今日の産経ニュース(3/24分)ほか(追記・訂正あり)

NHK『「道徳」教科書の初検定 8社すべてが一部修正し合格』
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170324/k10010923111000.html

 小学1年生のある教科書では、申請段階では、物語に友達の家のパン屋を登場させていましたが、「国や郷土を愛する態度」などを学ぶという観点で不適切だと意見がつけられ、教科書会社は「パン屋」を「和菓子屋」に修正しました。
 これについて、教科書会社は「日本文化であることをわかりやすくするため和菓子屋に修正した」と話しています。

 「今時パンなんて日本化してるだろ、アンパンとか焼きそばパンとか」と思い、笑ってはいけないと思いましたが思わず吹き出しました。我々の国は「予想以上に」日夜狂った方向に向かっているようです(その一例が森友ですが)。この「パン屋云々」もやはり安倍や日本会議ら非常識右翼のせいでしょうか。いくら自民党政権でもたとえば福田康夫*1政権下でここまでいかれた検定は予想できませんが(つうかたぶんないでしょう)。
 いわゆる南京事件否定論云々ならまだしもこんな所に因縁をつけるとは予想もできませんね。
 この記事についたはてなブックマークで「ラーメン屋も駄目なのか」という冗談ブクマがありましたがまあそう皮肉りたくもなります。
 なお、産経ではないのでこれはNHKはやはり「批判の意図で報じてる」んでしょう。

 道徳の検定では「家族愛」や「生命の尊さ」など22の項目を国が盛り込むよう定めていて、教科書会社の中には、「家族愛」を記述するにあたり、母子家庭の増加など家族が多様化するなか、国が求める家族像とのバランスが難しかったと取材に答えたところもありました。
 道徳教育に詳しい中央大学の池田賢市*2教授は「特定の家族像とか家族愛を取り上げて教えることは、実態とかけ離れていると言わざるをえない。学校現場では、道徳の教科書に書かれた価値観だけでなく、子どもの実態に即して教えるべきだ」と話していました。

 「国が求める家族は一人親家庭ではない」と「当事者の国が教科書会社に向かって公言する」のは明らかに一人親家庭への差別だと思います。つうか池田教授が言うようにそれこそ道徳に、そして家族愛に反してる。まあ、右翼にとってはそれ(一人親家庭差別)こそが国家道徳なのでしょうけど。
 「未婚の母や離婚は議論の余地なく悪」「夫と死別した場合もすぐに再婚すべきだ」とでも思ってるのでしょう。
 「未婚の母」安藤美姫*3なんぞは議論の余地なく「劣った存在」なんでしょうか。

 ある教科書では「死者の数は戦闘員を含めて、占領前後の数週間で少なくとも10数万人に達したと推定される」という記述に意見がつき、教科書会社は「おびただしい数の中国人を殺害し」と修正したうえで、犠牲者の数が諸説あることを盛り込んで合格しました。

 おいおいですね。「少なくとも10万人」は笠原十九司*4らが主張する通説的見解ですが。秦郁彦*5の4万人説なんて通説じゃない。もちろん東中野修道など論外です。自分に都合の悪いときだけ「諸説ある」とはいつもながら全くふざけています(とはいえそれでもさすがに否定は出来ない訳ですが)。
 当然ながらこうしたふざけた態度には中国側から

http://www.sankei.com/world/news/170324/wor1703240047-n1.html
■産経『中国報道官「間違った無責任な行為」 南京事件教科書検定で』
 中国外務省の華春瑩報道官は24日の記者会見で、南京事件の死者数に関して「人数は定まっていない」などの追記を求めた日本の教科書検定について、「日本政府が意図的に歴史を薄めたり、否定したりするのは極めて間違った無責任な行為だ」と非難した。

と言う批判が来ます。

http://www.sankei.com/world/news/170324/wor1703240047-n1.html
 南京事件の死者数について中国側は「30万人」と宣伝しているが、日本側の研究では根拠のない誇張された数字との見解が定着している。中国側の研究者が「30万人」説について「政治的数字」「正確な人数は確定できない」と語ったこともある。

とする産経ですが「10万と書いたら修正意見がついた」のだから何の反論にも成っていません。最初から教科書会社は30万なんて書いてないし、当然、中国もそんな事問題にはしていない。こういう意味不明なことを書く時点で産経は「とにかく言い返せばいい」というふざけた立場であることは明白です。
 中国も「南京事件資料をユネスコ登録したことは間違っていなかった」との確信を深めていることでしょう。次辺り「慰安婦の資料登録」を目指してるかも知れません。それも日本側の酷さを考えたら仕方がないでしょう。


【ここから産経です】
■産経「即刻是正を求める」 教科書の検定通過で韓国政府が抗議
http://www.sankei.com/world/news/170324/wor1703240057-n1.html
ハンギョレ
■独島・慰安婦歪曲“アベノ教科書”小中高で完結:4年越しの安倍右傾化教育・教科書作り直しが一段落、「独島は日本領土」に釘を刺し、日本軍「慰安婦」叙述は後退、出版社に修正命令で強圧、「歴史教育を政治道具化」批判
http://japan.hani.co.kr/arti/international/26885.html
■韓国政府、「日本の教科書歪曲」に対し厳重に抗議・是正の要求
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/26890.html
中央日報『韓国教育部、日本の教科書「竹島は日本の領土」に直ちに是正要求』
http://japanese.joins.com/article/278/227278.html

 全く安倍政権の無茶苦茶さにはうんざりします。


李克強*6・中国首相、ターンブル*7豪首相と会談 自由貿易推進で一致 中国、米豪関係に楔打ち込む
http://www.sankei.com/world/news/170324/wor1703240040-n1.html
 中国が豪州と友好関係を深めるだけの話が産経に係ると「米豪関係に楔打ち込む」となるんだからその反中国ぶりにはいつもながら呆れます。

ターンブル氏は国際法に基づく領有権問題解決を訴えるにとどめた。

 そりゃ中国を批判すれば中国に恨まれ、中国を支持すればベトナムやフィリピンに恨まれ、何のメリットもないのだから「話し合いによる円満解決を望む」程度の事しか言わないでしょう。


■【竹島の日講演】韓国次期大統領、反日なら御しやすい…日本優位の逆説理論 下條正男*8拓殖大教授
http://www.sankei.com/west/news/170324/wst1703240002-n1.html
 「御しやすい」とまるで競馬馬や「曲芸のライオン」みたいな物言いは酷いですね。

 「北方領土の日」の2月7日、(政府主催の)北方領土返還要求全国大会が東京の国立劇場で行われた。そこで何があったのかというと、来年度も署名運動をする、ということだった。
 署名運動は、昭和40年から始めて今までに8835万人分が集まった。もう亡くなった方も多いはず。その提出先は、日本の国会だという。(露大統領の)プーチンさん*9に出すのなら分かるが、なぜ国会に提出するのか。なぜ国民が署名を集めないといけないのか。これを「徒労」という。

 その理屈だと救う会の拉致署名運動も徒労ですね(ニッコリ)。
 そして「北方領土の日」が徒労なら「もっと知名度の低い竹島の日」は何と言ったらいいのか。

 韓国の次期大統領には、文在寅*10ムン・ジェイン=共に民主党前代表)さんが出てくる可能性が高い。彼は、反日*11なので一番やりやすい。挑発すればすぐ乗ってくるのだから。
(中略)
 文さんが次の大統領になると、日本は攻勢をかけるいい機会。竹島問題でも慰安婦問題でも必ず「反日」でくる。向こうが動いてくれるから、こちらが動かそうとする必要がない。そういう意味で、外交環境は非常によくなると考えたい。

 酷すぎて「おいおい」です。
 先ず第一に「挑発と公言する」のが酷い。
 第二に産経の別記事では西岡力などが「文が大統領になったら韓国が北朝鮮化する」などと言ってることと明らかに矛盾するのが酷い。
 なお「動いたことが良かったかどうか」はともかくむしろ竹島問題も慰安婦問題も動かしたのは韓国ではなく「嫌韓国」安倍の方です。安倍が無茶苦茶やらなければ今のようには成らない。

竹島の日」の記念式典を、急いで国の主催にするのはもったいない。むしろ島根県で続けたほうが、全国からいろんな方々がここへ集まり、お金が落ちる

 まあ強がりですね。当面国の主催になりそうもないのに良くこんなことが言える。

 北朝鮮金正男さんがマレーシアで殺害された事件があったが、このときのマレーシアの対応は適切だった。日本も、竹島を奪われたとき、なぜ韓国に対してああいう動きが取れなかったか

 「ああいう動き」って具体的にどういう動きでしょうか?

 慰安婦問題について、韓国の人たちは、「世界中に慰安婦像を作れば世界の人はみんな賛同してくれる」と思い込んでいる。世界中に慰安婦の像ができるというのは、日本にとって非常にいい*12。どんどん像を作ってもらって、みなさんが設置された都市へ旅行に行ったときに写真を撮り、「ここは民度の低い地域です」とネットに出せばいい。

 アメリカ相手(慰安婦像がある都市がいくつかある)にそんな事をやったらそれこそ外交問題になりかねませんが。

 竹島問題に関連するゆかりの地は、他の地方にはない優れた観光資源であり、これをたどれば鳥取県島根県の観光ルートができる。鬱陵島には多くの観光客が訪れているから、隠岐汽船(本州と隠岐諸島を結ぶ旅客船)を使い、鬱陵島竹島を見たあと、隠岐や本土まで来てもらう。
 私が一番体験してほしいのは、隠岐相撲と牛突き。

 散々韓国を誹謗しながら「韓国観光と島根観光をリンクしたい、韓国人観光客に島根に来て欲しい」とはいい度胸です。まあ、韓国人観光客をいたずらに敵視する産経よりはマシですが。

*1:森、小泉内閣官房長官を経て首相

*2:著書『フランスの移民と学校教育』(2001年、明石書店

*3:世界選手権フィギュア女子シングル2007年金メダル、2009年銅メダル、2011年金メダル

*4:著書『南京事件』(1997年、岩波新書)、『南京難民区の百日:虐殺を見た外国人』(2005年、岩波現代文庫)、『南京事件論争史』(2007年、平凡社新書)など

*5:著書『南京事件:「虐殺」の構造(増補)』(2007年、中公新書)など

*6:中国共産主義青年団共青団)中央書記処第一書記、河南省長・党委員会書記、遼寧省党委員会書記、第一副首相などを経て首相

*7:ハワード内閣環境相アボット内閣通信相を経て首相

*8:著書『竹島は日韓どちらのものか』(2004年、文春新書)

*9:エリツィン政権大統領府第一副長官、連邦保安庁長官、第一副首相、首相を経て大統領

*10:盧武鉉政権で大統領秘書室長

*11:「産経定義の反日」でない政治家は韓国には殆どいません。

*12:「ならば像設置に反対するな」て話です。