今日の産経ニュース(7/2分)ほか(追記・訂正あり)

朝日新聞『「ロヒンギャ問題調査団にビザ出すな」 スーチー氏指示』
http://www.asahi.com/articles/ASK7154RDK71UHBI00W.html

 ミャンマー西部ラカイン州で少数派イスラム教徒ロヒンギャへの人権侵害が報告されている問題で、アウンサンスーチー国家顧問が、国連人権理事会が派遣を予定している調査団に入国ビザを出さないよう指示したことが明らかになった。

 スーチーの民主主義が多数派民族に基盤を置くもので、「少数民族を受け入れる形の民主主義ではない」ということが最悪の形で露呈してしまったとは言えるでしょう。とはいえ「スーチーにかわる人物が民主勢力に見あたりそうにない」つうのが頭の痛いところです。下手にスーチー批判すると軍部を利する危険性がある。
 なお、これでわかるように「多数派民族が少数民族を差別してるとき」、民主化は必ずしも少数民族に有利には働きません。もちろん「だから独裁でいい」つう話ではありません。
 例えば中国の少数民族問題(チベットウイグル)で「民主化すれば問題解決」みたいに言うのは間違ってると言う話です。
 民族問題解決と民主化は必ずしも直結しない。


【ここから産経です】
那覇市議選が告示 翁長知事のお膝元、過半数めぐり攻防
http://www.sankei.com/west/news/170702/wst1707020069-n1.html
 何とか翁長与党(共産、社民、民進、沖縄社大党)に勝利して欲しいもんです。


■【月刊正論8月号】鼻血の「福島の真実」は問題作 美味しんぼ原作者の雁屋哲さん グルメ漫画で庶民を断罪して悦に入る? 中宮崇*1
http://www.sankei.com/premium/news/170702/prm1707020007-n1.html
 「福島の真実」には批判的な小生ですが、とはいえ中宮の無茶苦茶な物言いは到底黙認できません。

 雁屋氏に限らずサヨク諸氏にはマッキントッシュのユーザーが多いらしく

 雁屋氏がマック愛用者であることは当人も認めてる事実ですが「左翼に使用者が多い」つう根拠何なんですかね?。たぶん口から出任せでしょうが。
 なお、小生個人は凡人なので、特にこだわりもなく、普通にウィンドウズを使っていますが、何を使うかは個人の価値観にすぎないと思っています。どっちが正しいという話ではない。パソコンにどう言った機能を求めるか、どこまでパソコンに出費できるかなどという問題もあるでしょう。

 第76巻に収録された「中華と中国」である。  
 この話は、山岡の上司である小泉局長が中国の要人*2を「支那そば屋」に連れて行ってしまったことから発生したトラブルを描いている。中国の要人は「支那」という言葉を見て無礼であると怒りまくり、東西新聞社自体が未曾有の危機に見舞われる。

 まあ美味しんぼ読んでれば分かりますが全然未曾有の危機じゃない。山岡も小泉局長も誰もそこまで深刻とは思ってない。むろん「仕事でつきあいがある偉いさん」を怒らせることはいいことではないですが

「金上鋭(極亜テレビ社長)による東西新聞社乗っ取り計画→乗っ取りが失敗すると誹謗中傷計画*3

なんかのほうがよほど未曾有の危機でした。

「最近、支那は蔑称ではないと主張して、中国を支那と公の場で呼ぶ政治家や物書きが増えてきた。幼稚で未成熟でみっともないね」
 そればかりか、山岡は中松警部という警察権力まで介入させ、なんとその「支那そば」の看板を「ラーメン」の看板に替えさせるのだ。雁屋氏が激しく批判してやまない朝鮮人の「創氏改名」もビックリの横暴である。  

 中宮は事実捏造も甚だしいですね。
 中松警部が登場するのも、「店主と友人関係にある中松警部」が店主に看板書き換えを求めるのも事実ですが、それは「警察権力介入」なんておおげさなもんではないことは原作を読めば一発で分かります。中宮記事の読者が「美味しんぼを読まないで中宮記事を信用する」と読者を中宮がバカにしてるとしか思えません。
 設定としては
1)中松警部が店主を昔のあだ名である「チョロピン」で何度も呼びつける
2)店主が「そのあだ名で呼ぶのは辞めてくれと前から言ってるじゃないですか。当人の気持ちが一番大事じゃないんですか?」と抗議
3)中松警部が「だったらお前も中国の方の気持ちを考えてシナそばを中華ソバかラーメンに改めろよ」と逆ねじ
という設定ですのでね。
 こうした中松警部の言動をどう評価するにせよ、これは別に警察権力介入じゃないでしょう。
 しかし「中国側が嫌がっている言葉『シナ』を無理して使う理由が何処にあるのか、それは嫌がらせではないのか」「そもそもは差別的意味はないというならジャップだってそうだ。ジャップ使用にも賛成するのか」などという雁屋氏ら「シナ使用反対派」の主張の本筋には何ら反論しない辺り実に中宮は無様です。

 『美味しんぼ』を愛したかつての読者が「グルメ以外の変なこだわりは止めて、昔に戻ってくれ!」と強く言い続ければ、かつての名作は「政治的に偏ったおかしな漫画*4」として朽ち果てていくのではなく、読者の心を癒やす漫画として再生するはずである。 

 意味がわからないですね。当初から美味しんぼは雁屋氏なりの政治的思い入れの入ったマンガ*5であり、是非はともかく「最近、政治性が強まった」わけではまったくありません。読者の多くはそうした政治性をむしろ好意的に評価し、あるいは好意的に評価しないまでも中宮のようには敵視しないで読んできたわけです、
 大体、「美味しんぼ」(1983年から連載)以前の「男組」(1974〜1979年)、「男大空」(1980〜1982年)、「野望の王国」(1977〜1982年)とか政治性の強い*6作品をどう理解してるんですかね。もしかして知らないのか。
 また「グルメ的こだわりならいい」という中宮ですが

 混じり物だらけの安酒を楽しむ庶民を「日本の酒飲みって最低ね」(第4巻「酒の効用」)、「つくづく日本の酒飲みがなさけなくなったね……」(第18巻「ドライビールの秘密〈前編〉」)、「日本の酒飲みも地に落ちたものさ」(第18巻「ドライビールの秘密〈後編〉」)などと馬鹿にしているのだ。  

つう「中宮の雁屋氏非難」はその「グルメ的こだわりならいい」という中宮の物言いと矛盾しないのか(もちろん第4巻は中宮の言う「昔」の作品です)。
 結局「グルメ的こだわり」であっても「日本酒の安酒は質を落としすぎてまずいと思う」「ドライビールはまずいと思う」などという「中宮が気にくわない物言い」なら雁屋氏に向かって「安酒愛好者に、ドライビール愛好者に失礼だ」などと言い出すのだから中宮には理屈も何もありません。
 単に「雁屋は俺を不愉快にするようなこと書くな」といってるのにすぎない。


■日本・カザフ、防衛覚書署名へ 旧ソ連中央アジアで初 中国の影響力増大にくさび
http://www.sankei.com/politics/news/170702/plt1707020008-n1.html
 こうした覚書の是非はひとまずおきます。
 いずれにせよ「中国の影響力増大にくさび」なんてのは馬鹿げています。そんなくさびになるわけがない。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM08HC7_Y7A600C1000000/
日経新聞『中国とカザフ、協力強化で一致 習氏「永遠の良き隣国」 』
 中国の習近平国家主席は8日、上海協力機構(SCO)首脳会議出席のため訪問中のカザフスタン首都アスタナで同国のナザルバエフ*7大統領と会談し、両国の協力関係をさらに強化することで一致した。中国外務省が明らかにした。

のわけですからね。


■兵庫知事選、午前11時現在の投票率は8・13%
http://www.sankei.com/west/news/170702/wst1707020031-n1.html
 投票率が前回を下回ってるそうなので静岡県知事選(6/25投開票)で溝口紀子*8が現職に敗北したのと同様、現職勝利の可能性が強そうです(追記:予想通り、現職が勝利しました)。
 まあ、現職は「自民、公明、民進、社民、連合の支持」ですからねえ。勝谷誠彦みたいなデマカセ放言して恥じないクズが間違って当選するのよりはマシですがいい加減、こういう「現職の無風選挙でおまけに長期政権(現職が当選すると5期目)」というのは何とかならないモノか。


■【兵庫県知事選】「ゲバラの気分…だけど俺は負けた」と泣き笑い 勝谷誠彦氏が敗戦の弁
http://www.sankei.com/west/news/170702/wst1707020073-n1.html
 極右のくせにゲバラとか言う理由が全く分かりません。

敗因については「分からない。兵庫にはものすごく暗い地下水脈があって、それには及ばなかった」と話し

 もちろん相乗り選挙による組織票の壁はあるでしょう。しかしそれ以前に「多選反対」以外に勝谷にまともな政治スローガンがあったのか。


■【新聞に喝!】一関係者として切望する (ボーガス注:加計学園)文書問題は瑣末、ゆがめられた高等教育全体こそ報じよ 京大霊長類研教授・正高信男*9
http://www.sankei.com/column/news/170702/clm1707020007-n1.html
 「些末な問題にこだわるな」で産経や正高が安倍を擁護したいことは分かりますがまあ無駄な努力でしょう。それにしても正高がここまで安倍をかばうのはやはり彼が右翼だからでしょうか。


■【加計学園問題】岸博幸*10・慶大院教授インタビュー 「加計学園問題は改革つぶし」「前川は官僚のクズ*11
http://www.sankei.com/premium/news/170702/prm1707020009-n1.html
 まあ、この種の安倍御用文化人を呼んで「安倍総理は正しい」「前川はクズだ」といったところで何の説得力もありません。むしろ野党の要求に応じて前川氏本人や前川氏が「総理の意向を伝えてきた」という和泉首相補佐官や木曽元内閣官房参与でも証人喚問した方がよろしい。真に前川氏の主張に道理がなければそうすることに何の問題もない。岸も「前川氏や木曽氏、和泉氏を証人喚問すべきだ」というべきでしょう。なお、少なくとも前川氏は「証人喚問に応じる用意がある」と公言しています。
 もちろん岸はそんな事は言わずただ安倍を擁護し、前川氏を非難するだけであり、その時点で岸の本性は見え透いています。岸らのこうした詭弁も功を奏さず、加計疑惑によって安倍の支持率はかなり落ち込んでいます。
 そもそもウィキペ「岸博幸」によればこの岸氏、

・2001年(平成13年)の第1次小泉内閣発足を機に、竹中経済財政政策担当大臣補佐官に就任。2002年からは竹中金融担当大臣補佐官兼務。2004年以降は竹中経済財政政策担当・郵政民営化担当大臣政務担当秘書官に就任。竹中の側近として、情報通信政策や郵政民営化などに携わる。

というほど竹中平蔵*12とは親密な関係にあり、その竹中は今現在、安倍首相によって政府審議会「未来投資会議*13」「国家戦略特区諮問会議」の議員の地位にあります。
 「岸が安倍をかばうこと」は「安倍に政府ブレーンとして重用されている竹中」にとってはありがたいことであり、一方、竹中は岸にとって「岸を重用してくれた」恩人です。岸の安倍擁護理由は「恩人・竹中の利益を計り、それによって竹中から岸がさらに何らかのメリットを得るためのモノではないのか」と疑わざるを得ません。


■【主張】香港返還20年 一国二制度の原点に返れ
http://www.sankei.com/column/news/170702/clm1707020002-n1.html
 産経ですら「一国二制度の原点に返れ」と書いても「香港独立」とは書かないわけです。

*1:著書『天晴れ!筑紫哲也NEWS23』(2006年、文春新書)など

*2:一応お断りしておけば中国メディア業界の要人であり、政府要人ではありません。また「シナという用語に否定的なのは中国(中華人民共和国)の人間だけではない」という雁屋氏の理解から、このマンガには「台湾の要人(こちらもメディア業界の要人)」も登場し、中国の要人同様、憤慨します。

*3:ただしその誹謗中傷が事実捏造の域に達したため、東西新聞グループ、帝都新聞グループ、「週刊タイム(「究極対至高」の料理対決を掲載している週刊誌)」による批判報道によってかえって金上が失脚する。

*4:俺が「福島の真実」を批判してるのは酷い事実誤認だと思うからです。事実に立脚している限り、政治的偏りなどどうでもいいことです。嫌なら読まなければいい。

*5:毎回、政治ネタがあるわけではありませんが

*6:もちろん雁屋氏なりに題材を料理しそれなりの娯楽性がありますが。

*7:カザフスタン共産党第一書記などを経て、1991年からカザフスタン大統領。

*8:バルセロナ五輪女子柔道52キロ級銀メダル。

*9:著書『0歳児がことばを獲得するとき:行動学からのアプローチ』(1993年、中公新書)、『老いはこうしてつくられる:こころとからだの加齢変化』(2000年、中公新書)、『子どもはことばをからだで覚える:メロディから意味の世界へ』(2001年、中公新書)など

*10:著書『ネット帝国主義と日本の敗北』(2010年、幻冬舎新書)、『アマゾン、アップルが日本を蝕む』(2011年、PHPビジネス新書)など

*11:「前川氏の主張は間違ってる」レベルにとどめておけば未だ説得力もあるだろうに「クズ」呼ばわりです。前川氏が「内心はともかく」外見はそれなりの冷静さを保っているのとは偉い違いです。人格攻撃すると説得力がなくなると思いますが。

*12:著書『大変化:経済学が教える二〇二〇年の日本と世界』(2015年、PHP新書)、『世界大変動と日本の復活』(2016年、講談社プラスアルファ新書)、『第4次産業革命! 日本経済をこう変える』(2017年、PHPビジネス新書)など

*13:産業競争力会議が発展的解消したもの。竹中は産業力競争会議時代から審議会議員。