今日の産経ニュース(7/1分)(追記・訂正あり)

■【ニュースの深層中核派元幹部、雪山で不明3カ月
http://www.sankei.com/premium/news/170701/prm1707010012-n1.html

 新潟で今年3月、元中核派幹部が山スキーに出かけたまま行方不明になっていることが公安当局の調べで分かった。元幹部は政治局員や成田空港反対闘争責任者という要職にあり、筆者の取材対象だったが、平成19年に除名され、その後は中核派を批判する本*1を出版していた。
(中略)
 行方不明になっているのは岸宏一氏*2(69)。3月26日午後4時20分ごろ、谷川連峰西方の東谷山(ひがしやさん、新潟県湯沢町、標高1553メートル)で遭難したと、連絡を受けた宿泊先が110番通報した。
 県警によると、岸氏はこの日午前6時半ごろ、日帰りの予定で東谷山に山スキーに出かけ、午後3時半ごろ、宿泊先に「道に迷った」と電話した後、連絡が取れなくなった。
(中略)
 生存は絶望的だ。知人らが今月25日、東京都内で「遭難報告会」を開く。

 まあ「中核派に対する世間の注目が低い今」、「中核派公安警察」「岸氏のご家族や友人知人」はともかく、我々一般人にとっては正直どうでもいいニュースです。行方不明も「中核派による暗殺」などという物騒なもんではなく、ただの事故のようですし。

 県警は岸氏を東京都新宿区西早稲田に住む会社員と発表しているが、元中核派の“闘士”でもある。

 中核派内ゲバ事件ならともかくただの遭難事故で「元中核派」と発表する必要もないですからね。

 岸氏は中核派中央と関西反中央派の両方を批判する第3の立場に立ち、平成27年には、一緒に除名された元政治局員とともに『革共同政治局の敗北1975〜2014 あるいは中核派の崩壊』(白順社)という450ページ近い本を出版した。
 過激派に興味のない読者には難解な書物だが、要するに、昭和50年に革マル派に殺害された本多延嘉書記長の方針は良かったが、今の清水丈夫議長らは駄目だ−という内容だ。

 「昔は良かったが今はダメだという内容」って要約しすぎですよね(苦笑)。まあ詳しく説明しても中核派関係者以外には無意味な気もしますし、「単に中核派が罵倒できればそれで御の字」の産経記者には詳しく説明する意欲もないでしょうが。

 昨年出版された小林哲夫著『反安保法制・反原発運動で出現−シニア左翼とは何か』(朝日新書)で、取材に対しこうも語っていた。
 「50人近く殺しておいて、はたして、その後、公党として承認されるのだろうか」
 されるわけないだろ、と言うしかない。

 産経はいつもながらふざけています。先ず第一にこの岸氏の発言は反語でしょう。
 「承認されない」というのが岸氏の結論の訳です。
 岸氏の結論が
1)承認されないから中核派は解散すべきだ、か
2)解散しなくてもいいが承認されるように過去を真剣に反省すべきだ、かはともかく。
 そう言う反省に罵声を浴びせるなんてふざけています。第二に故人に罵声を浴びせて何か意味があるのか。
 なお、小林哲夫著『反安保法制・反原発運動で出現−シニア左翼とは何か』(朝日新書)については
■『シニア左翼とは何か』『国会前練習帳』 昨年の「反安保運動」振り返る出版続く
https://www.j-cast.com/trend/2016/05/10266253.html?p=all
を紹介しておきましょう。

https://www.j-cast.com/trend/2016/05/10266253.html?p=all
 2015年夏の安保法反対運動を振り返った本が、このところ立て続けに出版されている。『反安保法制・反原発運動で出現――シニア左翼とは何か』(朝日新聞出版、2016年3月30日刊)や『一度は行ってみたい人の国会前練習帳』(三五館、2016年5月6日刊)だ。
 『シニア左翼とは何か』の著者、小林哲夫さんは1960年生まれの教育ジャーナリスト。『ニッポンの大学』*3『東大合格高校盛衰史』*4などのほか、2012年には『高校紛争 1969-1970:「闘争」の歴史と証言』(中公新書)を出版しており、往年の活動家の消息に詳しい。
 そんな小林さんが、安保法に反対する人が集まる国会前に行ってみて気づいたのは、「SEALDsなどの若者よりも、実際には年寄りが多い」ことだった。「60年安保や全共闘世代が戻ってきている」と感じ、再取材したのが本書だ。かつてデモに行ったり、逮捕されたりしたことがあるシニア世代が実名で取材に応じ、多数登場している。
 たとえば新開純也さん。60年安保当時は京都大学教養学部自治会委員長だった。しばらく「関西ブント」で活動していたが、70年代に運動を離れ、菓子チェーン*5に就職。最終的には社長にまで上り詰めた。そこでは政治とは無縁だったが、第一次安倍政権の登場で危機感を覚え、集会などに参加するようになったという。
(中略)
 『国会前練習帳』の著者、白井健さんは1946年生まれの元朝日新聞記者だ。初任地の群馬では「大久保清連続殺人事件」や「連合赤軍事件」、東京の社会部では警視庁で殺人事件などを担当した。
 安保法案には反対だったことや、マスコミで「SEALDs」の活動などが派手に報じられたことに刺激を受けて国会前集会に顔を出すようになった。「現場」の熱気に昔の事件記者魂がうずいたのかもしれない。連日通ってブログで「報告」を書く。海外に住む友人からも「読んでいる」と反響があった。
 本書は昨年8月から9月20日までの、そのブログをまとめたものだ。「練習帳」というタイトルが示すように、「役立つ国会周辺マップ」や「私のデモスタイル」などというイラストも掲載され、初めて国会前集会やデモに行く人のガイドブックにもなるように工夫されている。
 『シニア左翼』はクールな観察者の分析、『国会前練習帳』は実際に参加したシニアの熱気あふれる体験的現場リポートだ。ともに筆者は熟年・シニア世代。


■【歴史戦】「慰安婦像は政治問題」説明が急務 米2例目の設置で教訓 地元に「反日」の狙い伝わらず
http://www.sankei.com/world/news/170701/wor1707010041-n1.html
 まあ慰安婦銅像は「反・戦前日本」ではありえても「戦前日本を今の日本が反省してる」のなら反日ではあり得ませんからね。「反日だ」なんて批判に説得力がないのは当然です。
 「え、あんたら河野談話慰安婦問題を反省したんじゃなかったの?。日韓合意でも河野談話を引き継ぐって言ったんじゃないの?」つう反応しか来ない。
 大体、慰安婦銅像反日なら原爆ドームは反米、ホロコースト記念館は反ドイツになってしまう。

 米国で慰安婦像を設置する表面上の大義は、人身売買の根絶を訴えるもので、その裏にある「反日」は市議らにはなかなか伝わらない。

 チベットウイグル問題での産経らウヨの態度が

表面上の大義は、民族問題の解決を訴えるもので、その裏には「反中国」

だからこういう事を書くんでしょうが「表面上も何もそれは本心」でしょう。

日韓合意で韓国政府はソウルの日本大使館前の歩道に設置されている慰安婦像の移動に努力することを約束。

 その辺りは「日本の懸念に配慮して問題解決に努める」つう「すごく曖昧な文章」で「移動に努力」とは書いてなかったと思います。大体「努力するだけ」だし慰安婦当事者や支援者を無視して勝手に撤去するわけにもいかないでしょう。

大使や総領事の一時帰国や日韓ハイレベル経済協議の延期などの原因となった

 勝手に日本政府が吹き上がっただけですが。「銅像撤去しなきゃ報復」つうならそれこそ「ダライと政府高官が会ったら報復」の中国を批判なんかできません。


■【東京都議選】公明・山口那津男代表、最後の訴え詳報「共産党憲法を語る資格ない」
http://www.sankei.com/politics/news/170701/plt1707010040-n1.html
 公明党の非難など支持はしませんが

米軍横田基地(東京都福生市など)の軍民共用化を含む東京都予算が44年ぶりに都議会の全会一致で承認されたこと

には「あれ?」という思いはあります。共産党は軍民共用化には反対していたのではなかったのか。
 まあ、とはいえ、現在の都議会で一番まともなのは共産党だと思うので俺が都民なら共産党に投票しますが。


■【東京都議選】週末のアキバ騒然…安倍晋三首相の演説中、反対派が「やめろ」と絶叫 首相は「こんな人たちに負けるわけにいかない!」 「森友学園」の籠池泰典前理事長の姿も
http://www.sankei.com/politics/news/170701/plt1707010048-n1.html
 都議選の敗戦責任問題*6を逃れるため、また内心では小池に考えが近く「都民ファーストが勝っても構わない」と思っているため、あるいは森友や加計疑惑で野次が飛ぶのを恐れてか「増田元岩手県知事を自民が擁立した都知事選(小池が勝利)」や「橋下維新と対決した大阪府・市長選(維新が勝利)」で安倍がろくに自民候補を応援しなかったように今回も何もしないかと思っていたので意外です。
 今回ばかりは「中央の不祥事が明らかに都議選に影響してる」が故に安倍も「自民都議がどうなろうと知ったことか」という無責任な態度はとれなかったのでしょう。
 それにしても、いつもながら安倍ってけつの穴が小さいんだなと。そこは「あのような批判もあるようですが、ご理解頂けるように頑張ります」とか「口先だけでも言った方」が自らの余裕がアピールできて、いいんじゃないか。安倍みたいに露骨に敵視しても何もどうにもならない。安倍の同類が「そうだ!」と同調するだけの話です。

 日の丸の小旗を手にした安倍政権支持派の一団

 完全に右翼ですね(苦笑)。


■韓国議長、大島理森*7衆院議長に大放言 「平昌五輪、日本人観光客少なかったら東京五輪に1人も行かせない」「日本企業は韓国の若者を引き受けろ」
http://www.sankei.com/politics/news/170701/plt1707010002-n1.html
  実にアンチ韓国の産経らしいですね。
 「平昌五輪、日本人観光客少なかったら東京五輪に1人も行かせない」というのはあくまでも冗談でしょう(勿論あまり上品な冗談ではなく国会議長発言として適切か疑問ですが)。単に「平昌五輪に、日本人観光客が沢山来るように日本政府にもそれなりの対応をして欲しい」つうだけの話です。
 「日本企業は韓国の若者を引き受けろ」という記事タイトルは完全にデマですね。
本文ではさすがに

「日本は景気がいいのだから、査証(ビザ)を簡素化して、韓国の若者を日本企業で引き受けてほしい」

と普通に書いていますが、この発言は是非はともかく放言でも何でもないでしょう。
 また

 歴史問題にも言及し、先の大戦で旧日本軍の兵士・軍属として終戦を迎え、いわゆる「BC級戦犯」とされた韓国人への戦後補償についても「ちゃんとやってほしい」と取り組みを求めた。

というのも重要な発言です。

丁氏*8は、その後に安倍晋三首相を表敬訪問した際にはこうした問題は持ち出さなかった

 要するに「安倍にそんな事言ったって無駄で下手したらその場でマジギレしかねない」と思われてるのでしょう。

 外務省関係者によると、日本側に事前に国際常識から外れた要求をしてきたという。
 韓国の文喜相*9(ムンヒサン)大統領特使が5月18日に安倍首相を表敬訪問したときには、首相が座った椅子が文氏の椅子とデザインが異なり、若干大きかった。これを気にした丁氏サイドが「首相と韓国議長の椅子を同じものにしてほしい」と要請してきたため、丁氏表敬時には同型の椅子を用意した。

 「イスの大きさを同じにして欲しい」程度の話のどの辺りが外交常識に反してるのかよく分かりません。産経の言いがかりじゃないか。

*1:著書『革共同政治局の敗北1975〜2014:あるいは中核派の崩壊』(2015年、白順社)のこと

*2:「岸宏一」でググると「第一次安倍、福田内閣厚労副大臣」を務めた同姓同名の別人がヒットします。

*3:2007年、講談社現代新書

*4:2009年、朝日親書

*5:ググったところ株式会社タカラブネのこと。なお、タカラブネは2003年に民事再生法を申請し事実上倒産。スイートガーデン(http://www.sweetgarden.co.jp/sgweb/sweetgarden/)に社名を改めて経営再建し、現在は不二家の子会社。

*6:自民の議席減は世論調査からほぼ確実でしょう。

*7:村山内閣環境庁長官森内閣文相(科学技術庁長官兼務)、小泉内閣農水相自民党国対委員長(第一次安倍、福田、麻生総裁時代)、幹事長、副総裁(谷垣総裁時代)を経て衆院議長

*8:盧武鉉政権で産業資源相

*9:金大中政権大統領府政務首席、盧武鉉政権大統領秘書室長、政務特別補佐官、国会副議長など歴任