今日の産経ニュース(6/30分)(追記・修正あり)

ニュージーランド首相が女児出産、第1子、6週間の産休入りへ
https://www.sankei.com/world/news/180621/wor1806210016-n1.html
 少し古いニュースですが「女性首相の産休」とは「産休どころか、女性首相の可能性すら乏しい日本」とは偉い違いです。
 「野田聖子首相」なんて率直に言って可能性低いですからね。
 ちなみにニュージーランドといえば「世界で初めて女性参政権を認めた国(1893年に選挙権)」でもあります。

 現職首相の出産は1990年のパキスタンの故ベナジル・ブット氏以来。

 ベナジル・ブットねえ。そういえばそういう人がいましたね。


■【潜伏キリシタン世界遺産】離島振興ふくらむ期待 地元「Uターンにつなげたい」
https://www.sankei.com/life/news/180630/lif1806300054-n1.html

・離島振興の切り札に。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産への登録が決まった「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、人口減少に歯止めをかける活性化策の一つだ。
・高度成長期以降に人口流出が続き、交通拠点の五島市でも昭和35年の約9万人から平成27年の約4万人に激減。
・3250万円をかけた「江上天主堂」(五島市)の修復にも、国などの補助に基金から約160万円を上乗せ。教区負担は約280万円だった。市の担当者は「来訪者は年7千から9千人。今年は1万人を超えそう」と勢いづく。

 もちろん建前は「文化財保護」ですが、「これをネタに観光につなげよう」という話になるのは日本ではいつものことです。
 「今が安倍政権だから」つうのもあるでしょうが、そういう観光のことしか考えてないから「軍艦島端島炭鉱)の世界遺産登録では朝鮮人強制連行をきちんと教えてほしい」と韓国に要望されると「軍艦島観光の妨げになるだろうが!」「反日だ!」と発狂して逆ギレするわけです。
 しかし話が脱線しますが、「対馬が危ない」「佐渡が危ない」「北海道が危ない」と「離島(?)関係」でデマってきた産経も「五島列島が危ない」などとはあまりいってこなかった気がします。


■【ソウルからヨボセヨ】憲法裁が宗教的理由による「良心的兵役拒否」を容認 ちゃんと軍隊に行く大多数には良心がない?(黒田勝弘
https://www.sankei.com/column/news/180630/clm1806300006-n1.html
 なお、この韓国の話、「エホバの証人」が原告のようですね。エホバについていえば欧米でも同様の訴訟をおこして同様に「拒否が容認されていた」と思います。また、エホバ以外ではクエーカーや「刑事ジョン・ブック 目撃者」で知られるアーミッシュがそういう兵役拒否の立場だったかと思います。
 それにしても産経・黒田はいってること無茶苦茶ですね。「宗教的理由による兵役拒否」を認めることは「兵役につくことを否定しているわけではない」し、そもそもこの制度、発祥地は韓国ではなく欧米なのですが(もちろんエホバやクエーカー、アーミッシュなどの運動の成果です)。
 欧米に対しても産経は「ちゃんと軍隊に行く大多数には良心がない?」などと言い出すのか。まあ「欧米に明らかに劣等感がある」産経にはそんなことはいえないでしょうが。
 ちなみに日本ではこうした制度はありませんが「導入すべきだ」という主張ならあります。
 なお、「良心的兵役拒否」「兵役拒否」でググったところ、良心的兵役拒否については、

阿部知二良心的兵役拒否の思想』(1969年、岩波新書)
稲垣真美*1良心的兵役拒否の潮流:日本と世界の非戦の系譜』(2002年、社会批評社
・佐々木陽子*2編『兵役拒否』(2004年、青弓社ライブラリー)
市川ひろみ『兵役拒否の思想』(2007年、明石書店
・小関隆*3『徴兵制と良心的兵役拒否:イギリスの第一次世界大戦経験』(2010年、人文書院
・伊藤貴雄『ショーペンハウアー兵役拒否の哲学』(2014年、晃洋書房

などの著書があります。
 ちなみに「やや個人情報になります*4が」、小生が高校時代に「(エホバの証人などの)おそらく宗教的理由で」格闘技(柔道)授業に参加しなかった同級生がいたことを思いだしました。
 まあ、小生、その同級生と特に親しいわけでもないし、「宗教的理由での不参加」なんてデリケートな話はご本人から言い出さない限りこちらからしつこく聞くのは明らかに失礼に当たるので詳しい事情(一体何の宗教を信じているのかなど)までは知りませんが。
 産経はそういうのもやはり「なぜ格闘技授業に参加しない!」と言い出すんですかね?。余計なお世話ですが。
 そういうこと抜かす連中が「首相が靖国参拝して何が悪い、信教の自由だ」とか言い出すのだから心底呆れます。


■自民岩手、平野達男氏擁立へ 来夏の参院選選挙区
https://www.sankei.com/politics/news/180630/plt1806300004-n1.html
 小沢自由党(当時)出身の保守系とはいえ、「菅、野田内閣復興担当相」を務めた人間が自民から出馬とは全くふざけています。権力亡者としか言い様がないでしょう。


■【攻防・終盤国会】集中審議、現段階で不要 河村建夫*5衆院予算委員長
https://www.sankei.com/politics/news/180630/plt1806300010-n1.html
 安倍に「モリカケ疑惑解明を目的とした集中審議に絶対応じるな」といわれてるから、そういいましたというだけのくだらない話です。


■【産経抄】6月30日
https://www.sankei.com/column/news/180630/clm1806300003-n1.html

・28日のサッカーワールドカップ(W杯)の対ポーランド戦で、日本代表チームは負けているにもかかわらず、得点を狙うことなく(ボーガス注:時間稼ぎをした方が予選リーグ突破できるという判断から)時間稼ぎをした。結果的に決勝トーナメント進出を果たしたが、この戦術に国内外から賛否両論、さまざまな意見や論評が出ている。
▼リスクはあったとはいえ、日本人が好む潔さや、当たって砕けろの精神を捨てて消極策を選んだのだから、釈然としない人が多いのも分かる。
▼ただ、これまで日本はスポーツでも外交でも、正攻法にこだわり過ぎたきらいがある。その意味では日本社会の成熟の表れとも言えよう。政治学者の櫻田淳さん*6は、自身のフェイスブックに記していた。
「日本も、こういう狡(ずる)いサッカーができるようになったかと思えば、実に感慨深い」。
▼「『獅子の威厳と狐(きつね)の狡知(こうち)』…か」。
 櫻田さんは続けてフィレンツェの政治思想家、マキャベリの言葉を引いていた。君主は、オオカミを従わせるライオンの力と、策略を見抜くキツネのずる賢さに学ぶ必要があるとの意味である。どちらかが欠けても国は危うい。
▼興味深いことに、政治家からは「選挙と同じだ」、外交官からは「外交と同じだ*7」との感想が聞こえてきた。ルールの中でぎりぎりの駆け引きをし、多少体裁が悪かろうと結果を出すことがすべての世界ということか。
▼そもそも、良いとか悪いとか道徳的に決めつけること自体に無理があろう。作家、池波正太郎さんの人気シリーズ『仕掛人(しかけにん)・藤枝梅安』で、梅安は繰り返し世の道理を説いている。
「善と悪とは紙一重」「世の中の仕組みは、すべて矛盾から成り立っている*8

 あんなせこいまねで勝ち上がっても恥さらしなだけだと思いますが。予選リーグを突破できなくても「ドイツ相手の大金星」で爽やかな韓国と何という違いか。なんという「せこくてゲスの極みで最低な日本」か。
 つうか「結果を出すためにはマキャベリが言うように正攻法にこだわるな」「良いとか悪いとか道徳的に決めつけること自体に無理があろう」「世の中の仕組みは、すべて矛盾から成り立っている」つうなら、こんなことではなく、それこそ「北朝鮮に経済支援してバーター取引で拉致被害者を取り戻そう」「経済支援について道徳的に悪いと決めつけるな」「世の中の仕組みは、すべて矛盾から成り立っている。だから北朝鮮への経済支援も仕方がないのだ」ではないのか。
 まあ俺個人は「経済支援こそがある意味、拉致解決の正攻法、本道(つまり奇策ではない)」と思いますが。


■【外交安保取材】政治利用の場と化す国連人権理事会 米離脱で日本が対中国最前線に
https://www.sankei.com/premium/news/180630/prm1806300009-n1.html

米国が6月19日、同盟国イスラエルを批判する場として政治的に使われていることなどを理由に国連人権理事会からの離脱を表明した。

 もちろんイスラエルパレスチナ人弾圧という問題があるから批判されてるに過ぎませんし「批判したら不当な政治的行為だ」などと訳のわからないことをいったらイスラエルに限らずどこの国も批判できません。単にトランプ政権が逆ギレして醜態をさらしてるだけです。

これに伴い、日本が人権理で対中国の最前線に立たされる可能性が出てきた。

 意味不明ですね。そもそも人権理事会は「人権問題について話し合う場」であって別に中国を非難することが目的の場ではない。
 イスラエルにせよ中国にせよ「結果的に非難されてるに過ぎない」わけです。
 そして「まるで米国と日本だけが人権問題で中国を批判してる」ような産経の物言いですがそもそもそんな事実はないでしょう。

 人権理では、中国が自国に有利に働く決議の採択を画策するなど、政治利用化が進んでおり

 やれやれですね。是非はともかく政治とはそういうもんです。国連人権理事会に限定される話では全くない。
 そして、何もそういう動きは中国だけではない。例えばイスラエルイスラエルでそういう動きをしてきたわけです(日本や米国も同じですが)。
 中国だけが政治利用で、米国や日本、イスラエルは政治利用ではないかのような物言いはインチキでしかありません。

昨年11月には、人権理の対日審査で中国や北朝鮮から(ボーガス注:慰安婦問題で?)国民の知る権利などをめぐって批判を浴びせられた。韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相は今年2月の人権理での演説で、慰安婦問題への日本の努力が不十分との認識を示し、対日批判の場として利用した。

 人権面で日本に問題があると思う国は日本を批判する、ただそれだけの話です。実際、慰安婦問題での安倍政権の態度がまともだと思う人間は普通の常識の持ち主ならいないでしょう。

慰安婦問題について「国連等国際社会において互いに非難・批判することは控える」とした2015年の日韓合意に抵触する行為である。

 おいおいですね。その合意の正当性を仮に認めるにせよ「日本に対して何一つ批判できない」なんて話ではないでしょうし、その合意を理由に批判を控えろというならそれこそ「慰安婦銅像撤去」など韓国政府に要求するのはおかしいのではないのか。銅像設置者は民間人ですからねえ。合意には当然ながら設置者が従う義務はない。韓国政府ができることは何もないでしょう。強制撤去などしたらむしろ違法行為ではないのか。

 他国をおとしめるための政治利用は人権理が抱える深刻な課題だ。昨年5月、人権理の特別報告者、ジョセフ・ケナタッチ氏は共謀罪の構成要件を厳格化したテロ等準備罪の新設に対し一方的に懸念を表明した。別の特別報告者は歴史教科書検定からの政府の影響力排除や放送メディアに対する政府の圧力があると主張する報告書を公表した。昨年11月の人権理では、韓国が求めた対日審査で慰安婦に関する教育について「将来世代が慰安婦問題を含め、歴史の真実を学べるように努力すべきだ」と主張し、人権理は日本政府に計217項目を勧告した。

 日本が「慰安婦問題その他」で国連で批判されたら「おとしめられた」、外国(例:北朝鮮拉致問題、ロシアのクリミア問題)が批判されたら正当な批判だとはふざけるにもほどがあるでしょう(なお、北朝鮮やロシアは安倍政権や産経同様「不当な非難」と反発しています)。
 「日本は何の問題もないから国連での批判はすべて不当だ」なんて馬鹿げたフィクションは産経の脳内でしか通用しません。つうか過去において国連の批判に日本政府が必ずしも従わないにせよ、ここまで国連に無茶苦茶な言動をして恥じないのは安倍政権くらいのもんでしょう。
 当然ながら悪口雑言しても何もどうにもなりません。日本に対する見方が厳しくなるだけです。
 こうした意味(国際社会の評判が歴代総理と比べて最悪)でも安倍の早期退陣は急務です。

*1:著書『兵役を拒否した日本人:灯台社の戦時下抵抗』(1972年、岩波新書)、『日本の名酒』、『ふるさとの名酒と焼酎』(1984年、新潮選書)、『ワインの常識』(1996年、岩波新書)、『新しい日本酒の話』(2002年、文春新書)、『旧制一高の文学:上田敏谷崎潤一郎川端康成・池谷信三郎・堀辰雄中島敦立原道造らの系譜』(2006年、国書刊行会)など

*2:著書『総力戦と女性兵士』(2001年、青弓社ライブラリー)

*3:著書『プリムローズ・リーグの時代:世紀転換期イギリスの保守主義』(2006年、岩波書店)、『近代都市とアソシエイション』(2008年、山川出版社世界史リブレット)、『アイルランド革命 1913〜23:第一次世界大戦と二つの国家の誕生』(2018年、岩波書店)など。

*4:まあでもこの程度ではハゲックス氏殺害事件のようなこともないでしょう。

*5:小泉内閣文科相麻生内閣官房長官自民党選対委員長(第二次安倍総裁時代)など歴任

*6:著書『「常識」としての保守主義』(2012年、新潮新書)など

*7:金丸訪朝、小泉訪朝、カーター訪朝のことですね、わかります。

*8:梅安だけでなく、確か鬼平犯科帳剣客商売でも同じような台詞があったかと思います。