新刊紹介:「前衛」6月号

「前衛」6月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。「興味のある内容」のうち「俺なりになんとか紹介できそうな内容」だけ簡単に触れます。
 http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/

核兵器禁止条約の国連会議:「核兵器のない世界」への歴史的一歩(川田忠明*1
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
■主張『核兵器禁止条約交渉:歴史的な第一歩を踏み出した』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-04/2017040401_05_1.html
核兵器禁止条約国連会議 「歴史的な一歩」実感:参加の笠井氏 日本の役割力説:衆院外務委
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-07/2017040704_05_1.html
核兵器禁止条約の国連会議、志位委員長「驚くべき成果」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-07/2017040702_02_1.html
■草の根の運動こそ「核なき世界」への力:「核兵器禁止条約の国連会議」に参加して 志位委員長が報告
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-08/2017040801_01_1.html
■「核兵器禁止条約の国連会議」に参加して:志位委員長の報告
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-09/2017040901_04_0.html


■トランプ政権の政策は、なぜ失敗するのか:常軌を逸した新自由主義政策への回帰が意味するもの(萩原伸次郎*2
■トランプ政権100日:混迷と暴走の「米国第一」主義(小林俊哉)
(内容紹介)
 「アメリカファースト」を叫び「貧困層救済(そのためのエスタブリッシュメントとの対決)」「対外軍事行動からの撤退」を主張したトランプだが、「共和党主流派」の支え無しでやっていけるほどの準備もなく、結果として「共和党主流派」に妥協し、選挙戦中での公約を裏切ったこと(例えばシリアでの軍事行動)により、トランプ政権には支持層からも厳しい批判が出ざるを得ないだろうと見ている。


自衛隊南スーダン派兵とは何だったのか:「PKO協力」25年の文脈で考える(小泉大介)
(内容紹介)
 南スーダンPKOで、PKO5原則を無視した「戦地へのPKO派兵」という禁じ手にまででた安倍政権だが、世論の批判を恐れ、ついに撤退を余儀なくされた。
 撤退は幸いなことだが、今後はこのようなことがないよう
1)そのPKOが本当にPKO5原則に合致したPKOと呼べるのか、事前の厳重なチェック(もちろんそもそもPKOをすべきでないと言う考えもあり得る*3が)
2)1)の前提としての南スーダンPKOの批判的総括
3)PKO5原則に反するPKOは当然に撤退させること*4
が必要だろう。
 もちろん南スーダンから自衛隊が撤退しても別途南スーダンでの国際貢献は可能であり、「非軍事の貢献」を模索すべきだろう。


特集「日本国憲法施行七〇年と安倍政治」
共謀罪と「言論の自由」(山田健太*5
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

■コムソフィア・オンライン『「共謀罪法案」と「緊急事態条項」について』専修大学教授・山田健太
http://cumsophia.jp/2017/04/09/
■神奈川新聞『「報道人の姿勢 自ら問え」:時代の正体〈453〉危機迫る「表現の自由」:共謀罪考(日本ペンクラブ山田健太氏インタビュー)』
http://www.kanaloco.jp/article/238738
日本ペンクラブ声明「共謀罪に反対する」
http://www.japanpen.or.jp/statement/post_585.html
赤旗
■主張『「共謀罪」法案審議:「内心」侵す本質ごまかせない』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-24/2017042401_05_1.html
■主張『「共謀罪」法案緊迫:「内心」侵す法案 必ず阻止を』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-05-17/2017051701_05_1.html


■今、憲法と教育を考える:安倍内閣による教育の自由の原理への乱暴な侵犯の中で(佐貫浩*6
教育勅語と使用容認をめぐる論点:戦後の排除・失効決議の重要性(藤森毅*7
(内容紹介)
 佐貫論文が総論的内容、藤森論文が教育勅語にテーマを絞った各論的内容。
 佐貫氏は安倍政権については「右翼的教育政策」が着目される傾向があるがそれだけではなく、鈴木大裕『崩壊するアメリカの公教育:日本への警告』(2016年、岩波書店)等が指摘するいわゆる「新自由主義の弊害」にも着目する必要があるとしている。

参考
赤旗
■主張『教育勅語称賛発言:取り戻したいのは戦前なのか』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-14/2017031401_05_1.html
■安倍政権の危険あらわ:「教育勅語答弁書 小池書記局長が批判
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-04/2017040401_04_1.html
■主張『教育勅語も「教材」:歴史反省しない政治は許せぬ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-07/2017040701_05_1.html
■道徳での教育は不可、衆院文科委 教育勅語で大平議員
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-08/2017040802_02_1.html
教育勅語の思想が問題:吉良氏 「今に通じない」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-05-17/2017051704_03_1.html


■「働き方改革」と憲法・労働法のあり方(和田肇*8
(内容紹介)
 「働き方改革」を安倍政権が主張しだしたことを「労働問題を安倍政権が無視できなくなっていることの現れ」として一定程度評価する一方で、「厳しい批判を浴びた、残業月百時間上限(過労死ラインぎりぎりでありまともな上限ではない)」などを指摘し、「安倍政権」は「働き方改革」を「自らの右翼性をごまかすためのマヌーバーとしてしか考えていない」上、安倍政権を支持する財界は労働時間規制などに消極的なため、「安倍政権にはおよそまともな働き方改革は期待できない」と批判している。

参考
長時間労働にお墨付き 安倍首相「裁定」に批判:残業時間上限「100時間未満」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-15/2017031501_04_1.html
■主張『政府の「実行計画」:これでは「働き方」の改悪だ』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-02/2017040201_05_1.html
■真の「働き方改革」実現を:山添参院議員がエキタスと懇談
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-05-01/2017050104_01_1.html


■「野外科学」の視点で見た豊洲新市場移転問題:果たして「安全」は担保されたのか?(坂巻幸雄*9
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。「食の安全」の観点から「豊洲移転は不可」であり、「将来的にどこか新しい場所に移転するとしても」、早急にそれを実施することは困難なため当面は「築地市場の再整備」で対応すべきとしている。

赤旗
豊洲移転中止、都民のくらしと福祉を優先させる都議会を:―2017都議選の訴えと重点公約(要旨)―(日本共産党東京都委員会)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-05-09/2017050908_01_0.html
豊洲 汚染対策は失敗:都議会特 かち議員 築地再整備検討迫る
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-05-10/2017051004_02_1.html


■福島の声を国政に:「福島切り捨て」を許さず、国・東電に責任を果たさせる(岩渕友*10
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
■福島復興再生特措法改定案 参院本会議:“復興相の資格ない”「自主避難者」への暴言 岩渕氏が追及
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-20/2017042001_03_1.html
■国民に負担押し付け、改定原賠法が成立、岩渕氏が批判
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-05-11/2017051102_03_1.html
■「東電免罪の法案だ」復興特措法案 岩渕氏が批判
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-05-12/2017051204_03_1.html


JR北海道問題の本質と打開の方向はどこにあるか(田中弓夫)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。このままではJR北海道の経営破綻は不可避であり、分割民営化の過ちを認め、「儲けを上げているJR三社(東日本、西日本、東海)」で経営危機にある「北海道、四国、九州、貨物」の経営を支えるシステム作りに乗り出すほかないのではないかとしている。

参考
赤旗
JR北海道 路線半分「維持困難」、「事業見直し」の撤回求める、沿線自治体で聞き取り 党国会調査団
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-12-24/2016122403_01_1.html


■論点
多国籍企業に日本の食と農を売り渡す種子法廃止】(浅野宝子)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

赤旗
参考人質疑 紙議員は反対討論、参院
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-14/2017041402_02_1.html
■種子法の廃止法案が可決、「国会議論を軽視」、参院本会議 紙議員が反対
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-15/2017041502_03_1.html


【大企業応援が地域経済の発展になるか:三重県四日市市にみる破綻の現実】(萩原量吉*11
(内容紹介)
 シャープが経営危機から三重県からの撤退を検討していることを紹介。大企業誘致を一概に否定しないが、撤退の危険性を考えれば「誘致時の優遇措置」についても十分な検討が必要であるし、また「大企業ばかりに頼るのではなく」難しい道だが、「地元の中小企業の応援」等も別途行う必要があるだろうとしている。


■暮らしの焦点「霊感商法統一協会=家庭連合の現在」(山口広*12
(内容紹介)
・「文鮮明の死後、内紛が起こり衰退してること」を指摘しながらも「まだ統一協会には油断ができない、自然消滅など期待できない」とする山口氏です。
統一協会が世界平和統一家庭連合に名称変更*13し、統一協会隠ししていることに注意を呼びかけている。
統一協会が摘発を免れている理由として自民党岸信介安倍晋三など)との癒着を指摘、厳しく批判している。
・しかし「統一協会に祝電を打つような男」が首相ですからねえ。森友の件もそうですがここまで常識のない男が首相とは俺にとっては国辱ですね。

参考
赤旗
統一協会の集団結婚・大会、安倍長官らが祝電
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-06-13/2006061314_01_0.html

■安倍首相 保岡元法相 昨年10月にも、統一協会集会に祝電、全国弁連抗議集会で明らかに
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-10-14/2006101414_01_0.html

 統一協会の機関誌に国際勝共連合元理事長の梶栗玄太郎が手記を掲載。このなかで、安倍首相の祖父である岸信介元首相とは「自主憲法制定運動とスパイ防止法制定運動で共に活動した仲」と記述、父親の安倍晋太郎元外相については「毎月会って統一運動について説明しました」と記載するなど、三代にわたる関係であることが紹介されました。

 まあ若干の誇張はあるかも知れませんが「三代にわたってずぶずぶ」ということ自体は事実なのでしょう。まさに国辱です。

統一協会広告塔利用に抗議、霊感商法対策弁連が会見
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-25/2013122514_02_1.html

有田芳生リツイート
鈴木エイト(ジャーナリスト)‏ @cult_and_fraud
・昨日、統一教会(家庭連合)の韓鶴子一万人集会に祝電を打った宮川典子は「統一教会の方々の中にはあたしの支援者がいる。それだけの関係。お世話になれば世界日報くらい出るでしょ。下村博文文科大臣だって出てるし。何か文句ある?」とツイートの過去
・昨日の有明コロシアム統一教会(家庭連合)最高権力者・韓鶴子の一万人集会。国会議員山本ともひろ*14宮島喜文は壇上で挨拶した後「日頃、我々自民党に対して大変大きなお力をいただいている(山本)」教団の徳野会長と握手

 安倍政権と統一協会の癒着関係が疑われますが、さすがに公然と集会に参加するのはこのレベルの小物のようです。

有田芳生がツイート
 統一教会(ボーガス注:現在は世界平和統一家庭連合に改名)のさらなる分裂が進んでいます。櫻井節子がついに脱会、(後継争いで敗れた、『教祖・文鮮明の三男・文顕進』が脱会して設立した)三男派の家庭平和教会に行くと宣言しました。
https://peraichi.com/landing_pages/view/truefaith

http://news.livedoor.com/article/detail/12824217/
■「週刊新潮」2017年3月16日号 『統一教会が分裂、逮捕者も 桜田淳子の役どころ』
 宗教問題が専門の北海道大学大学院文学研究科・櫻井義秀*15教授が言う。
文鮮明の後継者として認められた男子は3人います。三男は全国大学連合原理研究会という学生組織、四男は韓国を主とした事業組織、七男は宗教組織というような棲み分けがあったのですが、父親の死後、子供らが喧嘩別れをしたので、彼らの母親である鶴子氏が日本の本部を取り仕切って“主流派”となったのです」
 対する四男と七男は母に対抗すべく手を携え、昨年末に一般社団法人「日本サンクチュアリ協会」(https://www.sanctuary-jp.org/)を設立した。そんな彼ら“反主流派”を支持する信者による抗議活動は、年明けから始まったと先の鈴木氏が継ぐ。
「当初は本部前に1人で“会長は辞めろ”と書いたプラカードを掲げるだけでしたが、2月には複数人に増えていき、その度に本部職員が警察を呼んでトラブルになっています。それでも反主流派は毎週抗議を続けると意気軒昂ですね」
(中略)
 もはや、何が良くて何が悪いかは常人にとって与り知らぬ話だが、内ゲバ続きの教団にとって桜田淳子の“復活祭”は神風になるという。
 霊感商法の被害者救済に取り組む弁護士の紀藤正樹*16が解説する。
「現在の統一教会では“七男派”が支持を集めつつあります。しかし、統一教会の不動産の大部分は宗教法人名義のため、結果的に、未亡人率いる“主流派”が不動産を握っている。衝突は、この遺産争いという面があります。桜田淳子さんは、現在も“主流派”に属して活動していると聞いています。来月行われるステージは、外部に対する広告塔としてだけではなく、内部の引締め、つまり“主流派”の正当性を主張するプロパガンダの意味も大きい」
 表舞台から消え去った往年のスターであろうとも、骨肉の分裂劇では今なお役どころあり――のようで。

 「妻派」「三男派」「四男派」「七男派」で利権をめぐって抗争とは文鮮明の死のダメージは大きかったようです。
 統一協会で内紛で衰退していくならウエルカムです。


メディア時評
■テレビ「『ニュース女子』その後」(沢木啓三)
(内容紹介)
 以前から『ニュース女子』の沖縄ヘイトについて批判的に取り上げている沢木氏が改めて
1)BPOが、被害者の訴えを受けて審議入りしたこと
2)MXテレビの番組審査会が「検証番組作成」を答申したこと
3)MBSがMXのデマを批判するドキュメンタリー番組『沖縄 さまよう木霊〜基地反対運動の素顔〜』
http://www.mbs.jp/eizou/backno/170129.shtml
を製作・放送したこと
を取り上げている。

参考
朝日新聞『「ニュース女子」問題、「検証番組を」 MX番組審議会』
http://www.asahi.com/articles/ASK2Q5QZXK2QUTIL055.html
毎日新聞『MX、「ニュース女子」で番審が「再取材番組の放送を」』
https://mainichi.jp/articles/20170224/k00/00m/040/044000c
産経新聞【東京MXニュース女子問題】MXテレビをBPOに訴えた辛淑玉氏・講演要旨 「朝鮮人で女だから叩かれる」「沖縄の人は見世物にされた」「中国が日本に何をしたのか、やったのは日本です」
http://www.sankei.com/politics/news/170405/plt1704050049-n1.html
沖縄タイムスニュース女子「検証」番組*17を検証する 沖縄報道 6つの論点』
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/88556


■新聞『憲法空洞化へ突っ走る安倍政権』(阿部裕)
(内容紹介)
・日経社説『教育勅語は道徳教材に使えぬ』
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO15091960Z00C17A4EA1000/

 個々の徳目の当否以前に、天皇が臣民に説諭する「語りの構造」自体が、国民主権を原理とする現憲法になじまないことは明白だ。1948年に衆参両院が、排除や失効を決議したゆえんである。
 その意味では、学校現場を預かる松野博一文部科学相が、「道徳を教えるために教育勅語のこの部分を使ってはいけないと私が申し上げるべきではない」との認識を示したことには違和感を覚える。
 勅語は部分ではなく全体の効力を失ったと解すべきだ。道徳の教典として復活させてはいけない。

を取り上げ
「本来日経の主張は当たり前すぎるほど当たり前のことである」と指摘し 、また「日経は多くの問題で安倍政権の政策を支持していること」を批判した上で一定の評価をしている。
 阿部氏は「いかに自民支持の財界でも教育勅語肯定というあまりにも非常識な主張は海外でビジネスをしていることもあり、到底できないという考えが強いことの表れではないか」と見ている。


■文化の話題
【映画:ドキュメンタリー映画「ザ・思いやり」】(伴毅)
(内容紹介)
 米軍思いやり予算を取り上げた映画『ザ・思いやり』(https://zaomoiyari.com/)の紹介。

参考
憲法を考える映画『ザ・思いやり』
http://kenpou-eiga.com/?p=1750

 日本が負担する在日米軍の駐留経費、通称「思いやり予算」に疑問を呈した映画がこの『ザ・思いやり』です。
 この映画を制作し、監督もしているリラン・バクレーさんはアメリカ人。バクレーさん自身も、もう16年間も米軍厚木基地の飛行ルートの下に住んでいて、夜中に飛来する軍用機の爆音で子どもが飛び起きて、泣き出してしまうというような経験をしてきました。
 映画は、バクレーさんの素朴な疑問から始まります。
東日本大震災もあり、日本の経済が困難な中で、米兵の娯楽費まで日本の税金から 出している。なぜこんなに米軍を”思いや”らないといけないか?」
 在日米軍人の住宅や学校だけでなく、娯楽のためのゴルフ場、ファストフード店などに日本 の税金が支出されている状況を解き明かします。米兵が犯罪を犯したその賠償金も日本人が働いて納めた税金からでています。これって変ですよね。
 「思いやり予算」は、1978年から始まってすでに6兆円以上が税金から投じられています。米兵1人当たりに使われている金額は年間1500万円にのぼります。こうした具体的な数字を出されると、貧困と格差をこの社会に感じている私たちは正直言って納得できません。
 そうした「思いやり」をふんだんに払って、いったい何を守ってもらっているのでしょうか?

琉球新報『米軍厚遇世界に問う 映画「ザ・思いやり」 バクレー監督、不条理訴え』
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-190533.html

 日本が負担する在日米軍の駐留経費、通称・思いやり予算の疑問に挑む映画「ザ・思いやり」がこのほど完成した。米国出身の映画監督リラン・バクレーさんは、自身も米軍厚木基地(神奈川県)の飛行ルート下に住む。「東日本大震災もあり、日本の経済が困難な中で、米兵の娯楽費まで日本の税金から出している。なぜこんなに米軍を“思いや”らないといけないか」と話し、その不条理と矛盾を明らかにしている。
 映画は、在日米軍人の住宅や学校だけでなく、娯楽のためのゴルフ場、ファストフード店などに日本の税金が支出されている状況を解き明かす。カリフォルニアの街頭で米国人やインドなど世界各国の人に日本の現状を示し感想を求める。
 沖縄の米軍人住宅のビデオを、仮設住宅で暮らす石巻の被災者に見せる場面もある。充実した台所や、風呂やトイレが複数ある米軍人住宅に、被災者がため息をつく。「わしらは隣のくしゃみが聞こえるほど薄い壁の狭い仮設に住んでいるのに」というつぶやきと共に。
 沖縄在住で、思いやり予算を被災者支援に回すよう運動する山口洋子さんの活動や、辺野古新基地建設の膨大な予算なども紹介する。
 自身、16年間厚木基地近くに住み、子どもが夜中飛び起きるような爆音を体験してきた。米軍によるイラクでの無差別殺りくに衝撃を受け、なぜ日本が金を出して米軍基地を置き続けるか、疑問に思ったという。

ドキュメンタリー映画「ザ・思いやり」 米軍基地へ多額の予算… 金沢で18日に上映 /石川
https://mainichi.jp/articles/20160609/ddl/k17/040/368000c

 日本が一部を負担している在日米軍の駐留経費、いわゆる「思いやり予算」をテーマにしたドキュメンタリー映画「ザ・思いやり」の上映会が18日、金沢市武蔵町のITビジネスプラザ武蔵で開かれる。日本の税金の基地内での使われ方に焦点を当てた話題作だ。
 1978年、当時の金丸信*18防衛庁長官が「思いやりの立場で対処すべきだ」と述べ、日本が駐留経費の一部を肩代わりするようになった。
 映画は、日本在住で米国人のリラン・バクレー監督が疑問を感じ、国内外で取材して制作。基地内のゴルフ場やファストフード店などさまざまな施設に多額の税金が投じられていると批判する。アメリカの街頭で道行く人たちにインタビューし、感想を尋ねるシーンも収められている。
 企画した金沢市市民グループ「沖縄と心をつなぐ女たちの会」の森岡智恵子さん(68)は「日本の国家予算が、こういう使われ方をされていることを、特に若い人たちに知ってほしい」と話す。

*1:著書『名作の戦争論』(2008年、新日本出版社)など

*2:著書『アメリカ経済政策史:戦後「ケインズ連合」の興亡』(1996年、有斐閣)、『世界経済と企業行動:現代アメリカ経済分析序説』(2005年、大月書店)、『米国はいかにして世界経済を支配したか』(2008年、青灯社)、『オバマの経済政策とアベノミクス:日米の経済政策はなぜこうも違うのか』(2015年、学習の友社)、『新自由主義と金融覇権:現代アメリカ経済政策史』(2016年、大月書店)など

*3:いずれにせよPKOを容認する立場でも「PKOありき」の立場に立たない限り、「PKO以外の非軍事国際貢献」も当然考えてしかるべきである。

*4:ただし前衛論文によれば「明らかにPKO5原則に反する状況となった南スーダンですら詭弁で居直ろうとした安倍政権」では「PKO5原則に反する状況になった場合、あまりにもリスキー過ぎる」ため「安倍政権が提案するPKO」は「自衛隊海外派兵、PKOを容認する立場」でも「全て否定的立場に立つべし(肯定するのはPKO5原則の否定に等しく、無責任である)」「安倍政権が下野し、よりまともな政権にならない限り、自衛隊員の命を危険にさらすことになるので自衛隊PKOなど認められない(つまり当面はPKOは全て否定すべき)」というのが共産党の考えのようである。一理ある考えだと個人的には思う。

*5:専修大学教授。日本ペンクラブ・言論表現委員長。著書『3・11とメディア:徹底検証 新聞・テレビ・WEBは何をどう伝えたか』(2013年、トランスビュー)、『放送法と権力』、『見張塔からずっと:政権とメディアの8年』(以上、2016年、田畑書店)など

*6:著書『学力と新自由主義』(2009年、大月書店)、『品川の学校で何が起こっているのか:学校選択制・小中一貫校・教育改革フロンティアの実像』(2010年、花伝社)、『危機のなかの教育』(2012年、新日本出版社)、『保育園でいま何が起こっているのか:品川版<保育改革>・待機児対策の現実』(2014年、花伝社)、『道徳性の教育をどう進めるか:道徳の「教科化」批判』(2015年、新日本出版社)など

*7:著書『教育の新しい探究』(2009年、新日本出版社)、『いじめ解決の政治学』(2013年、新日本出版社)、『教育委員会改革の展望』(2015年、新日本出版社

*8:著書『ドイツの労働時間と法』(1998年、日本評論社)、『人権保障と労働法』(2008年、日本評論社)、『労働法の復権』(2016年、日本評論社)など

*9:著書『築地市場豊洲移転?』(共著、2017年、本の泉社)

*10:日本共産党参院議員。党福島県委員会常任委員

*11:日本共産党三重県

*12:全国霊感商法対策弁護士連絡会全国弁連)事務局長。著書『カルト宗教のトラブル対策』(2000年、教育史料出版会)、『Q&A宗教トラブル110番:しのびよるカルト(第3版)』(共著、2015年、民事法研究会)、『検証・統一教会=家庭連合:霊感商法・世界平和統一家庭連合の実態』(2017年、緑風出版)など

*13:名称変更を文化庁が認めたこと(今の安倍政権時代)について、山口氏は「森友同様、安倍首相の圧力ではないのか」と疑念を表明している。

*14:第二次安倍改造、第三次安倍内閣文科大臣政務官

*15:著書『「カルト」を問い直す:信教の自由というリスク』(2006年、中公新書ラクレ)、『霊と金:スピリチュアル・ビジネスの構造』(2009年、新潮新書)、『統一教会』(共著、2010年、北海道大学出版会)など

*16:著書『失敗しないネットショッピング』(2002年、岩波アクティブ新書)、『Q&A宗教トラブル110番:しのびよるカルト(第3版)』(共著、2015年、民事法研究会)、『決定版 マインド・コントロール』(2017年、アスコム)など

*17:なお、さすがにMXはここまで酷い「自称検証番組」は放送しておらず今後独自に製作、放送するとしている。

*18:田中内閣建設相、三木内閣国土庁長官福田内閣防衛庁長官自民党国対委員長(大平総裁時代)、総務会長、幹事長(中曽根総裁時代)、副総裁(宮沢総裁時代)を歴任