今日の産経ニュース(5/3分)(追記・訂正あり)

■【憲法施行70年】安倍晋三首相がビデオメッセージで憲法改正に強い意欲 「9条に自衛隊書き込む」「2020年に新憲法を施行」
http://www.sankei.com/premium/news/170503/prm1705030019-n1.html
 もちろんこうした放言を「改憲派集会(政府集会どころか自民党集会ですらない)へのビデオメッセージでする」までに増長した安倍をいささかも軽視してはいけませんが、一方で「深い考えがある訳でもない」ことも事実でしょう。
 なにせ森友疑惑で「私でなく妻が関与していても首相を辞める」と啖呵を切りながら、「昭恵証人喚問要求」を拒否する男ですから。
 普通ならわざわざこんなことは言わないし、言ったのに証人喚問要求を拒否するような無様な真似もしない。正直、こんな愚劣な男が首相など屈辱的です。
 さてこの安倍メッセージについては
■アベ改憲願望発言に見える焦り(澤藤統一郎)
http://chikyuza.net/archives/72291
の引用がまとまってると思うのでそれを引用しながら俺のコメントを入れていきます。

 かつては憲法に指一本触れてはいけないという議論すらもありました。しかし、もはや憲法を不磨の大典だと考える国民は非常に少数になってきたと言ってもいいのではないでしょうか。

 澤藤氏も批判していますがそもそも「憲法に指一本触れてはいけない」という「憲法を不磨の大典だと考える国民」なんかほとんどいません。
 問題にされてる主たる話は「憲法九条をどうするか」という話です。九条を改定して「米軍と海外で戦える国にするのか」という話です。

 いよいよ期は熟してきました。
(中略)
 この国をどうするのか、わが国の未来へのビジョン、理想の憲法の具体的な姿を自信を持って国民に示すときです。

「谷垣総裁時代につくってるだろ、改憲案を?」「案がないのに機が熟してきたの?」と突っ込む澤藤氏です。何故谷垣案を安倍が否定(?)するのかはすぐに分かりますが。

 自民党は谷垣*1(禎一)総裁の時代に憲法改正草案をまとめ、国民にお示ししました。これは党としての公式文書であります。しかし、私たちはこれをそのまま憲法審査会に提案するつもりはない。どんなに立派な案でも衆参両院で3分の2を形成できなければ、ただ言っているだけに終わってしまいます。

 澤藤氏も指摘していますが、つまりこの案が「右翼支持層へのリップサービスにすぎず、最初から出す気がなかった」のか、はたまた「出す気だが、内外の批判であきらめた」のかはともかく「極右反動的」として評判が悪いことを安倍ですら自覚してるわけです。
 しかしそんな案が「積極的に関与したわけではない」のかもしれませんが安倍総裁時代ではなく谷垣総裁時代ですからねえ。谷垣という人間が一般に思われてるよりも極右なのか、はたまた「極右を抑えられない無能」かはともかく困ったモンです。

先ほど中曽根*2先生から大変力強いごあいさつをいただきましたが、中曽根先生をはじめ、多くの尊敬すべき先人たちが廃虚の中から敢然と立ち上がり、祖国再建のため、血のにじむような努力をされました。

 澤藤氏も指摘していますが「戦後復興」と改憲と関係ないし、戦後復興に携わった人間には護憲派も当然いるわけです。

少子高齢化、厳しさを増す安全保障情勢。平和で豊かな日本をどうやって守っていくのか。私たち全員が顔をあげ、その視線を未来に、そして世界に向けていく必要があります。

 澤藤氏も指摘していますが「安保情勢を理由に九条改憲」ならまだしも少子化など改憲に関係ありません。


台北市議会が日本食品の販売規制条例 福島など5県産はNO 蔡英文政権の動きと逆行
http://www.sankei.com/world/news/170503/wor1705030034-n1.html
 日本側は「安全安心だ」といっているし、俺もそれについて「いーや、危険だ」「その通り安全だ」などとコメントする能力もないのでそれについては何も言いません。
 問題にしたいのは「地方は中央に従うべきだ」と思ってるとしか思えない産経の異常な記事タイトルです。逆行も何も地方は蔡英文に従う義務はどこにもない。
 これもし逆に「中央は販売規制で、地方は規制無し」だったら産経は何というのか。「中央の間違った方針に対決して偉い!」でしょう。本当に「自分にとって何がメリットか」で話をして論理の一貫性など無視して恥じないのが産経の訳です。


■【歴史戦】韓国政府が「慰安婦報告書」を発刊 日本の慰安婦像移転要求を「合意の曲解だ」と批判
http://www.sankei.com/world/news/170503/wor1705030032-n1.html
 おっしゃるとおりで合意にはそんな事書いてありません。
 いや仮に書いてあったとしても*3「当事者の了解してない政府間合意など認められない」という「拉致被害者一時帰国合意」での産経の言い分を「この問題にスライドさせれば」、『慰安婦や支援団体という当事者の了解してない政府間合意など認められない』ということになるはずです。
 あるとき(日韓合意)は「当事者が了解してなくても政府間合意だから守れ」、あるとき(拉致被害者一時帰国合意)は「当事者の了解してない政府間合意など認められない」というのはデタラメでインチキでしかありません。


習近平主席が電話会談でドゥテルテ大統領を称賛 「議長国としてASEANで重要な役割」 対中傾斜ますますか
http://www.sankei.com/world/news/170503/wor1705030066-n1.html
 まあ産経らしいなと言ったところですね。
 先ず第一に「親中国であることは悪い事なのか」。産経にとってはそうなんでしょうが別に悪い事でもない。
 第二に「フィリピンだけが産経にとっての親中国なのか」。無論そんなこともない。たとえば過去に産経はこんな記事を書いています。
ASEAN議長国ラオス、親中・親北で会議空転の懸念
http://www.sankei.com/world/news/160724/wor1607240035-n1.html
■【緊迫・南シナ海】限界さらしたASEANの「全会一致」原則 親中に引きずった議長国カンボジア
http://www.sankei.com/world/news/160725/wor1607250067-n1.html

 「お前、ASEAN会議がお前にとって『親中国な結論』になったら、毎回議長国(例:カンボジアラオス、フィリピン)に『議長国が中国に媚びたから』てぼやいてるだけと違うのか?」ですよねえ。
 まあ、ともかく「フィリピンに限らず」ASEAN諸国のかなりの部分は少なくとも「産経ほどの反中国」ではないわけです。
 まあこういっちゃ何ですが「カンボジアラオス、フィリピン」なんて「発展途上国」「小国」ですからねえ。中国と対立してもデメリットが大きいでしょう。
 そしてそのほかの国だって産経が期待するほどには反中国じゃありません。いくつか記事を紹介しておきます。


ミャンマー
フジサンケイビジネスアイミャンマー巨大ダム建設、中止か再開か スー・チー*4、中国の“圧力”に沈黙』
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/170502/mcb1705020500006-n1.htm

 ダムは水力発電用で、中国国有企業が36億ドル(約4020億円)を投資、ミャンマー企業と合同で2009年に建設を始めた。中国の全面支援を受けてきた軍政が建設を後押ししたが、発電量の9割が中国向けとされ、環境破壊への懸念もあり、地元で反対運動が巻き起こった。民政移管から約半年後の11年9月、テイン・セイン前大統領が中断を決定した。
 スー・チー氏は野党時代に下流の稲作地帯に悪影響を与えると懸念を表明し、反対運動を支えた。だが、政権を率いる立場になると、最大の貿易相手国である中国への配慮から、ダム問題に関して一切の発言を控えるようになった。

【タイ】
朝日新聞『中国製の潜水艦購入へ タイ軍政「他国よりとても安い」』
http://digital.asahi.com/articles/ASK4T52LPK4TUHBI024.html

 タイの軍事政権が、中国製潜水艦1隻を2017年度からの予算で購入することを、18日の閣議で承認していたことが分かった。今後、さらに2隻を中国から購入する計画もあり、関係国は動向を注視している。
 政府関係者によると、購入するのは「S26T」潜水艦1隻で、135億バーツ(約430億円)。
(中略)
 実際の配備には5、6年かかると見られている。
 タイのプラウィット副首相兼国防相は25日、購入決定を認めたうえで、中国製を選んだ理由について「ほかの国に比べてとても安いからだ」と述べた。ただ、外交筋の間では、14年のクーデター後、欧米とぎくしゃくした軍事政権が「中国に寄っているのでは」との指摘もある。
(中略)
 軍政は4日の閣議で、老朽化した米国製の戦車の代わりに、中国製の戦車10台を新たに約20億バーツ(約64億円)で購入することも承認している。

*1:小泉内閣国家公安委員長財務相自民党政調会長(福田総裁時代)、福田内閣国交相、第二次安倍内閣法相、自民党幹事長(第二次安倍総裁時代)など歴任

*2:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官を経て首相

*3:何度も言うように書いてありませんが

*4:現在、外相(国家顧問兼務)