新刊紹介:「前衛」4月号

「前衛」4月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。「興味のある内容」のうち「俺なりになんとか紹介できそうな内容」だけ簡単に触れます。
 http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/
 なお、どう見ても、■給食費から見える子どもの貧困(鳫咲子)は「シノドスインタビュー」の、■消されていく自主避難者(吉田千亜)は「通販生活インタビュー」の後追いで実際、内容もかなりかぶります*1が、ここは「通販生活シノドスなど他媒体にも目配りしてる」と善意に理解したいと思います。


■「日米同盟第一」を根本から転換すべき(上)(山根隆志)
(内容紹介)
 「日米同盟」についていえば、山根氏が指摘してるように「鈴木善幸*2内閣の一件」が重要でしょう。あとでウィキペディア鈴木善幸」を紹介しますが。「日米同盟」と言う言葉それ自体の政治性にも注意すべきでしょう。
 なお、鈴木自体は社会党右派出身(後に自民に移籍)で、宏池会出身というある種のリベラル派です。


参考
赤旗
■「日米同盟第一」 根本から見直しを:「米国第一」とは最悪の組み合わせ 志位委員長が会見
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-01-27/2017012701_01_1.html
■「日米同盟第一」から対等・平等の関係に:NHK討論 笠井政策委員長が主張
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-01-30/2017013001_03_1.html
■「日米同盟第一」危険浮き彫り、衆院予算委 笠井政策委員長が追及
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-03/2017020303_01_0.html
■「日米同盟第一」で矛盾深刻、参院本会議 井上議員が追及
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-16/2017021602_01_1.html
■「日米同盟第一」危険、テレ朝系番組 辰巳氏、負担増に警鐘
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-27/2017022704_01_1.html
トランプ大統領議会演説、むきだしの軍事的覇権主義と同盟国への負担要求、志位委員長が批判
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-03/2017030302_02_1.html
■「軍事対軍事の悪循環」ACSA可決 宮本議員が反対討論、衆院本会議
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-24/2017032402_01_1.html

鈴木善幸(ウィキペ参照)
■日米『同盟関係』問題
 1981年(昭和56年)5月7・8日のレーガン大統領との会談後の共同声明では、日本の公式文書では初めて『同盟関係』という文言が記されたことから、新たな軍事的密約を懸念したマスコミ側から記者会見の場で「今度は同盟関係ということが初めて謳われたが何か軍事的に変わったことがあるか」と、質問がなされた。鈴木は「自由と民主主義、自由市場の経済体制という価値観では日米は全く同じだ。これを守っていこうという立場を含めて同盟関係といっている。軍事的意味合いは持っていない。日本は、平和憲法のもとに、自衛のための防衛力しか持てない。専守防衛に徹する。軍事大国にはならないという点をはっきりさせているので、軍事同盟ということは全然、共同声明の中にも入っていない。」と発言した。
 鈴木の帰国後、国会等で、『同盟』は軍事同盟を意味し個別自衛権から集団的自衛権への逸脱ではないかと問う声が共産党社会党から起こり、5月11日の外務委員会において伊東正義*3外相は社会党土井たか子*4の「日米軍事同盟、安保条約という意味を含んだ同盟ということを認識せざるを得ない」という質問に対し、
「軍事的な何らかの関係のあるものを同盟というような言葉を使うのだということであれば、片務的とはいえ安保条約というのは軍事的に関係がありますから、同盟と使ってもいいと私は思うのでございまして」
「軍事というのを日本で考えますと憲法でも制約があるわけでございまして、日本は日本を守ることしかできないのだというのはもうはっきりしているわけでありますから、それ以上広げて軍事同盟なんということはできない、日本は軍事的には個別自衛権しかないのだということはもうはっきりしていることでございます。さっきから土井先生と私がやりとりしております片務的な安保条約、それが軍事的な同盟のようなものじゃないかと言われれば、安保条約を結んだときからこれはあるわけでありますから、それは何も否定しませんが、広い意味ではこれはそういうことも入った軍事関係だということを先ほどから申し上げているわけでございまして」
等と発言。共同声明の解釈を巡り、軍事的意味はないとする鈴木の発言との相違が問題視された。また高島益郎外務事務次官も「軍事的な関係、安全保障を含まない同盟はナンセンス」と鈴木を暗に批判。
 また鈴木も共同声明文が外務省の事務側で一方的に作成され、自身の意向が全く反映されていないことに対し強い不満を示した。外務省内では米側の反応も受けて緊急の協議が行われ、13日、日本政府は統一見解を発表し、『同盟には軍事的側面はあるものの新たな軍事的意味を持つものではない』として鈴木の発言を事実上修正した。
 政府見解を受けた14日の外務委員会では伊東外相も、「日本とアメリカの間には日米安保条約がありますことは、これはもう厳然たる事実でございますので、そういうことを前提にしておりますことが中に入っているということは、これはもう間違いない、だれもが否定することではないわけでございます。そういう関係を同盟関係という言葉で表明したわけでございまして、そういう言葉を使ったから、何か日米関係の中に新しい枠組みをつくって、そしてそれが従来の枠組みを変えて、新しい枠組みをつくって新しい軍事的意味を持たせる、そういうような意味でこの言葉を使ったのではなく、安保条約の五条関係は憲法からしても個別自衛権であることは間違いないのであり、これを集団自衛権とかそういうものに直していこうとか、そういう意図は毛頭ない」と説明するも、翌16日、責任を取る形で伊東外相・高島次官の両名とも辞表を提出し、事務次官は慰留を受け残留したものの外相は辞任した(後任には外相経験のある園田直*5厚生相が就任)。
 この問題では、鈴木は共同声明の「同盟」の解釈について「新たな軍事的意味を持つものではない」「米国の対ソ軍事戦略に巻き込まれるものではない」「わが国が集団的自衛権の行使を前提とするような軍事的な役割を分担するといったようなことを意味するようなものでは全くない」「安保条約が日米双方による集団的自衛権の行使を前提とする条約に該当しないことは明らかであり、日米双方とも、安保条約の性格をいかなる意味でも変える考えのないことは一致しているところである」などと、軍事同盟を否定する考えを一貫して示した。


■監視社会を作り出す共謀罪は葬り去るしかない(青木理*6
(内容紹介)
 赤旗などの記事紹介で代替。なお、青木氏が「共謀罪などなくても準備段階で逮捕したケースは有名な大菩薩峠事件(ウィキペ『大菩薩峠事件』参照)など過去にもある」と指摘している点は重要かと思います。

毎日新聞
■理の眼『監視社会招くヤバい法案』(青木理
http://mainichi.jp/articles/20160830/ddf/012/070/003000c
■神奈川新聞・時代の正体『共謀罪考(下):歯止めなき「監視社会」』ジャーナリスト 青木理さん
http://www.kanaloco.jp/article/229344
赤旗
■テロ対策装う共謀罪、法案提出反対 日弁連が集会
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-10-01/2016100103_01_1.html
■主張『「共謀罪」の導入:危険浮き彫り 法案提出やめよ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-22/2017022201_05_1.html
■“共謀罪と呼ぶのは誤り”と首相言うが、共謀罪 11年前と同じ、要件変わらず、口実崩壊
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-27/2017022701_01_1.html
■主張『「共謀罪」政府原案:見かけばかり変えてみせても』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-04/2017030401_05_1.html
■ストップ共謀罪:大垣署市民監視事件 私の声、警察は圧殺、県側は公安の実態隠し
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-09/2017030915_01_1.html
共謀罪、「10日閣議決定」先送り、強まる批判、与党内にも疑義
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-08/2017030802_01_1.html

参考

大菩薩峠事件(ウィキペ参照)
・1969年11月5日に共産主義者同盟赤軍派赤軍派)の53名が凶器準備集合罪で逮捕され、同組織の弱体化に結び付いた事件である。
赤軍派は、「11月闘争」と称して刃物・鉄パイプ爆弾・火炎瓶等の凶器で武装し、8つの部隊が大型ダンプカー等5台の車に分乗して首相官邸および警視庁を襲撃し、首相、警視総監らを人質をとって獄中の活動家等を奪還するという作戦を企てた。そのための武装訓練を大菩薩峠周辺の山中で行うべく、山梨県塩山市(現在の甲州市)の山小屋『福ちゃん荘』に潜伏していた。
 潜伏とはいえ、情報は事前に外部に筒抜けとなっており、読売新聞に至っては記者を山小屋に投宿させて特ダネを狙っていた。11月5日早朝、警視庁と山梨県警合同の機動隊が突入、その場に居た53名のメンバーが凶器準備集合罪で現行犯逮捕され、武器なども押収された。議長の塩見孝也ら重要メンバーの多くが逮捕され、赤軍派は大打撃を受けた。これ以降、弱体化した赤軍派日本共産党(革命左派)神奈川県委員会(通称:京浜安保共闘)と統合し、連合赤軍を形成。山岳ベース事件、あさま山荘事件へと突き進むことになる。


■都政の闇・築地市場豊洲移転計画の抜本的見直し求める日本共産党都議団の奮闘(曽根はじめ)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
共産党都議団 都政動かす、都議会閉会 論戦を振り返る、具体的提案、要求実現に力
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-12-19/2016121901_04_1.html
豊洲移転 抜本的再検討を、共産党都議団要請 知事「しっかり考える」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-01-17/2017011701_02_1.html
■都職員立ち会い記録なし、豊洲地下水調査 そね議員が追及、都議会特委
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-01/2017020104_02_1.html
■百条委設置 都政の闇ただす 共産党都議団大山幹事長
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-23/2017022301_03_1.html


国鉄分割民営化から30年を検証する(高瀬康正)
(内容紹介)
 「東海道新幹線、山手線」などのドル箱路線をもつJR東日本、東海、西日本が儲けている反面、JR北海道、四国、九州、貨物が経営危機にあることを指摘。民営化の是非はともかく少なくとも実際に実施された「分割民営化」は重大な過ちであったと批判。「北海道、四国、九州、貨物」をどう経営立て直していくかを真剣に考える必要があるとしている。

参考
赤旗・論戦ハイライト『リニア優遇 地方は廃線、鉄路維持、国の責任で、国の逆立ち行政、本村議員追及』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-18/2017021802_03_1.html


■対談『「カジノあかん」で共同広げ、実施法ストップ』(大門実紀史、渡部結)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介などで代替。

赤旗
■カジノ解禁推進法案に対する大門議員の反対討論
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-12-15/2016121504_04_1.html
■「カジノ万博」候補地視察、清水・わたなべ氏ら、大阪・夢洲
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-19/2017021904_02_1.html
日本共産党大阪府委員会
■地域崩壊 まざまざ 韓国カジノ、わたなべ結 衆院候補 視察レポート
http://www.jcp-osaka.jp/osaka_now/4375


シリーズ『「格差と貧困」にどう向き合うか』
給食費から見える子どもの貧困(鳫咲子)
(内容紹介)
 『給食費未納:子どもの貧困と食生活格差』(2016年、光文社新書) の著者・鳫氏へのインタビュー。

参考

http://synodos.jp/newbook/18478
シノドス給食費未納はモラルの崩壊か?、背後に隠れた子どもの貧困とは:『給食費未納』著者、鳫咲子氏インタビュー』
インタビュアー
 給食費の未納率はどれくらいの割合ですか?
鳫氏
 2012年度の調査では小学生が0.8%、中学生が1.2%、小・中平均して0.9%となっています。その推移をみると、人数割合は低下傾向にあります。
インタビュアー
 意外と少ないのですね。給食費未納は「モラルが崩壊している」からだ、という話がありますが、どう考えていますか? 給食費の平均が月4000円〜5000円であることから、「子どものために4、5時間もバイトできないのか」という声も出ていますが。
鳫氏
 インターネット上では、給食費を払わない親へのバッシングが相次ぎました。しかし、バッシングのわりに給食費の未納率は低いです。国民健康保険の未納率は1割近く、国民年金は約4割。この数字をみると、むしろ給食費を優先的に払っているのではないでしょうか。給食費が払えない家庭は、ほかの支払いも滞納している可能性があります。4000円〜5000円という金額だけを見て、「バイトを多めにしたらいい」と考えるのは短絡的です。
(中略)
 文部科学省の「平成26年度子どもの学習費調査」によれば、学校関係で必要な費用は、小学生で年間約10万円に対して、中学生は約17万円です。小学生に比べ中学生のほうが、常に未納率は高い傾向にあります。子どもが中学生になると保護者のモラルが低下する、ということはないでしょうから、中学生になり、子どもにかかる費用が増加したことで、払えなくなった人が多くなったと考えるほうが自然です。
インタビュアー
 なぜ「モラルが崩壊した」と言われるようになったのでしょうか。
鳫氏
 2005年に行われた(ボーガス注:文科省の)「学校給食費の徴収状況に関する調査」がきっかけです。この給食費未納調査では、給食費未納の原因を、「保護者の経済的な問題」か「保護者としての責任感や規範意識の欠如」かを学校に聞いています。そこで、「保護者の経済的な問題」が33%、「保護者としての責任感や規範意識の欠如」が60%との回答でした。
 このことにより、全国紙の一面や社説で「モラル崩壊」と大々的に報じられたのです。直近の2012年の調査でも、「保護者の経済的な問題」が約34%、「保護者の責任感や規範意識の欠如」が61%となっています。すなわち、「お金があるの払わない」場合が3分の2、「お金がなくて払えない」場合が3分の1であると学校はみています。
 とはいえ、あくまで学校が判断したもので、実際の家庭の経済状況を踏まえたものではありません。 「さいたま市学校事務職員アンケート」では、保護者に経済的な問題がないと判断する根拠について聞くと、「高価な車に乗っている」「ブランド品のバッグを持っている」と見た目からとのことでした。
 「貧困女子高生」報道でも、1000円のランチを食べていたこと、有名漫画をそろえていたことが原因でバッシングされましたが、貧困は外から持ち物を見るだけではわかりません。「高価な車」や、「ブランド品のバック」は中古品や、かりたものかもしれません。見た目での判断は、指標としては不十分です。
 統計だけで、給食費を滞納している親のモラルの問題であると、大々的に発表してしまうには、根拠の薄いアンケートであると思います。実際に、神奈川県海老名市で行われた未納家庭への聞き取り調査では、支払い遅れの7割が「給料日前で手持ちがない」という理由を挙げています。
(中略)
 もちろん、「経済的な問題」がないのにお金を払わない人も中にはいるでしょう。この場合は、一種の養育放棄など子どもが育つ環境としては不適切である可能性があり、「保護者の責任感や規範意識」の問題であると放置して良い状況ではありません。
インタビュアー
 「給食費未納の生徒のせいで、ほかの子どものおかずも減ってしまう」といった話もありますが、0.9%の未納があっても、そんなに問題があるとは思えません。どういうことでしょうか?
鳫氏
 この統計を見る上で注意したいのは、0.9%は全体で平均した値であるということです。
(中略)
 つまり、未納がほとんどない学校もあれば、集中している学校もあります。
インタビュアー
 地域格差があるのですね。
鳫氏
 そうです。そのうえで、学校給食の特殊な会計方法が、未納問題の解決を困難にする一因になっているともいえます。給食費は会計上自治体の教育委員会で管理する「公会計」と、学校校長名義の口座で管理する「私会計」の二つに分けられます。前者が3割、後者が7割です。日本では各学校ごとに給食がはじまった歴史があるため、私会計のままの学校が多いのです。
 公会計であれば、未納者がいても、自治体の負担になります。しかし、私会計の場合、学校内でのやり繰りとなり、未納分がほかの生徒の負担になったり、食材購入に影響が出る場合もあります。報道されている埼玉県北本市のようなケース*7が起こるのは、未払いが多い私会計の学校で深刻化するといえるでしょう。
 私会計の問題点はいくつかあります。一つの学校で1000万から2000万の給食費になりますので、これだけの金額を会計法規によらない私会計でやろうとするのは会計の透明性の観点からみても問題でしょう。
 また、私会計の場合、給食費の徴収管理が教職員の負担になってしまいます。ただでさえ、忙しい教育現場において、学校教員が未納問題に対応するのは厳しいし、教育上も適当ではありません。子どもが負い目を感じ、学校に来たくなくなるなどの弊害が心配されます。
(中略)
インタビュアー
 給食費を支払っていない子どもに対して「給食を食べさせなくてよい」という意見がありますが、それについてはどう考えていますか。
鳫氏
 私が疑問を感じるのは、給食を食べさせる/食べさせないという問題に対して、親と自治体の関係性ばかりが重要視されている点です。
(中略)
 子どもは親と別の人格として尊重されるべきです。
(中略)
 だれもが親に恵まれるわけではありません。給食費を払っていない家庭は、その背後に複合的な問題を抱えていると私は考えています。親にメンタルヘルスなどの問題があり家計の管理が不十分だったり、借金や、DVや虐待があったり。経済的に困難な家庭に、社会的孤立など困難な状況が複合的に重なっていることも多いと考えています。確信的に払わない親の場合でも、子どもにとって必要なお金を出さないわけですから、子どもが育つ上で何かしらの問題を抱えている家庭だといえます。
 2014年に、千葉県銚子市の母子家庭が県営住宅の家賃を滞納し強制退去となった日に、母親が無理心中をはかり、中学2年生の女子生徒が亡くなるという痛ましい事件が起きました。この家庭は国民健康保険料を滞納していました。このような事件となれば、だれでも同情しますが、その一歩手前で見つける必要があります。問題が深刻になる前に、シグナルとして表れるのが「給食費未納」なのです。
 本来であれば、給食費未納から福祉につなげられればいいのですが、いまはそのシグナルを見逃すだけではなく、子どもの肩身の狭くなる方向に追い打ちをかけようとしているわけです。行政による「虐待」と言われても仕方がないと思います。
 また、給食費未納ばかりが問題にされていますが、中学校給食がないことによってひもじい思いをしている子が存在していることにも、注目してほしいと思います。
 給食費などの支援を受ける就学援助を受けていたとしても、学校給食がない地域に住んでいると給食費相当の支援はありません。ベストセラー小説『ホームレス中学生』(田村裕)でも、ご飯のにおいがする教室や食堂を避け、体育館で一人バスケットボールの練習をして空腹を紛らわしていたエピソードが書かれています。
(中略)
 いま、子どもの相対的貧困率は16.3%と深刻です。給食のない中学では、朝ご飯を食べない子がお弁当も持ってきていないこともあります。子どもの食のセーフティネットとして、全国的に中学校給食を完全実施すべきです。また、0.9%の給食費未納をバッシングするのではなく、子どもの貧困のシグナルとしてとらえ、給食費未納を福祉の支援につなげるスクールソーシャルワークの対象として見直すことが求められているでしょう。


『軍拡に走る安倍内閣と学術』(4)
■安倍政権下で軍事費はどうなっているか(中)(竹内真
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
■主張『軍事予算過去最大:あまりにも異常な軍拡やめよ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-12-24/2016122401_05_1.html


■論点「高速増殖炉開発の方針:反省もなく新たな無駄遣い事業」(鈴木剛
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
■主張『高速炉開発計画:核燃料サイクルから撤退こそ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-12-07/2016120701_05_1.html


■暮らしの焦点「TPP、アルミ添加物使用拡大を許すな」(吉良よし子)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
■TPPで危険な添加物拡大、吉良議員 「食の安全優先せよ」、参院特別委
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-12-02/2016120201_02_1.html
■論戦ハイライト『危険 アルミ食品添加物 規制緩和 米国が押しつけ、参院TPP特 吉良議員が追及』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-12-02/2016120202_05_1.html


メディア時評
■テレビ「『ニュース女子』の沖縄ヘイト」(沢木啓三)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
■デマ・差別放送流した東京MX、DHC(化粧品製造販売)が最大スポンサー、「ニュース女子」制作も子会社
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-01-20/2017012001_04_1.html
■訂正・謝罪求め抗議、東京MX本社前で市民
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-01-20/2017012017_01_1.html
■沖縄デマ番組「ニュース女子」、「事実まげた」放送せず、ミヤギテレビ、社内考査で判断
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-01-26/2017012601_04_1.html
■「ニュース女子」 放送倫理上大きな懸念、民放労連2地連 東京MXに質問状
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-01-30/2017013001_04_1.html
■「ニュース女子」 1月から7局開始、DHC 地方局に次々
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-01/2017020115_02_0.html
■MX「ニュース女子」 問われる報道倫理、東京新聞「反省」したが
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-03/2017020315_01_0.html


■文化の話題
【写真:トランプ政権による入国禁止令とアメリカの美術界】(朽木一)
(内容紹介)
 日経記事の紹介で代替。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN08H0P_Y7A200C1000000/
日経新聞『MoMA、入国制限の大統領令に抗議 対象国出身者の作品展示』
 トランプ大統領が1月末に発令した中東・アフリカ7カ国出身者の入国を禁じる大統領令に抗議する形で、ニューヨーク近代美術館(MoMA)が対象国出身の芸術家の作品を4日から緊急展示している。
 5階の常設展示室にあるピカソマチスなどの作品の一部を一時的に撤去し、同美術館が所蔵する入国制限の対象国出身である芸術家の作品を6作品並べた。また、ロビー階にも巨大な作品1点を陳列した。
 特別展示に名称はないが、外国人テロリストの入国を防ぐことを目的とする入国制限の大統領令に対し、美術館としてどう対応すべきか、スタッフが検討した結果のプロジェクトという。展示作品の説明には「この作品は1月27日に発効した大統領令の結果、米国への入国が拒否された国のアーティストたちが制作したものです」と記した。
 特別展示では、日本でも(ボーガス注:新国立競技場問題で)なじみのあるイラク系英国人建築家の故ザハ・ハディド氏が建築コンペのイメージとして描いた「ザ・ピーク・プロジェクト」(1991年)などの前で、作品を写真にとったり熱心に説明書きを読んだりする入場者の姿が目立った。
 展示期間は未定だが、2月半ばからは関連イベントとしてイラン、イラク、シリアの映画監督の作品について集中上映も始めるという。


【演劇:音楽劇「人形の家」俳優座劇場】(水村武)
(内容紹介)
 俳優座劇場プロデュースの音楽劇『人形の家』の紹介。

参考

https://spice.eplus.jp/articles/101311
俳優座劇場プロデュース第100回公演、音楽劇『人形の家』〜西川信廣*8土居裕子*9大場泰正*10に聞く
西川
 日本では『人形の家』というと、女性が自立するとか、家庭を捨てて社会に出ることが、かつて議論になったわけじゃない? 3人の子供を置いて、出ていくのはいかがなものかと。これだけ女性が働く時代になっても、まだそういう観念は残っているような気がする。
 そういうなかで、『人形の家』は、そういう古典の女性の自立をテーマにした物語として、新劇の定番のように言われてきたけれど、そのとっつきにくさというかな、一般の人には……なかなか難しいんじゃないかとか、そういった距離感みたいなものが、音楽とくっついたことによって、縮まるんじゃないかという気がする。
(中略)
 『人形の家』を音楽劇にすることによって、文学的な見方をする人も、音楽劇が好きな人も、ミュージカルが好きな人も、ラブストーリー的なものが好きな人も、受け取りやすくなったかなと思うので、ぜひ、いろんな人に見てもらいたい。


【音楽:世代をつなぐ連帯の歌】(小村公次)
(内容紹介)
 赤旗記事の紹介で代替。

(新版)お魚と山と琵琶湖オオナマズの日々
■若者を引きつける魅力/インドネシア「9.30事件」 よみがえる歌(上)・・・今日の赤旗記事
http://blog.goo.ne.jp/uo4/e/cee7ccc6d8201422ade3a60d1dc311ea
■若者を引きつける魅力/インドネシア「9.30事件」 よみがえる歌(下)・・・今日の赤旗記事
http://blog.goo.ne.jp/uo4/e/da82d7513829afb5598673cf8f66dece


特集『反省なき安倍外交を問う』
■いま問われる安倍首相の歴史認識(吉田裕*11
(内容紹介)
 吉田氏が三輪宗*12九州大学教授の説を紹介しているので三輪説について触れた東京新聞西日本新聞の記事を紹介しておく。
 吉田氏は「外務省の故意か(三輪氏や井口氏の立場)」はたまた「大使館のミス」かはともかく結果として「宣戦布告無しの攻撃」になったことについて安倍が言及しないことに疑問を呈している。
 また吉田氏は「山下奉文*13が行ったマレー攻撃(対英国の戦争)」では「事後の宣戦布告すらなかった」のにそのことに注目しない安倍や日本社会を批判している(まあそれ以前に安倍の真珠湾演説ではマレー攻撃への言及がないのだが)。
 なお、吉田氏も指摘しているが「時間的には山下のマレー攻撃の方が真珠湾攻撃より早い」ので『真珠湾攻撃で始まった対米戦争』ならともかく、『真珠湾攻撃で始まった太平洋戦争』と言うとそれは嘘になってしまう。

参考

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201612/CK2016122702000233.html
東京新聞『「真珠湾」開戦通告遅れに新説 未明の外務省「訂正電報」が影響か』
 太平洋戦争の開戦通告が遅れたのは、ワシントンの在米日本大使館の怠慢だったとする通説を覆し、日本外務省が意図的に電報発信を遅らせたことが原因とする説が浮上している。九州大学記録資料館の三輪宗弘教授が、通告の「訂正電報」を外務省が真珠湾攻撃の十二〜十三時間前に発信していた記録を、米国公文書館メリーランド州)で発見した。大使館はこの電報を待っていたため、英文での清書が間に合わなかった可能性があるという。
(中略)
 三輪教授は、元外務省ニュージーランド大使の井口武夫氏が二〇〇八年の著書(ボーガス注:『開戦神話:対米通告はなぜ遅れたのか』(中央公論新社))で触れた訂正電報の存在に注目した。当時、大使館の一等書記官だった奥村勝蔵氏*14が、一九四五年に「夜半までに十三通が出そろったが、後の訂正電信を待ちあぐんでいた」と陳述していた。
 三輪教授は、大使館が一〜十三部の訂正電報を待っていたため、清書ができなかったとする仮説を立てた。訂正が百七十五字に上っていたことも外交資料で分かった。当時のタイプライターは途中で挿入や訂正ができない。大使館は訂正電報が届くまで清書ができなかったのではないか。
 発見した二つの発信記録は、他の電報の詳細と突き合わせた結果、「訂正電報の可能性が極めて高く、奥村証言を裏付ける証拠」と三輪教授は読む。十三部が発信された六日午前十一時半から、二つの訂正電報が出されるまで十三〜十四時間の「空白」がある。この間、大使館は清書ができない。
 ただ、外務省からの訂正電報が遅かった理由は分かっていない。
<長崎純心大の塩崎弘明*15教授の話> 
 くすぶり続けている通告遅延の責任問題で、外務省の訂正が十数時間も遅れたことを示す貴重な資料だ。開戦通告を巡っては、日米それぞれでいろいろな説が唱えられており、単なるイデオロギー論争にもなりがちだ。そうした中で物的な証拠を示したことに価値がある。今後の開戦通告の事実が大きく解明されることを期待したい。
<現代史家の秦郁彦*16の話>
 三輪教授が発見した訂正電報の発信時刻を示す記録は、訂正内容が分からなければ資料的価値の評価は難しい。2通の訂正電報が十数時間遅れていたからといって、全ての通告遅延の原因が外務省にあるとは言い過ぎではないか。大使館では、日米の大事な局面にもかかわらず、職員を一度は自宅に帰しており、大使館の対応にやはり問題はあったと考えている。
<筑波大名誉教授の波多野澄雄氏*17の話>
 分割発信された対米覚書の14部の発信が遅れた原因については、これまでの研究で参謀本部(通信課など)の介入が指摘されてきた。覚書の誤字脱字の訂正に関する2通の訂正電報まで13〜14時間も発信が遅れたとすれば、大使館の対応をさらに困難にしたことは間違いない。今回の発見は、開戦通告の遅延に関する責任の所在を明らかにするという意味で大きな意義がある。

 秦が「三輪説に否定的(大使館責任論)」、波多野氏が「三輪説に好意的(外務省責任論)」、塩崎氏が中立、そして俺の理解では、井口武夫氏、吉田裕氏も波多野氏に近い立場かと思います。
 まあ井口武夫氏の場合、「井口貞夫氏(当時、駐米日本大使館職員。戦後、外務事務次官、駐米大使など歴任)の子息」と言う点を多少割り引く必要があるかも知れませんが。
 ただ俺個人はこの中では秦野主張が一番酷くて、はっきりいって外務省本省をかばうための詭弁と思います。ぶっちゃけ大使館を非難して外務省をかばってくれる人間なんて秦しか見つからなかったんじゃないか。
 なお、俺が慰安婦問題の一件で秦に好感を持ってないことは一応お断りしておきます。

http://www.nishinippon.co.jp/feature/attention/article/304280
西日本新聞真珠湾攻撃に新説 「訂正」打電遅れ、陸軍が指示? 大使館は清書できず』
(前略)
 三輪教授は、米軍が電報を傍受していたことを旧日本陸軍が極度に警戒し、開戦ぎりぎりか、遅れて通告しても構わないと考えていたとみている。
(中略)
「大使館の作業を遅らせる意図があったとしか考えられない。陸軍、外務省は大使館をも欺いていた」
 だが、戦後の極東国際軍事裁判東京裁判)や外務省幹部らの証言で、通告遅延の原因は「大使館の怠慢」説が広がり、定着していく。東郷茂徳*18外相(開戦時)は東京裁判で「通告に時間がかかったのは、大使館が案文の修正に手間取ったからである」と証言している。
 三輪教授は2011年、日本の国立公文書館で「A級裁判参考資料 真珠湾攻撃と日米交渉打切り通告との関係」と題したファイルの中から、これまで明らかになっていなかった法務省作成の「弁護方針(案)」という文書を見つけた。
 旧日本海軍と外務省が東京裁判の弁護方針を打ち合わせた記録には、こう書かれていた。
 〈「最後通牒」手交ノ遅延ハ在華対(ママ)日本大使館ニ於ケル事務遅延ノ為ニシテ我方ノ意図ニ反セルコト 詳細ハ外務省内部ノ決定ニ一任ス〉
 裁判後、怠慢説を広げる中心となったのは、開戦時の外務省アメリカ局第1課長だった加瀬俊一氏*19と大使館海軍武官補佐官の実松譲氏だ。著書やインタビューで「6日夜、大使館員は送別会で出払い、誰も電報に気付かなかった」「翌日は午前9時半に近いというのに、本国からの大量の電報は郵便受けに放置されたままだった」と繰り返した。
 だが、大使館の電信官は7日未明まで待機し、電報は手渡しで受け取ることになっていた。2人の証言が事実と異なることが今では解明されている。
 そもそも、2通の「訂正電報」は1942年の外務省の火事や45年の空襲で焼失したとされ、長らく存在さえ知られていなかった。
 こうした事実や状況から、三輪教授は「通告の遅れは、大使館の事務作業の遅れが原因だということにしようという意図が働いていた」とみている。
 その理由をこう結論付ける。
「開戦の意図を米軍に察知されたくなかった陸軍や、A級戦犯だった東郷外相に重い罪を科されないようにするため、大使館の責任にする必要があった。そのために、発信時刻が判明する訂正電報を焼却したと考えるのが合理的だ」
 三輪教授は、歴史から教訓を得るには開戦時のさらなる史実の検証が必要だと訴える。

東京と西日本の違いとしては
1)西日本は軍部と外務省共謀による故意の遅延と見なしてるがその辺り東京は曖昧な立場
2)戦後の外務省サイド(東郷元外相など)からの大使館責任論を「外務省本省の虚偽宣伝」として西日本が断罪しているのに対し、東京は触れてない
点が上げられる。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50619
■現代ビジネス『真珠湾攻撃75年目の真実 〜なぜ対米通告は遅れたのか?:通説は「完全な誤り」だった』
近藤 大介『週刊現代』編集次長
 日本時間の12月28日早朝、安倍晋三首相が、現職の首相として初めて真珠湾を訪問し、オバマ大統領とともに日米和解のスピーチを述べた。
 このテレビ映像を、万感の思いで見守っていたのが、井口武夫元ニュージーランド大使(86歳)である。父親は、1941年12月の日米開戦時、ワシントンの日本大使館で参事官を務めていた井口貞夫元駐米大使。日米開戦当時、11歳だった井口武夫氏も、ワシントンで日本大使館が混乱していく様子を、鮮明に記憶しているという。
 そんな井口氏が、生涯をかけて取り組んでいるのが、なぜ真珠湾攻撃の際の日本の対米通告が遅れたのかという問題である。
 2008年に『開戦神話:対米通告はなぜ遅れたのか』(2011年に『開戦神話:対米通告を遅らせたのは誰か』として増補改訂)を出版した井口氏が、最新の研究によって明らかになった真珠湾攻撃と日米開戦の真実について明かした。
近藤:
 真珠湾攻撃に関しては、アメリカ側から、宣戦布告のない奇襲攻撃だったとの非難を受けています。
 東京裁判では、外務省幹部たちが「最後通牒アメリカへの手交が遅れたのは、ワシントンの日本大使館の怠慢のせいだった」「日本大使館最後通牒の案文の修正に手間取ったからだ」などと証言し、それらが通説となってきました。
 でも、そうした俗説は誤りだったのですね。
井口:
 完全な誤りです。
 陸軍参謀本部が米国に開戦の意図を察知されることを恐れて、最後通牒アメリカ側に通告するのを遅らせようとした。それに外務省本省が協力させられたのです。

参考
日本共産党
■戦後70年にあたって:「安倍談話」と日本共産党の立場
http://www.jcp.or.jp/web_policy/2015/08/post-702.html
■談話『反省なき外交では、真の和解と友好を築くことはできない:安倍首相の真珠湾訪問について』
http://www.jcp.or.jp/web_policy/2016/12/post-732.html

赤旗
■主張『「安倍70年談話」:過ち認めぬ首相に未来託せず』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-08-15/2015081501_05_1.html
■「村山談話」どう投げ捨てたか、「安倍談話」を検証すると
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-08-16/2015081602_01_1.html
■安倍談話 海外から厳しい批判
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-08-16/2015081603_01_1.html
■安倍談話 海外メディア 厳しく批判
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-08-16/2015081602_04_1.html
■2015 とくほう・特報『安倍「70年談話」にみる国民あざむく構造』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-09-03/2015090306_01_0.html
■主張『首相ハワイ訪問:反省ない〝未来志向〟通用せぬ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-12-29/2016122901_05_1.html

人民日報
■安倍談話発表 直接の「お詫び」避ける
http://j.people.com.cn/n/2015/0814/c94474-8936383.html
■安倍談話「お詫び」はあいまいで残念 浅野元外務副大臣
http://j.people.com.cn/n/2015/0816/c94474-8936972.html
■安倍首相の真珠湾訪問 外交部「ショーより反省を」
http://j.people.com.cn/n3/2016/1229/c94474-9160741.html

朝鮮日報
■[時論]安倍首相の真珠湾訪問 謝罪も反省もなく遺憾だ
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/12/29/2016122902096.html


■消されていく自主避難者(吉田千亜)
(内容紹介)
 『ルポ 母子避難:消されゆく原発事故被害者』(2016年、岩波新書)の著者・吉田氏へのインタビュー。

参考

https://www.cataloghouse.co.jp/yomimono/160510/
通販生活『「ルポ 母子避難」著者・吉田千亜さんインタビュー』
インタビュアー
 母子避難者の苦境を伝える『ルポ 母子避難』の執筆のきっかけとなったのは、昨年発表された、避難者への借り上げ住宅(注)の無償提供打ち切りですね。
(注)借り上げ住宅
 災害救助法により、被災者に無償で提供される住宅。応急仮設住宅(プレハブなど)と違い、既存の民間住宅や公営住宅などがあてられるため“みなし”仮設とも呼ばれる。国の避難指示を受けて避難している強制避難者の多くが福島県内で避難生活を送る一方で、自主避難者の多くは県外の借り上げ住宅で避難生活を送っているが、福島県は来年3月いっぱいで無償提供を打ち切ると発表している。
吉田
 そうです。母子避難者の多くは国による避難指示のない地域から避難していますから、賠償は全くないか、あったとしてもごくわずか。借り上げ住宅の無償提供で、ようやく避難生活が成り立っている世帯がほとんどです。
 避難者が署名を集めたり、市民団体が抗議行動を起こしたりして打ち切り延長を求めていますが、あるお母さんは「打ち切られるかどうかハラハラしながら過ごすのは辛い」と、3月末に帰還しました。
 やはり3月末に帰還したあるお母さんは「もしも収束作業中の原発で何かあったら、もう一度避難する覚悟で帰る」と語りました。
 またあるお母さんは「無償提供が打ち切られたら、子どもと一緒に路上生活するしかないのかな」と消え入りそうな声でつぶやきました。
 「線量の低下」「避難者の自立」「復興への足がかり」……。希望ある言葉で飾られる帰還政策の内側で、避難者は望まぬ帰還か、生活困窮かの選択を強いられています。
 私は自主避難者の交流会を開いたり、子どもを被ばくから守るお母さんのための雑誌『ママレボ』の制作に携わったりするなかで、多くの母子避難者と出会ってきました。今、私の目の前には「来年どこに住んだらいいの?」と途方に暮れるお母さんたちがいます。それも大勢です。
 住宅提供打ち切りをなんとかして食い止めたい。その思いで『ルポ 母子避難』を執筆しました。
インタビュアー
 『ルポ 母子避難』には、借り上げ住宅で暮す母子避難者の生活が詳細に書かれています。
吉田
 共感できるかどうかは、ディテールが分かるかどうかにかかっていると思うので、できるだけ詳しく具体的に書くことに、すごくこだわりました。
 例えば、本の中に登場するあるお母さんは、原発事故前までは一軒家で暮していたのに、避難生活では古い団地の一室に住み、女と子どもだけの生活が不安で、廊下に面したお風呂に入るときは一度も電気をつけませんでした。また別のお母さんは、自宅に残っている夫の浮気を知り、問い詰めると「お前が避難をしているせいで俺のプライドは傷つけられた」という言葉を浴びせられました。「事故がなかったら今頃どんな生活をしていたかと思うと、力が抜けてしまう」と語ったお母さんもいます。
インタビュアー
 母子避難者の苦しい状況をここまで詳細に伝える本はこれまでほとんどありませんでした。
吉田
 でも、本で紹介しているお母さんたちは、ほんの一握り。もっとたくさんの方が避難をしているし、避難者の数だけ事情があります。
 ただ、取材の中で母子避難者の多くにあてはまる問題だと実感するのは、孤立の深刻さですね。避難者交流会に初めて参加するお母さんたちは、避難生活の苦しさを、それこそ息つく間もなく立て続けに話します。中には、手を震わせながら絞り出すように言葉を発する方もいて……。本当に、ずっと一人で耐えてきたんだなと感じます。
 避難指示がないことで「帰る場所があるのに、勝手に避難した人たち」という視線を向けられるうえ、自宅に残っている夫に対しても「避難させてもらっている」という遠慮がある。胸の内を吐き出せる場所がないことが、お母さんたちを孤立へと追い立てています。
 苦しくて苦しくて、つい子どもに辛くあたってしまうと話すお母さんもたくさんいます。どうしようもなく追い詰められて「子どもと一緒に死のうと思った」と話すお母さんにも、本当にたくさん会ってきました。……どれだけ辛いか。同じ母親として、想像するに余りあります。
 現在、避難指示も徐々に解除されつつあり、借り上げ住宅の無償提供打ち切りとあいまって、帰還政策が加速化しています。
インタビュアー
 副題の「消されゆく原発事故被害者」はまさに、被害者にとって苦しい現状を言い表しています。
吉田
 何年後かには、原発事故の被害は住民の帰還が叶わない一部の地域だけにしかなかったことにされてしまうかもしれません。
 でも、母子避難者がどれだけ大変な思いで避難してきたかを側で見てきた私は、彼女たちの5年間を消したくないし、今後も子どもを被ばくから守りたいという意思を否定したくない。この本を通じて、現状に一石を投じたいですね。
インタビュアー
 『ルポ 母子避難』を読んだ方からは、どんな反応が寄せられましたか。
吉田
 あるお母さんが「ここには、私のことが書いてあると思った」という感想を寄せてくださって。その方は、避難者ではないのですが、もし同じ状況になったら、自分も子どもを連れて避難するかも、と。一番伝えたいことが伝わったのかな、と思えました。
 今回、放射線量を書くときには必ず(事故前の●倍)という表記を加えました。避難の原因が放射能である以上、その影響の大きさを客観的に表したかったのです。本に登場するお母さんたちは、5年が経った今も、事故前の数倍から数十倍の線量があるところから避難しています。そこで子育てするのが不安になるのは、ごく当たり前のこと。なぜそれを一部の地域の人だけが受忍させられなければいけないのでしょうか。
 結局、私が一番伝えたいのは「自主避難している人たち、間違ってないよね」ということなんです。「もし同じ状況に立たされたら、あなたも同じ選択をしない?」と問いかけたかった。
 住宅提供打ち切りは、自主避難の正当性を真っ向から否定する決定です。だからこそ、「子どもを守りたい」と思う人なら、母子避難者の思いが通じるはずだ、通じないかな、頼む、通じて! という、ギリギリの願いを『ルポ 母子避難』に託しました。母子避難者の現状を「明日の私の話」と捉え、打開策を一緒に考えてくれる人が増えるようにと、願っています。

*1:その結果、「通販生活シノドス」のインタビューを紹介するだけで「それなりの内容紹介に代替できる」つう手抜きができますが。

*2:池田内閣郵政相、官房長官、佐藤内閣厚生相、福田内閣農水相自民党総務会長(大平総裁時代)などを経て首相

*3:大平内閣官房長官自民党政調会長(中曽根総裁時代)など歴任

*4:社会党委員長、衆院議長、社民党党首など歴任

*5:福田内閣外相として日中平和友好条約締結に関与

*6:著書『日本の公安警察』(2000年、講談社現代新書)、『ルポ 拉致と人々:救う会公安警察朝鮮総連』(2011年、岩波書店)、『トラオ:徳田虎雄 不随の病院王』(2013年、小学館文庫)、『抵抗の拠点から:朝日新聞慰安婦報道」の核心』(2014年、講談社)、『日本会議の正体』(2016年、平凡社新書)など

*7:これについてはたとえば『埼玉・北本市の公立中学、給食費3か月未納で提供停止へ』(http://www.j-cast.com/2015/06/25238652.html)参照

*8:演出家

*9:1984年、NHK教育テレビの幼児向け番組『なかよしリズム』に出演。1988年の番組終了までの4年間、歌のお姉さん「Uちゃん」役を務めた。同番組の終了直前『おかあさんといっしょ』の構成台本を担当していた横山由和より誘いを受け、1988年、ミュージカル劇団「音楽座」へ入団。1996年の劇団解散(なお2004年に再結成)まで8年間女優として在籍した。

*10:俳優。

*11:著書『昭和天皇終戦史』(1992年、岩波新書)、『日本の軍隊:兵士たちの近代史』(2002年、岩波新書)、『日本人の戦争観』(2005年、岩波現代文庫)、『アジア・太平洋戦争』(2007年、岩波新書)など

*12:著書『太平洋戦争と石油』(2006年、日本経済評論社

*13:第25軍(マレーシア)司令官、第14方面軍(フィリピン)司令官など歴任。戦後、シンガポール華僑虐殺、マニラ大虐殺を裁かれ死刑判決。

*14:戦後、外務事務次官、スイス大使など歴任

*15:著書『国際新秩序を求めて:RIIA、CFR、IPRの系譜と両大戦間の連係関係』(1998年、九州大学出版会)、『日本と国際連合』(2005年、吉川弘文館)など

*16:著書『統帥権と帝国陸海軍の時代』(2006年、平凡社新書)、『南京事件(増補版)』(2007年、中公新書)など

*17:著書『宰相鈴木貫太郎の決断:「聖断」と戦後日本』(2015年、岩波現代全書)など

*18:駐ドイツ大使、駐ソ連大使、東条、鈴木内閣外相など歴任。戦後、A級戦犯として禁錮20年の判決。服役中に病死し、後に靖国神社に合祀される。

*19:右翼活動家・加瀬英明の父親(戦後、国連大使、ユーゴ大使など歴任)とは同姓同名の別人。戦後、メキシコ大使、西ドイツ大使など歴任