今日の産経ニュース(9/26分)(追記・訂正あり)

■過去の橋下氏発言後の対応理由に…米SF市の慰安婦像設置再検討決議、自公大阪市議団が反対…否決へ
http://www.sankei.com/west/news/170926/wst1709260114-n1.html
 さすがの自公も「大阪の自公」はこんなことで「サンフランシスコ市」に喧嘩を売るようなまねをしたらマジでやばいと判断できるくらいの常識はあるようです(勿論言うまでもなく共産は反対です)。安倍がどう思ってるのかはよく分かりません。
 安倍だと「何故反対する」と思ってる疑いがある。


■【正論】杉原千畝*1は有名なのに…樋口季一郎*2中将はなぜ忘却されたのか 新潟県立大学教授・袴田茂樹*3
http://www.sankei.com/column/news/170926/clm1709260007-n1.html

 それは「将軍=軍国主義=反人道主義」「諜報機関=悪」といった戦後パターン化した認識があるからではないか。

 ばかばかしい。
 先ず第一に杉原だって有名になったのは割と最近です。

・1985年(昭和60年)
 イスラエル政府より、多くのユダヤ人の命を救出した功績で日本人では初で唯一の「諸国民の中の正義の人」として「ヤド・バシェム賞」を受賞。
・1990年(平成2年)
 杉原の妻・幸子の著書『六千人の命のビザ』(朝日ソノラマ)の初版刊行。
・1991年(平成3年)
 リトアニア政府のランズベルギス最高会議議長は、杉原の功績を讚えるため、首都ヴィリニュスの通りの一つを「スギハラ通り」と命名
 また鈴木宗男*4・海部*5内閣外務政務次官が幸子夫人を招き、「杉原副領事の人道的かつ勇気ある判断を高く評価し、杉原副領事の行動を日本人として誇りに思っている」とし、併せて、半世紀にわたり外務省と杉原副領事の家族との間で意思の疎通を欠いていた無礼を謝罪した。
・1992年(平成4年)
 杉原の妻・幸子の著書『六千人の命のビザ』にもとづくドラマ『命のビザ』が、フジテレビ系列で放映。加藤剛(杉原)と秋吉久美子*6(杉原の妻)の演技で、日本中で「杉原千畝」の名前が知られる。
 第123回国会衆議院予算委員会第二分科会において、草川昭三*7議員(公明党)の質問に対して、兵藤長雄*8・外務省欧亜局長は、「確かに訓命違反、その時の服務命令の次元で考えればそうであったけれども、しかしもっと大きな次元で考えれば、数千人の人命を救うかどうかという、より大きな問題がそこにかかわっていたということで、結果的に見れば我々もこの話は美談だったというふうに今見るわけでございます」と、確かに「訓命違反」ではあるが、「数千人の人命を救うかどうかという、より大きな問題」があったとして、切迫した状況における杉原の判断を支持した。
・2000年(平成12年)
 杉原の生誕百周年に当たり、杉原の業績をたたえる顕彰プレートが外務省外交史料館に設置される。
 河野洋平*9・森*10内閣外務大臣の顕彰演説によって、日本国政府による公式の名誉回復がなされた。
 岐阜県八百津町杉原千畝記念館が設立された。
・2001年(平成13年)
 母校の早稲田大学の構内に記念碑が建立される。
 東京タワーの蝋人形館に杉原千畝像が設置される。
・2005年(平成17年)
 反町隆史(杉原)と飯島直子(杉原の妻)を主演とした『日本のシンドラー杉原千畝物語 六千人の命のビザ』が、「終戦60周年記念ドラマ」として読売テレビ系列で放送される。
・2007年(平成19年)
 今上天皇・皇后夫妻がリトアニア杉原千畝の記念碑を訪問。
・2012年(平成24年
 来日したリトアニアのクビリウス首相が野田佳彦*11首相に「故杉原氏がユダヤ人を助けたことはリトアニアの日本理解に大きな影響を与えている」と述べる。
・2015年(平成27年
 東宝映画『杉原千畝』(杉原役は唐沢寿明)が公開された。
・2016年(平成28年
 杉原終焉の地である鎌倉市議会で、「人道的行為を尽くされた杉原千畝さんを顕彰することに関する決議」が全会一致で可決。
(ウィキペ「杉原千畝」参照)

という形で1990年以降次第に杉原は有名になっていくわけです。
 第二にウィキペ「樋口季一郎」にも書いてありますが

 ドイツへの外交的配慮からか多数の難民の殺到に関する公的文書は残されておらず、一説には二万人のユダヤ系難民が救われたとも伝えられていたが、二万人という数字は樋口の回顧録の誤植から流布したものであり、樋口自身の原稿では「彼ら(ユダヤ人)の何千人が例の満洲里駅西方のオトボールに詰めかけ、入満を希望した」と書き記されていたものが、芙蓉書房版の『回想録』にある数字では「二万人」に変わっており、これが難民の実数検証に混乱をきたす原因になっていると早坂隆*12の著書『指揮官の決断 満州とアッツの将軍 樋口季一郎』(2010年、文春新書)によって指摘されている。
 「二万人」説を唱えているのは、『流氷の海』(1973年、光人社→後に2010年、光人社NF文庫)の作者・相良俊輔*13などに限られ、現実には累計でも五千人程度であったのではないかと早坂は記している。

ですからねえ。樋口が「ユダヤ人救出」とやらで、何をしたのかは正直よく分からない部分が非常に多いわけです。一方、杉原の方は公的文書が残っており、「何をしたのか」がかなり正確に分かるわけです。
 第三に杉原は「訓令違反」として処分される悲劇を味わいますが、樋口はそうではなかったわけです。「悲劇の人」に注目が集まるのはある意味当然でしょう。判官贔屓という奴です。

*1:満洲国外交部政務局ロシア科長、カナウス(リトアニア)領事代理など歴任

*2:ハルピン特務機関長、第九師団(石川県金沢市)師団長、第五方面軍(北海道)司令官など歴任

*3:著書『現代ロシアを読み解く』(2002年、ちくま新書)など

*4:橋本内閣北海道・沖縄開発庁長官、小渕内閣官房副長官など歴任

*5:福田、中曽根内閣文相を経て首相。また首相退任後、新進党党首を務めた。

*6:平成8年に映画『深い河』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞

*7:公明党国会対策委員長参議院議員会長、副代表などを歴任

*8:外務省欧亜局長、ポーランド大使、ベルギー大使など歴任

*9:中曽根内閣科学技術庁長官、宮沢内閣官房長官、村山、小渕、森内閣外相、衆院議長を歴任

*10:中曽根内閣文相、自民党政調会長(宮沢総裁時代)、宮沢内閣通産相、村山内閣建設相、自民党総務会長(橋本総裁時代)、幹事長(小渕総裁時代)などを経て首相

*11:鳩山内閣財務副大臣菅内閣財務相、首相、民進党幹事長(蓮舫代表時代)を経て民進党最高顧問

*12:著書『ルーマニア・マンホール生活者たちの記録』(2010年、中公文庫)、『戦時演芸慰問団 「わらわし隊」の記録:芸人たちが見た日中戦争』(2010年、中公文庫)、『松井石根南京事件の真実』(2011年、文春新書)、『永田鉄山:昭和陸軍「運命の男」』(2015年、文春新書)など

*13:著書『赤い夕陽の満州野が原に:鬼才河本大作の生涯』(1995年、光人社NF文庫)、『悲劇の艦長 西田正雄大佐:戦艦「比叡」自沈の真相』(2016年、光人社NF文庫)など