今日の産経ニュース(7/3分)ほか(追記・訂正あり)

朝日新聞『内閣支持38%、不支持42%下回る 朝日新聞世論調査
http://www.asahi.com/articles/ASK727TS4K72UZPS005.html
 まあ小生に言わせればまだまだ高いですし誤差もあり得ますが、それにしても「不支持>支持」「支持率30%台突入」のわけです。
 同業他社も軒並み「不支持>支持」傾向ですし、都議選敗戦結果は「都連の責任」で逃げられる状況じゃない。
 正直「嬉しい反面」何故「こうなった?」感はあります。
 安倍が森友・加計疑惑や稲田失言であそこまでふざけた態度をとった理由は勿論安倍の「歪んだ性格」もありますが、「小渕優子経産相政治資金規正法違反疑惑」「甘利経済財政担当相のUR疑惑」「麻生副総理・財務相ナチス暴言」など過去の不祥事がうやむや*1になったことで国民とマスコミを舐めてたというのもあるでしょう。
 「甘利、小渕や麻生ら」と「森友・加計疑惑や稲田失言」の違いがよくわかりませんが、「景気回復の実感がない今」、いい加減安倍を頭に乗らせることにうんざりしてきたと言う事でしょうか?


【ここから産経です】
与那国島への陸自配備から1年余 島民に溶け込む自衛隊 国境の砦に「活気」と「安心」もたらす「地域のために 地域とともに」
http://www.sankei.com/premium/news/170703/prm1707030009-n1.html
 政府与党、防衛省自衛隊はともかく、率直な話、与那国島島民も「中国の脅威」なんか感じてないでしょう。

 与那国空港売店員、東崎原都さん(41)は「島がより住み心地良くなった。台風などで災害に見舞われても自衛隊が近くに居てくれるから安心で頼もしい」と話した。
(中略)
 経済効果をみれば、現在も自衛隊関連施設建設に携わる作業員約100人らによる「特需」で宿泊施設や商店などが潤う
(中略)
 与那国町の外間守吉*2町長(67)はこう語る。
 「自衛隊員と家族、子供たちを迎え、島が元気で明るい雰囲気になった。町の税収も増えて財政に大きく寄与している」
 終戦直後の島は台湾との密輸*3で活況を呈し、人口は1万2000人を数えた。しかし人口は減少を続け、28年2月末には1490人に落ち込んだ。それが陸自配備に伴って隊員と家族ら計約250人が転入し、29年2月末には1715人になった。自衛隊関係者が人口の約15%を占め、約9年ぶりに1700人台に回復。約4000万円の住民税が新たな収入となった。
 4月1日現在の町内の小中学校5校の全児童・生徒数は168人で隊員の子供は25人(14.9%)に達する。このうち最多の17人が通学する与那国小は28年度から、異なる学年が一緒に学ぶ「複式学級」が約10年ぶりに解消され、学校統廃合の危機を脱した。
 与那国小の早田実校長(57)は「授業への取り組みが充実し、学校が活性化された。自衛隊員のお子さんたちと地元の児童たちは和気あいあいと学び、遊んでいる」と、元気な声が響く放課後の校庭に目を細める。
(中略)
 自衛隊の町財政への貢献は、税収増だけにとどまらない。与那国町は、町有地である駐屯地の賃貸料(年間約1500万円)を財源として、26年度から小中学校・幼稚園の給食無償化を実現させた。
(中略)
 駐屯地敷地内には8月にも体育館が完成し、町民にも時間を設けて開放する方針*4。さらに建設中の運動場も、町の要請を受けて国際競技大会基準に合致する規格にする計画だという。
(中略)
 陸自誘致を主導した糸数健一・前町議会議長(63)は「国防の最前線で規律ある自衛隊と共存共栄を図っていきたい。人口増で購買力はアップしたが、町のさらなる発展への起爆剤にしなければ」と訴える。

 「災害支援」「好景気」「税収増」「人口増」「学校統廃合阻止」「給食無償化」「駐屯地内体育館の町民への無償(?)開放」。
 見事なまでに「中国の脅威なんて話は何一つ出てこない」。産経ですらそんな言葉を町民から引き出せなかったわけです。
 自衛隊が誘致賛成派に支持されてる理由はそんな事ではなく、「災害支援*5」を除けば、ほとんど「カネの問題」のわけです。正直、島に来るのは自衛隊でなくてもいい。金になりさえすれば工場でもリゾート施設でも何でもいい。しかし問題は「今のところ自衛隊しか来てくれなかった」ということです。
 実はウィキペディア『外間守吉』にも、その辺りのことは

 2013年3月20日に面会した左藤章*6防衛大臣政務官に対し、外間町長は「基地設置の迷惑料」の名目で、日本政府に10億円を要求した。外間は10億円の根拠として2012年の予算に与那国島自衛隊用地取得調査費用の名目で10億円が計上されていることを挙げ、島民は10億円全てが島に入ると思っており金額面で一切妥協は出来ないとした。政府側は、計上した予算10億円は調査費用を含めた総額であり、そのうち地代は1億円程度を見込んでいるとし、10億円の要求には国民への説明が果たせないので応じられないと回答した。これに対し、外間は「要求に見合わない額なら私は島民から『裏切り者』扱いされる。強い姿勢で交渉していきたい」と強調、現状提示の金額では基地の設置には応じられず、交渉が決裂してもやむなしとした。これを受けて防衛省は他の島への基地建設の検討に入った。そのため迷惑料10億円は撤回されるに至ったが、引き続き自衛隊側にはゴミ処理施設などの最大限の金銭的協力を求めていく立場を崩していない。

と書いてあります。本当に「中国の脅威」が自衛隊誘致理由ならこういう町長発言は出てこない。
 そして「10億出せと言うなら他の島にする」という自衛隊の態度がブラフでない限り、「与那国島への自衛隊設置が地政学上不可避ではないこと」もわかります。

 与那国町では「陸自配備反対」の声もすっかり消えつつある。6月28日には鳩山由紀夫*7元首相(70)が島内で講演し「南西諸島に自衛隊は要らない」「中国の脅威はない」と説いたが、少数の反対派*8以外からは見向きもされなかった。

 産経の言うように反対派が少数派だとしても、勿論それは「一部の反中国極右を除けば」、自衛隊誘致賛成派島民にとって、単に「確かに中国の脅威はないかもしれんけど自衛隊がなくなったら自衛隊特需がなくなる。反対派はカネの問題をどうしてくれるのか。ワシの飯のタネをどうしてくれるんや?」つう話にすぎません。さすがに「とにかく飯が食えないから自衛隊を置いてくれ、与那国島を攻める国があるかどうか、中国の脅威が事実かどうか、国の国防政策がどうあるべきかなんか、関係ないんや」とは言えないから誘致賛成派は「中国の脅威」という話にのっかってるだけです。
 この辺りなかなか難しい。「カネが全てか」といっても喧嘩にしかならないし、とはいえ「こうすれば金になります」つうのもなかなか簡単には出しづらい。個人的には「観光でうまくいかないのか」と思いますが今のところはうまくいってないんでしょう。
 裏返せば「選挙で翁長*9県知事を支持してる層」のかなりの部分は「米軍基地がない方が米軍基地跡地開発でむしろ食えると思ってる層」のわけです。


慰安婦著書「捏造」 著者の中央大名誉教授の敗訴確定
http://www.sankei.com/affairs/news/170703/afr1707030025-n1.html
 「菅元首相の安倍に対する敗訴」同様、日本の司法が「権力(安倍政権)に迎合して」死亡したとしか言いようがない判決ですね。詭弁と屁理屈でしかあり得ない判決ですから。
 正直、危惧はしていたのですが、まさかここまで酷い判決を出すとは思っても見ませんでした。
 もはや「行政訴訟で政府敗訴判決を出す気は裁判所にはないのではないか」「首相の友人知人には敗訴判決を(以下略)」などと疑いたくなる酷さです。安倍が退陣すれば少しはマシになるんでしょうか。
 とは言え産経記事も書いていますが、ここまでアクロバットな詭弁判決を出すに当たって

東京高裁は「吉見氏の著書が捏造だと述べた発言と認定できない」*10

として「吉見氏の本は確かに捏造」とはできなかった事、「そもそも吉見氏の本は捏造とは非難されてない*11」としたこと*12には注意が必要でしょう。
 確かに「維新のチンピラ桜内が捏造呼ばわりしたのは吉見氏でない。自分への非難だと吉見氏が理解したのは誤認識だ*13」とすれば「そもそも吉見氏に対する名誉毀損がない」のだから確かに吉見氏は敗訴するでしょう。もちろんこの裁判所の理屈だと「そもそも吉見氏は捏造呼ばわりされてない」のだからこの維新・桜内勝訴は「吉見氏の捏造」の証明には全く成りません。
 まあ桜内の方はそう言う事は無視して「俺が吉見に勝った」とデマるだけでしょうが(ただそれでも「安倍政権に終わりが見えた今」こんな詭弁判決が今後も踏襲される保障は当然ながらないので、桜内がある程度利口なら吉見誹謗は自重するでしょうが。再審でない限り、確定判決が出た事件は争えませんが、「今後桜内が同様の誹謗をすれば」もちろん新たに別事件として名誉毀損裁判は起こせます)。
 しかしどんだけ安倍を恐れてるのか知りませんが、あまり無茶苦茶な判決を出すと司法に対する信頼がなくなると思いますけどね。そういうことはこの種の裁判官にとってはどうでもいいのか。
 そのうち「南京事件はなかった」とか言う判決まで出す気なのか、と皮肉も言いたくなります。まあ、安倍に終わりが見えた今、こんな詭弁判決はこれで打ち止めにして欲しいですが。安倍以前はここまで判決は酷くはなかったかと思います。
 まだ光華寮訴訟での政治的配慮(日中関係は重要)なら分からないでもないですけどね。こんなん「政治的配慮=歴史修正主義への荷担=政府見解・河野談話に反する行為」ですからね。配慮なんて単に不正、不道徳への荷担じゃないですか。しかも光華寮訴訟と違って法律理論(国際法理論)を駆使してるわけでなくて常識レベルで論破できる詭弁ですからね。ちなみに単なる偶然かも知れませんが「政治的配慮が疑われる」光華寮訴訟最高裁判決(台湾の事実上の敗訴)の時は第一次安倍政権です。

参考

■光華寮訴訟(ウィキペ参照)
 光華寮は、戦前の京都帝国大学が中国人留学生のために賃借した学生寮を、1950年ころ、中華民国駐日代表団(日華平和条約発効後は中華民国駐日大使館)が購入したものである。1965年ころ、文化大革命をめぐって寮生間に対立が発生し、中華民国(台湾)当局が、寮の管理に問題が生じたとして、1967年9月6日、中国人留学生の寮生8名を被告として、立退き(土地・建物の明渡し)を求める訴えを京都地方裁判所に提起した。訴え提起時の訴状は、原告の表示を「中華民国」、原告の代表者を「中華民国駐日本国特命全権大使」と表示していた。
 第1審途中の1972年9月29日、日中共同声明により、日本が中華民国(台湾)との国交を断絶し、中華人民共和国を「中国の唯一の合法政府」として承認したことから、国有財産の承継などの国際法上の争点が浮上した。
 裁判は、第1審(1977年、京都地裁、台湾敗訴)→控訴審(1982年、大阪高裁、原判決破棄差戻し、台湾勝訴)→差戻し後第1審(1986年、京都地裁、台湾勝訴)→差戻し後控訴審(1987年、大阪高裁、台湾勝訴)→上告審と経過する。
 最高裁判所は、上告審を長年塩漬け状態にしていたが、2007年に入って突如として審理を再開し、2007年3月27日、上告から20年ぶりに判決を出した。最高裁は、本件訴訟の原告は「中国国家」であるとの判断を示した上で、日中共同声明によって原告当事者が中華人民共和国に移った時点で訴訟手続は中断し、訴訟承継の手続をすべきだったという理由から、35年前に立ち戻って訴訟承継させ、第1審から審理をやり直すよう命じる判決をする(原判決を破棄し、第1審判決を取り消して、第1審の京都地裁に差し戻した。台湾の事実上の敗訴。)。
・2007年(平成19年)4月2日、中華民国(台湾)の黄志芳外交部長は、日本の対台湾窓口機関、財団法人交流協会台北事務所の池田維代表を呼び、最高裁判決について「台湾としてまったく受け入れられず、極めて遺憾だ」と抗議した。
 また、2007年(平成19年)4月3日、被上告人(原告・台湾)代理人弁護団(小田滋、畑口紘、庭山正一郎、金子憲康)が都内で記者会見を開き、「国際法上の知識及び歴史上の事実認識への理解を全く欠如した内容に、驚きを禁じえない」などとする反論声明を発表した。元国際司法裁判所裁判官の小田弁護士は、「きわめて残念であり、司法のためにも誠に遺憾である」と表明、意見書提出期限の延期を最高裁に拒否されたことに関連して「(上告から)20年近く放置された事件について、なぜこのように急ぐのか」「(ボーガス注:日本政府や与党、外務省の要請など)何らかの政治的配慮があったのではないかと、邪推もしたくなる」と痛烈に批判した。


■新麻生派の名称は「志公会」 正式に合流 59人参加で自民第2派閥に 会長に麻生太郎*14副総理
http://www.sankei.com/politics/news/170703/plt1707030071-n1.html

 高村正彦*15副総裁や山東昭子*16参院副議長、甘利明*17前経済再生担当相、佐藤勉*18衆院議院運営委員長

などが派閥の幹部あるいは中心人物のようです。
 都議選惨敗後の新派閥結成は単なる偶然ですが「都議選惨敗後」であるがゆえに「ポスト安倍の動き」という性格を持ってしまっているわけです。正直「安倍よりマシ」とはいえ麻生などノーサンキューですし、麻生に首相としての復権の目があるか分かりませんが。
 岸田外相、谷垣*19元幹事長、石破*20元幹事長、石原*21元幹事長といったポスト安倍有力候補とされる面子もそうやすやすと麻生の復権を許す気もないでしょう。

*1:とはいえ甘利や小渕優子の場合は大臣辞任に追い込まれていますが。

*2:石垣島与那国島を結ぶフェリーを運航している合資会社福山海運代表社員与那国町議会議長を経て町長。

*3:密輸など今はできないとは言え「中国や台湾との交易で島おこしができないのだろうか」とは思います。

*4:もちろんこうした行為は「町民を懐柔し、自衛隊駐屯を支持させるためのあめ玉」であり単なる善意ではありません。

*5:勿論これも中国の脅威には関係ありませんし、カネ同様、生活に密着した問題です。

*6:第二次安倍内閣防衛大臣政務官、防衛副大臣を歴任。

*7:新党さきがけ代表幹事、細川内閣官房副長官民主党幹事長(小沢代表時代)などを経て首相

*8:まあデマ常習産経の言うことなので、「カネで自衛隊誘致賛成派に転ぶ人間は勿論いるでしょうが」この辺り本当に産経が言うほど少数派なのか、何とも評価できませんが。

*9:那覇市議、沖縄県議、那覇市長を経て沖縄県知事

*10:「そんな馬鹿な話があるか」という話です。

*11:「じゃあ誰が捏造呼ばわりされたんだ?」ですね。酷い詭弁です。

*12:詳しくは書いてないものの産経が「吉見氏の著書が捏造だと述べた発言と認定できない」という明らかな判決の詭弁に触れたことが興味深い。この辺りごまかすかと思っていました。

*13:そんな事は誰が考えてもあり得ませんが。「研究者の吉見氏」「吉見弁護団」というまともな知的能力の持ち主に向かって「まともな知的能力がない」と侮辱してるに等しい酷い詭弁です。そしてこんな詭弁が本気で世間に認められると思ってるのか。司法の自殺行為でしかないでしょう。

*14:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを経て首相。現在、第二次、第三次安倍内閣副総理・財務相

*15:村山内閣経済企画庁長官、小渕内閣外相、森内閣法相、第一次安倍内閣防衛相など歴任

*16:海部内閣で科学技術庁長官

*17:小渕内閣労働相、第一次安倍、福田内閣経産相麻生内閣規制改革担当相、自民党政調会長(第二次安倍総裁時代)、第二次、第三次安倍内閣経済財政担当相など歴任

*18:麻生内閣国家公安委員長総務相自民党国対委員長(第二次安倍総裁時代)などを歴任

*19:小泉内閣国家公安委員長財務相自民党政調会長(福田総裁時代)、福田内閣国交相、第二次安倍内閣法相、自民党幹事長(第二次安倍総裁時代)など歴任

*20:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*21:小泉内閣国交相自民党政調会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相を経て第三次安倍内閣経済財政担当相