今日の産経ニュース(8/11分)(追記・修正あり)

■「学テ結果を給与に反映」というけれど…生活保護率1位の大阪市、学力低迷は貧困や家庭環境も影響
https://www.sankei.com/west/news/180811/wst1808110014-n1.html
大阪市長「学力テスト結果、給与反映」方針に広がる波紋、渦巻く賛否 「教員の危機意識ない」に文科相は慎重判断要請
https://www.sankei.com/west/news/180811/wst1808110012-n1.html
 「東京本社に比べたら比較的まともと言われる大阪本社とはいえ」、「デマ、詭弁常習」の産経らしくない珍しくまともな記事です。産経記事の言うとおりですべてを現場の教員のせいにして無茶苦茶なことを言う吉村大阪市長は最低最悪です。橋下がいなくなって少しはまともになったかと思いきや「橋下よりはマシ」でしょうが「サンフランシスコ市との姉妹都市の件(慰安婦銅像を理由にやめると言い出す)」といい、この件と言い、所詮この程度の訳です。
 「生活保護率1位」という貧困が学テ結果に影響してることは、「産経記事のタイトルおよび本文が指摘するとおり」、間違いないでしょうし、それは教員がどうにかできることではない。むしろ貧困の問題は国(自民・公明)とともに大阪府大阪市、つまりは府政、市政与党である維新の貧困対策が問われるべき問題です。
 大体、貧困家庭ではまともに学校生活を成り立たせること自体がおそらく困難で「学力向上以前の問題」ではないか。
 その結果、林*1文科相も「文科官僚や教育学者の意見を聞いた上でのこと」でしょうが、「維新を改憲の同志扱いしている安倍」に配慮して手厳しい批判はしないものの、吉村に対し疑義は呈するわけです。さすがに積極的賛同などしない。
 大体こんなことをしたら「既に大阪の公立学校に勤務してる教職員」は今更、私立校や他府県(京都府奈良県兵庫県など近隣自治体)の公立学校に転職つうのも難しいでしょうが、大阪の公立校就職を考えていた教員志望の学生は「学テの成績について政治家は悪くない、現場が悪いなんてふざけた市長や府知事の下で働けるか。大阪の公立校は選択肢から外す」「私立校や他府県の公立校にする」ということで減るでしょうね。またコメント欄で指摘があるように越境入学が横行し、「教育困難校はどんどん生徒が減って」廃校になりかねません(一方で成績上位校が異常な入学倍率になる)。
 かえって大阪の教育が危機に瀕するでしょう。

・耳塚寛明*2お茶の水女子大学教授(教育社会学)の話
「学テの結果は教員の努力もあるが、同時に家庭や地域環境など多様な影響が考えられる。学力を向上させるためには、学テなどで低位に位置する学校へのきめ細かいサポートが必要で、市長方針はそれとは逆行する可能性がある。学力低迷の要因をまず分析すべきだ」
・西村和雄*3・神戸大特命教授(教育経済学)の話
「学力が低迷していたのは、教員らの評価が学力向上と結びついていなかったから。評価基準を学力向上に置き、学校の予算額に反映させる方針は極めて自然なことだ。各学校の実情を考慮した上で、どれだけ改善に努力したのか評価できる仕組みになればよいだろう」

 耳塚氏のような常識がない「どうしようもないバカ」西村には心底呆れます(西村のようなバカにはもちろん敬称などつけません)。正直、西村にまともな学問的業績があるのか、いやそれ以前に西村はまともに教育を考えてるのか、西村にはまともな脳みそがそもそもあるのかと疑いたくなります。
 西村のようなバカには「バカは黙ってろ」といいたくなる。
 と書くと例のid:Mukkeは「素人のボーガスが大学教員の西村氏を侮辱した」とか言い出すんですかね。まあ奴の「ボーガスはI濱教授を侮辱してる」はそのレベルの詭弁でしたが。まあ俺はI濱や西村みたいなバカを見てると向かっ腹が立つのでつい言葉が乱暴になります。
 それはともかく、おそらく耳塚氏には学問的なデータもあるのでしょうが、「貧困が学力に影響する」「現場の教員のせいにするのは適切ではない」なんて、常識の範疇でしょう。耳塚氏のような意見はおそらく、耳塚氏以外の教育学者からいくらでも聴取できるでしょうが西村のような暴論、珍論、愚論は奴および「奴と共著を出した奴の類友学者」くらいしか聴取できないんじゃないか。

【追記】
 コメ欄で指摘がありますが、大阪の件について
■inti-solのブログ『どうしてそうなるのか (8)』
https://plaza.rakuten.co.jp/intisol/diary/201808030000/
を紹介しておきます。


■【産経抄】8月11日
https://www.sankei.com/column/news/180811/clm1808110003-n1.html

「『干してやる』とか『冷や飯を覚悟しろ』とか、それってパワハラという」「自民党はそんな政党ではなかったはずだ」。
 石破氏*4はこう説くが、(中略)「君は、僕を追い落とそうとしたじゃないか」。平成11年の総裁選後、日頃は温厚に見えた小渕恵三*5首相が、不出馬を求める懇願を拒んで挑んできた加藤紘一*6元幹事長に対し、言い放った言葉である。加藤氏と側近議員らは徹底的に冷遇され、顔色を失った。
▼ポスト小渕の最有力候補だった加藤氏にすれば、今回は勝てずとも総裁選は自身の存在感を際立たせると計算したのだろうが、完全に当てが外れた。翌12年には、当時の野党による森喜朗*7内閣不信任決議案に同調しようとする「加藤の乱」を起こすも失敗し、もう浮かび上がることはなかった*8

 やれやれですね。「過去にも小渕や森が加藤を干してる、安倍様が石破を干して何が悪い」と居直る産経ですが、こう言わずにはいられないこと自体、石破の「パワハラ批判」が痛いのでしょう。石破に対し、「パワハラされてる」という同情が集まることを恐れている。
 なお、小渕氏や森氏は「少なくとも」、干すと言うことを「身内の席以外」で「安倍*9や麻生*10のように公言したこと」はなかったかと思います。
 彼らには「干してやる」と公言することへの躊躇があった。そうした躊躇がまるでなくマスコミ取材などに「干す」云々と公言する安倍や麻生、それを擁護する産経には全く呆れます。

*1:福田内閣防衛相、麻生内閣経済財政担当相、第二次、第三次安倍内閣農水相を経て第四安倍内閣文科相

*2:著書『学力格差に挑む』(編著、2013年、金子書房)、『教育格差の社会学』(編著、2014年、有斐閣アルマ)など

*3:著書『学力低下と新指導要領』(2001年、岩波ブックレット)、『大学生の学力を診断する』(共著、2001年、岩波新書)、『新版・分数ができない大学生』(2010年、ちくま文庫)、『ミクロ経済学入門(3版)』(2011年、岩波書店)など

*4:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相を歴任。

*5:竹下内閣官房長官自民党副総裁(河野総裁時代)、橋本内閣外相を経て首相

*6:中曽根内閣防衛庁長官、宮沢内閣官房長官自民党政調会長(河野総裁時代)、幹事長(橋本総裁時代)を歴任

*7:中曽根内閣文相、自民党政調会長(宮沢総裁時代)、宮沢内閣通産相、村山内閣建設相、自民党総務会長(橋本総裁時代)、幹事長(小渕総裁時代)を経て首相

*8:この後、加藤氏が政治的に力を失う大きな要因は「金庫番秘書の脱税」です。それがなければ、十分政治的復権はあり得たでしょう。

*9:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*10:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)を経て首相。現在、第二〜四次安倍内閣副総理・財務相