新刊紹介:「前衛」5月号

「前衛」5月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。「興味のある内容」のうち「俺なりになんとか紹介できそうな内容」だけ簡単に触れます。
 http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/

■刑法の原則をくつがえす「共謀罪」「テロ等準備罪」制定の嘘と欺瞞(松宮孝明*1
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
■金田法相、テロの定義できず、衆院委 藤野議員追及で鮮明
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-09/2017030902_02_1.html
■日本政府「テロは対象外に」、国際組織犯罪防止条約起草時、「共謀罪」論拠崩れる、参院法務委で仁比氏が追及
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-23/2017032301_03_1.html
■「共謀罪」法案に対する藤野議員の質問(要旨):衆院本会議
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-07/2017040704_03_0.html
憲法違反の「共謀罪」 自由な社会押しつぶす、衆院本会議で審議入り、藤野議員 「安倍政権の説明破たん」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-07/2017040701_01_1.html
■「共謀罪」 審議入り前提欠く、参院法務委 仁比氏、廃案求める
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-07/2017040702_05_1.html
■主張『「共謀罪」審議入り:「壁に耳あり社会」再来阻もう』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-08/2017040801_05_1.html
■「共謀罪」絶対止める、未来のための公共 国会前抗議
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-08/2017040815_02_1.html
■私たちの表現 奪わせない、「共謀罪」反対 日本ペンクラブが集会
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-09/2017040901_02_1.html
■「法相隠し」で刑事局長出席、要求ないのに与党が強行 「共謀罪」法案 本格審議入り、衆院法務委 藤野氏追及
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-20/2017042001_01_1.html
共謀罪はテロ対策と無縁、TOC条約の政府説明批判 衆院法務委 藤野議員が質問
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-22/2017042201_01_1.html
■対象犯罪の基準 説明できず、外務省 衆院委で藤野氏質問に
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-22/2017042202_02_1.html
■権力に甘く 市民に厳しい、「共謀罪」法案 藤野議員が追及
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-29/2017042901_03_1.html
■金田法相の珍論、花見か?犯罪の下見か?、弁当か双眼鏡かで判断
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-29/2017042902_03_1.html

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-03/2017030302_01_1.html
赤旗『「共謀罪」の三つの問題点:国会提出に断固反対、志位委員長が会見』
 日本共産党志位和夫委員長は2日、国会内で記者会見し、原案が明らかになった「共謀罪」法案について、「内心を罰するという憲法違反の本質が表れている」などと三つの問題点を挙げ、「国会提出は絶対に反対だ」と述べました。
 第一に、志位氏は、政府が「テロ対策だ」と宣伝していた同法案の原案に、「テロ」の表記も、テロリズムの定義もなかったとして「『テロ等準備罪』の看板が偽りだと自ら証明するものだ」と批判。2日になって、政府が「テロ」の言葉を盛り込む検討に入ったとの報道が出たことについて「語るに落ちたやり方だ。テロ対策は口実で、『共謀罪』が本質だと明らかになった」と語りました。
 第二に、志位氏は、「組織的犯罪集団」の明確な定義がないことも問題視。政府が、市民団体など一般の団体が性質を「一変」させることもあり得ると答弁していることをあげ、「一般の市民団体が処罰の対象とされる危険があることもはっきりした」と指摘しました。
 第三に、志位氏は、政府が処罰対象を限定する根拠とした「準備行為」についても、「犯罪の計画に関わった者の『いずれか』が準備行為を行えば、準備行為を行っていない者も処罰の対象となることが明記されている」と強調。「計画の段階、つまり内心を罰するという、憲法違反の共謀罪の本質が表れている」として、「国会提出に絶対に反対して頑張りぬく」と表明しました。


森友学園事件 奇怪な土地取引、政治家・行政の関与の徹底解明へ:疑惑追及の先頭に立って(宮本岳志
(内容紹介)
 「今月号では絶対に森友の記事が来る」と思っていましたがやはり来ましたね(ただしこの記事は籠池証人喚問前に執筆されているので「安倍昭恵付秘書の財務省への働きかけ」という証人喚問で明らかになった事実が反映されていない)。
 赤旗id:Bill_McCrearyさんの記事紹介などで内容紹介に代替します。
 なお、宮本氏が「我が党の追及においては木村真豊中市*2やマスコミの追及(例:朝日新聞のスクープやTBSラジオ荻上チキ・Session-22』の籠池インタビュー)に支えられてると思っている」と言っている点は支持者として大変好感が持てる。
 なお、個人的には「児童虐待」「日本会議(籠池が大阪支部の役員)」「教育勅語」「安倍さん頑張れ(運動会)」「補助金詐欺」などにももっと触れて欲しいが主として、宮本氏の記事は「土地払い下げ疑惑(無茶苦茶な値引き)」が中心である。
 また、宮本氏が「小学校認可について松井知事が審議会に圧力をかけた疑惑が否定できない」「自民党が批判されるのは当然として絶対に維新の逃亡を許さない。維新も自民の共犯だと思っている」としている点は全く同感である。

赤旗
■論戦ハイライト 森友学園疑惑、首相夫人付が財務省に照会、国有地の格安払い下げ 「大きな力」浮かぶ、小池書記局長の追及 参院予算委
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-25/2017032503_01_1.html
■「森友」疑惑 籠池氏の要望に「満額回答」、大門議員 夫人付への手紙 独自入手、参院決算委
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-29/2017032901_04_1.html
■主張『「森友」と首相の妻:証人喚問拒否する根拠はない』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-30/2017033001_05_1.html
■「昭恵さんにお電話いただいた件ですが」、首相夫人付、籠池氏に電話、日曜版にスクープ証言
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-31/2017033101_02_1.html
■「森友学園」への国有地払い下げ 首相夫人付が籠池氏に電話、昭恵氏の関与疑惑追及、参院決算委で辰巳議員質問
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-04/2017040415_02_1.html
■森友問題 ゴミ撤去費算出に矛盾、値引き額に合わせ逆算か、衆院財金委で宮本岳氏追及
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-05/2017040502_02_1.html
■主張『教育勅語も「教材」、歴史反省しない政治は許せぬ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-07/2017040701_05_1.html
■森友問題 値引きの根拠なし、参院委で山添氏 国側を追及
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-08/2017040804_01_1.html
■安倍政権と森友 「教育勅語」持ち込み、狙いは「戰爭出来る國」、靖国派の国政私物化
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-12/2017041203_01_1.html
■歴史踏まえた議論を、吉良氏、勅語朗読容認を批判、参院文科委
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-12/2017041202_03_1.html
■主張『「森友学園」疑惑:昭恵氏と国・府を曖昧にできぬ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-12/2017041201_05_1.html
■昭恵氏 府私学審会長と面会、森友学園認可 話した疑い、宮本岳志議員追及
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-13/2017041315_02_1.html
■限度額超え課長決裁、清水氏 森友への値引き批判
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-20/2017042004_03_1.html
■政府・与党一体で「森友」隠し 資料の“検閲”を当然視、参院国交委 辰巳議員が追及
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-21/2017042101_01_1.html
■「森友」に契約書原案まで渡す、14年12月 貸付契約結ぶ半年も前、佐川理財局長、事実認める、衆院国交委 宮本氏が追及
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-22/2017042215_01_1.html
■森友問題 財務省「適正」根拠、ぼろぼろ、国有地格安売却の核心に迫る、衆院財金委 宮本岳議員が追及
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-26/2017042615_01_1.html
財務省面会時 昭恵氏に言及、音声記録で籠池氏 「特例ありがたい」、宮本議員が入手
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-28/2017042801_02_1.html
■森友・財務省面談記録、政府答弁との食い違い次々、籠池氏 昭恵氏の名繰り返す
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-28/2017042815_01_1.html
■籠池氏、首相夫人に「適時報告」、「森友」小学校建設 財務省との交渉状況
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-29/2017042901_01_1.html
■「森友」音声記録 佐川局長 確認を拒否、宮本徹議員が批判
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-29/2017042901_02_1.html
■首相夫人付の政府職員、私的活動を支援か、取材や選挙応援…“公私混同”に批判
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-05-01/2017050101_04_1.html
■首相夫人付の政府職員 出張手続きなく 昭恵氏に同行、私的活動に政府便宜か、宮本議員が資料入手
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-05-17/2017051715_01_1.html

ライプツィヒの夏
安倍昭恵は、早急に瑞穂の国記念小学院の「名誉校長」を辞任すべきだ
http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/560cc155963ecc1cfdbd1e9412a8f8e0
籠池泰典森友学園理事長・塚本幼稚園園長が、TBSラジオの電話インタビューに応じた
http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/2936496258ef4c005b78b56fb333e47e
■正直なところ、教育勅語の斉唱など塚本幼稚園の問題の中では大したことではない
http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/77451cb7707a5bd16a14351b30e2b6cd
■駐日米国大使に田植えをしてもらえる人間が「私人」のわけがない(ほかにいくつか)
http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/e44d4fea0d3290ed7bf6cd4e0573a90d
木村真豊中市議を全面に支持したい(例の国有地売却金額非公開決定取消訴訟の公判情報)
http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/480e9fe4775e15957f112af2a5bb85a1
■本日の証人喚問は必見だ!
http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/76303de1abb978cc2355b8c4229fd7d8

五十嵐仁の転成仁語
■またも爆発した森友学園の籠池前理事長による爆弾証言
http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29


特集「憲法施行七〇年と安倍改憲
■日米合同委員会―「憲法体系」を侵食する「密約機関」(吉田敏浩*3
(内容紹介)
 赤旗などの記事紹介で代替。

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/83741
沖縄タイムス『[読書]吉田敏浩著「日米合同委員会」の研究 憲法及ばぬ機関に迫る』
 先行研究を取り込みながら日米合同委員会にターゲットを絞り、その正体に迫った著作である。本書を読み終えた人は、日本が「独立国」から程遠く、米国の「従属国家」であることをまざまざと知ることになるだろう。
 日本には最高法規の「憲法体系」がありながら、それを上回る「安保法体系」が存在する。「安保法体系」と、それを支える合同委の「密約体系」が「憲法体系」の上位に位置し、米軍に事実上の治外法権を保障する構造がつくられてきた。その正体が合同委であることを本書は明らかにする。
 日米合同委員会とは何か。米軍の基地使用・軍事活動の特権などを定めた日米地位協定の具体的な運用について協議する機関である。その下に多くの分科委員会や部会が置かれている。日本側代表は外務省北米局長、米側代表は在日米軍司令部副司令官。文官と軍人の組み合わせであるのが特徴で、1952年の発足以来、変わらず続いている。米側は軍事的観点から要求を出すことから、米軍基地の円滑な運用や訓練などが最優先されることになる。
 辺野古新基地建設を巡り、2014年7月に「臨時制限区域」(「臨時」という言葉もまやかしだが)を最大で沖合2・3キロまで延長し、範囲を約561・8ヘクタールに大幅拡大することを決めたのも合同委だ。
 合同委の議事録や合意文書は原則公開されないが、行政権や司法権をも縛っている。著者は関連文書を入手し実態に迫る。合意または決定は、地位協定の実施細則という性格を持っているとしても、広い意味では新たな立法であることに間違いない。国家主権に関わることであるにもかかわらず、合同委で合意すれば、「国権の最高機関」である国会が関与できないまま、米軍が事実上の治外法権を日本政府に認めさせる構造になっているのである。
 著者は合同委を廃止し、衆参両院に「日米地位協定委員会」を設置して主権者を代表する国会の場で、審議することを求める。これこそが「日本を取り戻し」、真の主権回復と主権在民を実現する道である。(崎濱秀光・沖縄タイムス論説委員長)

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/349136
■Independent Web Journal『「米軍の占領体制は今も継続されている」――謎の権力機関「日米合同委員会」の知られざる実像とは!? 「戦後最大のタブー」について岩上安身*4がジャーナリスト・吉田敏浩氏に訊く!』
 2016年12月2日(金)、新刊『「日米合同委員会」の研究』著者でジャーナリストの吉田敏浩立教大学特任教授にIWJ代表・岩上安身がインタビューを行い、「戦後最大のタブー」と言われる「日米合同委員会」の知られざる実像に迫った。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-05-14/2016051401_02_1.html
赤旗オスプレイ運用無制約 日本が提起、日米協議文書示し笠井議員追及、衆院外務委』
 墜落事故が相次いでいる米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの沖縄配備への反対世論が全国で巻き起こる中、日本政府が配備中止を求めるのではなく、逆に運用に制約を課さず、国内を自由勝手に飛行できる方策を米側に提起していたことが判明しました。2012年7月26日に開催された、「オスプレイに関する日米合同委員会(概要)」と題された内部文書(防衛省作成)を、日本共産党笠井亮議員が13日の衆院外務委員会で示しました。
(中略)
■日米合同委員会
 日米地位協定第25条に基づいて設置されている、在日米軍に関する諸問題を協議する政府間機関。日本側代表を外務省北米局長、米側代表を在日米軍司令部副司令官が務める官僚・軍人のみの構成で、その運営の不透明性から「密約製造機」とも呼ばれています。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201609/CK2016091402000119.html
東京新聞『日米合同委員会の議事録 国、情報公開は応じず』
 日米合同委員会の議事録を非公開とする日米合意の文書が、国側の証拠として裁判所に提出され、誰でも閲覧できる公開状態になっているのに、国が情報公開を拒否していることが分かった。安全保障に関する情報公開を必要以上に広い範囲で制限する国の後ろ向きな姿勢が浮かんだ。 (清水祐樹)
 文書は、外務、防衛担当者らが日米地位協定の運用などを協議する日米合同委員会の議事録の一部。地位協定が発効した一九六〇年六月の第一回のもので、英文で「委員会の公式な議事録は両政府の正式な文書とみなされ、双方の同意がない限り公表されない」との記述があり、大部分は黒塗りにされている。
 NPO法人「情報公開クリアリングハウス」(東京都新宿区)が情報公開請求したのに対し、外務省が不開示としたため、昨年十二月に公開を求めて提訴。その後、那覇地裁の訴訟で国が証拠提出していたことが分かった。
 那覇地裁の訴訟は、沖縄県の米軍演習場を通る県道の共同使用に関する文書を県が開示決定したところ、国が開示取り消しを求めて昨年三月に提訴した。
 情報公開法は、行政機関の長に請求のあった行政文書の開示義務を定めるが、長が国の安全や他国との信頼関係が損なわれる恐れなどがあると認めた場合は除外するとしている。
 裁判所に証拠提出された文書は訴訟記録となり、民事訴訟法は誰でも閲覧を請求できると定めている。クリアリングハウスの三木由希子理事長は「文書公開が安全保障上の支障を来すとは思えない。恣意(しい)的な解釈で不開示としていることを如実に表している」と批判。
 全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士は「国の情報公開の基準は機密性や必要性と関係なく、自分たちに都合のよいときだけ情報を出していることの証明だ」と話している。
 外務省外交記録・情報公開室は「国側の見解は訴訟の中でこれから主張していく」とコメントした。


■民主主義の危機と公正・平等な選挙制度(只野雅人*5
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

http://mainichi.jp/senkyo/articles/20170313/k00/00e/010/186000c
毎日新聞『16年参院選不在者投票、学生1773人できず』
 選挙権年齢が18歳以上に引き下げられた昨夏の参院選で、進学先に転居後も住民票を移さずにいた72市町村の学生と生徒計1773人が不在者投票を認められなかったことが毎日新聞の調査で分かった。総務省は「住民票を移して転居先で投票するのが原則」との立場だが、「居住実態の確認は不可能」として容認する自治体の方が多い。若者の投票率の低さが問題化する中、専門家からは総務省の見解を疑問視する声が上がっている。
(中略)
選挙制度に詳しい只野雅人・一橋大大学院教授(憲法)の話
 国政選挙は投票権を広く認めた方が良い。学生は生活の本拠地が学校の所在地ではなく実家のケースもあり、柔軟な対応が必要だ。法改正で「学生」や「住所」などの統一基準を設けるのは困難だろうが、少なくとも学生の不在者投票は認められるよう国が各選管を後押しすべきだ。

https://mainichi.jp/articles/20170308/ddm/004/070/012000c
毎日新聞『論点:シリーズ憲法70年 参院改革を考える』
■権限弱めると存在意義ない 只野雅人・一橋大大学院教授
 2院制で、それぞれの院の多数が食い違うことは、ある程度想定しないといけない。参院で野党が多数を占める「ねじれ国会」が問題になるのは、衆院の多数派の政権運営が、強い参院に妨げられるからだろう。憲法66条は「内閣は国会に対して責任を負う」と規定しており、衆院と内閣の関係だけを考えればいいというのはその趣旨と離れる。ねじれのマイナスが過剰な形で表れないような運営をするためには、連立型の政権運営を考えるべきではないか。
 1994年の政治改革で、衆院小選挙区比例代表並立制が導入され、2大政党のどちらかを選ぶという選挙を志向してきた。憲法は首相指名、予算、条約などでは衆院の優越を認めている。しかし当時、強い権限を持っていたはずの参院をあまり認識していなかった。逆に、参院の権限は弱いと見られていた。
 ねじれを解消するために、議論になるのは衆参両院で法案について議決が異なった場合、法案再可決の規定を定めた憲法59条改正だ。しかし、参院で否決された法案を衆院で再可決するための3分の2という要件には意味がある。衆院で可決し、参院に送られた法案が60日以内に採決されなければ否決したとみなす「みなし否決」の期間もそのままでいいと思う。参院の権限を弱くしてしまうと、参院の存在意義が消えてしまうのではないか。参院に強い権限があるのは、合意形成にはハードルになるが、それだけ強く合意形成を促す契機にもなる。
 両院の意思が異なった場合、合意を見いだすための両院協議会が機能していないので、その改革も必要だ。2012年の野田佳彦内閣の時には、赤字国債の発行に必要な特例公債法案の成立が11月までずれこんだ。予算関連法案については、衆院の立場を尊重するといった慣行を両院で形成していくなどの知恵が必要ではないか。
 最高裁判所は12年、1票の格差が最大5・00倍だった10年参院選を「違憲状態」と判断した。自民党など野党が参院で半数を上回った10年の参院選比例代表を見ると旧民主党が第1党だったし、選挙区選挙の得票も総計すると旧民主党自民党より多かった。投票価値の不均衡を是正していたら、選挙結果に影響していた可能性を無視できない。強い参院には民主的正当性が不可欠だ。それにもかかわらず、投票価値の大きな格差のもとで、ねじれが生じてしまった。参院の強い権限に見合う1票の格差を是正した選挙制度を検討していくことが必要だ。
 参院選選挙区(定員146人、改選73人)では、(ボーガス注:死票が多い事実上の小選挙区である)改選数1の「1人区」(32選挙区)の問題もある。参院は任期が長くて、解散がないから、ある程度長期的な視野で判断することが期待されている。ところが、1人区で議席を多く確保した政党が勝つので、政党は有権者の求める短期的利益に応える競争をしている。
 具体的な選挙制度改革の方向としては、現在の比例代表(96人)を廃止し、ブロック制の比例代表にする、あるいは都道府県をいくつかまとめた大選挙区で個人を選ぶ選挙にする、などが考えられる。【聞き手・南恵太】


■「地方創生」への対処試論(保母武彦*6
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO82298100T20C15A1NNP000/
■日経『国民主役の地方創生 保母武彦さんに聞く:都市集中やめ裾野を広く』
(前略)
 これまでの国づくりは経済効率を優先して、東京圏に一極集中する「高煙突型」だった。これからは富士山の裾野のように、美しく豊かで安定感のある地方を振興する「富士山型」の国づくりを推進すべきだと説く。
 「政府の地方創生ビジョンは『高煙突型』の弊害から、地方中枢拠点都市という『中煙突型』を広げるもの。だが、それも農村たたみだ。地域の伝統文化や歴史、地域の多様性を生かし、すべての住民が生きがい、働きがいを体感できる、肥沃な裾野を育てる『富士山型』の地域発展を考える必要がある」
 「裾野で大切なのは、集落・共同体。島根県雲南市に住む有機農業の草分け、佐藤忠吉氏(94)は、『集落にいる限り、最後の一人になっても誰かが面倒を見てくれる。自給と相互扶助、それが日本の社会の一つの安定ではないか』と振り返り、『今のように国の税収も少なくなり、お上が面倒を見てくれなくなると、もう一度、共同体の力を強めていくしかない』と語っている。カギは住民自身の行動にある。地域相互扶助機能の再建を地域創生の課題とすべきだ」
 地方創生の先進例は多い。
 「島根県では隠岐の島の海士(あま)町が全国的に有名だ。かつての青年団の仲間などが中心になって地域づくりに知恵を絞り、20〜30歳代などのIターン、Uターンで定住人口の増加に成功した。この10年間でIターンが482人、Uターンが314人。2340人の町人口の34%を占めるまでになった。都会出身の若者が地域資源を都市感覚で掘り起こし、活用している。海士町は神戸牛や松阪牛となる素(もと)牛の生産地だったが、肥育を開始し、肉牛を『隠岐牛』として直接、東京市場に高値で出荷するようになった。町内にある県立高校の『魅力化プロジェクト』を推進し、地域学習を通じて島の次世代が育っている。東京、大阪圏などからの『島留学生』も多い。定住人口が増えると、新しい情報がもたらされ、さらなる地域振興につながる好循環が生まれてくる」
 「兵庫県の旧・村岡町(現・香美町)はいち早く『子育て・子育ち』を町の総合計画の柱にして、子どもを中心に据えたまちづくりを始めた。おそらく全国で初めてだ。保育園から高校までの保護者会を結び、ふるさと教育を活性化した。高齢者と子どもの交流を学校教育に組み入れ、高齢者も元気になった。地方創生のヒントは全国各地にある」


■博多陥没事故から教訓をどう導き出すか:「美談」で終わらせてはならない(田村貴昭*7
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
■博多の道路陥没、警告生かされていない、田村衆院議員ら現場調査
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-11-10/2016111015_01_1.html
■博多陥没 早い復旧と原因究明要望、九州運輸局に田村・真島議員
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-11-12/2016111215_02_1.html
■博多道路陥没、設計変更 国把握せず、田村貴昭氏追及 国交省「届け出なし」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-12-03/2016120314_01_1.html
週刊朝日『博多陥没の内部資料入手 福岡市は事故リスクを黙殺していた!』
https://dot.asahi.com/wa/2016122700138.html
紙屋研究所博多駅前陥没事故について(および福岡市政について)』
http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20161119/1479561125


■論点「奈良公園にホテル建設おかしい―古都守る共同を」(西本守直)
(内容紹介)
 赤旗記事などの紹介で代替。

赤旗奈良公園にホテル ノー、誘致計画問題でシンポ開く 大門議員ら参加』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-28/2017022804_03_1.html
日本共産党奈良県委員会
■県が高級ホテル計画、住民反対
http://jcp-nara.jugem.jp/?eid=1181
奈良公園にリゾートホテルはいりません。建設反対署名提出
http://jcp-nara.jugem.jp/?eid=1184

https://mainichi.jp/articles/20170219/ddl/k29/010/340000c
毎日新聞奈良公園ホテル建設計画、反対集会に300人 奈良公園守る会 /奈良』
 奈良公園南端の県有地(奈良市高畑町、約1・3ヘクタール)で県が計画するホテル建設事業について、住民有志らでつくる「奈良公園の環境を守る会」(辰野勇代表)などが18日、奈良市の県文化会館でシンポジウムを開催し、約300人が参加した。
 守る会は景観や自然環境への影響を懸念し、ホテル計画の中止を求めており、県に反対署名を提出している。
 この日は、辰野代表が基調講演し、県の事業計画や住民の反対意見を説明して、代案を紹介。「計画地は活用するのではなく守るべき場所。県には即時に計画を停止するよう要望する」と呼びかけた。
 その後、嘉田由紀子*8滋賀県前知事らが参加し、パネルディスカッションも行われた。【芝村侑美】


■暮らしの焦点「「ごみ屋敷」対策の現状と課題:セルフネグレクトに対し一人一人に寄り添った支援に」(ぬかが和子*9
(内容紹介)
 「セルフネグレクトに対し一人一人に寄り添った支援に」というタイトルで大体内容は分かるかと思います。後でいくつかネット上の関連記事を紹介しますが「いわゆるゴミ屋敷はうつ病認知症など精神疾患によるセルフネグレクトが多いから、福祉的対応が必要だ。強権発動してゴミだけ片付ければいいわけじゃない」つう話です。

http://www.yomiuri.co.jp/eco/feature/CO005563/20151005-OYT8T50011.html
■読売新聞『「ごみ屋敷」対策にソフト路線』
 大量のごみを自宅にため込む“ごみ屋敷”対策として条例を制定する自治体が増えている。
 家主の意向とかかわりなく、ごみの強制撤去や刑事告発といった「強硬路線」を選択する自治体が注目を集める一方で、最近では家主の心のケアを重視する「ソフト路線」を志向する自治体もある。
(中略)
 最近は医療や福祉の観点から、ごみ対策を検討する自治体も出始めている。
 東京都世田谷区*10が今年9月に発表した条例構想は、「居住者と周辺住民への支援」を基本方針としている。区が「最低限の清掃を行える」という規定は設けるものの、行政代執行のような強硬手段は盛り込まず、家主の心身のケアを重視していくという。
 同区の担当者は「ごみ屋敷の家主には認知症を患っていたり、生活意欲が低下したりしている人が多い。行政が強引にごみを撤去することで精神的に不安定となり、(ごみの収集が)エスカレートする恐れもある」と語る。
 同区が“ソフト路線”を選択する理由の一つに、ごみと有価物の見極めが難しいという事情がある。例えば、汚れたぬいぐるみは、「思い出の品」なのかそれとも「ごみ」なのかを客観的に判別することは容易ではない。
 全国に先駆けて13年1月にごみの行政代執行を可能にした条例を施行した東京都足立区も、実際に行政代執行を適用したことはなく、「あくまで抑止力」(足立区生活環境保全課)と位置づけている。
 実際には医療や福祉の面から家主をケアすることで、今年7月末現在、466件の苦情・相談のうち314件を解決した。担当者は「トラブルの多くは家主に対する適切な治療や生活環境の改善で解決できる」と話している。(大野潤三)

https://mainichi.jp/articles/20170407/org/00m/070/003000c
毎日新聞『<記者の目>高齢者のセルフネグレクト問題』工藤哲*11(前特別報道グループ、現・外信部)
 高齢者が体力の低下や認知症、身内を失ったことによる生活意欲の衰えなどから、身の回りのことができなくなる「セルフネグレクト」(自己放任)を追うキャンペーン報道を昨年から続けてきた。セルフネグレクトの当事者には、自宅が「ごみ屋敷」や「ごみ部屋」になってしまった人が相当の割合で含まれる。こうした人たちはさまざまな困難を抱えているにもかかわらず、自らSOSの声を上げられず、問題はまだまだ潜在している。高齢化や単身世帯の増加とともに今後ますます増えていくのは確実で、国や自治体は早急に実態把握を進め、対処の経験を広く共有すべきだ。
(中略)
 取材を通じ、セルフネグレクトには「誰でもなり得る」という思いを強くした。ごみ屋敷やごみ部屋に住む高齢者や関係者に聞くと、「夫の病死」や「娘との死別」といった事情から1人暮らしを余儀なくされ、生活習慣が大きく変わってしまったケースや、認知症による判断力の低下によるものもあった。
(中略)
 片付けが得意ではない私も含め、「予備軍」は少なくない。
 事態が深刻化しているにもかかわらず、セルフネグレクトやごみ屋敷への対応は市や区のレベルにとどまり、自治体により差が生じていることは大きな懸念材料だ。居住者の生活状態や対応が役所内で共有されず、福祉部門や環境部門、医療部門の連携が後手に回っている自治体も少なくない。研究者は「自治体レベルの対応だけではもう限界。厚生労働省が主導し、実態を調査すべきだ」と訴えているが、国の対応はまだ鈍い。
 事態の悪化を食い止め、早期発見につなげたり、片付けの労力やコストを減らしたりするにはどうすればいいのか。この点は先進自治体の取り組みが参考になる。
 東京都足立区のごみ屋敷を巡る条例は、居住者だけではなく身内を把握するための戸籍の閲覧や家屋立ち入りの調査権を規定し、100件以上の事例を解決してきた。また、東京都北区は、医師の役割を重視し、医師が区の非常勤職員として居住者の所へ直接出向き、診断書などを作成して支援につなげる制度を導入している。セルフネグレクトの対処には、医師の側からの気付きや働きかけが今後ますます必要になりそうだ。
 ほかにも、日々のごみ捨てを「しんどい」と感じる高齢者らに、ものが捨てやすいよう受付時間や集積所の条件をより柔軟にするといった対策が求められるだろう。さらに、利用者が信頼できる清掃業者を自治体が積極的に紹介する仕組みも必要になってくるかもしれない。
 「もっと早く異変に気づいて病院に連れて行くべきだった。どこに相談していいのか分からなかった」
 横浜市の30代の女性は3月、病死した60代の母親が一人で住んでいた部屋を前に、声を詰まらせた。母親は病状の悪化に伴って片付けができなくなり、昨年末、ものがあふれた部屋の中で倒れているのが見つかった。
 本当はすぐにでも支援が必要なのに、経済的、家庭的な事情や本人のプライドから、それをかたくなに拒む人も少なくない。助けたくてもどうすればいいか分からない家族もいる。セルフネグレクトの問題は、行政や支援者、家族、地域が個別に対応しても根本的な解決は難しい。こうした人たちが情報や経験を共有し、一体となった態勢作りが求められるはずだ。

http://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2017/02/0214.html
NHK『なぜ普通の人が? “セルフ・ネグレクト”』
阿部
「『セルフ・ネグレクト』とは、生活環境や栄養状態が悪化しているのに、それを改善しようという気力を失い、周囲に助けを求めない状態を指します。
“ゴミ屋敷”や“孤立死”の原因とも言われます。」
和久田
「『セルフ・ネグレクト』に陥るきっかけは、配偶者や家族の死。
 そして、自分の病気や仕事を辞めるなどさまざまで、年齢に関係なく陥ると考えられています。
 その実態を取材しました。」
(中略)
 専門家は、この女性のようにセルフ・ネグレクトになった人は、社会からの孤立が続く中で、次第に判断力が低下し、命が危険な状態になっても自覚できないと言います。
東邦大学看護学部 岸恵美子*12教授
「セルフ・ネグレクトと本人が思っている方は、ほとんどいないと思いう。
 自分からSOSを出さないので、多くの事例は埋もれていると考えている。」
(中略)
阿部
「取材した岐阜放送局の小尾(おび)記者です。
 誰にでも起こりうるようなことがきっかけで、急速に深刻化するものなんですね?」
小尾洋貴記者(NHK岐阜)
「背景には、都会に限らず地方でも家族や地域とのつながりが薄れているために孤立したまま状況が悪化していくという現状があります。
 また、周囲に迷惑をかけたくないという『遠慮や気兼ね』、人に頼りたくないという『プライド』、それに生活を見られたくないという『恥ずかしさ』があると取材して感じました。」
和久田
「本人が助けを求めていないのに、それを察知して支援するのはなかなか難しいですよね?」
小尾記者
「行政に頼るだけでは対策が追いつかないのが現状です。
 取材した岐阜市にある地域包括支援センターには介護支援や生活保護など通常の相談だけで年間およそ3,000件あり、これを職員8人だけで対応しています。
 これだけの体制でセルフ・ネグレクトを察知し、対応するのは簡単ではありません。
 こうした中、行政と住民が一体となってセルフ・ネグレクトの原因となる“孤立”を未然に防ごうという取り組みを取材しました。」
 人口およそ11万人の岐阜県多治見市。
 いたるところに掲げられた孤立死ゼロを目指す協力隊のプレート。
 市の呼びかけで、新聞配達や保険会社など86の業種が住民の見守りを行うため結成しました。
(中略)
阿部
「私たちも身近にいるお年寄りに積極的に声をかけることで、セルフ・ネグレクトを防ぐことにつながるかもしれませんね。」
(中略)
和久田
「今後、高齢化が進むとセルフ・ネグレクトの人が増える恐れもありますよね?」
小尾記者
「セルフ・ネグレクトについて内閣府が6年前に全国の市町村に調査した結果、およそ1万1,000人と推計されています。
 しかし、当時は4割の市町村が回答せず、しかも同じような調査はその後行われなかったため、専門家は実際にはもっと多くの人がセルフ・ネグレクトになっている可能性があると指摘しています。
 まずはより詳細に実態を把握し、支援する仕組みを作っていくことが必要ではないでしょうか。」


メディア時評
■テレビ「「ステマ」問題で揺れる民放業界」(沢木啓三)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

https://news.yahoo.co.jp/byline/mizushimahiroaki/20161215-00065488/
■テレビが「ステマ手法」! 視聴者への裏切りでは?(水島宏明*13
 2016年12月15日(木)に発売された「週刊新潮」(2016年12月22日号)には、疑惑のテレビ番組についての記事が載った。
 テレビでも「ステマ」が横行していた、という事実を伝える記事だ。
 残念なことにテレビ局やテレビ番組への不信を募らせるようなセンセーショナルな見出しが並ぶ。
 筆者はテレビ放送について研究している人間である。
 この記事に関連して、「週刊新潮」側から相談を受けて取材に協力し、関係資料や当該番組を視聴した。
 その上で、この記事が行った「ステマ」の問題提起は決して小さくはないと感じている。「ステマ」は視聴者を裏切る行為だ。
 テレビ不信が広がり、テレビ離れが進行する現状に歯止めをかけるためにも、放送業界はこうした悪弊を断ち切らねばならないと強い危機感を抱いている。
 記事によると、問題の番組はTBS系列のIBC岩手放送が制作し、15年9月に岩手県を含む東北6県で放送した『宮下・谷澤の東北すごい人探し旅〜外国人の健康法教えちゃいます!?』。宮下純一*14谷澤恵里香のタレント2人が岩手県内に住む外国人のところを訪ねて歩き、健康法を聞いていく、というもので実際に地元ではそれなりに知られた外国人を紹介する。だが、その中で誰が見ても唐突で不自然な場面が目につく。
 実際に岩手で撮影した映像ばかりが流れていたと思ったら、唐突に東京の順天堂大学免疫学講座の奥村康・特任教授が登場し、「温泉は免疫力を上げます」などと語り出す。
 さらにナレーションで「忙しい現代社会でも手軽に免疫力を高める食べ物がある」として「それがR-1と名前がついている乳酸菌です」と強引にこの食品についてのPRめいた説明が登場する。
 しかも佐賀県有田町などでR-1が入ったヨーグルトを住民に飲んでもらったら風邪やインフルエンザの罹患率が下がったなどの実験データがグラフで紹介される。「R-1乳酸菌を取っておくと免疫の下りが少ない」と奥村特任教授が専門家としてお墨付きを与える場面も出てくる。
 このあたりの場面が、いかにも「ショッピング番組」風で宣伝臭がとても強いのだ。
 「R-1の入ったヨーグルト」と言えば、株式会社・明治の「R-1乳酸菌」の赤いパッケージを思い浮かべる人は少なくないだろう。
 実際、日本国内で商品化されているものは明治の製品しか存在しない。
 この番組では商品名は伏せていたものの、事実上、明治の商品を露骨に宣伝する場面が不自然な形で挿入された。
 この番組はIBC岩手放送の番組審議会でも「問題」になった。
 番組審議会、通称「番審」は、それぞれの放送局に設置された外部有識者によるお目付機関であり、放送法で設置が義務づけられている。
 ただ実態はかなり形骸化していて、どの局でも「番審」は通常月に1度、局の側が指定した番組を視聴してもらって「ご意見」を拝聴するというスタイルだ。ところが、この番組については番組審議委員の一人がたまたま放送を見ていてこの番組が対象になった。15年11月のことだ。
 審議会の議事録を読むと、委員たちが「あざとい」「視聴者をバカにしている」などと次々に違和感を表明している。通常は「ガス抜き」で終わることが多い番組審議会の中ではきわめてまれな出来事でこれほど紛糾した番審の議事録は読んだことがない。
 番組審議会では、外部の委員の意見に対しては局の責任者が出席して説明することになっている。
 その中で、IBC岩手放送は以下のように説明した。

「番組はR-1乳酸菌の情報を取り込み、(明治から)タイアップ料金をいただくことで成り立ちました」
「しかし、(明治の)スポンサー提供表示はしない。それを(明治も)理解しています」
「(番組で用いられた)素材も、メーカー(=明治)から提供いただいたそのものです」 

 つまりIBC岩手放送は、明治から「タイアップ料金」を受け取りながら、番組提供などとは表示せず、しかも映像素材も明治からもらって番組の中に使用していた。
 ネットニュースのサイトなどで問題になった「ステマ」=ステルス・マーケティングをテレビでもやっていたとテレビ局が告白したのだ。
 実態はコマーシャルなのに通常の番組のように見せかける。
 これはやってはいけないことだ。
 番組放送のルールである「放送法」では、12条にこう規定されている。

第十二条  放送事業者は、対価を得て広告放送を行う場合には、その放送を受信する者がその放送が広告放送であることを明らかに識別することができるようにしなければならない。

 要するに、放送法は「ステマ」は法律違反だと明確に宣言している。
 問題の番組は、放送法に違反する疑いがある。
 岩手放送側は、番組審議会で以下のように弁明している。

・番組は、岩手放送の営業と番組を下請けした東京の制作会社、広告代理店、明治の宣伝担当者との間の「コミュニケーション」で成立した。
・CM枠ではなく、番組内でR-1の情報が盛り込まれることを条件に、明治が番組に「料金」を出す。
・番組内で流れる「提供」の会社の中には明治を入れない「ノンクレジットタイアップ方式」を取った。
・番組に登場する医師(=奥村康・順天堂大学特任教授)やデータは明治が提供したそのものを使った。

 番組内のR-1に関連する部分は事実上、明治の広告なのに、それを視聴者に隠して放送していたことになる。
 視聴者を裏切る、許されない行為であることは明確だ。
 では、「ステマ」は岩手放送で発覚したものだけなのか。他の局でも存在するのか?
 「週刊新潮」が調べていくと、岩手放送と同様に不自然な形で「Rー1乳酸菌」の効果をPRする宣伝臭の強い場面が挿入された番組がキー局でも見つかったという。筆者もそのすべてを視聴したが、程度の差こそあっても番組の流れが「不自然」だったり、「唐突感」や「違和感」がある形で「R-1乳酸菌」や、他の明治の製品で使われる「PA-3乳酸菌」「LG21乳酸菌」の効果を強調するものばかりだった。
 以下、疑惑の番組群だ。
・「30XX年まで生き残れ 衝撃!世界のマル秘健康法SP」(TBS)
・「あなたの体の悩みを2週間でスッキリ!!」(テレビ朝日
・「ソレダメ!〜新常識満載!食生活改善SP」(テレビ東京
・「駆け込みドクター」(TBS)
・「ヒデ&ジュニアのニッポン超安全サミット」(フジテレビ)
・「FOOT×BRAIN」(テレビ東京
・「つなげリオへ!噂にアタックNO.1」(フジテレビ)
・「直撃!コロシアム!!ズバッとTV」(TBS)
・「プロから学ぶ生活術ダメ出し!アドバイザー」(テレビ朝日
 キー局では日本テレビをのぞく全ての局で放送されている。
 岩手放送と同様、R-1乳酸菌の免疫力を強調し、風邪やインフルエンザ予防に効果があるなどと説明されているが、番組内で「明治」の名前はまったく出てこない。
 赤い容器の商品そのものは見せずにボカシがかけられていたりする。ただ、R-1から赤い容器であることまではわかるような隠し方で、飲んだ経験がある視聴者ならあれだと峻別できる程度の隠し方をしている。また、番組内のテロップ表示の色もR-1なら赤色、PA-3なら黄色、LG21なら青色と明治の商品のパッケージと完全に合致させている。商品そのものを見せずとも、いわばサブリミナルな印象づけを狙う巧妙な仕掛けになっている。
 それぞれの番組での「R-1乳酸菌」などの扱い方がどうなっているか。それぞれを個別に検証してみるしかないが、「ステマ疑惑」がこうも広がると当該の放送局だけで対応して済む問題ではなくなってくる。
 むしろ、放送業界が一致して取り組むべき問題だということができる。
 なにしろ「放送法」に違反する疑いがあるのだ。
 放送法違反に対しては放送局を「停波」させる場合もある、というのが現在の政府の見解だということを忘れてはならない。
 各民放局が加盟している日本民間放送連盟(民放連)、さらには番組制作会社も関係しているから番組製作会社の団体であるATP(全日本テレビ番組製作社連盟)、さらに番組放送の自律的なお目付機関であるBPO(放送倫理・番組向上機構)が徹底調査すべきだと考える。
 インターネットの急拡大で広告収入が相対的に減りつつあるテレビ業界で「ステマ」疑惑が浮上した背景は何だろう。
 広告収入が目減りする中で多少ルール違反を犯してでもスポンサーにサービスしなければ、という焦りの気持ちがあったのかもしれない。
 ただ、視聴者の側から見れば、実態として「CM」と変わらないものを「番組」として見せられるのは「ステマ」と非難されても仕方ない。
 繰り返すが、視聴者を裏切る、冒涜行為だ。
 今回、 DeNAが運営する健康情報サイトWELQ(ウェルク)で事実が確認できないいい加減な情報が多いことが発覚し、掲載休止に追い込まれた。各テレビ局もニュースで大きく取り上げていた。
 「健康情報」が一般の人たちの関心が高く、いろいろな企業にとって「おいしい分野」であることはネット業界もテレビ業界も大差はない。ネット業界では今回の出来事で業界内の倫理向上やルール化の徹底が叫ばれているが、事情はテレビ業界でも同様だ。
 ネット業界と違って、テレビは規制する法律が存在し、各局に番組審議会や業界全体でBPOという組織も存在する。その意味ではネット業界よりもはるかに進んでいるとテレビ関係者は考えてきた。
 しかし、岩手放送に端を発した今回の「ステマ疑惑」は、実はテレビ業界のそうした仕組みも形骸化していて実態は放送法違反が少なからずあることを示したといえる。ネット業界の問題を「我々テレビと違ってどうせいい加減な業界だから…」などと高みの見物をしているつもりが実は自分たちの足元も危ういという現実を突きつけられたのだ。
 テレビ局側には徹底した調査の実施と、視聴者が納得いくような説明を求めたい。


■文化の話題
【映画:ケン・ローチ監督の新作「わたしは、ダニエル・ブレイク」】(児玉由紀恵)
(内容紹介)
・「わたしは、ダニエル・ブレイク」(http://danielblake.jp/)の紹介。

http://www.newsweekjapan.jp/ooba/2017/03/post-34.php
■ニューズウイーク日本版「英国の緊縮財政のリアルを描く『わたしは、ダニエル・ブレイク
 ケン・ローチ監督が引退宣言を撤回して作り上げ、カンヌ国際映画祭パルムドールに輝いた『わたしは、ダニエル・ブレイク』には、イギリス政府の緊縮財政政策に対する痛烈な批判が込められている。
 2010年に誕生したキャメロン政権は、財政赤字削減の公約を実行するために福祉予算などを大幅に削減し、貧困層の生活状況がより悪化することになった。
(中略)
 国が存続していくうえで、財政の健全化は間違いなく重要な課題ではあるが、そのために本当に困っている市民に救いの手を差しのべないばかりか、平気で尊厳まで踏みにじるのであれば、すでに国として崩壊しているというべきだろう。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2017031602000195.html
東京新聞『「わたしは、ダニエル・ブレイク」で復帰 ケン・ローチ監督』
 「僕は映画を作れることが特権だと思っている。たやすく『もういいや』というものではない」。
 英国映画界の巨匠ケン・ローチ監督(80)が最新作「わたしは、ダニエル・ブレイク」の公開(18日)を前に、インターネット電話サービスで、本紙のビデオインタビューに応じた。一貫して社会的弱者に寄りそい、前作「ジミー、野を駆ける伝説」で引退を表明した巨匠。広がる格差や貧困の問題に黙っていられず、再びメガホンを取った。 (鈴木学)
 舞台は英国。心臓を患い働くことを止められた大工のブレイク(デイブ・ジョーンズ)は国の支援手当を受けようとするが、目に見える障害はなく「就労可能」と判断される。シングルマザーのケイティ(ヘイリー・スクワイアーズ)と知り合い絆を強める一方で、手当を受けるための複雑な制度に翻弄(ほんろう)される。尊厳を傷つける扱いに怒りを爆発させて叫ぶ。
「わたしはダニエル・ブレイクだ」
 監督は言う。
「雇用は安定せず、貧困層はより貧困になる。今のシステムは、人が尊厳を持った生活ができるよう全然サポートしていない。僕は大きな構造の変化が必要だと考えている。唯一の答えは社会主義じゃないかと思うんだ」。
 顔は至って真面目だ。
 システムのゆがみは英国に限ったことではない。監督は劇中の端々に“希望”を見いだす。貧しい人に無料で食べ物を提供する「フードバンク」で見られる心の広さや、ブレイクとケイティの間に生まれる友情、仲間意識だという。
 「ただ、それだけではダメ。心の広さや理解を政治にいかに反映させるかが大事で、そのために、われわれは一つにまとまっていかなければならない。労働者にとっての希望は左翼系がリーダーを取ることだが、選挙で勝てなければ、労働者の分断につながる政策を採る右翼の世界になっていく」
 本作は昨年のカンヌ国際映画祭で最高賞「パルムドール」を獲得。アイルランド独立戦争とその後の内戦を描いた「麦の穂をゆらす風」(二〇〇六年)に続き、自身二度目の受賞となる。
 「今後のことはプロデューサーや脚本家と話し合って決めたいと思っている。映画製作はメンタルや体力を求められるから続けられるのかと考えてしまうけど、興味のテーマやストーリーは何百とあるよ」。
 まだまだ意気軒高である。

ケン・ローチについて参考】
■サンキュー、ケン・ローチ:映画界の「巨匠」は確信に満ちた革命的社会主義者だった(国富建治)
http://www.jrcl.net/frame031124b.html

 聞いてみると「日本の産経グループがスポンサーになっている賞を貰うことになった。産経が反動的メディアであるということは聞いており、ナカソネや皇室がバックにいる賞だということも知っている。ついてはその賞金の一部を日本の闘う労働者にカンパしたいのだが、どこがふさわしいのか推薦してほしい」というのだ。
 さあややこしい話になった、困ったな、と思ったが、とっさに「分割・民営化に反対したために解雇された国鉄労働者が闘争団を結成して十六年も闘っている。この国鉄労働者のグループなどはどうだろうか」と答えた。民営化されたイギリス鉄道労働者の悲劇的な現実を描いた彼の作品「ナビゲーター」のことがひらめいたからだ。するとケンは、即座に「うん、それは素晴らしいね」と答える。
(中略)
 即席記者会見の最後に、サンディカリストを自称するO氏がわざとまぜっかえし的に口をはさんだ。
「ところでケン・ローチさん。あなたはやっぱり左翼なんですか」。
 どう答えるかと思ったら「私に左翼かと聞くのは、ローマ法王にあなたはカソリック教徒ですかと聞くようなもんだよ」。この見事な切り返しに一同爆笑。
(中略) 
 ケン・ローチは、鉄建公団訴訟原告団に「世界文化賞」の賞金の中から多額のカンパを行うことを約束した。「ナカソネなどからの賞金を受け取って、そのカネをナカソネが進めた国鉄分割・民営化に反対して闘っている人にカンパするってのはなかなかいいよね」と彼は微笑んだ。


【演劇:報道の自由をめぐる二つの舞台】(鈴木太郎)
(内容紹介)
 二兎社「ザ・空気」とPカンパニー「白い花を隠す」の紹介。

参考

http://p-company.la.coocan.jp/performance19.html
■Pカンパニー「白い花を隠す」
 小さなドキュメンタリー制作会社に、あるテレビ番組の企画が持ち込まれる。それは旧日本軍による従軍慰安婦制度を裁く民衆法廷を追う番組だった。スタッフたちは、民衆法廷が持つ歴史的な意義を伝えようと番組製作に取りかかるが、テレビ局側から異例の指示が相次ぎ、番組の改ざんを迫られる。意見を翻す者。沈黙する者。逃げる者。少しずつ見えない圧力に絡め取られていくなかで、残されたディレクターはなにを見たのか。
 2001年のNHK番組改変事件を元に描いた、組織に翻弄された人びとと、ある家族の物語。

https://mainichi.jp/articles/20170207/dde/018/200/031000c
毎日新聞『「白い花を隠す」 慰安婦報道番組巡る現場、家族の葛藤描く』
 従軍慰安婦報道を巡る番組改変問題を題材に、番組制作者や家族の葛藤を描くPカンパニーの舞台「白い花を隠す」が28日〜3月5日、東京・池袋のシアターグリーンBOX in BOX THEATERで上演される。戯曲を書き下ろした石原燃さんは「関係者の多くが沈黙して誰も責任をとらない構図は、戦争の構図とかぶっている。この問題に関わった人を通して見えてくると思う」と話す。

http://www.asahi.com/articles/ASJDV4K79JDVUCVL01B.html
朝日新聞『TV報道「自己規制」の裏側は 肉薄する演劇2作品』
 テレビ局の報道現場を舞台にした演劇2作品が1〜3月に、東京都内で相次いで上演される。放送本番を目前に内容変更を命じられ、迷走する現場を描いた永井愛作・演出「ザ・空気」が(ボーガス注:永井)主宰の劇団「二兎社(にとしゃ)」の公演で1月20日から、2001年のNHK番組改変問題を題材にした「白い花を隠す」が演劇集団「Pカンパニー」の公演で2月28日から始まる。いずれも真実に肉薄する工夫を凝らした作品だ。
 大手テレビ局が舞台の「ザ・空気」では若村麻由美がキャスターを演じる。取材時、歯切れ良く話す若村は既にキャスターの雰囲気をまとっていた。
 ニュースで放映する報道の自由の特集の数時間前、局の上層部から差し替えの指示が出た。ドイツ人のジャーナリストがヒトラーナチスをたとえに出して、日本の政権を批判した箇所だ。これを手始めに次々に指示が出て現場の「空気」が変わる中、編集長(田中哲司)らが対応に追われる。若村が演じるキャスターの来宮(きのみや)は言葉を差し替える「自己規制」はおかしいと編集長に主張する。

http://ryuichiro-n.cocolog-nifty.com/blog/2017/02/post-580b.html
■劇評「ザ・空気」
 報道番組の制作スタッフが放送局上層部の日和見に振り回される話。背景に電波法に関する総務相の発言があり、経営陣がそれを慮る「雰囲気=空気」が局内に形成されて行く様を、永井愛らしい手つきで面白おかしく描いている。
 発端は、2016年2月の高市早苗*15総務大臣の発言である。
(中略)
 舞台はTV局の建物の九階にある会議室(後略)。
 特集の試写はすでにおわり、あとは夜の放送を待つばかりであった。
(中略)
 この部屋で、特集の中の、ドイツ取材分の当てレコに「直し」が入ったという連絡を番組編集責任者の今森俊一(田中哲司)が、ディレクターの丹下百代(江口のりこ)から受けるところから芝居ははじまる。
 特集の構成はあとで分かるが、この際、はじめに明らかにしておいた方がいいだろう。
 まず、総務相の電波法云々発言が紹介される。続いて、ドイツに飛んで、彼の邦の電波法はどうなっているのか、ドイツ人ジャーナリストに取材したVTRが紹介される。
(中略)
 ドイツ取材のVTRの中で、日本の制度を説明したときのドイツ人ジャーナリストの反応に「クレイジー」という当てレコをつけたのが、どうやらアンカー、大雲要(木場勝己)には気に入らなかった。大げさだといったことが一人歩きし、それがディレクターの耳に入った。「直し」というのは、実に些細なことである。
(中略)
 大雲は、田中角栄*16とおぼしき大臣の番記者だったことを誇りに思っているような、つまりは保守政治家の心情に同調的な大新聞記者であり、これを看板というか背景にして、今の地位を築いている。
(後略)


【音楽:原嘉壽子のオペラが求めたこと】(宮沢昭男)
(内容紹介)
・原嘉壽子オペラ「よさこい節」の紹介。

参考

https://tomin-fes.com/list/opera03.html
日本オペラ協会公演 オペラ『よさこい節』全2幕
 オペラ『よさこい節』は幕末土佐に実在したヒロインがひたむきな愛を貫く悲恋物語で、高知県の発案により平成2年に同県と日本オペラ協会の共同制作で初演されました。音楽は作曲家・原嘉壽子に委嘱。現代作品でありながら親しみやすい魅力にあふれた日本オペラの佳作として高く評価されたこの作品を、平成26年11月に逝去した原氏の追悼公演として、新たなスタッフ、キャストにより25年ぶりに上演します。指揮には近年活躍目覚ましい田中祐子、演出には日本オペラにも定評ある岩田達宗(いわたたつじ)を配し、日本オペラ協会の実力ある歌手陣とともにこの作品の魅力に迫ります。
■あらすじ
 幕末の高知。お馬という美しい娘は竹林寺に出入りしているうちに、寺の和尚・純信と道ならぬ恋に落ちてしまう。寺の小坊主・慶全は以前からお馬に好意を寄せていて、寺の仏像を質屋に出して珊瑚のかんざしを買い与えて、お馬の気を引こうとする。しかしお馬は慶全の誘いを断ったので、嫉妬に狂った慶全はお馬と純信の仲を言いふらし二人は捕らわれ、人々にさらし者にされながら流刑となるのであった。

https://www.jof.or.jp/performance/1703_yosakoi/opus.html
■オペラ『よさこい節』全2幕
■イントロダクション
 作曲家・原嘉壽子(1935〜2014)は生涯で18作のオペラを残した。「よさこい節」はそのなかでは比較的早い6作目で、高知に伝わる有名な悲恋物語がもとになっている。台本(作曲者)に使われた原作は、土佐文雄の小説『純信お馬』。1987年に書かれ、当初は未出版だったが、オペラ初演後の1991年に高知新聞社から刊行されている。
(中略)
■見どころ・聴きどころ
 高知民謡≪よさこい節≫には多数の替え歌があり、最も有名なのが「土佐の高知のはりまや橋で、坊さんかんざし買うを見た、よさこいよさこい」と歌われる曲。幕末、妻帯が禁じられていた真言宗の僧侶と村娘が恋仲になり刑罰を受けた地元の実話が、古くからの民謡の旋律にのせて歌いつがれてきたもので、当時の元歌は歌詞が若干異なっている。
 オペラはその実話にフィクションを交えてドラマティックに描かれており、劇中の音楽で<よさこい節>は正調、元歌、替え歌…とさまざまな形で反復され、作品全体の重要な構成要素となっている。ほかにも多数の高知の民謡や民謡風に作曲されたメロディー、土佐弁の抑揚を生かした旋律、わらべ唄、ご詠歌念仏踊りなどがふんだんに用いられて、民俗色は豊か。

【原嘉壽子について】

■原嘉壽子(1935年2月10日〜2014年11月30日:ウィキペ参照)
 日本のオペラ作曲家。本名は原和子
 1978年から1999年の間に18曲のオペラを作曲した。多くは日本オペラ振興会または二期会によって東京で初演されたが、イタリアでも上演された作品がある。全般的には日本の主題を好んで用いるが、2作目のオペラ『告白:シャーロック・ホームズの事件簿』はシャーロック・ホームズを題材とするもので、また1999年には新国立劇場ドストエフスキーの「罪と罰」の大規模オペラを上演した。2014年11月30日、心不全のため死去。79歳没。

【土佐文雄について】

http://ameblo.jp/waraikamenn/entry-10887425012.html
■土佐文雄『人間の骨』
 槇村浩。まきむらこう。まきむらひろしではない。
 非転向を貫きとおしたプロレタリア文学者といえば近年『蟹工船』が再評価されている小林多喜二がいるが、小林のほかにも、権力の前で、自分の信念をまげずに死した無名の詩人がいた。
 長編小説『人間の骨』は、非転向・反戦革命の詩人、槇村浩のわずか26年の生涯を克明に描ききった故・土佐文雄氏の労作だ。
(中略)
 土佐氏の『人間の骨』は、昭和53年に槇村浩顕彰の高まりの中で、木之下晃明監督によって映画化されている。
 ぼくも、むろん観に行った。地味で沈鬱な内容でありながら、大きな劇場のロードショーに華々しくかかる映画とはひとあじもふたあじも違った腸に沁みわたるような映画だった。
(中略)
 佐藤仁哉演じる槇村を、ありし日の南田洋子がかき抱き、号泣する。
 今でも、思い出すだけで、涙が出る。
 たんに、ひとりのプロレタリア詩人の夭折の人生を描いただけでなく、なるほど『人間の骨』というそのタイトルのとおりの、《骨》と気骨、そして優しさを描いて余すこところのない、いい小説だ。
 『同行二人・四国霊場へんろ記』や『下司凍月の生涯・日本最後の町絵師』などの、地元に根差した作品をよくした土佐氏の渾身の一作だ。
 これは、ぼくも高知出身ということでの身内びいきではない。
 なお、現在、槇村の詩は、『間島パルチザンの歌』(新日本文庫、新日本出版社)、『槇村浩詩集』(飛鳥出版社)で読むことができる。


■スポーツ最前線「埼玉で防災ヘリの山岳救助が有料に」(青山俊明)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

http://jcp-sai.jp/news/11494
しんぶん赤旗『防災ヘリ有料化可決 共産党など反対「遭難抑止できぬ」 埼玉県議会』
 埼玉県議会本会議で27日、県消防防災へリコプターで救助された登山者から手数料を徴収する防災へリ有料化条例案自民党公明党などの賛成多数で可決されました。日本共産党民進党、県民会議は反対しました。
 条例案は、自民党が提出したもの。防災へリ有料化条例は、全国で初めてです。
反対討論で共産党の村岡正嗣県議は、埼玉県の山では「道迷い」によるか遭難が多く、標識や登山道の整備、登山者に対する注意喚起などこそが現実的な遭難防止策だと述べ、へリ救助の有料化で、無謀な登山が減少する」とした条例案の説明について「本県の遭難実態からも登山者心理からもかけ離れている」と批判しました。
 村岡氏は「受益者負担が当然」との主張にも「なぜ山だけ手数料を微収するのか、なぜ埼玉県だけ有料なのか、憲法が掲げる法の下の平等に反する」と指摘。「消防法の目的は傷病者の搬送を適切に行うとしているが、有料化で救助の要請を躊躇(ちゅうちょ)するようなことになれば消防の根幹を揺るがす。有料化で山岳遭難を抑止できるとの発想は短絡的だ」と訴えました。
 防災ヘリの有料化によりさまざまな問題が起こることが懸念されます。
 山岳事故が起きた場合、なるべく早く医療機関に搬送する必要があります。しかし、有料化で救助要請をためらえば、深刻な事態に至る可能性も否定できません。有料か無料かは、山岳地域かどうか、登山者か否かで変わってきます。判別は難しく、そのつけは現場が負うことになります。本来の業務とは関係ない手数料の徴収により、現場に負担と混乱をもたらすことも考えられます。
 地域への影響も無視できません。小鹿野町議会は採択された意見書で「地域の重要な観光資源である登山客の減少などの悪影響をもたらす恐れがあり」幅広い関係者からの意見聴取、近隣都県の動向等調査し、慎重に審議」を求めました。秩父山岳連盟や秩父観光協会も反対しました。
 埼玉の山は、首都圏の登山者が手軽に山を楽しめる場です。提案者の自民党が実施したアンケートでも反対意見が多数でした。にもかかわらず強引に条例案を押し通した責任は重大で、山岳スポーツ振興の足を引っ張る行為です。
 日本共産党の村岡正嗣県議は反対討論で「登山道の整備、気象や山の情報提供、安全教育など山岳スポーツの環境整備によって遭難防止を図ることこそ、行政の責任」と主張しました。条例の問題点を広く知らせるとともに、山岳遭難を減らす実効ある施策を進めることが求められます。
(青山俊明)

http://www.sankei.com/affairs/news/170328/afr1703280015-n1.html
■産経『埼玉県が有料化 防災ヘリ救助条例成立、全国初 地元や山岳連盟反発 専門家は「議論の契機に」』
(前略)
 条例改正案に対しては、秩父山岳連盟と秩父観光協会が3月上旬、提案した自民党県議団などに反対や慎重な検討を求める要望書を提出。小鹿野町議会も16日、「幅広い関係者からの意見聴取、近隣都県の動向等調査し、慎重に審議するよう強く要望する」とする意見書を可決し、「山岳救助の現場に混乱をもたらすばかりでなく、秩父地域の重要な観光資源である登山客の減少などの悪影響をもたらす恐れがある」と指摘した。
 27日の本会議では、反対討論で「公平性に欠け、現場を混乱させることになりかねない」「要救助者が防災ヘリでの救助を拒んだ場合でも手数料を徴収できるとする点に違法性があるのでは」などの意見が出された。上田清司知事は本会議終了後、「細目を詰めるとともに総務省の見解を待つ必要がある」と言及した。

*1:著書『過失犯論の現代的課題』(2004年、成文堂)、『刑事過失論の研究』(2005年、成文堂)など

*2:木村氏については例えば■ライプツィヒの夏『木村真豊中市議を全面に支持したい(例の国有地売却金額非公開決定取消訴訟の公判情報)』http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/480e9fe4775e15957f112af2a5bb85a1参照

*3:著書『ルポ戦争協力拒否』(2005年、岩波新書)、『反空爆の思想』(2006年、NHKブックス)、『密約:日米地位協定と米兵犯罪』(2010年、朝日新聞社)、『「日米合同委員会」の研究』(2016年、創元社)など

*4:著書『あらかじめ裏切られた革命』(2000年、講談社文庫)

*5:著書『選挙制度と代表制:フランス選挙制度の研究』(1995年、勁草書房)、『代表における等質性と多様性』(2017年、信山社)など

*6:著書『公共事業をどう変えるか』(2001年、岩波書店)、『市町村合併と地域のゆくえ』(2002年、岩波ブックレット)、『「平成の大合併」後の地域をどう立て直すか』(2007年、岩波ブックレット)、『日本の農山村をどう再生するか』(2013年、岩波現代文庫)など

*7:日本共産党衆院議員(九州沖縄比例選出)

*8:著書『生活環境主義でいこう!:琵琶湖に恋した知事』(2008年、岩波ジュニア新書)

*9:共産党足立区議団長

*10:区長が社民党衆院議員だった保坂展人氏だと言う事(保坂氏本人も保坂氏も区長に選出する区民たちもそうした福祉的対応に理解がある)もこうした福祉的対応をするに当たって大きいんでしょうか?

*11:著書『中国人の本音:日本をこう見ている』(2017年、平凡社新書

*12:著書『ルポ ゴミ屋敷に棲む人々:孤立死を呼ぶ「セルフ・ネグレクト」の実態』(2012年、幻冬舎新書)、『セルフ・ネグレクトの人への支援』(編著、2015年、中央法規出版)など

*13:著書『内側から見たテレビ:やらせ・捏造・情報操作の構造』(2015年、朝日新書)など

*14:北京五輪男子400mメドレーリレーの銅メダリスト。現在はタレントとして活動。

*15:第一次安倍内閣沖縄・北方等担当相、自民党政調会長(第二次安倍総裁時代)などを経て第三次安倍内閣総務相

*16:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相などを経て首相