今日の産経ニュース(1/6分)(追記・修正あり)

明治維新150年 西郷隆盛の関連本が刊行ラッシュ
http://www.sankei.com/life/news/180106/lif1801060051-n1.html
 産経が紹介している本のうち、歴史学者の著書である家近良樹*1西郷隆盛』(2017年、ミネルヴァ日本評伝選)以外は「ただの大河ドラマ便乗本じゃないのか」という、信用性という意味でちょっと読む気にならないですね(海音寺潮五郎西郷隆盛』、司馬遼太郎『翔ぶがごとく』といった小説は話がまた別ですが。ここでしてるのは研究書などノンフィクション限定です)。
 まあ、それはともかく、西郷一人だけ注目しても、西郷は解らないのであって、「征韓論論争」「大久保利通」などいろいろな物との関係で見ることが重要だと思いますね。
 しかし安倍政権で日韓関係が悪い中で「征韓論者のドラマ」て韓国側に挑発行為と疑われても文句は言えない気が。
 それとも「無謀な西郷の征韓論を大久保や木戸が阻止しました」つう描き方にするのか。まあそれでも大久保らの征韓反対論って「時期尚早」にすぎないから後に彼らは「江華島事件」という「征韓論的軍事行動」をとるわけですが。
 いずれにせよ、安倍のごり押しかもしれませんが、この時期に西郷ってのは無神経でしょう。
 もう本当に「期限切れつうか視聴率も最近は必ずしも高くないし、大河はやめたらどうか」とすら思います。

 家近良樹・大阪経済大客員教授による評伝「西郷隆盛」(ミネルヴァ書房)は、特に健康状態に着目して西郷の政治行動を読み解き、従来のイメージとは逆に神経が細かく人の好悪が激しいという等身大の西郷像を描く。

 「神経が細かいかどうか」はともかく、小生は以前から「西郷は大久保と比べて人の好悪が激しい」と思ってますけどねえ。それは島津斉彬・久光兄弟との関係です。
 時代劇、時代小説、漫画(みなもと太郎風雲児たち』など)などでも描かれていますが、西郷という人間は島津斉彬には忠実だった。しかし久光とは馬が合わず一時は流罪にされるわけです。
 どう見ても人の好悪が激しい。いかに馬が合わないとはいえ、久光は一応「西郷の人事権を握ってる」上司であり「事実上の薩摩藩主」です。その上司にすら公然と対決し、久光に面と向かってはさすがに言わない*2物の、大久保相手には「斉彬様に比べたら久光様は格が落ちる」などというような人間なら当然ながら「同僚や部下に対する態度はなおさらだ」と見るべきでしょう。
 一方、大久保という人間は内心はどうであれ、そのあたりうまくやっていくわけです。
 「仲がいい人間とはどこまでも親密になるが、馬が合わないと露骨に毛嫌いしけんか腰になる」のが西郷で「仲が良くなっても西郷に比べると素っ気ないが、西郷と違い、馬が合わなくても『露骨に毛嫌いするようなこと』はなく、それなりにつきあってくれる」のが大久保でしょう。
 部下として仕えるなら「馬が合えば西郷がいい」でしょうが「馬が合わない」のなら大久保の方がいい。まあ馬が合う保証はどこにもないですから大久保の方が無難ですかねえ。まあ、大久保は大久保で威圧感がすごく、西郷とは別の意味で「ある意味恐ろしい人間だった」ようですが。

 近代日本における最大のカリスマではないか

 まあ人気があるという意味ではそうかもしれませんが、実務能力という意味では征韓論に反対した大久保とかの方が上じゃないか。
 何というか「西郷=毛沢東」「大久保=劉少奇周恩来トウ小平といった実務能力組」「征韓論=ある意味、文革並の無謀行為」という印象がありますですね。

参考

島津久光ウィキペディア参照)
・精忠組の中心であった西郷隆盛とは終生反りが合わず、文久2年(1862年)の率兵上京時には、西郷が無断で上坂したのを責めて遠島処分(徳之島、のち沖永良部島に配流)にし、藩内有志の嘆願により元治元年(1864年)に西郷を赦免する際も、渋々の赦免だったため、苦渋の余りくわえていた銀のキセルの吸い口に歯形を残したなどの逸話があるように、のちのちまで両者のあいだには齟齬があった。

大久保利通ウィキペディア参照)
・面と向かって大久保に意見できる人間は少なかったと言う。桐野利秋も大久保に対してまともに話ができなかったので、大酒を飲んで酔っ払った上で意見しようとしたが、大久保に一瞥されただけでその気迫に呑まれ、すぐに引き下がったといわれる。


■核軍縮合意全壊の恐れも ゴルバチョフソ連大統領が警告 中距離核戦力廃棄条約巡り
http://www.sankei.com/world/news/180106/wor1801060018-n1.html
 「トランプは最悪だな」としかいいようがないですね。先に違反したのはロシアだという説もあるようですが、だからといって「じゃあ俺も対抗措置で違反するわ(トランプ)」なんて許されることじゃない。
 つうかヒラリー大統領だったらそういう無茶苦茶は米国政府はしなかったんじゃないか。
 いやそれ以前に「ロシアが先に違反した」のだとしても、ロシアも「違反しなかった」んじゃないか。
 「どうせトランプは『なら俺も合意なんか無視する』と言い出すだろうからそれで俺の違反行為をうやむやにできる」とでもロシアは思ってたんじゃないか。
 正直この件ではどっちが先に違反したにせよ「私は今後も守る、だからあんたも違反行為をやめろ」と冷静に追及された方が痛かったでしょう。「お前が違反するなら俺も違反する」なんて策としては最悪です。


■【日韓合意検証発表】岸田文雄政調会長、日韓合意検証「韓国内の問題」と切り捨て
http://www.sankei.com/politics/news/180106/plt1801060009-n1.html
 所詮安倍の子分ですからこういうことしか言わないでしょう。これが「宮澤喜一*3加藤紘一*4河野洋平*5らいわゆる自民党リベラル」の流れをくむ派閥の長というのだからげんなりします。「勝手に言ってろ」で済む話はもはやないんですが。


■【プロ野球】「闘将」「燃える男」星野仙一*6が死去 70歳
http://www.sankei.com/west/news/180106/wst1801060019-n1.html
 70歳の死去は今の日本では早死にでしょう。「選手に対する鉄拳制裁、暴力イメージ」があって正直彼にいい印象がないですがご冥福をお祈りします。


■【プロ野球】「絶対あきらめない」…抜群の人心掌握術でマスコミも味方につけた星野仙一
http://www.sankei.com/west/news/180106/wst1801060020-n1.html

 口うるさい「虎番記者」を味方につけることも忘れなかった。2月の春季キャンプの期間中、毎日のようにチーム宿舎で担当記者を招いての朝食会を開き、チームづくりや選手起用に関する自身の考えを披露した。
 シーズン開幕後の遠征先でも、しばしばティータイムを一緒に過ごす「茶飲み会」を開催。いつの間にか「星野組」とも言える与党メディアグループを形成していった。東京のホテルで開かれたある茶飲み会でのこと。星野氏は「みんな昼食どうや。俺はオムライス」と出席していた担当記者に呼びかけた。記者が注文したのは、全員残らず「オムライス」。10人以上がそろってオムライスを食べる光景は異様だが、星野氏と違うメニューを注文できる雰囲気ではなかった。

 プロ野球監督に過ぎない星野レベルならそれでもいいかもしれない。
 問題は「政治家、官僚、財界人」だのといった批判しなければいけない相手でも日本のマスコミ記者は「この種のなれ合いがあるのではないか」ということです。つうか、あるんでしょうけど。


■【産経抄】「なりたい職業」不人気だが…子供が政治に夢が抱ける社会であってほしい 1月6日
http://www.sankei.com/column/news/180106/clm1801060002-n1.html

 「末は博士か大臣か」。
 かつてはごく日常的に使われ、昭和38年上映の映画のタイトルともなったこの言葉は、とっくに死語と化したと思っていた。ところが、第一生命保険が4日発表した「大人になったらなりたい職業」の調査結果で、男の子では15年ぶりに「学者・博士」が1位となった。
(中略)
 もっとも、「博士」は人気でも「大臣」は男女ともベスト10圏外で、政治家の不人気ぶりがうかがえる。それも無理もない。テレビドラマに登場する政治家は、たいてい国民は二の次という利権屋で、裏で悪いことをしてカネを集めるワルと相場が決まっている。

 これで加計森友疑惑批判など自民党批判をしない当たり「さすが自民党応援団産経」です。もちろん褒めてません。

政治家の実像を知るはずのマスコミも、その仕事の中身を報じるよりも醜聞探しに熱心である。

 おいおいですね。「竹下*7内閣時のリクルート疑惑*8」「橋本*9派(当時)の日歯連疑惑*10」「甘利*11元経済財政担当相のUR疑惑」「安倍の加計森友疑惑」など政治家の不正が追及されるのは当たり前の話です。
 まあ産経のように「蓮舫*12民進党代表の二重国籍ガー」などと言って醜聞でも何でも無いことを醜聞にでっち上げようとするのは論外ですが。


■中国、インドでチベット難民をスパイ勧誘 アプリ通じ報酬も提示
http://www.sankei.com/world/news/180106/wor1801060001-n1.html
 もしかしたら本当にそういうことをしているのかもしれませんが

産経新聞の取材にインド政府高官が証言した。実際にスパイ活動が行われていたかは不明。
・報酬も提示していたが具体的な金額は明らかになっていない。

というのでは具体性がなさ過ぎて説得力は皆無です。「その高官って誰なんだよ?」「まーたいつもの飛ばし記事、ガセネタじゃねえの?」といわれても仕方ないでしょう。
 正体不明の怪人を持ち出して「対馬が危ない」「佐渡が危ない」「北海道が危ない」などのデマ記事を量産してきた産経の自業自得です。

*1:著書『幕末政治と倒幕運動』(1995年、吉川弘文館)、『浦上キリシタン流配事件:キリスト教解禁への道』(1998年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)、『幕末の朝廷:若き孝明帝と鷹司関白』(2007年、中公叢書)、『西郷隆盛と幕末維新の政局』(2011年、ミネルヴァ書房)、『徳川慶喜』(2014年、吉川弘文館人物叢書)、『江戸幕府崩壊:孝明天皇と「一会桑」』(2014年、講談社学術文庫)、『その後の慶喜:大正まで生きた将軍』(2017年、ちくま文庫)、『西郷隆盛』(2017年、NHK出版新書)など

*2:とはいえ西郷は大久保と違い、性格が顔に出る人間だったようなので、久光も西郷の考えはある程度解るし当然不快になるわけです。「久光の側近」大久保という親友がいなければ西郷の立場も正直危うかったでしょう。

*3:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相

*4:中曽根内閣防衛庁長官、宮澤内閣官房長官自民党政調会長(河野総裁時代)、幹事長(橋本総裁時代)を歴任

*5:中曽根内閣科学技術庁長官、宮澤内閣官房長官、村山、小渕、森内閣外相、衆院議長を歴任

*6:中日ドラゴンズ投手(1969〜1982年)。投手引退後、中日ドラゴンズ監督(1987〜1991年、1996〜2001年)、阪神タイガース監督(2002〜2003年)、北京五輪日本代表監督(2008年)、東北楽天ゴールデンイーグルス監督(2011〜2014年)など歴任。2017年に野球殿堂入り。

*7:佐藤、田中内閣官房長官、三木内閣建設相、大平、中曽根内閣蔵相、自民党幹事長(中曽根総裁時代)を経て首相

*8:中曽根元首相、竹下首相、安倍幹事長、宮澤蔵相らの名前が浮上したが、政界からの起訴は藤波元官房長官にとどまった。なお、この疑惑では自民党幹部連のほとんどの名前が浮上したため、首相の目があるとは思われていなかった宇野氏、海部氏が首相に就任している。

*9:大平内閣厚生相、中曽根内閣運輸相、海部内閣蔵相、村山内閣通産相などを経て首相

*10:村岡兼造官房長官(橋本内閣)が起訴され有罪判決が下ったが、「灰色高官として名前が浮上した」橋本元首相、野中元官房長官小渕内閣)、青木元官房長官(小渕、森内閣)にはろくに捜査が行われなかったため「橋本派傍流の村岡氏に全てを押しつけることで検察が主流の橋本氏らをかばったのではないか」という検察批判が起こった。

*11:小渕内閣労働相、第一次安倍、福田内閣経産相麻生内閣規制改革担当相、自民党政調会長(第二次安倍総裁時代)、第二次、第三次安倍内閣経済財政担当相など歴任。「安倍に重用されてきた」経歴を見れば解るように安倍の類友政治家の一人。

*12:菅、野田内閣行政刷新担当相、民進党代表代行(岡田代表時代)、民進党代表を歴任