今日の産経ニュース(4/7〜8分)(追記・訂正あり)

■【米中首脳会談】習外交は「内弁慶」? 対米関係維持に汲々
http://www.sankei.com/world/news/170408/wor1704080056-n1.html
 「内弁慶」「汲々」というタイトルからして産経らしい反中国記事です。産経が習氏の訪米を「ただただ米国相手にへいこらした」と「否定的に評価したいこと」はよくわかりますが、今後そうした認識が果たして正しいかどうかは明らかになっていくでしょう。私見ではかなり歪んだ間違った見方だと思いますが。
 つうかよほど安倍や産経の方が米国にへいこらしてると思いますが。


■【シリア攻撃】米軍のシリア攻撃で東京市場、リスク回避強まる 円高・株安 「対北朝鮮政策でも強硬姿勢を示すと連想」と専門家
http://www.sankei.com/economy/news/170407/ecn1704070014-n1.html
 「トランプとの友好関係を誇示してきたため」米国批判するわけにいかず、トランプを支持した安倍ですが、この一件だけでもそんなに歓迎できる話ではないことが分かると思います。
 安倍にとって「円高、株安」は容認できない話ですが、それだけでなく「円高、株安の方向にいきなり振れる」とはそれだけ「シリア攻撃の行く末」が不安*1だと言う事で、そう言う意味でも手放しで歓迎できない。


■【スポーツ異聞】箱根駅伝の“犠牲者”か 「山の神」柏原竜二の早すぎる引退で問われる駅伝とマラソンの相関関係
http://www.sankei.com/premium/news/170408/prm1704080002-n1.html

 駅伝がマラソンの強化につながる、と言われてきた。しかし、そもそも箱根駅伝での活躍→マラソンの活躍の“方程式”は成立するのだろうか。常々、疑問に思ってきた。
 実際、「山の神」と称された選手は、他にもいる。順大で3年連続5区の区間賞を獲得した今井正人(33)=現トヨタ自動車九州=と青学大で5区の区間賞と同2位の神野大地(23)=コニカミノルタ=だ。
 今井は15年の東京マラソンで日本歴代6位の2時間7分39秒をマーク、同夏の世界選手権代表に選出されたが、髄膜炎のため欠場。今年2月の東京マラソンでは14位に終わった。神野はまだ、マラソンは走っておらず、未知数だ。「山の神」3人衆はいわば箱根駅伝を代表するスターで期待値が高かっただけに、期待値を超える活躍をしているとは言い難い。
 現在のマラソン日本記録は2時間6分16秒。2002年に高岡寿成(現カネボウ監督)がシカゴマラソンでマークしたものだ。あれから、15年近い、歳月が流れたが、いまだに破る選手は出ていない。
 この間、“世界”ははるか先へ行ってしまっている。07年に2時間4分26秒(ハイレ・ゲブレシラシエ*2エチオピア)だったのが、11年には2時間3分38秒(パトリック・マカウケニア)、14年には2時間2分57秒(デニス・キメット=ケニア)と顕著な進歩を遂げている。
 日本記録保持者の高岡は龍谷大(京都)出身。だから、(ボーガス注:関東の大学しか出場できない)箱根駅伝には出場していない。トラック種目で実力をつけて距離を伸ばし、マラソンで活躍した。
 ちなみに、日本の歴代5傑は以下の通りである。
 (1)高岡寿成 2時間6分16秒
 (2)藤田敦史 2時間6分51秒
 (3)犬伏孝行 2時間6分57秒
 (4)佐藤敦之 2時間7分13秒
 (5)児玉泰介 2時間7分35秒
 この中で、犬伏と児玉は高校から社会人へ進んだため、5傑のうち3人が箱根駅伝を経験していない。
 もちろん、箱根駅伝以外の他の駅伝(実業団駅伝など)は走っている。だが、1区間20キロ以上、しかも高低差がある箱根は他の駅伝と比べものにならないほど負担がかかる。ちなみに、元日の全日本実業団駅伝でさえ、20キロを超えるのはわずか1区間のみだ。
 厄介なのは、箱根駅伝が大学の関東大会でしかないのに、陸上関係で断トツで注目度の高い大会ということだ。視聴率も高く、どうしても無理してしまう。その無理がたたって、社会人になっても伸び悩んでしまうのではないか。
 第二の柏原を出さないためにも、お家芸のマラソンの復活のためにも、箱根駅伝を再考したいところである。

 「同様の指摘は以前からありますが」全く正論だと思います。
 今や箱根駅伝は「マラソン育成など他の分野の足を完全に引っ張ってる疫病神」だと思います。

参考

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34546
■週刊フライデー2013年1月18日号・新春特別研究『「マラソンでメダル」が見たいのに……なぜ日本人には「箱根駅伝までの選手」が多いのか』
 男子マラソンの歴代記録上位20人のうち、箱根経験者は半分以下の8人。その中でエース級の活躍をしたのは、古くは瀬古利彦(早稲田大)、近年では藤田敦史(駒沢大)、藤原正和(中央大)ぐらいだ。かつての箱根のスター、渡辺康幸早大監督や金髪にサングラスで一躍脚光を浴びた徳本一善(法政大)も社会人では振るわなかった。
(中略)
 それとは逆に、ソウル五輪バルセロナ五輪で4位入賞した中山竹通、そのバルセロナで銀メダルに輝いた森下広一、現在の日本記録を持つ高岡寿成は、箱根未経験者*3なのだ。
(中略)
 自身も早稲田のエースとして箱根を走り、今回も監督として城西大を率いた櫛部静二が話す。
(中略)
 少子化の中で潰れる大学が現れた昨今、生き残りのための施策の一つとして箱根駅伝を意識して強化を図る大学があるのも事実。昨年までの箱根の主役・柏原の活躍で東洋大の受験生が増えた通り、受験シーズン直前の箱根駅伝は大学にとって格好の宣伝になるからだ。箱根に出場して名前を売り、優秀な選手を集め、シード権を得て、ゆくゆくは優勝。大学側にそんな思惑があるのは想像に難くない。多くの箱根の指導者たちが、自身に求められるものがその辺りの事情も含めての強化であることは重々感じている。そんななかで櫛部は「いまの学生陸上界はあまりにも箱根ありきになっている」と指摘する。
「持久力を付けることばかり考えて長い距離を走らせ、スピードが増すトラックでのトレーニングを軽視しています。だから基本的に皆、長距離仕様の選手になる。1㎞3分ペースで行けば箱根なら区間賞も狙えますから。一方、世界に目を向けると、トップレベルはトラック競技で鍛えることでどんどん高速化している現状があります」(櫛部氏)
(中略)
 これでは、将来性豊かな若き才能に、五輪で戦える指導をすることは難しい。箱根駅伝1920年、日本マラソンの父・金栗四三により「世界に通用するランナーを育成したい」という理念のもと創設されたもの。学校経営というビジネスに利用される側面は避けられない現実だが、その理念を無視している大学も少なくない。
(中略)
 指導者が、選手の将来より大学の広告効果のほうに重きを置けば、学生選手権などのトラック競技を軽視し、一年中、箱根で走るための偏ったトレーニングばかりを行う。箱根の1区間は4区を除いてすべて20km以上。その距離を走り続けることで選手は皆、同じような”箱根仕様”になっていく。
 「学生にとって箱根が五輪以上のモノになってしまっている」と話す櫛部が、実業団の選手として初めてニューイヤー駅伝*4を走ったときのことを振り返る。
 「(ボーガス注:TBSテレビ、ラジオが実況中継するとは言え)まず、箱根に比べると世間の注目は少ないので、『これまでと違う』と気付かされる。そして、箱根で凄く注目されていたのに五輪は遠い、と現実を思い知らされるんですよ。そのギャップから夢や希望が萎んでいく。箱根で完結してしまって、新たな目標が立てられないんです」
 わかりやすいのが、富士通1年目の柏原の成績。日本選手権1万m14位、全日本実業団選手権1万m11位とすっかり埋もれてしまい、特別な存在ではなくなっている。
 「箱根で走ること自体、ちょっと頑張れば手が届くことなんです。それが社会に出て五輪を目標にしても、ロンドンの場合なら長距離はトラックで1人。マラソン代表は3人ですが、300人いるライバルの中から選ばれるのだから競争率は100倍。しかも五輪は箱根と違って4年に一度。比較できないほど非現実的な目標になってしまうのです」
 自らの経験も踏まえ、櫛部は語る。そして日本のマラソン不振を語っているうちに、さらに衝撃的な言葉を口にした。
 「そもそも、いまの学生はマラソンに魅力を感じていないんですよ」
 近年の日本男子マラソン代表の低迷ぶりを見て、世界との格差は何とかならないものか、と嘆いていた日本人の一人として、それは驚くべき現実であり、マラソン不振の根源がわかった気がした。
 「いまの世代はマラソンの黄金時代だった瀬古さんの時代を記録上でしか知りません。世界との差はマラソンで3分弱、1万mでは1分以上もある。あまりにも開き過ぎているために魅力を感じないんです。だからマラソンをはじめ長距離種目を強化するには、その構図から何とかしないといけない。新たな指導法を確立し、瀬古さんのような期待がもてるヒーローを作らなければならないのです」
 このまま”箱根至上主義”がまかり通り、世界に水を開けられる一方なのか、日本陸上界はいま、その変化に対応すべき岐路に立っている。

http://number.bunshun.jp/articles/-/823104
■ナンバー(2015年4/14)『マラソン箱根駅伝。〜五輪代表選手との関係性〜』(小川勝*5
 世界クラスのレベルがどんどん上がっている中で、日本選手のレベルが停滞しているという状況は、ほとんど変わっていないと言える。
 2005年の世界選手権で尾方剛が銅メダルを獲得して以来、日本選手による世界大会でのメダル獲得はなく、2002年に記録された高岡寿成日本記録2時間6分16秒も、破られていない。2時間6分台の記録自体が、高岡が記録して以来、誰もマークしていないのである。一方で世界記録は、'08年に2時間3分台が出たあと、'14年には2時間2分台が出ている。
(中略)
 日本男子マラソンのこうした状況について、その原因に関する議論はいろいろ行なわれている。しばしば指摘されるのは、大学も実業団も駅伝重視で、計画性が必要とされるマラソンの練習になかなか集中できないという日本独特の事情だ。箱根駅伝も、マラソン選手の育成という面から見た場合には批判の的になることが多い。駅伝で1人の選手が走る距離は長くても20km程度。スタート直後の1区を除けば、集団で走ることも少ないため、駆け引きを経験する機会もあまりない。世界のトップ選手がマラソン練習に集中している中、駅伝中心では戦える選手は育ってこないという批判は、ある程度的を射ている。
 しかし男子マラソンの低迷の原因を、駅伝重視の陸上文化にだけ求めることができないのも、また事実である。それは、近年の五輪代表になった選手たちの、経歴と成績を見ても分かることだ。
 別表は五輪過去5大会で日本代表になった選手の五輪成績と、箱根駅伝での成績をまとめたものだ。5大会15人のうち11人まで、箱根駅伝を経験している。箱根駅伝の成績がない4人は、いずれも高校からすぐに実業団に入った選手で、大学に進学していながら箱根駅伝に出ていない五輪代表は、過去5大会では1人もいない。
 表の中で、オリンピックで実力を発揮した選手と言えば、ロンドン五輪6位の中本健太郎アテネ五輪5位の油谷繁、6位の諏訪利成の3人ということになる。この中で箱根駅伝に出た経験がないのは油谷だけだ。中本は拓大で7区を走って区間16位と目立った活躍はしていないものの、諏訪は東海大でエース区間の2区を走って5位と実績を残している。それ以外の、五輪では上位に入れなかった選手の中にも、佐藤信之は世界選手権で銅メダル、谷口浩美は'91年世界選手権で金メダル。また佐藤敦之は、北京五輪の前年、福岡国際で2時間7分13秒と、当時としては世界クラスの記録を出している。それぞれ、大学時代は箱根駅伝で活躍した選手ばかりだ。
 こう見てくると、箱根駅伝を大きな目標として取り組んだ選手の中からも、世界大会で上位に入賞したり、世界的な記録をマークした選手はけっこう出ている。大学時代に駅伝重視の練習をしても、世界クラスの選手に成長する可能性はあるということだ。ということは、世界クラスの選手になっても大事なレースで結果を出せないことについて、考えていくこと、つまりレース前の練習や心身の調整もまた、大きな問題であるはずだ。日本陸連には、そちらの研究と討論にも力を入れてほしい。

http://diamond.jp/articles/-/113537
■ダイヤモンドオンライン(2017年1/10)『箱根駅伝はマラソンランナーを育てて来たか?』(相沢光一)
 高岡寿成氏が2002年に出した2時間6分16秒の日本最高記録が14年以上更新されていないことが話題になるが、最近の日本マラソン界にはそれをぶち破る空気は感じられなかった。
 一方、世界のマラソン記録は伸び続けている。世界最高記録2時間2分57秒を持つデニス・キプルト・キメット(ケニア)を筆頭に、2時間3分台の記録を持つ選手が8人、4分台を含めると30人もいる。すべてケニアエチオピアの選手だ。日本で行われる駅伝にも、多くのケニアエチオピアの選手が出場するが、そのスピードはけた違いで、とても太刀打ちできない。
(中略)
 箱根駅伝は「日本のマラソンの父」と呼ばれる金栗四三氏の「世界に通用するランナーを育成したい」という思いをきっかけに1920年に創設された。そして実際、多くの名ランナーを生んだ。1984年ロサンゼルス五輪、1988年ソウル五輪に出場した瀬古利彦氏(早稲田大)がそうだし、1991年の世界陸上で金メダルを獲り、1992年バルセロナ五輪に出場した谷口浩美氏(日本体育大)もそうだ。マラソン記録日本歴代10傑を見ても、2位の藤田敦史氏(駒沢大)、4位の佐藤敦之氏(早稲田大)、6位の今井正人順天堂大)、7位の谷口浩美、8位の藤原新拓殖大)は箱根駅伝経験者だ。
 ただ、その一方で箱根駅伝で大活躍し、長距離・マラソンのランナーとして将来を期待されたものの大成しなかった選手も少なくない。また、実績を見ると箱根駅伝とは縁がなかった選手の方が良かったりする。五輪でメダルを獲った円谷氏*6、君原氏*7、森下氏*8がそうだし、中山氏、双子の名ランナー・宗茂氏、宗猛氏、同時期に活躍した伊藤国光氏も高卒で社会人になってから実力を伸ばした。また、日本最高記録を持つ高岡氏は関西の龍谷大学出身で箱根駅伝を走っていない。
 注目度が高い箱根駅伝に憧れる少年は多く、競技者を増やすことには貢献している。だが、その一方で長距離ランナーとして大成を阻む弊害もあるといわれる。たとえば箱根駅伝を走ることが最大の目標となり、それを達成すると燃え尽きてしまい、次の目標が見いだせないというもの。また、チームのために頑張るという意識から限界を超える走りをしてしまい、故障を抱えるという説もある。駅伝のスケジュールが優先となり、マラソンへのチャレンジが難しい。駅伝とマラソンではレース中の駆け引きも異なり、そうした経験のなさが後々の競技人生にも影響するという専門家もいる。

*1:攻撃それ自体も問題視されてるのでしょうが「シリアに軍事介入する気は基本的にないと主張→突然前触れもなく軍事介入」という「トランプの不確実性」も危険視されてるのでしょう。

*2:1996年アトランタ五輪、2000年シドニー五輪で金メダル。

*3:中山氏、森下氏は高校から実業団へ進んだため、高岡氏は関西の大学である龍谷大学に進学していたため。

*4:元日に行われる全日本実業団対抗駅伝競走大会の愛称

*5:著書『オリンピックと商業主義』(2012年、集英社新書)、『東京オリンピック 「問題」の核心は何か』(2016年、集英社新書

*6:1964年東京五輪で銅メダル

*7:1968年メキシコシティ五輪で銀メダル

*8:1992年バルセロナ五輪で銀メダル