今日の産経ニュース(11/19分)(追記・修正あり)

■【紅い統一工作(中)】習政権、台湾孤立へシフト 札束外交で友好国奪取 独立派への暴力「よくやった」
http://www.sankei.com/world/news/171119/wor1711190013-n1.html

 11月12日、中国国営新華社通信傘下の中国紙、参考消息の電子版に短いニュースが掲載された。
 〈中国がドミニカ共和国に8・2億ドルを投資し、水力発電所などを建設する〉
 たったそれだけの記事だったが、台湾の外交関係者は大きな衝撃を受けた。
 「北京の新しい外交攻勢が始まった」。
 習近平*1政権は昨年から、台湾と外交関係のある国を奪い取り、国際社会から蔡英文政権を孤立させる工作をはじめた。
 今年6月には長年の友好国パナマが、中国に奪われた。今や、台湾が外交関係を持つ国は20カ国*2しか残っていない。ドミニカ共和国はその一つだ。
 「次はドミニカではないか」。
 警戒する台湾は、7月に外交部長(外相に相当)の李大維を、8月と10月に外交部次長(外務次官)の劉徳立を、相次いでドミニカに派遣。10月下旬には、ドミニカの国防相を台湾に招待し、総額3500万ドルの軍用物資を提供することで双方が合意したばかりだった。
 「最近3、4カ月、中国側に目立った動きがなかったので安心していたのだが…。今思えば、共産党大会とトランプ訪中の準備をしていただけかもしれない」
 台湾の外交関係者がつぶやいた。
 台湾にとって、8億ドルはとうてい払える金額ではない。巻き返す手立てはない。
 「ドミニカと中国の国交樹立は時間の問題だ…」。
 外交関係者が顔を曇らせた。

 そもそも馬英九*3総統時代にはこういうことがなかったことを考えれば問題は蔡英文にあるといわざるを得ません。蔡が「中国が悪い」など、どう言い訳しようと中国との関係を悪化させた蔡の外交失策というべきでしょう。
 なお、こうした中国の行為は「独立論に好意的態度をとり続け、馬前政権の中台外交継承に否定的な蔡への牽制」であってそれ自体は統一を目指すもんではありません。「独立宣言を阻止するためのもの」と見るべきでしょう。

 米中首脳会談後、中国外務省の外務次官、鄭沢光は中国メディアに対し「トランプが会談で、一つの中国政策を継続すると表明した」と語った。大統領当選直後、「一つの中国政策」を疑問視したトランプだが、すっかり中国に丸め込まれてしまった。

 丸め込まれるも何もトランプの場合、考えなしに放言してるだけでしょうからねえ。
 国内(共和党民主党、財界など)や国外(もちろん中国含む)から「米中国交樹立後、歴代政権が継承してる政策『一つの中国』をそう簡単に変えることなんかできない」「米中関係が悪化した場合の対策はどうするのか」などと責められればまともに対応できず前例踏襲になるのは予想できました。

台北を中国の一都市にしようとする試みだ」「中国の統一戦線は受け入れない」
 9月24日、台北台湾大学の運動場に設置されたステージ周辺は、抗議に詰めかけた百人を超す学生や「台湾独立」派の怒号で異様な雰囲気に包まれた。中国・上海市との交流の一環で行われた、中国の歌謡オーディション番組「中国新歌声」の収録現場。激高した学生らがステージになだれ込み、収録は中止となった。だが、騒動は、対抗する中年の男らが現れて4人を棒で殴りつけ、1人が流血する事態に発展した。
 男らは、中国との統一を掲げる政治団体「中華統一促進党」の構成員だ。中国の国旗「五星紅旗」を堂々と掲げ、日本統治時代の銅像やこま犬を破壊するなどの違法行為も平然と行う。一部が「黒道(やくざ)」であることは周知の事実。「党総裁」の張安楽(69)自身が暴力団「竹聯幇*4」の元構成員で、中国で逃亡生活を送ったことがある。張安楽は事件翌日、メディアの前に姿を現し、「よくやった」と暴力を正当化した。

 暴力が良くないというなら「殴り込みをかけて番組収録を中止させた暴力学生」だって問題でしょうに、「独立派の暴力はきれいな暴力」なのだから産経には呆れます。
 また台湾右翼について「暴力団」云々いう産経ですが、「住吉会系列の日本青年社」など日本ウヨのかなりの部分が暴力団系であることは産経的にはどう理解されてるのか。
 いずれにせよこうした台湾ウヨに中国政府が資金提供してるのならともかくそうでないなら中国政府には関係ない話です。

 シンガー・ソングライター、張穆庭(38)は3月、政治団体「民生党」を発足させた。統一を目指す理由を「経済のため」と断言する。張穆庭によれば、与党、民主進歩党も野党、中国国民党も大企業重視で、労働者や若者向けの政策を打ち出していない。
「台湾経済は中国大陸に頼らなければ立ちゆかない。台湾独立を主張して腹一杯になるなら、独立を主張しますよ」

 張の指摘は重要でしょう。「統一しないと経済がやっていけない」とは俺は思いません。
 ただ一方で「中国と敵対しては経済はやっていけない」「だから独立宣言なんかできるわけがない」のもまた事実です。

*1:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*2:ウィキペディアによれば、キリバスソロモン諸島、ツバル、パラオマーシャル諸島ナウル(以上、オセアニア)、スワジランドブルキナファソ(以上、アフリカ)、エルサルバドルグアテマラ、セントクリストファー・ネービス、セントビンセントおよびグレナディーン諸島ドミニカ共和国ニカラグア、ハイチ、パラグアイベリーズホンジュラスセントルシア(以上、南米)、バチカン(以上、ヨーロッパ)

*3:連戦内閣法相、台北市長などを経て台湾総統

*4:四海幇、天道盟とともに三大暴力団の一角を占める。