今日の産経ニュース(2/9分)(追記・修正あり)

竹島でのアシカ猟支出計算書見つかる 猟への課税や竹島使用料など行政権行使していた重要な証拠
http://www.sankei.com/west/news/180209/wst1802090096-n1.html
 これが明治初期ならまだしも「昭和14年」ですからね(苦笑)。
 「昭和初期の竹島研究」の材料にはなっても、「1905年の竹島編入は日本の侵略」つう韓国への反論には全くなりません。韓国も「1905年以降の日本による竹島実効支配」は否定していませんので(ただし韓国の主張では「1905年以降の日本による竹島実効支配」は「日本の侵略、植民地支配の一環」です)。


■【台湾地震】台湾、支援受け入れめぐり日中差 「謝絶」された中国が反発、日本にも抗議
http://www.sankei.com/world/news/180209/wor1802090038-n1.html

 日本政府は8日、安倍晋三首相の見舞い文を窓口機関を通じ台湾に伝達した。首相官邸がサイトで公表した文面は当初、あて先が「蔡英文総統閣下」と肩書・敬称付きで表記された。
(中略)
 これに対し、中国外務省の耿爽報道官は9日、「『一つの中国』原則に反し極めて不満だ」と述べ、日本に抗議したことを明らかにした。「総統」の表記は台湾を国家として認めるもので、「台湾は中国の一部だ」とする中国の主張に反するという論理だ。官邸のサイトでは現在、あて先が削除されている。中国の抗議に対応したとみられる。

 まあ安倍も産経の希望する「毅然とした態度」なんかとらないわけです。

 中国政府の申し出に、蔡政権は「海外の援助は必要ない」(大陸委員会)と謝絶。総統府は日本チーム受け入れの理由は「台湾より高性能な生命探知機があり例外だ」と説明している。

 まあ詭弁でしょうね。つうか震災という重大問題を前に「中国は嫌いだから受け入れない、日本は大好きだから受け入れる」なんてことをやる蔡英文ははっきり言ってバカでしょう。


鳩山由紀夫元首相、米プリンストン大で講演 中国脅威論を否定 「習近平*1主席の言葉を信じるべきだ」
http://www.sankei.com/world/news/180209/wor1802090015-n1.html
 まあ公然と「習は嘘をついてる」なんて罵倒するわけにも行きませんからねえ。

 尖閣諸島沖縄県石垣市)について、「日本が実効支配している小さな島々を中国が奪うことは、中国に利益をもたらさないのであり得ない。領土問題は棚に上げておけばよい」と主張した。

 小生も全く同感ですね。そもそも、長年、自民党政権は棚上げしてきたわけです。とはいえ、尖閣問題をもめごとにしたのは、鳩山政権時の船長逮捕であることを「何だかなあ?」とは思いますが。 


■【外交安保取材】「南京」が「天安門」となってブーメラン ユネスコ「世界の記憶」で中露に逆風
http://www.sankei.com/premium/news/180209/prm1802090008-n1.html
 まあ馬鹿馬鹿しいですね。逆風なんて吹いてないでしょうがそれはさておき。
 「南京事件が記憶遺産登録」されて日本的に何か困ることがあるのか。正直産経のような「事件否定論のデマゴーグ」を除けば何も困ることはない。
 南京事件の存在は日本政府も公式に認めてるし、国際的にも「松井石根南京事件当時、中支那方面軍司令官)の死刑」によって東京裁判で片がついてる。歴史学的にもまともな人間は否定論なんか唱えない。あの「河野談話否定」「産経・正論大賞受賞」秦郁彦*2ですら、笠原十九司*3に比べたら推定犠牲者数が少ないとはいえ実在説です。
 「記憶遺産登録」されたからといってそれで中国が「日本政府は南京事件否定論に好意的態度をとるな」以外に要求することも何もない。
 結局「まともな日本人」なら「登録は日本人としてあまり愉快ではないが、事件は実際にあったし、こうした負の歴史について過去にも記憶遺産に登録されたことがあるのだから仕方が無い」つう評価にしかならないでしょう。

 中国は2015年に登録された「南京大虐殺文書」でユネスコを対日批判の場として利用した

 安倍が南京事件否定論に好意的だからこうした登録が「対日批判」になるだけで、安倍でない田中角栄だの大平正芳だのなら何ら対日批判にはならない。田中や大平なら安倍のように登録に悪口することもなかったでしょう。
 そもそも安倍が南京事件否定論に好意的だからこそカウンターとしてこういう登録の動きが出てくるわけです。

1989年に民主化運動を武力弾圧した天安門事件を世界の記憶に登録しようとする動きが出てきており、一転して守勢に回っている。

 守勢てのは産経の主観でしかありません。「日本政府が公式にその存在を認め、国際的にも東京裁判で片がついてる南京事件」と「そうではない天安門事件」ではぜんぜん話が違うでしょう。
 つうか「中国がそういうこと(南京事件登録申請)するなら、天安門事件で嫌がらせし返してやる」という話しかできないあたり産経も全く気が狂ってます。

 「南京大虐殺文書」は資料が開示されることなく、その信憑(しんぴょう)性に疑いがあるまま「世界の記憶」に登録されたいわくつきの文書

 というのは産経が勝手に言ってるだけです。つうかそうやってユネスコをおとしめると「日本の世界遺産登録って学問的にまともなの?。ユネスコを金で操ってるんじゃないの?」つう批判が出かねないことに気づかないあたりさすが産経です。

 日本政府は日中韓の民間団体などが2017年の審査に申請していた慰安婦問題の関連資料が登録されることを阻止すべく、さまざまなキャンペーンを展開したが、最大の課題は関係国が意見の表明もできないまま不透明な手続きで登録が決まってしまうユネスコの制度改善だった。

 いやー普通に考えて「南京事件慰安婦の登録申請」で「それらの非を公式には認めてるはずの日本」が反対するとかユネスコも想定してないでしょう。

 ユネスコ執行委員会でまとめられた「さらなる政治的緊張を避けるよう求める」決議は、その直後に行われた2017年分の審査にも影響し、慰安婦関連資料の登録は見送られた。

 こうした決議を「日本の安倍政権など歴史修正主義者を有利にする不当な決議だ」と思うか、はたまた「話し合いで問題を解決した上で登録申請してくれないとユネスコが政治紛争でごたつくから仕方が無い」と思うかはともかく、別にこの決議は産経のような与太を支持してるわけではない。
 

■【阿比留瑠比の極言御免】韓国の「しつこさ」を学ぶときだ 慰安婦合意履行いつまでも要求を
http://www.sankei.com/politics/news/180209/plt1802090003-n1.html
 むしろ韓国の方こそ「河野談話アジア女性基金で片がついたはずなのにそれを事実上反古にしようとは日本右翼は何としつこい連中だ」とあきれてるでしょう。
 なお、「慰安婦合意」には「銅像を撤去する」なんて規定は(いわゆる密約ならまだしも)発表された内容にはどこにもありません。仮にあったとしても韓国が法治国家である以上せいぜいできることは「合法的手段」しかないし、そうなれば設置団体に「撤去してほしい」と働きかけることくらいしかできないでしょう。
 むしろ日韓合意には「河野談話の堅持」があるのだから産経のような言動こそ日韓合意違反です。産経がこういうバカなことを言うのは「日韓合意を歪曲した理解するから」でしょう。
 大体、「河野談話を撤回しろ」などと無茶苦茶を言う産経がよくもまあ朴政権が結んだ「合意履行」を文政権に要求できるもんです。
 「河野談話は国際合意じゃない」なんてのは詭弁でしかありません。
 

*1:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*2:著書『慰安婦と戦場の性』(1999年、新潮選書)、『南京事件(増補版)』(2007年、中公新書)など

*3:著書『南京事件』(1997年、岩波新書)、『南京難民区の百日:虐殺を見た外国人』(2005年、岩波現代文庫)、『南京事件論争史』(2007年、平凡社新書)、『日本軍の治安戦:日中戦争の実相』(2010年、岩波書店)、『海軍の日中戦争』(2015年、平凡社)、『日中戦争全史(上)(下)』(2017年、高文研)など