今日の産経ニュース(4/30分)(追記・訂正あり)

天下り温床の“身内意識”丸出し OB用庁舎入構フリーパス「文部科学省先輩証」の仰天! ネーミングセンスはゼロ
http://www.sankei.com/premium/news/170430/prm1704300023-n1.html
 是非はともかく「OB用庁舎入構フリーパス」は当然に「OBを介した天下りをもたらす」わけではないので文科省批判としてずれてると思います。また「逆に」このパスなくしてもたぶん口利きしようと思えば、OBが現役官僚を外に呼び出すだけでしょうから。
 つうか産経はこのパスについて「知らなかったよー、そんなパスがあったとはー(『空がこんなに青いとは』風に)」なんて言ってますが「お前ら取材で文科省に出入りしてるだろうに本当かよ?」と思いますけどね。
 さすがに天下り口利きは文科省側も「隠す」でしょうし、そうそう簡単には外部には分からないでしょう。しかし俺のような一般人ならともかく、産経のような「文科省に取材で出入りしてる」マスコミが

「イヤーOB用庁舎入構フリーパスなんてモンがあるとは今まで全く知りませんでした。」
「OBとのなれ合いの一例でよろしくないと思う」

と今頃、他人事みたいなことを言うのは

「お前らマスコミは役所相手(文部科学省に限らない)にちゃんと取材してるのか!」
記者クラブで役所となれ合ってるだけと違うのか!」
「他人事みたいな口がきける立場か!」
「本当はこのフリーパスの存在を知ってて『まあ望ましいことと思わないけど別にいいんじゃん』位に思ってたが、今さら知ってたと言えないからとぼけてるのと違うのか!」

などと批判されるべきだと思います。
 つうか文科省に出入りしてるマスコミ(産経に限らないが勿論産経を含む)がこういう事言っていいのならそれこそ産経がよく言う「何故社会党北朝鮮とつきあいがあって幹部が訪朝したこともあったのにあの国の内部事情(強制収容所云々とか)についてまるで無知だったのか、許せない」云々とか言う批判が崩壊すると思うんですけどね。産経が文科省に出入りしてる回数なんて社会党の訪朝回数を当然上回るでしょうに。


■【追悼・渡部昇一さん】「虚に吠えた中韓」暴いた渡部昇一さん 「侵略→進出」誤報事件を振り返る
http://www.sankei.com/premium/news/170428/prm1704280009-n1.html
 むしろ「虚に吠えてる」のは産経と渡部の方です。
 日本側に何の問題もなければ、その後、いわゆる「宮沢*1官房長官談話(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/miyazawa.html参照)」だの「近隣諸国条項*2」だのできるわけもないわけです。

当初報道と違い書き換えは華北ではなかった(東南アジアだった)

ようですが、だからといって検定による「侵略戦争の矮小化」がなかったわけではないし、誤報の原因は「文部省がマスコミの取材に非協力的だったから」です。その結果「教科書会社側の情報だけで記事を書かざるを得ず」、誤報になったわけですが、それは教科書会社やメディアのせいと言うより文部省のせいではないのか(俺の理解ではこれ以降さすがに文部省もメディアの取材に協力的になりますが)。
 それはともかくこの「教科書問題事件(1982年)」のときの韓国の政権が「全斗煥政権」だということが重要なポイントでしょう。
 「韓国併合正当化発言」での藤尾*3文相更迭(1986年)の時も全斗煥政権でしたが、もちろん全政権を「反日親北朝鮮」と呼ぶことはできないでしょう。基本的には自民党に近い立場の全政権ですら「日本右翼のあまりにも無神経な言動」には批判を行うという話です。
 なお「朝日ガー」という産経ですがこの報道の最初は「日本テレビ」であり朝日は後追いにすぎません(また朝日以外*4も同様の後追い報道を行った)。「日本テレビガー」といわない辺り産経の偏向が実にわかりやすい。


■【新聞に喝!】朝日は「宗教的な執念」、産経は「反日思想?」 あまりに不可解な寺社への液体テロ 元東京大学史料編纂所教授・酒井信彦
http://www.sankei.com/column/news/170430/clm1704300007-n1.html
 こういう事件は「犯行声明が出ていない以上」、犯人を逮捕しない限り*5
1)「いたずら」にすぎないのか
2)何らかの政治的思想があるのか
3)あるいは精神病者の犯行なのか
なんて分かりようがないのだから、犯人逮捕前に「神社本庁への敵意の表れだろうか」云々などと議論するのは全く時間の無駄です。


■「日本の礎は殉難者として散った同胞の御霊の上に成り立っている」 昭和殉難者法務死英霊を追悼 高野山で法要
http://www.sankei.com/west/news/170430/wst1704300033-n1.html
 なんで高野山真言宗)でそういうことをやるのかよくわかりません。高野山は右翼宗教団体だという理解でいいんでしょうか?
 昭和殉難者というのは東条英機ら戦犯死刑囚を「英雄扱いして呼ぶ言葉」ですからもちろん「単なる死者の追悼」なんて言い逃れは通用しません。


■【仏大統領選】ルペン候補が首相候補発表  
http://www.sankei.com/world/news/170430/wor1704300004-n1.html

 フランス大統領選の決選投票を前に29日、極右「国民戦線」のルペン候補が記者会見し、大統領に当選した場合、第1回投票で落選した保守派候補のニコラ・デュポンエニャン国民議会(下院)議員(56)を首相に任命すると発表した。
 デュポンエニャン氏は自身が創設した保守派政党「立ち上がれ共和国」から大統領選に立候補し、23日の第1回投票で4・70%を獲得して6位となった。首相指名には同氏に投票した有権者の支持を集めると同時に、3位となった中道右派共和党」のフィヨン元首相(得票率20・01%)に投票した保守系の支持者を取り込む狙いがあるとみられる。発表を前に、デュポンエニャン氏はルペン氏への支持を表明していた。
 デュポンエニャン氏は「共和党*6」の前身の「国民運動連合」出身。2008年に「立ち上がれ共和国」を結成し、欧州連合(EU)に対する国家主権の強化を主張してきた。

 1位マクロン経済産業相保守新党)、2位ルペン(国民戦線、党首)、3位フィヨン元首相(共和党)、4位メランション元職業教育相(左翼党、党首)、5位アモン元教育相(社会党)ですから、6位デュポンエニャン(立ち上がれ共和国、党首)を取り込んだというのはまあ、「なかなかの好手」ではあるでしょう。本当ならフィヨンでも取り込んで保守票総取りを狙いたかったでしょうが、それはさすがに無理(フィヨンがのらない)なんでしょう。
 しかし「ここまでやる」とは「当選は無理と思いますが」かなりルペンも本気のようです。
 しかし「立ち上がれ共和国」ねえ。例の石原の党「たちあがれ日本」の元ネタが今初めて分かりました。


■【杉田水脈のなでしこリポート(27)】愛国心あふれる仏大統領選 各陣営の集会比較 右派も左派も国歌の大合唱
http://www.sankei.com/premium/news/170430/prm1704300017-n1.html
 「右派も左派も国歌の大合唱」て「フランスと日本では国歌の歴史が違うから」で終わる話です。
 大体フランスにおいてだって「数は少ない」としても今の国歌に否定的な政治グループはあるでしょうし、フランスの国歌合唱は強制してるわけじゃないでしょう。そして日本に置いて右翼集会以外に国歌合唱なんてそんなにあるのか。自民党など右派政党の集会だってそんなに国歌なんか歌ってないんじゃないか。
 なお右派も左派もという杉田ですが彼女が行った集会は「国民戦線のルペン」「社会党のアモン元教育相」「保守新党マクロン経済産業相」の三人です。
 まあ、たぶん国歌合唱という事情は変わらないのでしょうが誰もが「共和党フィヨン元首相と左翼党共同代表のメランション元職業教育相は?」と思うでしょう。泡沫候補の集会にまで行けとは言いませんが有力候補フィヨンとメランションぐらいは集会に行ってもいいでしょうに。

 マクロン氏の勝因(今回の選挙は本当にどんぐりの背比べで勝ったというよりは僅差で抜けたという感じです。ルペン氏についても同じ)は、保守も革新も取り込む選挙戦を展開したことにあります。左の人からは「右すぎる」、右の人からは「左すぎる」と批判されていましたが、最後はそこに勝利の女神が微笑みました。
(中略)
 (ボーガス注:政策を曖昧にしている)大阪維新や小池新党が人気の日本では、理解されやすい勝ち方ではないでしょうか?。よく、ルペン氏やトランプ氏を「ポピュリスト」と表現する報道がありますが、どちらかといえばマクロン氏の方がポピュリズムに支えられている印象です。

 「マクロンの方が」かどうかはともかく俺もマクロンには「ポピュリズム的なモン」を感じます。なにせ政策的に一番オランドに近いのに社会党を離党して改革者気取りですからね。杉田が言うように「フランスの小池百合子*7」といっていいんじゃないか。

 植民地と移民の関係はまた違うレポートで詳しく触れたいと思います。が、人種差別撤廃を掲げ、大東亜戦争で植民地解放に尽力した日本が目指したことはなんなのか、改めていろいろ考えさせられました。フランスの「自由・平等・博愛」も、アメリカの独立宣言やリンカーンの有名な「人民の人民による人民のための政治」も、対象となるのは白人だけ*8なのだな、などと。

 産経らしいですが今時「大東亜戦争はアジア解放戦争」なんて非常識なことを言うなつう話です。しかもフランス大統領選レポートでそんな話が出てくるのがおかしい。
 つうか移民をほとんど受け入れてない日本が偉そうにそんな事言える立場じゃないんですが。日本の今の現状で米国やフランスレベルの移民受入なんかやったら間違いなく、「米国やフランスを上回る極右の移民排斥」が起こりますよ。いやそう言う国だからこそ「極右の反発が怖くて」移民受入をしない、出来ない訳ですが。

 EU(欧州連合)についていえば、極右と言われるルペン氏と極左と言われるメランション氏の2人が離脱を訴えていました。ここも有権者が混乱した点だと思います。正反対の2人が同じ政策を訴えている。日本でも「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)反対」を訴える保守論客が多くいましたが、政党としてきちんと反対していたのは日本共産党のみだったことと似ているかもしれません。

 EUとTPPは違うし、何処まで本気かはともかく*9野党の中には共産以外にTPP反対派もいましたが?。
 まあ与党にいなかったことだけは確かですが。

*1:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相。

*2:現在もこの条項はありますが安倍政権によって有名無実化されてるのではないかという批判があります。

*3:鈴木内閣労働相、自民党政調会長(中曽根総裁時代)、中曽根内閣文相など歴任

*4:この産経記事に寄れば産経自身もそう言う後追い報道をしています。この頃は未だ産経も今よりはまともだったのかも知れません。

*5:まあ犯人を逮捕しなくても朝日赤報隊事件のように政治的声明(朝日事件の場合は右翼的声明)が出ている場合はその声明から物をいうことも許されるとは思いますが。

*6:2015年にサルコジ党首(当時)によって「共和党」に改称された。

*7:小泉内閣環境相、第一次安倍内閣防衛相、自民党総務会長(谷垣総裁時代)を経て都知事

*8:フランス革命当時やリンカーン当時はそうでしょう。今は違うと思いますが。

*9:菅政権時代にTPP参加を打ち出した民主党を主として想定しています。