情報公開制度の整備などを進める。
 健康産業については、観光やインターネット、食品などさまざまな分野と融合させた新業態の発展を促進。製薬と医療機器の分野を強化し、新薬や漢方薬、ハイエンド医療機器などの開発力と国際競争力を育成する。

http://japanese.cri.cn/2021/2017/02/16/301s258239.htm
■慢性病による死亡率の低下を=政府、予防治療計画を発表
 中国政府はこのほど、慢性病の防止と治療に関する中長期計画を発表、慢性病*2患者の早期死亡率について、「2020年と2025年には、慢性病患者の早期死亡率をそれぞれ10%と20%低下させる」とする目標を発表しました。
 現在、中国では、高血圧や糖尿病など慢性病の発病率が上昇傾向にあり、高血圧の患者数が2億、糖尿病の患者数が1億を超えているほか、国民の死亡原因においても、循環器疾患、癌、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患などの慢性病が全体の86.6%を占めており、慢性病は国民の健康を脅かす最も主要な要素となっています。
 慢性病による負担を減らし、国民の健康寿命をより長くしていくため、国務院弁公庁はこのほど『中国慢性病防止・治療中長期計画(2017―2025)』を発表し、「予防を主とし、習慣と危険要素の抑制を強化し、早期スクリーニングと早期発見を促進し、疾病治療から健康管理への転換を後押ししていく」とする方針を示しました。
 具体的には、健康教育を通して、国民の健康意識を向上させるとともに、慢性病の防止と治療をめぐる教育や宣伝を行い、ヘルシーなライフスタイルを提唱することがポイントです。
 計画では、今後、病気のレベルによる受診機関のクラス分けを実施すること、慢性病患者の治療をかかりつけ医のサービス範囲内に含むようにすることや、医療保険と保障政策を充実させることのほか、医薬品の生産供給の安定の保証や、中医薬による慢性病の防止と治療の拡大方針を謳っています。
 政府は、計画に記されたこれらの措置を通じ、2020年と2025年にかけて、30歳から70歳までの国民の循環器疾患、癌、慢性呼吸不全、糖尿病による早期死亡率を2015年比でそれぞれ10%と20%減らすことを目指すとしています。

中国では、高血圧や糖尿病など慢性病の発病率が上昇傾向にあり

と言う辺りは「あの貧乏国家だった中国が」感を感じます。


【韓国、ある労働者の死】(洪相鉉)
(内容紹介)
 ハンギョレの記事紹介で代替。ハンギョレの記事に出てくる自殺者が『ある労働者の死』です。
 しかし「不当労働行為」で刑事罰ですか。日本ではそうなってないことを考えればこの点「韓国の方が労働者保護の点で進歩的」と言えるのではないか。
 なお、筆者は「朴クネ政権が企業の暴走を後押しした」と見ていますが恐らくそうでしょう。朴の弾劾は大変良かったと思います。

http://japan.hani.co.kr/arti/politics/26570.html
ハンギョレ『「6年間の苦痛をそっくり収めた判決」… 柳成企業労働者の涙』
「ユ・シヨン被告人、被告人に実刑を宣告し、逃亡の恐れありと判断されるので法廷拘束します」。
  17日午前、忠清南道天安(チョンアン)の 新富洞大田(テジョン)地裁天安支部の1号法廷。30分間判決文を読み下していった判事がユ・シヨン柳成(ユソン)企業会長に懲役1年6カ月の実刑を宣告すると、緊張感に包まれていた法廷に歓声と拍手が沸き起こった。
(中略)
 現代自動車部品納品会社である柳成企業の事件は「労組破壊」の代名詞のように記録された事件だ。 この日の判決文によれば、柳成企業は2011年7月の複数労組施行を控えて「昼間連続 2交代制」を要求してきた金属労組柳成永同(ヨンドン) ・柳成牙山(アサン)支会を瓦解させるため、労務法人「創造コンサルティング」の諮問に従って会社主導で会社に友好的な第2労組を設立し、これを支援する事にした。 2011年5月18日、会社は労組がストライキに突入すると職場閉鎖を断行し、工場内にいた労組組合員を引きずり出すために暴力ガードマンを動員して多数の負傷者を出した。2011年7月、労組は工場復帰意思を明らかにしたが、会社は一カ月以上職場閉鎖を維持しながら復帰を阻んだ。そしてその間に会社側は第2労組を設立させ、第2労組組合員と金属労組組合員を差別し始めた。 復帰後27人が解雇された。
 翌年9月、国会で創造コンサルティングの諮問文書が公開されて労組は柳成企業を不当労働行為の疑いで告訴したが、検察は2013年12月、創造コンサルティングと関連した「労組破壊」の容疑を除外し極めて一部の容疑だけでユ会長などを“温情”起訴するのに留めた。 労組は大田高裁に裁定申立てを行ない、翌年12月裁判所が検察に公訴提起を命令して「労組破壊」の容疑に対する本格的な裁判が開かれることになる。労組が提起した第2労組無効訴訟で去年4月、ソウル中央地裁は「第2労組が会社の主導の下に設立されたため無効」と判決した。 しかし「労組破壊」を主導した経営陣に対する刑事処罰はずっと見送られてきて、この日の判決で初めて、労組が告訴した大部分の犯罪事実が有罪と認められたのである。
 6年という時間の中で、組合員たちの身体と心は壊れた。今も18人の解雇者が復帰できないでいる。現場にいる300人余りの金属労組組合員は、第2労組員や会社の管理者と衝突し1300件もの告訴・告発にあい、懲戒委員会に呼び出されねばならなかった。
 金属労組組合員のうち鬱病など精神疾患で勤労福祉公団から労災を認められた人だけで7人にものぼる。去年3月17日、ハン・グァンホ組合員は会社の懲戒を控えて自ら命を絶った。
 裁判が終わった後、拘置所に向かうユ会長の後姿を見ながら「グァンホを返せ!」と嗚咽していたホン・ワンギュ組合員は「これまで会社の弾圧のため、こんな目に遭ってまで生きなきゃならないのかと尋ねる組合員を見ながら本当に心が痛んだ」と語り、「いまだに葬儀も行えないでいるグァンホの遺影に酒を一杯捧げなくては」と言った。この日擦り切れた喪服姿でむせび泣いていたキム・ソンミン柳成永同支会長は「30分間判事が読み上げた判決文は私たちの6年間の苦痛だった」として「労組破壊工作以前に戻りたいという思いが切実だ。そのためには会社が、亡くなったハン・グァンホ烈士に対する誠意ある謝罪と責任者処罰、団体協約回復のための努力を見せなければならない」と言った。


東芝解体危機と原発事業】(今井節生)
(内容紹介)
 福井謙二グッモニの紹介で代替。

http://www.joqr.co.jp/good/2016/03/323777.html
福井謙二グッモニ 3月23日(水) 第777回
 みなさん、こんにちは。福井謙二グッモニです。
 今日のコメンテーターはノンフィクション作家の森功さん*3
 成長神話にとらわれた日本の家電メーカーについて物申していただきました。
 長い間日本経済を支えてきた貿易黒字。その一翼を担ってきた白物家電が危機に瀕しています。
 シャープが台湾企業に買収される計画がすすみ、東芝白物家電事業も中国の家電大手に売却される見通しです。
 中国は高度経済成長が行き詰まり、不動産、金融バブルが崩壊寸前であるにもかかわらず、東芝の事業を買収するということは、企業買収で成長するマネーゲームに乗り出したとみることもできると森さんは指摘します。
 またその一方で、東芝の不正会計問題であらわになったのが世界を席巻してきた日本の電機メーカーの変化。
 白物家電で戦えなくなった後の家電メーカーは半導体事業や原発輸出を中核とする電気インフラエンジニア部門、ブランド事業などで稼ぐ以外に選択肢はなくなってしまいました。
 しかし原発は成長産業ではないため、この先の光明は見えません。
 それに、そもそも原発事故を起こした日本の家電メーカーが原発を売りにしてもいいのかという議論も。
 世界経済が縮小していく中、東芝の凋落は、成長ばかりを求める日本企業の限界を見せられているような気がするというお話でした。

http://www.joqr.co.jp/good/2017/02/2281020.html
福井謙二グッモニ 2月28日(火) 第1020回
 みなさんこんにちは。福井謙二グッモニです。
 きょうのコメンテーターはジャーナリストの藤吉雅春さん*4
 「東芝債務超過問題から考える企業風土」についてお話を伺いました。
 先週金曜日、東芝半導体フラッシュメモリー事業を分社化することを決定。
 2017年度中に半導体会社の株式の過半数を売却する方針です。
 家電や医療機器はすでに売却、原発事業は縮小の方向性。東芝の解体が進んでいます。
 東芝は2年前に不正会計が発覚。
 経営陣が部下に不正を強要していました。
 東芝の内情を取材した藤吉さんによれば、東芝では上層部に行けば行くほど、人格が変わっていくそうです。課長以上のクラスになると情報を囲い込んで私物化、部下の提案は却下し、上司の指示には無条件で賛成すれば出世ができるといいます。
 一方、上層部に意見する目障りな人間は左遷され、研修施設で机を並べたりする仕事や自動車工場でライン工になったりとかなりキツイ仕事に従事することになります。
 現場で頑張っている真面目な社員たちの未来のためにも、さらなる厳しい検証が必要だというお話でした。


共謀罪法案の成立阻止を】(久保木亮介)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
■テロ対策装う共謀罪、法案提出反対 日弁連が集会
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-10-01/2016100103_01_1.html
■主張『「共謀罪」の導入:危険浮き彫り 法案提出やめよ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-22/2017022201_05_1.html
■“共謀罪と呼ぶのは誤り”と首相言うが、共謀罪 11年前と同じ、要件変わらず、口実崩壊
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-27/2017022701_01_1.html
■主張『「共謀罪」政府原案:見かけばかり変えてみせても』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-04/2017030401_05_1.html
■ストップ共謀罪:大垣署市民監視事件 私の声、警察は圧殺、県側は公安の実態隠し
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-09/2017030915_01_1.html
共謀罪、「10日閣議決定」先送り、強まる批判、与党内にも疑義
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-08/2017030802_01_1.html


特集「過労自殺ブラック企業:あなたの職場は大丈夫?」
ブラック企業から身を守るために(佐々木亮
長時間労働と人事労務管理(渡部あさみ*5
■「ブラック企業大賞2016」について(古川啄也*6
■「ブラック企業」の規制を求めて:国会での追及と成果(吉良よし子)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。なお、ブラック企業とは「最も広い意味」では「燃費偽装の三菱自動車」「水俣病チッソ」「エイズ薬害のミドリ十字」「不正会計の東芝」など「反社会的行為、違法行為に手を染めた企業」になりますがここでのブラック企業は「労働法違反行為企業」、特に「過労自殺に繋がるような労働法違反(典型的にはサービス残業)」が取り上げられています。

赤旗
ブラック企業大賞、過労死・低賃金… 9社が候補に、女性蔑視やじの都議会も、授賞式は9月
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-07-31/2014073101_04_1.html
プリントパック“逆ギレ”、「ブラック企業業界賞」受賞 労組委員長に「呼出状」、全印総連など抗議文
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-01-13/2017011315_01_1.html
プリントパック 取り下げ、組合分会長への「呼出状」、中労委調査の席上「処分しない」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-01-14/2017011401_04_1.html
印刷通販プリントパック」、賃金差別正し時短めざす、労組と和解
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-14/2017021403_01_1.html
■「年720時間」は働き方“改悪”、「働き方改革」 政府案受け志位委員長が批判
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-17/2017021701_02_1.html
■主張『「働き方改革」:国際基準を踏まえるべきだ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-20/2017022001_05_1.html
■真の「働き方改革」を 長時間労働解消・過労死根絶、日本共産党が緊急提案、笠井政策委員長が発表
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-04/2017030401_01_1.html
■過労死ゼロどころか助長、「働き方」政府案 家族の会代表ら、衆院委で参考人質疑
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-09/2017030903_02_1.html


■座談会「トランプ政権の発足とアメリカ」(大塚秀之*7、岡田則男、萩原伸次郎*8
(内容紹介)
1)トランプ政権に危惧を表明しながらもトランプ政権に対する批判運動の広がりに期待を見いだしたい
2)サンダース旋風を民主党がうまく生かすことを期待したい
という内容。

参考

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-19/2017021904_03_1.html
赤旗『ネット番組「大門ゼミ」、トランプ現象読み解く』
 日本共産党大門実紀史参院議員が講義するインターネット番組「大門ゼミ〜政治・経済キホンのキ!」が17日、放送されました。テーマは「トランプ現象VSサンダース旋風 経済から読み解くアメリカと日本」です。
 大門氏は、1月上旬の米国での現地調査も踏まえ、米国では人口の1%の富裕層が資産の4割を占めるほど格差が拡大していると指摘。トランプ氏が大統領になった背景には、安い労働力を求めるグローバル大企業によって米国の中間層が貧困化したことを挙げ、「中間層の気分・感情が既成政治の批判に向かった」と説明しました。トランプ氏の政策は、富裕層・大企業の減税など貧困層を助けるものではありませんが、過激な発言が不満の受け皿になったと分析しました。
 一方、大統領選挙では民主党のサンダース候補が若者の支持を集めました。政策は、反戦平和、大企業・富裕層への増税最低賃金引き上げなど。「日本共産党と一緒ですね」と大門氏。
 大門氏は「トランプ対サンダースが本当の対決軸です。日本でも、自民・公明・維新対市民と野党の対決軸を示していくのが大事だと、アメリカに行って強く感じました」と語りました。


特集「311から6年:防災と生存権
■対談「巨大災害の時代に問う 災害法、予知と歴史」(津久井*9 、保立道久*10
(内容紹介)
 保立氏のブログ記事紹介で代替。

http://hotatelog.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/112-7ad8.html
地震火山112東日本大震災は「予知」されていた! 失態を断つ災害予知という概念
 歴史家としての感想を付け加えることを許していただければ、そもそも、災害の相当部分は、災害の経験を、世代を越えて継承することなく忘却してしまい、また無理・無法なことをやって自然からしっぺ返しをくうことによって生まれる。「災害は忘れたころにやってくる」というのは有名なことわざだが、地震火山列島に棲む民族として、私たちは、そろそろ歴史的な災害の経験のすべてを継承する成熟した知恵と感性をもつべきではないだろうか。「災害は忘れた頃」ということわざを過去のエピソードにすべき時代に入っているのではないだろうか。
 そこで歴史学が果たすべき役割は大きいと思う。私はすでに定年を過ぎており、歴史家として多量の史料を蒐集し分析する仕事に従事する体力がなくなっているが、これまでの経験の範囲内で、日本の神話の内部に隠されている地震神話・火山神話を復元することだけは死ぬまでにメドをつけたいと考えている。 そして、この地震・火山神話において九州の地が根本的な意味をもっていることはいうまでもない。話題が飛躍するようであるがその意味でも、この列島に棲む民族にとって、熊本の方々の過去・現在・未来の経験は重大なものである。地震でなくなられた方を追悼するとともに、是非、頑張って、また何よりも御無事で過ごしていただければと思う。

http://hotatelog.cocolog-nifty.com/blog/2017/02/post-7a89.html
南海トラフ巨大地震と『平安京右京七条一坊七町跡』
 私は3・11の直後に東京大学地震研究所で開催された研究集会に出席したことが縁となって、2012年12月より科学技術学術審議会地震火山部会次期研究計画検討委員会に歴史学関係の専門委員として参加した。参加して驚いたのは、地震噴火の研究予算が年に4億しかなく、研究体制と人員の手当もきわめて不十分であることであった。しかも、地震学の研究をサーヴェイしてみて、3・11のような巨大な地震が起こりうることは、たとえば産総研の行った地質学・地震学の調査によって以前からはっきりしていたことを知った。
 もちろん、現在の所、何時、どこでどの程度の規模の地震が起きるということを、つねに確実に予測することは不可能である。しかし、「予め知る」という意味での「予知」は相当の確度でだされており、それに対応する警告もされていたのである。ここでは、その証拠として、日本地震学会の出版した『地震予知の科学』(東京大学出版会、2007年)に「東北から北海道の太平洋側のプレート境界では、過去の津波堆積物の調査によって、五〇〇年に一度程度の割合で、いくつかのアスペリティをまとめて破壊する超巨大地震が起きることもわかってきた」とあることをあげておきたい(前回の奥州大津波は1454年であるから、これはそろそろという予知であった)。
 政府や責任諸官庁あるいは東京電力などは、それらの警告を無視し、マスコミも、地震学の研究者を「予知」できないものを「予知」できるといって攻撃し、地震学界を一種のスケープゴートのように扱ったのである。これはとても科学先進国とはいえない事態であったというほかない。
 右の地震火山部会の建議「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画の推進について」が、大略、「地震・火山観測研究計画を地震学・火山学などの自然科学としてでなく、災害科学の一部として推進する。災害誘因(自然現象)のみではなく、災害素因(社会現象)も見通して学融合的に災害を予知する」という趣旨のものとなったのは、それを踏まえたものであった。この建議については2月刊行の『地殻災害の軽減と学術・教育』(日本学術叢書22、日本学術会議編)に詳しく解説される予定で、私も、そこに歴史学からの意見を書いたので、そちらを参照していただければと思う。
 こうして、私は、東日本大震災東京電力原発事故も人災であったことを詳しく知って一種の義憤にかられざるをえなかった。これを忘れずに、歴史学者として、命のある間は、歴史上の地震の問題についての研究に取り組みたいと考えている。ともかく、地震の経験と、それへの畏怖は、以上に述べたような政治史や宗教史のみならず、日本の歴史において根本的な意味をもっていることは明らかだからである。


■内陸型地震に備える安全な地域づくり:熊本地震の被害実態をふまえて(中村八郎*11
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

http://www.jcp-kawasaki.gr.jp/archives/10522
日本共産党川崎市議団「熊本地震被災地の視察報告と防災学習会開く」
 11月12日、日本共産党川崎市議会議員団は、11月7日・8日で行った熊本地震被災地の視察報告と、防災問題を研究している中村八郎先生から熊本地震の教訓と新たな防災課題を学ぶ集会を開きました。
 市議団は、熊本県上益城郡益城町熊本県を行政視察し、日本共産党熊本県委員会の協力を得て、熊本県阿蘇郡阿蘇村、同阿蘇村、益城町熊本市などの被災現場を視察しました。
 視察報告では、被災地の状況と市議団の視察状況をビデオで紹介した後、片柳進議員(川崎区)が「熊本地震被害の教訓から何を学ぶか」と題して現地映像や熊本県益城町の行視察の内容、日本共産党熊本市議団がまとめた教訓などを報告しました。
 中村八郎先生は「熊本地震災害の教訓と新たな防災課題」と題して、熊本地震被害の特徴、住宅被害の特徴と教訓を述べた後、川崎市での地盤液状化問題、急傾斜地や谷埋め盛り土、腹つけ盛り土などの問題を指摘し、地震対策の新たな課題6点(避難所の生活環境の改善、被災者への支援の充実、住宅の耐震対策の見直し、中高層集合住宅に対する支援策、地盤災害への対応、市町村の要員体制の弱体化への対応)について話しました。

*1:著書『ディーセント・ワークと新福祉国家構想 :人間らしい労働と生活を実現するために』(2011年、旬報社

*2:最近は生活習慣病という。

*3:著書『許永中:日本の闇を背負い続けた男』、『同和と銀行:三菱東京UFJ“汚れ役”の黒い回顧録』(以上、2010年、講談社プラスアルファ文庫)、『泥のカネ 裏金王・水谷功と権力者の饗宴』(2013年、文春文庫)、『平成経済事件の怪物たち』(2013年、文春新書)など

*4:著書『福井モデル』(2015年、文藝春秋

*5:著書『時間を取り戻す:長時間労働を変える人事労務管理』(2016年、旬報社

*6:著書『セブン・イレブンの正体』(2008年、金曜日)、『ブラック企業完全対策マニュアル』(2013年、晋遊舎新書)

*7:著書『アメリカ合衆国史と人種差別』(1982年、大月書店)、『現代アメリカ合衆国論』(1992年、兵庫部落問題研究所)、『現代アメリカ社会論』(2001年、大月書店)、『格差国家アメリカ』(2007年、大月書店)

*8:著書『アメリカ経済政策史:戦後「ケインズ連合」の興亡』(1996年、有斐閣)、『世界経済と企業行動:現代アメリカ経済分析序説』(2005年、大月書店)、『米国はいかにして世界経済を支配したか』(2008年、青灯社)、『日本の構造「改革」とTPP:ワシントン発の経済「改革」』(2011年、新日本出版社)、『TPP:第3の構造改革』(2011年、かもがわブックレット)、『オバマの経済政策とアベノミクス:日米の経済政策はなぜこうも違うのか』(2015年、学習の友社)、『新自由主義と金融覇権:現代アメリカ経済政策史』(2016年、大月書店)など

*9:著書『大災害と法』(2011年、岩波新書)、『Q&A被災者生活再建支援法』(2011年、商事法務)

*10:著書『平安王朝』(1996年、岩波新書)、『平安時代』(1999年、岩波ジュニア新書)、『義経の登場』(2004年、NHKブックス)、『かぐや姫と王権神話』(2010年、洋泉社歴史新書y)、『歴史のなかの大地動乱:奈良・平安の地震天皇』(2012年、岩波新書)、『物語の中世:神話・説話・民話の歴史学』(2013年、講談社学術文庫)など

*11:著書『これからの自治体防災計画:予防こそ災害対策の基本』(2005年、自治体研究社)、『「防災大国」キューバに世界が注目するわけ』(共著、2011年、築地書館)、『地震原発災害:新たな防災政策への転換』(2012年、新日本出版社)など