今日の産経ニュース(8/26分)(追記・修正あり)

通貨危機ドミノの恐れ トルコショック引き金 アルゼンチン、ブラジル、ロシア…軒並み下落
http://www.sankei.com/economy/news/180826/ecn1808260009-n1.html
 トルコショックの直接の引き金は「トランプの対トルコ報復関税」であり、トランプも全く迷惑な男です。


自民党総裁選、安倍晋三*1首相が先行 共同通信世論調査
http://www.sankei.com/politics/news/180826/plt1808260016-n1.html
 「自民党員相手の調査ならともかく」、『総裁選の選挙権を持ってるわけではない』国民相手の世論調査で「総裁にふさわしい人」など聞く必要は全くない、国民に聞くなら「首相にふさわしい人」ではないのかと個人的には思いますがそれはさておき。

 安倍晋三首相が秋の臨時国会自民党改憲案の提出を目指す意向を示したことについて「反対」との回答は49.0%で、「賛成」の36.7%を上回った。

 賛成する人間がいると言うことにぞっとしますが、まあ、反対が賛成を上回ったことはせめてもの慰めですね。今後反対が増加することを期待したい。正直、安倍の存在はむしろ改憲の障害になってるようにも思います。
 以前、五十嵐仁氏(法政大学名誉教授)が「もし石橋湛山*2が病気辞任しなかったら」「もしポスト石橋が石井光次郎*3など『A級戦犯容疑者で極右』の岸信介*4以外だったら」、つまり「岸が首相にならなかったら」果たして「安保闘争はあれほど盛り上がったろうか」「むしろ皮肉にも岸の存在が日本における護憲を定着させたのではないか」と著書に書いていたと思いますが、安倍の存在もそんな感じがします。

 9月の自民党総裁選で、誰が次期総裁にふさわしいか聞くと、安倍首相が36.3%で、31.3%の石破茂*5元幹事長に先行した。

という調査結果は安倍にとっては脅威であり、石破にとっては「たとえ敗北して干されても、出馬して良かった」でしょうねえ。
 さすがの産経も「先行」という微妙な表現をせざるを得ません。まあ、これは「支持率で拮抗」と書かれても別におかしくはないでしょう。
 自民党国会議員の多数が安倍支持*6なのに、世論調査での石破と安倍の差が大してないと言うことは、さすがに「モリカケによる批判」がそれなりに影響してると言うことでしょう。
 かつ過去の世論調査によれば、自民党支持層では「安倍が石破に比べ次期総裁候補としてかなり支持されてるらしいこと*7」を考慮すれば、「安倍がいかに自民支持層以外(特に野党支持層)に嫌悪されてるか」つうことです。
 まあ、安倍が「36%」とか俺的には「十分高い」「ふざけてる」です。ただ「俺の願望込み」ですが、今や安倍への支持は「何があろうと自民支持」の強固な支持層ならともかく、それ以外ではそれほど強固なものではない。かつ「何があろうと自民支持」の大半は「安倍でなくてもいいが、自民党国会議員の多数が安倍支持なら容認してもいい」レベルで積極的な安倍支持、反石破ではないでしょうから、まあ安倍とてその地位はそれほど安泰ではないでしょう。
 まあだからこそ石破との論戦を安倍は逃げてるわけですが。

 内閣支持率は44.2%。7月21、22両日の前回調査から0.8ポイント増のほぼ横ばいだった。不支持は42.4%。

 44%なんてのは小生の立場では「十分高い」「高すぎ」ですが、「俺の願望込み」ですが、もはや安倍には「上がり目はない」ように思います。「0.8増」なんてのは誤差の範囲内でしょう。


■【日曜に書く】世界を苛む「スターリン*8」の影 論説委員・斎藤勉
http://www.sankei.com/column/news/180826/clm1808260006-n1.html
 「スターリンの影」なんてもんは存在しません。フルシチョフ*9やブレジネフ*10といったソ連共産党幹部も別に「スターリンの影」ではないし、ましてや、プーチン*11大統領や中国共産党はもっと「スターリンの影ではない」でしょう。

 プーチン政権による2008年のグルジア(現ジョージア)侵攻、14年のクリミア半島奪取、中国の南シナ海の軍事基地化などは、スターリンが73年前の夏に犯した北方領土強奪に淵源(えんげん)がある。

 「はあ?」ですね。何が淵源だかさっぱりわかりません。実行犯(?)も実行動機も、国際情勢も全然違うのに。
 つうかこんなでたらめな物言いをしていいのなら「プーチン政権による2008年のグルジア(現ジョージア)侵攻など」は

ヒトラーポーランド侵攻に淵源が(以下略)」
「旧関東軍満州事変に淵源が(以下略)」

とか何とでも言えますよねえ。まあそういうこと言われたら怒り出すのが産経でしょうが。いずれにせよそんなこと言っても何か意味があるわけでは全くない。

 60万人もの日本人のシベリア抑留はその実、壮大な拉致事件でもあった。家畜のごとく貨車で「収容所列島」に強制連行された。それは金王朝*12による世界各地での一連の拉致事件と同一線上にある。

 「はあ?」ですね。何がどう同一線上にあるのかさっぱりわかりません。実行犯(?)も実行動機も、国際情勢も全然違うのに。
 つうか、こんなでたらめな物言いをしていいなら、

北朝鮮拉致事件は日本軍の中国人、朝鮮人強制連行と同一線上にある」
「要人暗殺という意味では関東軍張作霖暗殺とスターリントロツキー*13暗殺は同一線(以下略)」
「戦地での女性の人権侵害という意味で、慰安婦と旧ユーゴの民族浄化レイプは同一線(以下略)」

とか何とでも言えますよねえ。まあそういうこと言われたら怒り出すのが産経でしょうが。いずれにせよそんなこと言っても何か意味があるわけでは全くない。 


■【新聞に喝!】文科省汚職、ボクシング騒動…内部告発など「他力」頼みの報道は怠慢だ 京都大学霊長類研究所教授・正高信男
http://www.sankei.com/column/news/180826/clm1808260005-n1.html
 怠慢も何も基本、内部告発でもないと追及報道は通常無理だと思いますけどねえ。


■【ニッポンの議論】次世代加速器建設の是非 村山斉氏*14「国際研究拠点に意義」 観山正見氏*15「国民の共感得られず」
http://www.sankei.com/premium/news/180826/prm1808260014-n1.html
 まあ、俺としては慎重派、懐疑派の観山氏に賛同しますね。
 「その分野の研究者にとっては意義があるのだろうが、それ以外の人間にとって果たして意義があるのか。べらぼうな金がかかる加速器建設によって他の研究予算が削減されてはたまったものではない」「共同事業なのに、何で日本が建設費の5割以上(賛成派の主張)も負担しないといけないのか。欧米は経済的に苦しい、欧米は日本の負担を求めてる、て日本だって左うちわじゃない。本当に必要な施設なら欧米もそれなりに負担すべきだろう」つうのには全く同感です。
 しかしこう言われたら村山氏ら賛成派は

 次世代加速器国際リニアコライダー(ILC)」建設にコスト面から反対する人(例えば産経記事の観山氏)にお尋ねしたいのは、素粒子研究にいくらまでならお認めになるのか?ということかな。そもそも研究する必要ないとか、ILCがなくても研究できるとか、言うならいいのですが、それならそれ証明していただかないと。

と黒井文太郎のような詭弁(拙記事http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20180821/7064208022参照)を観山氏のような反対派に対していうんでしょうか?(なお、村山氏への皮肉、嫌みではなく黒井への皮肉、嫌みです。さすがに村山氏を含め「ある程度まともなILC賛成派」は黒井ほどクズでもバカでもないでしょう)。
 そして当然、黒井文太郎は「素粒子研究は重要→ILCは必要」という論理で、ILC建設に賛成すると(もちろん黒井への皮肉、嫌み)。
 まあ、黒井のイージスアショア賛成論はそのレベルの詭弁です。
 まあ、

「ミサイル発射の可能性などほとんどない」→「必要性低いイージスアショア」

はともかく、素粒子研究の「次世代加速器」に意義はあるでしょうね。
 2008年に南部陽一郎*16小林誠*17益川敏英*18が、あるいは2015年に梶田隆章*19ノーベル物理学賞を受賞したのが素粒子研究の分野です。素粒子研究はそれなりに重要な分野でしょうし、今後の素粒子研究においては「何らかの次世代加速器の建設」は必要でしょう。。
 ただ、べらぼうな金をかけてまでやるべきことかというと異論はあり得るでしょう。
 つうか前も「半分冗談で書きましたが」、いっそ「経済大国」にして「科学技術大国を目指す」中国をこの計画に抱き込んで「中国に施設を建設する」かわりに中国からかなりの出資を求めたら、どうなんですかね?
 と思ったんですが、なんかググった限りでは「中国抜きで欧米と日本だけでやります」「中国なんかと手が組めるか」みたいな乗りのようですね。で中国も「じゃあいいよ、俺単独でやるから」みたいな乗り。
 何だかなあと思います。そこまで中国を嫌わなくてもいいのに。
 「霞を食えとは言えない」id:Mukkeさんも「無理して中国をILCから排除して日本の財政をズタボロにする必要はない」と言ってくれると思います(皮肉のつもり)。

*1:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*2:吉田内閣蔵相、鳩山内閣通産相を経て首相

*3:吉田内閣運輸相、岸内閣行政管理庁長官、池田内閣通産相、佐藤内閣法相、衆院議長など歴任

*4:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、自民党幹事長(鳩山総裁時代)、石橋内閣外相を経て首相

*5:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*6:というのも実に嘆かわしいですが

*7:というのも実に嘆かわしいですが

*8:ソ連共産党書記長

*9:ソ連共産党第一書記、首相

*10:ソ連共産党書記長

*11:エリツィン政権大統領府第一副長官、連邦保安庁長官、第一副首相、首相などを経て大統領

*12:いちいち王朝とか言わなくてもいいでしょうに。

*13:ソ連外相、国防相など歴任

*14:著書『宇宙は何でできているのか』(2010年、幻冬舎新書)、『宇宙は本当にひとつなのか:最新宇宙論入門』(2011年、講談社ブルーバックス)、『村山さん、宇宙はどこまでわかったんですか?:ビッグバンからヒッグス粒子へ』(2013年、朝日新書)、『宇宙を創る実験』(編著、2014年、集英社新書)など

*15:著書『太陽系外惑星に生命を探せ』(2002年、光文社新書)など

*16:著書『クォーク(第2版)』(1998年、講談社ブルーバックス)など

*17:著書『消えた反物質素粒子物理が解く宇宙進化の謎』(1997年、講談社ブルーバックス)など

*18:著書『素粒子はおもしろい』(2011年、岩波ジュニア新書)、『科学者は戦争で何をしたか』(2015年、集英社新書)、『僕はこうして科学者になった:益川敏英自伝』(2016年、文藝春秋)など

*19:著書『ニュートリノ・小さな大発見:ノーベル物理学賞への階段』(2016年、朝日選書)など