今日の産経ニュースほか(5/25分)(追記・修正あり)

■【論壇時評6月号】首相権力は強くなりすぎたのか 陰謀論や過度の単純化にあおられるな 文化部・磨井慎吾
https://www.sankei.com/column/news/180524/clm1805240005-n1.html

 ベストセラー『応仁の乱』の著者で中世史家の呉座勇一*1「歴史の世界もフェイクニュースだらけ*2」(Voice)は、足利義満の王権簒奪(さんだつ)計画説*3などの中世史研究での「陰謀」を題材とし、人がなぜ根拠薄弱な陰謀論に引き込まれるのかという現代にも通じる構図を分析して歯切れよい。

 月刊ボイス自体が「南京事件中国捏造説」「慰安婦韓国捏造説」などの陰謀論を垂れ流すデマ右翼雑誌なのによくもこんな記事を載せるもんです。俺ならボイスに寄稿を頼まれても「お宅の雑誌こそが陰謀論常習でしょ?。笑えない冗談も大概にしてください」として断りますが、応じる呉座って人間はろくなもんじゃないんでしょう。
 以前拙記事(http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20170219/3740158919)でも触れましたが呉座については

http://b.hatena.ne.jp/entry/mainichi.jp/articles/20170218/k00/00e/040/273000c
id:yasugoro_2012
 ああ、池田信夫の“『 中共は「抗日戦争に勝利した」のではなく、「日本軍が国民党をつぶした」から政権を取れた』”に便乗して、国民党軍を壊滅した大陸打通作戦が歴史を変えたとか(ボーガス注:SNSでデタラメ)言ってた人の本ね。

という、呉座自身が陰謀論者でデマ野郎だという指摘もありますしね。

 本能寺の変イエズス会黒幕説*4ルーズベルト真珠湾攻撃陰謀説、日本会議陰謀説など古今さまざまな陰謀論が引き合いに出される中で、呉座は陰謀論*5について「特定の個人ないし組織があらかじめ仕組んだ筋書き通りに歴史が進行したという考え方」と定義する。そしてその大きな特徴として「因果関係の単純明快すぎる説明」「論理の飛躍」「結果から逆行して原因を引き出す」の3点を導き出す。

 日本会議自民党に影響を与えてるというのは陰謀論ではなくて事実ですがそれはさておき。
 「ルーズベルト真珠湾攻撃陰謀説(ルーズベルト真珠湾攻撃を事前に知っていたというのは根拠薄弱な陰謀論)」と臆面もなく批判的な物言いが書ける産経には呆れます。それを堂々と真実として垂れ流してるのは百田尚樹や田母神と言った産経のお仲間ウヨ連中ですし、産経も「南京事件中国捏造説」「慰安婦韓国捏造説」「張作霖暗殺・コミンテルン陰謀説」「対馬が危ない(韓国が狙ってる)」「北海道が危ない(中国が狙ってる)」など数々の陰謀論(というかデマ)を垂れ流してるくせによくも言ったもんです。
 「陰謀論は問題だ」などと抜かすのなら産経こそ「数々の陰謀論を垂れ流した」まず自分の過去を反省すべきでしょう。
 もちろん

「因果関係の単純明快すぎる説明」「論理の飛躍」「結果から逆行して原因を引き出す」

という特徴は産経の陰謀論にも見事に該当します。


■防衛費「対GDP比2%」明記 自民防衛大綱提言の全容判明 F35Bや多用途運用母艦導入も
https://www.sankei.com/politics/news/180525/plt1805250004-n2.html
 社会保障、教育などを軽視したあげく、何で軍拡をしたがるのか理解ができませんね。やはり利権なのか?


■共産地方議員の赤旗勧誘に待った タブー破り、神奈川で禁止の陳情採択相次ぐ
https://www.sankei.com/premium/news/180525/prm1805250002-n1.html
 くだらない反共主義としか言い様がないですね。こういう言いがかりは是正されてしかるべきです。これもやはり反共安倍政権の悪影響でしょうか?


■【正論】神道はなぜ「敵役」にされたのか 東京大学名誉教授・平川祐弘
https://www.sankei.com/column/news/180525/clm1805250004-n1.html
 もちろん戦後において神道が否定的に評価されたのは「国家神道が他の宗教を弾圧するとともに、誤った方向に国を持って行き敗戦の惨禍を招いたから」です。
 たとえるなら「ソ連・東欧において共産党の評判が良くない」のと違いはありません。神道でアレ、共産党でアレ、何でアレ「過ちを犯せば」、『被害者の批判』によって評判は悪くなります。何も「共産党だけが政治組織でない」のと同様「神道以外にも仏教、キリスト教など宗教はある」わけですし。
 特に神道なんて明治期に国教化した上に、さんざん「外国人には理解が難しい、日本の伝統文化=神道」と宣伝したが故に今となっては世界宗教化したキリスト教イスラム教など、他の宗教と違い、『いわゆる普遍性を獲得することができず』、海外展開することがほとんど不可能となってる無様さです。
 当然ながら「国家神道でない神道(明治以前の神道)」は必ずしも否定的に評価されていません。
 また戦後「国家神道負の遺産」が完全に払拭されれば良かったのですが「神社本庁」という「国家神道を払拭できないどころか、それを美化するトンデモ集団(仏教、キリスト教など日本の他宗教団体と比べても異常なまでにあの戦争に対する反省がない)」が戦後神道の主流となったことで「今も神道は否定的に見られてる」わけです(特に海外において)。
 何度も言いますが問題は「明治以降の国家神道」なのでその「負の遺産」を払拭すればいいわけですが問題は神社本庁など神道主流派に払拭する意思がないことでしょう。
 大体、この平川の文章自体が「国家神道に落ち度はない」という居直り文章ですから。


■【アメフット】日大学長が対応の遅れ認め、謝罪 田中英寿理事長は会見に出席せず
https://www.sankei.com/sports/news/180525/spo1805250048-n1.html
 大塚学長は出てくるのに、田中理事長は出てこないというこの姿を見れば
1)学長は大物とはいえず理事長こそが実力者
2)理事長こそが内田を擁護した張本人でだからこそ逃げてる
としか思えませんね。


■【アメフット】日大学長が“火消し”会見 理事長どこ?再び炎上
https://www.sankei.com/affairs/news/180525/afr1805250025-n1.html

 田中氏は、大学や系列学校などを設置する学校法人の理事会トップで全体の経営をつかさどる。相撲部だった田中氏と同じ運動部出身として強固な関係を築き、後継と評される内田氏も常務理事として権限を握り「少なくとも表向きは両氏の意向に背く人物はいない」(大学関係者)。大塚氏は大学トップとはいえ学校法人の一理事にすぎない。

 産経記事が事実なら「腐れ縁があるためセクハラ問題での酷い対応でも麻生を切れない安倍」と「反則タックル問題で内田氏を切れない田中氏」は構造的に全く同じでしょう。


■【アメフット】「大学として追い込んだ」日大学長が謝罪
https://www.sankei.com/sports/news/180525/spo1805250033-n1.html
 問題は真相究明と「監督、コーチら責任者」の処分なので単に口先でわびただけでは全く信用できませんが、居直り続けるよりはマシといえるでしょう。


衆院厚労委で働き方関連法案を賛成多数で可決 29日に衆院通過へ
https://www.sankei.com/politics/news/180525/plt1805250037-n1.html
 憤りを禁じ得ませんが今後の野党やマスコミの努力で「廃案にできればベスト」、仮に不幸にして可決されたとしても諦めずに安倍批判を続け、「法再改正と安倍退陣の方向につなげることができれば」ベターとはいえるでしょう。


■【ボストンから一言(12)】何度日本に謝らせたら気がすむのか―米在住韓国人*6からも慰安婦像設置に疑問の声「米国と何の関係がある、恥ずかしい」
https://www.sankei.com/west/news/180523/wst1805230007-n1.html
 それいったらワシントンのホロコースト記念館だって「米国と何の関係がある」ですが少なくともネオナチが、「ホロコースト否定論の文脈」でそんなこと言ったら袋だたきでしょうね。産経がやってる慰安婦銅像への因縁とはそういう行為です。そういう因縁をしなければ誰も慰安婦問題で日本批判なんかしない。実際、批判が激化してるのは安倍政権後の訳ですから。
 「河野談話の宮澤内閣」「アジア女性基金の村山内閣」以降、安倍が首相になるまでは「それなりに日本の対応は評価されていた」わけです。
 「何度日本に謝らせたら気がすむのか」なんて状況ではなかった。
 安倍が首相を辞め安倍の極右路線が明確に変更されれば「自民党政権であっても」状況は良い方向に変化するでしょう。


■【産経抄】5月25日
https://www.sankei.com/column/news/180525/clm1805250003-n1.html

 陸軍大将、今村均(ひとし)の生涯を描いた角田房子さん*7の『責任』*8に、こんな場面がある。ラバウルで敗戦を迎え、戦犯となった今村と部下の参謀長は口論を始めた。「責任は当然私が負うべきだ」「いや、命令した私の責任だ」。
▼まもなく始まる裁判で、お互いが相手の罪を少しでも軽くしようとしていた。参謀長は無罪放免となり、今村はその後9年間、獄にあった。日本に送還された後も、わざわざ赤道直下の炎暑の島の刑務所に戻っている。部下とともに服役したいと、申し出たのだ。

 という書き出しで「部下に配慮し自らができる限り責任を負おうとする今村の潔さに比べ、『俺は反則なんか命令してない』『選手が勝手にやったことだ』と選手に全て押しつける内田・日大アメフト部監督(日大常務理事兼務)のなんとあさましいことか」と言い出す産経です。確かにその通りですが、産経は一方で「森友問題は財務官僚が全て悪い。俺は悪くない」「国有地のダンピング販売なんて知らない(だから首相辞任や財務相辞任なんかしない)」として逃げようとする安倍や麻生をかばってるのだから「ダブスタも甚だしいな」ですね。
 今村をたたえるのなら産経は「今村を見習って安倍総理、麻生*9財務相が即刻辞任することを求めたい」「彼らがやめても自民党には岸田政調会長(前外相)、石原*10元幹事長、石破*11元幹事長など人材は豊富なはずだ」とでもいうべきでしょう。
 世間的には

・内田と「安倍や麻生」
・「内田をかばう日大執行部*12」と「安倍や麻生をかばう自民党公明党、政府執行部(二階幹事長、山口公明党代表、菅官房長官など)」

はどちらも「自らが犯行に関与しながら部下に全て押しつけて逃げようとする、保身に走るクズ(安倍ら)」「そんなクズを応援するクズ(自民党執行部など)」でしかありません。
 「内田と安倍、麻生は違う」「日大執行部と自民党公明党は違う」なんてのは産経のような政府与党応援団だけです。
 産経も「日大アメフト反則タックル事件で、選手に全てを押しつける内田監督を批判しながら、森友では財務官僚に全て押しつける安倍、麻生擁護」なんて恥ずかしいまねが良くできるもんです。
 なお、一言断っておくと、もちろん何も日本軍幹部は今村のような立派な人間ばかりではありません。今村はもちろん例外的存在です。
 たとえば、「保身に走った安倍、麻生並みの卑怯者軍人」としては

シンガポール華僑虐殺事件で同僚や上官が戦犯裁判に掛けられ、中には死刑になった人間もいるのに、そして自分も戦犯容疑者として指名手配されていたのに仲間を見捨てて逃亡し、「ほとぼりが冷めた頃に」表舞台に現れ、自民党参院議員になった辻政信
・「俺も後で特攻する」などと神風特攻を煽りながら、宇垣纏のように特攻*13することも、大西瀧治郎のように自決することもなく1960年に死去した冨永恭次

なんて輩がいます。あくまでも今村は「例外的人間」でありだからこそ、角田氏によって評伝も書かれるわけです。

内田氏は会見後、心労と不眠で入院したそうだ。

 これまたリクルート疑惑などで自民党政治家など疑惑の中心人物が病院に入院した事態を連想させますが、そうした自民批判は無論しないいつもの産経です。

参考

今村均(1886〜1968年:ウィキペディア参照)
■戦後
 今村は戦犯として軍法会議にかけられる。第8方面軍(ニューブリテン島)司令官の責任を問われたオーストラリア軍による裁判では、一度は死刑にされかけたが、現地住民の証言などもあり禁錮10年で判決が確定した。 その後の第16軍(ジャワ島)司令官時代の責任を問うためのオランダ軍による裁判では、無罪とされた。
 その後、今村はオーストラリア軍の禁錮10年の判決により、1949年(昭和24年)に巣鴨拘置所に送られた。だが今村は「(未だに環境の悪い南方で服役をしている元部下たちの事を考えると)自分だけ東京にいることはできない」として、1950年(昭和25年)には自ら多数の日本軍将兵が収容されているマヌス島刑務所への入所を希望した。
 その後、刑期満了で日本に帰国してからは、東京の自宅の一隅に建てた謹慎小屋に自らを幽閉し、戦争の責任を反省し、軍人恩給だけの質素な生活を続ける傍ら回顧録を出版し、その印税はすべて戦死者や戦犯刑死者の遺族の為に用いられた。元部下に対して今村は出来る限りの援助を施し、それは戦時中、死地に赴かせる命令を部下に発せざるを得なかったことに対する贖罪の意識からの行動であったといわれる。その行動につけこんで元部下を騙って無心をする者もいたが、それに対しても今村は騙されていると承知しても敢えて拒みはしなかったという。

*1:著書『戦争の日本中世史:「下剋上」は本当にあったのか』(2014年、新潮選書)、『一揆の原理』(2015年、ちくま学芸文庫)、『応仁の乱』(2016年、中公新書)、『陰謀の日本中世史』(2018年、角川新書)など

*2:「だらけ」てことはないですね。「チンギスハン・源義経説」「南京事件否定論」「ホロコースト否定論」などの手垢のついた陰謀論、デマがほとんどですし、そんなもんは少なくとも歴史学の世界ではまともに相手されていません。まあ、読まずにこんなことを言っては本来いけませんが、「自己顕示欲の強い人間(呉座)」が自画自賛のために駄本を書いただけの話じゃないですかね。

*3:今谷明『室町の王権:足利義満の王権簒奪計画』(1990年、中公新書)ですかね。ただし今谷説については無知なのでよく知りませんが。

*4:ウィキペディア本能寺の変』によれば、立花京子『信長と十字架』(2004年、集英社新書)がこの説だそうです。なお、通説的見解では「イエズス会に限らず」黒幕などはいません(光秀の単独犯行)。「有力武将・佐久間信盛が些細な落ち度で失脚したこと(領土を没収され高野山に追放された)」に「自分もなんらかの落ち度を理由に佐久間のように粛清されるのでは」と恐怖感を覚えた光秀が自己保身から暗殺したという理解かと思います。いずれにせよ黒幕説については「決定的な根拠は何もなく」現時点では適切な説とは言いがたいでしょう。なお、個人的には「ホロコースト否定論、南京事件否定論」のような冗談では済まない反社会的、反人権的な代物はともかく、そうでなければ「陰謀論を事実ではなく、娯楽として楽しむ限りは別に問題はないだろう」と思います。例えば山本周五郎の代表作で大河ドラマにもなった「樅の木は残った」での「幕府の伊達家取り潰し計画」は「歴史学的には根拠のない陰謀論」ですがだからといって山本作品を否定するのも大人げないでしょう。また、忠臣蔵での「吉良上野介浅野内匠頭侮辱」も歴史学上は根拠がありませんがだからといって『事実か解らないことを事実扱いする忠臣蔵は(以下略)』というのも大人げない話です。

*5:もちろん陰謀論はくだらないですが陰謀自体は歴史上いくらでも存在します。有名どころでは例えば「張作霖暗殺」「満州事変」(いずれも日本軍の犯行だが当時日本はそれを否定)なんかがあります。

*6:まあ朴チョンヒのような日本ウヨに迎合する輩なんでしょう。

*7:著書『墓標なき八万の死者:満蒙開拓団の壊滅』(1976年、中公文庫)、『ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌』(1985年、新潮文庫)、『満州武装移民の妻:雪椿の生涯』(1985年、徳間文庫)、『閔妃(ミンビ)暗殺:朝鮮王朝末期の国母』(1993年、新潮文庫)、『わが祖国:禹博士の運命の種』(1994年、新潮文庫)、『悲しみの島サハリン:戦後責任の背景』(1997年、新潮文庫)、『甘粕大尉(増補改訂版)』(2005年、ちくま文庫)、『一死、大罪を謝す:陸軍大臣阿南惟幾』(2015年、ちくま文庫)、『いっさい夢にござ候:本間雅晴中将伝』(2015年、中公文庫) など

*8:副題は「ラバウルの将軍今村均」。2006年、ちくま文庫

*9:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを経て首相。現在、第二〜四次安倍内閣副総理・財務相

*10:小泉内閣国交相自民党政調会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相、第三次安倍内閣経済財政担当相など歴任

*11:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第2次安倍総裁時代)、第3次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*12:安倍をかばう自民、公明も論外ですが、内田をかばう日大も論外です。

*13:ただし宇垣が自分一人で特攻ではなく、部下を道連れにしたことには批判が強いですが。